【黒ウィズ】シュガーレスバンビーナ2 Story3
story
<次の夕食の時間、君とラガッツ、ルポーティ、そしてパスパルは食堂に集まっていた。>
ヴィタに言ったら止められちゃうかもだから、倒したあとで協力しようと思ってたのよ。
<パスパルは昨日と違い、おしとやかなままだが、その意思は固そうだった。
ヴィタから預かったものは持っているの?君がそう訊くと、パスパルはうなずく。>
<囚人服で隠し持てるとは思えないよ、と君が言うと、パスパルはイタズラっぽく笑った。>
でも、どうやってヴィタのところに行くの?私、この監獄のどこにいるのか、知らないわよ。
<大丈夫、と君はヴィタの独房へと続く抜け穴のことを教えた。>
<ラガッツに言うと、一瞬でみんなに広まりそうだからね、と君は言った。>
<まあまあ、とラガッツをたしなめながら、決行はいつにするの?と君は訊く。>
<と、その時、食堂の扉がひらき、ドスドスと重い足音が響いた。>
<現れたのは、所長のシャシャだった。背後には多数の看守が控えており、全員が銃を抜いていた。>
<シャシャの後ろから、囚人が出てくる。
その顔に、君は見覚えがあった。先日、所長の不昧い料理を押し付けられ、パスパルが代わりに食べてあげた少年だ。>
抜け穴があるのは、あの人たちの雑居房です。
<密告者だ。まさかパスパルに助けられた少年が……。君は悲しみに一瞬、呆然としてしまう。>
<看守の半数が君たちのいた雑居房へ駆けていく。>
<少年は急に頭を抱えてうずくまる。
うめき声をあげる少年の全身から急速に体毛が伸び、同時に顔までが変貌を遂げていく。
わずかな後、そこにいたのは――完全な獣だった。>
生きていくうちに染みついちまったものが、ある日、人を獣に変える。
裏切りってなあ、たいそう心に染みつくもんだ。そりゃ大人にもなるってもんさ。
<ルポーティの声には、妙な実感がこもっていた。>
<シャシャは笑った。ひどく邪悪な笑みだった。>
それでも私たちはねえ、囚人さん達の命を守らなくてはいけないんですよねえ。なにせほら、公僕ですから。
でも、うっかり目を離しているうちに、囚人同士のケンカで亡くなってしまったなら……これはしょうがないですよねえ?
これは私の勘ですがね?もしかしたら、そんなケンカに勝った人が、監獄から出られるかもしれませんねえ。
<シャシャは君たちに背を向ける。>
<シェシェは食堂から出ていきニヤニヤ笑いを浮かべる看守たちと互いに目を見合わせる囚人たちが残された。>
う、う、うおおおぉぉぉぉぉ!
<少年だった獣は、雄叫びをあげてパスパルに襲いかかる。>
<悲しげにそうつぶやいたパスパルが、戦闘態勢に入る、その直前――
他の囚人たちが一斉に動き出し、獣を取り押さえた。――それだけではない。>
<あわてて銃を構える看守たちに囚人が一斉に襲いかかった。>
<何人かは銃に撃たれ、倒れた。だが多数の囚人たちは、それでも怯まず数を頼りに次々と看守に飛びかかる。>
<囚人たちは戦いながら、一斉に「ハイ」と返事をする。>
***
<君たちは抜け穴のある雑居房にたどりついた。だが……。>
<爆音と共に、壁が崩れる。抜け穴は瓦磯に埋まってしまった。>
<ラガッツは頭を抱えてしゃがみ込む。看守たちは冷静にそこに狙いを定め、引き金を引いた。
しかし――看守達の放った弾丸は、ラガッツに届く寸前で弾かれる。>
<敵の姿を確認した瞬間、君は魔法で防御障壁を張っていたのだ。
次いですかさず、雷の魔法を放った。騒動が起きた以上、力を隠す必要はない。君は一瞬にして室内の看守を打ち倒す。>
<だから魔法使いだって言ったよね、と君は苦笑いする。>
……あー!お前、魔法使いかあ!
<ルポーティは倒れた看守から抜き取った拳銃をパスパルに投げて渡す。>
<君は瓦磯に埋もれた抜け穴を見る。時間をかければ、魔法で瓦篠を取り除くこともできるだろうが……。>
<君はうなずく。抜け穴の移動距離から推測すると、おそらく2階上だ。>
<パスパルは懐からなにかを取り出すと、君に投げて渡した。
それは――鍵だった。>
<パスパルも気になるが、鍵を託されたのだ。まずはヴィタに届けるべきだろう。
君はそう判断し、パスパルとは逆の方向に走り出す。>
story
<君たちは追っ手を倒しながら走り続け、独房にたどりついた。
当然、独房の分厚い鉄の扉には鍵がかかっていたが、途中で倒した看守が鍵束を持っていた。
中に入るとそこには――>
<ヴィタの拘束服は前に見たときより、さらにボロボロになっている。君は痛ましい気持ちになって目を伏せた。>
<君はうなずき、鍵を取り出す。受け取った時も思ったが、妙な鍵だ。見た目は普通なのだが、なにかを感じる。>
<ヴィタは細い喉をのけぞらして、首元を君に見せる。
そこには、ハートの形をした錠前がついていた。>
<言われるがままに、鍵穴に鍵を入れる。しかし、鍵は回らなかった。
違うみたいだよ、と君が言うと、ヴィタは表情を変えず「いいや」と答える。>
<君は鍵をゆっくりと引き抜く。すると、短い鍵だったはずのそれが、するすると伸びていく。
鞘から剣を抜くように、鍵を完全に抜き出すと、それは――先端にいくつかの鍵が下がった、長い杖になっていた。
杖はひとりでに君の手から離れ、宙を舞うと、ヴィタの拘束をたやすく断ち切った。>
<それはさすがに短すぎる、と君が思っていると、無数の足音が独房に近づいてくる。>
好都合だ。この部屋にいるなら袋のネズミだ!
<話している間に、看守たちは独房の出口にずらりと並んで集まっていく。
仕方ない、と君はカードを構え、魔法を放とうとしたが――
その手前に、ヴィタがふわりと立った。>
<君はいっしょに戦おうとした。だが――ヴィタの視線を見ると、自然と身体が止まる。>
***
<ヴィタの杖が怪しく輝く。
瞬間、少女の姿が闇に溶けた――そんな錯覚が君を襲う。
その闇の底から這い寄るように、声は響いた。
『斬られ蹴られ狩られ喰われ壊れろ』
〝絶望にに哭く獣〟(ビースト・ティアー)
<杖の先から、おぞましい瘴気が放たれる。眼前の光景は、絶望に満ちる。
<気看守たちは、ある者は頭を、ある者は心臓を、ある者は口を、ある者は股間を押さえ、苦悶の表情でバタバタと倒れていく。>
<ヴィタの唇が、裂けたように耳までも吊り上がる。>
<ヴィタは歩を進める。その足元に、看守たちが転がっている。
死んだ者はいないようだ。だが、皆が皆、死んだ方がよほどマシだと言わんばかりの苦悶の表情を浮かべ、痙攣していた。>
けどまあ、無くなったものを嘆いても戻ってはこないからな。今日はこれでやるさ。
<そういえば、この後はどうするの?と君が訊くと、ヴィタは平然と答える。>
<杖を片手に下げ、迷いなく歩きだすヴィタの後ろを君たちはついていった。>
<そこから先は、一方的だった。
看守たちは次から次へと君たちの前に立ちはだかったが――>
<銃を撃つよりも先に、ヴィタの杖から放たれる呪いによって床に倒れ伏し、後は悶えるだけとなる。
君の魔法の出番すらない。まるで猛毒の空気のように、ヴィタの放つ呪いが監獄を侵食していく。>
でも……なんであんなにヤバい先輩方が、ヴィタさんに従ってたのか、やっと理解できた気がする……。
<ヴィタはルポーティが指差したのと反対方向に歩きだした。>
<ルポーティはかなり警戒した顔をしている。所長について詳しいの?と君は訊いた。>
イカれてんのさ。無差別に押し入っては、盗むのでもなく、ただ殺す。そんなことを繰り返していたんだ。
手口がまた独特でね。家に押し入って、住人を縛り上げる。で、なにをすると思う?
メシを作るのさ。その家の食材を使ってな、奴なりのご馳走を作るんだ。
<その料理をどうするの?という君の問いに――>
<ルポーティは首を掻き切るジェスチャーをした。>
いつの間にか姿を消したと思ったら、こんなところで昔と同じことを繰り返していやがった。
<パスパルは弾倉が空になった銃を投げ捨てる。>
<看守から奪い取ったハンドガンは残り1丁。目的までの距離。想定される看守の数。それらを考えるととうてい足りない。
だが、それでもパスパルに立ち止まるという選択肢はない。>
story
およそ二十年前、西方で戦争があった。
多くの若者が徴兵され、戦場に駆り出された。世界一の料理人を目指す青年、シャシャ・シオンもそのひとりだった。
争いは嫌いだった。だが祖国のため、そして一刻も早く戦争を終えるため、シャシャは勇敢に戦った。
敵兵を殺し、殺し、殺し――命というものの意味を感じ取る能力をなくし、さらに殺し、殺し、殺し、殺し――
気がつけば英雄と呼ばれていた。
そして8年後、祖国の威信を懸けた戦いは、両国の利権に折り合いがつき、唐突に終息した。
後に残ったのは、戦時に英雄と呼ばれた――ただの殺人者だった。
戦時中、幾度も表彰され、兵士の模範とされたシャシャのことは、腫れ物を扱うように誰も触れなくなった。
「なにが英雄だ……。こんなの、ただの見世物じゃねえか……。」
その思いがそうさせたのか、いつしか彼の姿は獣に――パンダになっていた。
戦争がシャシャから奪ったのは、正常な死生観だけではない。
味覚――戦場に立つ日々の中で、いつしかシャシャはあらゆるものの味を感じられなくなっていた。
それは、料理人となる夢を絶たれたことを意味していた。
だが、シャシャはそれを認められなかった。
「俺の料理は美味いんだ……。そのはずなんだ……!」
だが、味覚を失った人間に、まともな料理が作れるはずもない。
他人に食べさせ、欠点を指摘されるたびに改善しようとして、さらに悪化させる。
そんなことを幾度も繰り返し、シャシャの料理はいつしか人の食べられるものではなくなっていた。
そして、自分の料理を食べた人間が一口で嘔吐した時、シャシャの中のなにかが、完全に壊れた。
「美味いはずの俺の料理を吐く奴なんざ、生きてる価値がねえよなぁ!」
……それからシャシャは、自分の料理の美味さがわかる者を求めて、彷徨うようになった。
ふらりと他人の家に押し入っては、少しだけ強引にテーブルに着かせ、その場の食材で最高の料理を提供する。
「ああ、私はなんて優しい料理人なんでしょう。世界一の料理人に、私はなりましたよ。」
そんな世界一の料理の価値がわからない者は、生きている意味がないので、黙らせた。
そうした慈善行為を繰り返し続けている内に、いつしか魔都ビスティアにたどり着いていた。
それからはビスティアの人々に、どれだけ幸せを届けたか数えきれない。
なぜか彼を犯罪者と呼ぶものもいたが、そのような風評が間違っているのは明白だ。
その証拠に、ある日、大量の警官とともに彼のもとを訪れたビスティア市長は、こう言って彼をスカウトした。
「君の料理、実に素晴らしいのぅ。その腕前を振るって欲しい場所があるのだが、わしのもとへ来ないかね?」
こうして、彼はスロータープリズンの所長に就任したのであった。
***
パパは犬。ママも犬だった。
魔都ビスティア。大人はみんな獣になっちゃう街。
それでもここは私の生まれ育った街で、それなりに平和だった。
パパもママも、自分より強い相手にはすぐにシッポをふっちゃう事なかれ主義で、そのおかげで誰ともぶつからなかったから。
そんなパパとママが大好きで、だからいずれ私も犬になるんだろうなって、そう思っていた。
あの日までは。
「はい、幸せをプレゼントしに来ましたよ。」
家族でゆっくりと過ごしていたある日、アイツはいきなりやってきた。
パパもママも私も、椅子に縛られて、食事のテーブルにつかされた。
「すぐに美味しいものを食べさせてあげますからねえ。」
しばらくすると、私たちの前に料理が出された。
シチュー……だったんだと思う。黒いし、ぐつぐつ煮立ってたし、変な臭いがしたけど、多分そう。
こんなの食べたくないな、って思っていると、パパとママが私に向かって、大丈夫だよ、と笑った。
スプーンで一口。パパの目が見聞かれた。想像を超えていたんだと思う。
それでもパパは、こわばった笑顔を作って、「とても美味しいですね」と言いかけて――
吐いた。
「ああ!?スペシャルメニューに対して、なにしやがんだてめえ!」
パンダはパパの頭を掴んで、ぐつぐつと煮えたぎるシチューに、顔を突っ込んだ。
パパは暴れていたけど、相手の力が強くて、一度もお皿から顔を上げることができず、しばらくすると、動かなくなった。
隣でそれを見ていたママは、ずっと叫んでいた。だから――
「食事中にうるせえんだよ!いい大人がマナーも知らねえのか!」
同じように、シチューに顔を突っ込まされて、しばらくすると、動かなくなった。
それからパンダはニッコリと笑って、私に言った。
「お嬢ちゃんはいい子だから、お行儀よく食べられるよねえ?」
大きなスプーンにたっぷりと盛られた、シチューらしき物体が迫ってくる。
ためらったら終わりだ、とわかった。だから私は覚悟を決めて、それを口に含む。
身体中に広がる、表現のしようのない昧。
それをじっくりと、時間をかけて、お腹の中に落としていった。
「どうだい、お嬢ちゃん?美味しいだろう?」
満面の笑みのパンダに私は笑顔で言った。
「うん!とっても美味しいよ!」
***
<パスパルが扉を開けると、仇敵はゆっくりと身を起こすところだった。>
<事態を把握しているらしいシャシャにパスパルは笑って告げる。>
<シャシャの言葉は銃声でさえぎられた。>
***
<シャシャの身のこなしは超人的だった。
パスパルの射撃は速い。照準を定めるのと同時に撃っている。射線の予測をさせない、超速の早撃ちだ。
――だがそれも、シャシャを捉えることはできない。撃つ前からわかっていたように、するりと射線をすり抜ける。>
<狭い室内ということも災いした。飛び道具のアドバンテージを活かせず、パスパルは追い詰められていく。>
<ここに入った時、ハンドガンに残っていた弾が5発。すでに3発を外して、残りは2。>
<シャシャは踏み込むと同時に鋭い蹴りを放つ。
それをなんとか転がって躱しながら、シャシャの顔面に銃口を向けた――瞬間、視界からシャシャが消える。
移動していたのは、パスパルの方だった。シャシャがパスパルの鎖に足をひっかけ、強引に移動させたのだ。
指先を止められず、引き金が引かれる。無論、当たるはずもない。――残弾数、1。
なら好都合だ!)
<次の瞬間、パスパルはハンドガンそのものを投げつけた。
と同時に、跳躍して一気に距離を詰める。最大の武器を投げ出すことにより、虚を衝く奇襲だ。
しかしシャシャは微塵も揺るがず、顔面でハンドガンを受け止めながら、更に踏み込んだ。
銃本体をぶつけられたところで、致命傷にはならない。当然の理屈だが、判断の速さが異常だった。>
<迎え撃つように振るったシャシャの拳が、パスパルの腹に食い込んだ。>
<胃の中のものを全部吐き出すほどの衝撃がパスパルを襲う。会心の手応えに、シャシャは二タリと微笑み――
パスパルもまた苦悶しながら笑みを浮かべた。>
<吐潟物とともに、喉の奥からこみあげたものを歯でしっかりと咥える。
そしてこの時のために鍛えた訓練のままに器用に噛みつき、それを放った。>
<デリンジャー。
護身・暗殺用の小型拳銃。パスパルはずっと胃の中に隠していたそれの、たった一発の弾丸を撃ったのだ。
至近距離から放たれた弾丸は、あやまたず、シャシャの右目を貫いた。>
<パスパルはさきほど投げたハンドガンを拾い、悶えるシャシャの額に突きつけた。
シャシャはしばし呆然とし、それからようやく理解した。>
「うん!とっても美味しいよ!」
どんなに美味い料理を作っても!客の笑顔を見ても!あの声がよぉ!消えてくんねぇンだよ!
<狂気に満ちた笑みを浮かべ、パスパルは懐からなにかを取り出す。
それは――君から奪った岩塩だった。>
<生命の維持に欠かせない塩分だが、一時に過剰摂取すれば、さまざまな症状を引き起こし、やがて死に至る。その量が――
<実際のところは大さじではなく小さじ1杯。だが、多いに越したことはない。>
<パスパルは震えながらひらいたシャシャの口に、岩塩の塊を咥えさせる。
そしてその下顎を、容赦なく蹴り上げた。
<強引に合わされた上下の顎が岩塩を噛み砕く。シャシャは叫ぼうにも、岩塩が邪魔で叫ぶことすらできない。>
<蹴り上げる。蹴り上げる。何度も。何度も。なその度にシャシャの口内は血まみれになり、少しずつ削れた岩塩が、強制的に喉を通って胃の中に落ちていく。
蹴り上げる。蹴り上げる。岩塩が小さくなっていく。シャシャの意識が、遠ざかっていく。
意識が消える最後の瞬間、シャシャの脳裏によぎったのは――
<数十年ぶりに感じる、味覚だった。>
story
君とヴィタは監獄の制圧に成功した。
床に倒れた看守たちは、囚人たちの手によって、逆に牢獄に入れられる。
そのついでに、君は囚人服から、いつもの服装に着替える。>
<ヴィタは拘束服から黒いスーツに着替えている。捕まった時に着ていた服のようだ。>
<これから行く場所?いったいなんだろう。君が問おうとすると――>
<パスパルが上の階から降りてきた。>
<ずいぶんと機嫌が良さそうだ。見ている君も、なんとなく嬉しくなる。>
さ、後はここから脱出するだけだろ?たぶん、島のどっかに船があるから、そいつに乗って街に戻ろうぜ。
<だが、ヴィタは首をふった。>
<声をかけるなり、ヴィタは後ろも見ずに歩きはじめる。君はあわてて追いかけた。>
***
<ヴィタは1階のある部屋の前で足を止め、扉をひらいた。
来客室かなにかだろうか?ほかの部屋とは趣が異なる。
君がキョロキョロとしていると、ヴィタが机の下に潜りこむ。>
<カチリ、となにかを押す音がした。すると――>
<隠し部屋の扉がひらき、君たちは中に入る。内部にあるボタンを、またヴィタが押した。
すると、部屋が振動をはじめる。>
<話していると、エレベーターはすぐに止まった。そして扉がひらき、あらわれたのは――>
<監獄とは似ても似つかない豪奢な空間だった……。>