第三章「結界の綻び」

水晶の結界が崩れ落ちた。エントロピーが荒れ狂い、怪談が現実となる。人々の「信じる心」こそが、あらゆる厄災を生み出す原動力だったのだ。
CARACTER
MAJO
| キャラ名 | 概要 |
|---|---|
![]() | MAJOに所属する魔女。水晶を扱い、研究や後方支援を得意とする。生きているものを極端に怖がり、人と目を合わせることすら苦手。一方で「死体は好き」と言い切る独特の感性を持つ。 |
![]() | MAJOのデータ分析を担当する魔女。かつて大企業に勤めていたデータ分析のエキスパート。「偶然見えてしまう」ことを芸術として追求する、かなり変わった美意識の持ち主。 |
STORY
「シェンジ!すごい出血じゃない!」
「大げさですね。魔女ですもの、これくらい──」
「おい!危ない!」
俺たちはまだ、医務室で無数に湧いてくるエントロピーと戦っていた。
シェンジはすでにかなりの血を流している。
これ以上、シェンジを戦わせるわけにはいかないが──

「若い女性の二度寝を妨げるとは、無礼な輩ですね」
そこへ友萌が駆けつけた。
まるで桜が舞うように華麗に敵を蹴散らす友萌。
その間にジージェがシェンジの止血を済ませ、俺たちはどうにかその場を切り抜けた。
「おーい!生きてるか!?」
そこへ、訓練場からマロがあわただしくやってきた。
どうやら、訓練場の結界が突然消滅し、中のエントロピーが逃げ出したらしい。
再設定をしようにも、その結界を張った魔女ペトラは、外へ視察に出たまま連絡がつかないという。
しかも、本部に待機していたはずのシンジは、騒ぎが起きた瞬間に現場へ飛び出してしまったらしい。
「現場へ急行してシンジたちと合流し、ペトラを連れて帰ってきてください」
俺は、友萌とジージェを連れて、急ぎ現場へ向かった。
水晶の館。
ここは、かつて一家五人が突然姿を消したことで話題になった一軒家だ。
家の中には大量の開運水晶だけが残され、「怪物が住み着き人を喰らう」といった噂まで広がっている。
その超常現象の可能性を調べるため、警察からの依頼で、ペトラが派遣されていた。
ペトラは実践こそ得意ではないものの、とりわけ水晶の知識が豊富だという。

屋敷の前で、俺たちは大量のエントロピーに追われていたシンジと合流する。
どうにか敵を片付けたが、観測者も連れずに単独行動したシンジに、俺は言った。
「死ぬのが怖いなら、単独行動なんてするなよ」
観測者がいなければ、魔女のナラティブ力は落ちる。
新人の俺でも知っていることだ。
「あぁ!?何だって?!なんも知らねぇ新人が偉そうに!」
俺とシンジが口論をはじめたその時、屋敷の窓から水晶のようなものが伸び、周囲に虹色の反射光が広がっていた。
ペトラからの救難信号かもしれない。
俺たちは「水晶の館」へ踏み込んだ。
内部は、すでに普通の家ではなかった。
床も壁も天井も大量の水晶に覆われ、空間そのものが異化し始めている。
部屋には、たくさんの家族写真が飾られていた。
それを見たシンジが吐き捨てるように言った。
「家庭円満なんてのは、誰か一人が我慢して犠牲になった上に成り立つ幻想さ」
そういえば……シンジは重罪を犯し、MAJOに保護されたと聞いた。
彼女の家族は、彼女がここにいることを知ってるのだろうか……。

屋敷を調べていると、床に小型のビデオカメラが落ちていた。
画面には「LIVE」の文字。
「これ、配信中……なのか……?」
その直後、天井の水晶から血が滴り落ち、巨大な異形が襲いかかってきた。
「おい見ろ、あそこにいるの、ペトラじゃないか?」
剥がれ落ちた天井の水晶の隙間から、俺たちは囚われていたペトラを発見する。
シンジが敵を引きつけ、俺たちはどうにか彼女を救い出した。
ペトラは生きていた。
「危ない!」
ペトラの背後で、倒れていたエントロピーが、急に起き上がり襲い掛かってきた。
「きゃあああっ!」

悲鳴と共に、巨大な水晶が現れ、異形の巨体を貫いた。
ペトラが、自らの能力で水晶を発生させ、一撃のもとに敵を押し潰した。
「あれ、死にました?」
どうやら、実戦が苦手だからといって、力が弱いわけではないらしい。
ただ、生きているものが極端に怖く、俺たちの顔すらまともに見られないという。
「……死体、すき」
落ち着いたペトラから、ここで何が起きたのかを聞いた。
ペトラによれば、警察と屋敷へ入った時、置かれていたのは市販の開運水晶だけで、異常な気配はなかったという。
そこへ「心霊チャンネル」と思われる配信者のグループが強引に入ってきたという。
心霊スポットなどを扱うネット配信者の類だろう。
彼らは「邪教」「呪い」「怪物」と大声で騒ぎながら、ライブ配信を始めた。
その後エントロピーが現れ、そこにいた者たちは全員死んだとペトラは話した。
シンジは、彼らが騒ぎ立てたことで「水晶の館」の伝説が現実となり、エントロピーが具現化したのだと考えた。
だとすれば、さっきの怪物は過去に起こった一家失踪事件の原因ではない。
では、最初の一家五人はどうやって消えた?
その疑問だけが残る。
考えていたその時、シンジが、ペトラの服に、一本の赤い糸が付着しているのを見つけた。
「……この赤い糸。知ってる臭いがする」
シンジには、この赤い糸に何か心当たりがあるらしい。

本部へ戻ると、データ分析を担当する魔女チンが、警察の記録から奇妙な傾向を見つけていた。
近年、一家全員が事故や失踪に巻き込まれる事件だけが、不自然なほど高い割合で発生しているという。
そしてシェンジは、この事件がシンジの過去に関わっている可能性を口にした。
その直後、ニュースが入る。
男とその家族がビルの屋上に立てこもり、MAJO所属の「トウ・アイモン」が姿を現さなければ、一家心中すると宣言していた。
さらに男は、トウ・アイモンこそ過去の「トウ家惨殺事件」の真犯人だと訴えている。
トウ・アイモン。
俺には、その名前が誰を指すのか分からない。
だがシェンジは叫んだ。
「シンジを止めてください!」
シンジは、自分を狙った罠だと分かった上で、一人であのビルに向かおうとしていた。
「じゃあどうしろってんだよ? あの一家が飛び降りるのを指くわえて見てろってか?」
止めようとした俺は、あっさり投げ飛ばされた。
シンジはそのまま行ってしまう。
親父なら、こんな時どうしただろう。
一瞬そう考えた。
だが、俺は親父じゃない。
ただの一般人だ。
そこへマロが現れた。

「骨の髄まで、本当は英雄になりたいってわけか?」
マロは、シンジを連れ戻しに行くと言う。
「お前も、あいつが死に急ぐのを止めたいんだろ?」
「俺はただ──」
データ分析を担当するMAJO、チンも加わり、俺たちはシンジを追って夜の街へ向かうのだった。
BOSS

| 推奨戦力 | 62000 | ||
|---|---|---|---|
| HP | 211800 | ||
| 〇 出撃メンバー(※変更不可) | |||
| - | |||

| 推奨戦力 | 71300 | ||
|---|---|---|---|
| HP | 271500 |



