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【白猫】茶熊学園2020 Story

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん


目次


Story1

Story2

Story3

Story4

Story5

Story6

Story7

Story8

Story9

Story0



登場人物


5期生

F

4期生


3期生


2期生

KL


1期生





TOP↑

story



<辺境に海に浮かぶアラマキ島。シャケの形をした島の中心に、その学園はそびえ立っている――

冒険家のための学園。世界各国に支援され、世界中の有望な冒険家が集う学び舎――>


その名も、ンがっ!私立・茶熊学園……!ハッ!?

学長先生?大丈夫ですか?

ああいえ……スミマセン、一瞬、寝落ちしちゃいました。

いえ、無理もありません。最近、寝不足でしょう?

学園の広報活動に、各出資先への挨拶回りや会合、その他、諸問題への対応…

他にも、学長殿の業務は枚挙に暇がありませんからな。

……すみません。俺がもっと、力になれれば。

いえいえ~、ソウマ先生はよくやってくれてますとも。それに、大事な生徒たちのためですからねっ!!

ゲオルグさんを始め、間もなく多くの生徒たちが、おのおのの目標や夢を抱いて学園から羽ばたいていきます……

とても喜ばしいことですが、そこはそれ!新たな生徒を迎え入れ、学園をさらに盛り上げていきませんと!

そこで、です!!

<ノック音>

あ、どうぞ~。

失礼します。こんにちは、皆さん♪

オスクロル殿……!

やあ。どうしたんだ?

私がお呼びしたんですよ~。ゲオルグさんも。

お二人とも、ご職業柄フレッシュな新人さんと接したり教えたりする機会、多いでしょう?

はい。とはいえ自分はまだまだ未熟者ですが。

私も、勇者を育成する魔王としては一線を退いて久しいですけど……

なんかこう……お知り合いにいい人いませんかね?磨いたらピッカピカのピカに輝きそうな、素敵な新人さん。

つまり……新入生を斡旋してほしい、ということです?

――わかりました。心当たりがあります。連絡をとってみましょう。

…………

(コレ、もしかしていい機会かも……?)



シエラ。さっきから、食い入るように何を読んでいるのですか?

ゲオルクとエクセリアからの手紙。それと、パンフレットよ。

茶熊学園。冒険家のための学校……そこに、入学してみないかって。

なるほど。……ずいぶん、興味があるようですね?

故郷には、ちゃんとした学校なんてなかったしね。……どんなとこだろ、って。楽しそうだなって思っちゃった。

私は別に止めませんよ。

でも私たちの旅はまだ途中でしょ?だから、寄り道なんてしてていいのかなって、迷っちゃって……

そのような台詞は、もっと歳を重ねてから言いなさい。

え、じゃあつまり……行っていいの!?それなら、フレイヤも一緒に……!

私は結構です。学び舎に保護者が同伴してどうするのですか。

う……保護者って……

あなたの選択に対して、私は否定も肯定もしません。

そこで何かを得られると、あなた自身が思うのなら――自由になさい。



wちょっとレクト、今いい?

あ、大丈夫です。どうしたんですか?

wスケジュール、どんな感じ?よその執筆依頼とか抱えてる?

いえ、さしあたっては何も。例のミニコラムも、さっき校了しましたし……

wなら、新しい仕事の依頼。――ちょっと青春してくる気ない?

はい――はい?せ……えぇ?どういう……!?

wあの茶熊学園の学長さんからじきじきに依頼がきてさ。学園での生活を記事にしてほしいんだって。

(茶熊学園って……ルカさんやシャルロットさんが通ってるっていう、あの……?)

w名だたる冒険家を育成してきたあの茶熊学園に長期密着取材。やりがいあると思わない?

(信じられない……すごく大きな案件じゃないか。少なくとも、新人のフリーライターに来るようなレベルの仕事じゃあない……

……挑戦してみたい。今の僕がライターとしてどこまで通用するのか試してみたい。

でも本当に僕なんかでいいのか?この案件にふさわしい人は他にも大勢いるはずだ……僕なんかが、その人たちのチャンスを奪って、本当にいいのだろうか……?)

wどうしたのよ。やるの?やんないの?

……言っとくけど。少しも期待してないヤツに、こんな大仕事回さないわよ?

……わかりました。やります……っ!!




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story



ふぅ……!

ご清聴ありがとうございました、なのです♪

mみんな~、元気でね~~~♪ハッピーエバーハイターッチ!!

また聴いてくださいね!センキューーーー!!!イエーーー!!

四人とも、結構やるじゃん♪

うん。カスミもみんなも……すごくかっこよかった!

……ありがとう。面と向かってそう言われると、ちょっと恥ずかしいけど……

マールもすっご~い♪ずんたった、ずんたったって~♪

mヘヘヘ~、でしょ~?エシリアにも今度教えたげる~♪

え~~?むずかしそ~~。

mそうだよ~、難しいよ~?

うぇ~、めんどくさ~~い。でも、またマールと遊びたいし、がんばるかも~♪

……最後に学校で、みんなとセッションできてよかった。

カスミさん。最後なんかじゃないのです。

ええ、バンド活動はこれからも続けますし……マールさんもカスミさんも、いつでも遊びにきてください!

mそうだよ、カスミさん!今度は体育館とかでさ、ライブしょ~よ!ね?

……うん!これからもよろしくね、みんな。

こちらこそ、なのです♪

うへぇ……青春すぎて胃もたれするってーの。

ほら、ルビイだって思わずベソかいて――

って、どーしたし!?

みなざん~~~……いがないでぐだざい~~……

るびるび、どしたの~?おなか痛いの?

は、はい!これハンカチ!

私が入学したばかりのとき……誰とも話せなくて……寂しかったとき……

カスミさんと、マリさんと、シャルさんが話しかけてくれて……一緒にお昼……食べてくれて……

それで私……すごく安心して……それから周りとも、少しずつ馴染めるようになって……

寂しいでず~~……

ったく、大げさだし。このくらいで泣くなよなー。

でもおおお~……

……私ね、茶熊学園にこれてよかった。生まれて初めて、私の居場所を見つけられた気がした。

でも、この学園を去っても……ここで得たもの、絶対失くさないよ。

これからも私たち、ずっと友だちだよ。

ええ。約束。ね?

――う、うぇぇぇぇぇええっ……!

あーもう、湿っぽいの抜き抜き!ほら鼻水ふけ!なっ!



今日で、この校舎もしばらくは見納めだな。

夕日がしみるぜ……

……まさかこの歳になって、青春なんてものを得られるとは思わなかった。

ま、あっという間だったな。――オレぁ結局、ヤツにゃ勝てなかったが。

……出会ったばかりの頃、確か俺は、お前に言ったな。お前にしかできない成長の仕方がある、と。

だったかね。

成長、できたか?ブロウ。

ハ、どうだかな。だが、学園生活ってのも、ま――

悪かァ、なかったさ。

クール。

あ、ばんちょ~とブロウだ~。

よお、ブロウじゃないか。

オマエも帰るところか?

そだよ~。いっしょに帰る~?<扉のルーン>ならすぐだよ~?

いや、俺たちは飛行艇で帰ろうと思っている。のんびり景色でも眺めながらな。

そかそか~。じゃ、エシリアもそうしよ~♪

あ、かいちょ~だ。ねね~、かいちょ~も一緒に……

……っ…………ぐす…………?

……?かいちょ~、ないてる?

……え、あ?ああっ……お前ら!?

よう、悪ィなシャル。ベソかいてるトコ邪魔しちまってよ。

はぁぁ!?!?べ、別に泣いてねーし!!

のわりにゃあ、目が赤ぇが?

む、虫が入っただけだっつの……!

両目にか~?

だいじょぶだよ、かいちょ~。エシリアもさっき、ちょっぴりじわ~ってなったもん~♪おんなじ~♪

だ、だからあたしはじわっとなんてしてねーって……!!

恥ずかしがることはない。俺だって、寂しい。ここで得たものは山ほどある。

だな。涙は別に恥じゃねえ。むしろ誇るモンだろ。

……んだよ、それ。

泣けるっつーことは、それに値するだけの何かをここで得られたってことだろうが?

オラ、帰んぞ。

ひ、引っ張んなし……!離せーー!!!




トワリャーーーーー!!!!

<ソアラは、部屋のスミのゴミ箱に向かって丸めたちり紙を投げた!

――が、はずした……っ!ちり紙は無情にも、床に落下!>

…………やっぱ今のナシっす。

(何がですか。ナシも何も、もう投げたじゃないですか)

いえね、よくやるんすよ。ちょっとした挑戦の前に、『失敗したら死ぬ』って念じてから挑戦するんす。

(はあ)

ほんで、いざ失敗したらやっぱ死ぬのナシって。

(またしょうもないことを)

よくやりませんかね?

(まあよくやりますけど!)

お邪魔しま~す。

おっ、オスクロルさん。ちわっすちわっす~!

(お久しぶりですね。今日は突然呼び出して、どうしたのですか?)

お二人とも、こんにちは♪今日はソアラさんにこれを届けにきたんです。

(茶熊学園、入学案内?)

オスクロルさんが通っとる、冒険家のための学校ですな?

はい。今、新入生を募集してるんです。それで、せっかくだからどうかなって。

フムン?突然どうしたんですかえ?

えっと、ほら、今のご時世、勇者でも学歴って結構大事でしょう?

(――というのは建前で、本当はソアラさんにたくさんの人と交流してもらって、もっと成長してほしいからなんだけど……)

(……聴こえてますよー)

(あ、念話……!?しまったー!?)

(……ま、いいです。事情はわかりました。

確かに、高い学歴の者ほどより高い給料をもらえるのが世の常。ここは恩寵と導きの神島が力を貸しましょう)

ん~、オスクロルさんと学校通うのは楽しそうなんですケド……集団生活とかってのは、あたしにゃあんま向いてないんではー、と。

(――勇者ソアラよ。あなたに導きを与えましょう)

また唐突ですな。ですがもう慣れとります!聞きましょうぞ!

(学校、行ってきなさい)

(シンプル……!)

これまたズバっときましたな!でもあたしゃー債務者の身でっせ?

(将来を見据えた投資です。超絶絶対無敵勇者になるために必要な下積みと考えなさい)

ムム……債権者にそう言われては、無視できねーモンがありますな。

ここまでお膳立てされて尻込みしてちゃー勇者がすたる!ベズトっさん、失った青春を共に駆け抜けましょうぞ!

(いや、私は行きませんよ)

(ちなみに入試に落ちたら死にます)

……!?

ウヌゥ!そいつぁー大事ですな!!やるっきゃぬェーーーー!!!

別に死にませんけど!?!?




いや~……お芝居、面白かった~!さっすが超話題作って感じだったねえ!

まだ興奮が冷めやりません……きっ、きっ、口づけのシーンなんてどきどきしてしまいました……

ビーピー♪

ギャギャ!!

……んでもさ、誘っといてなんだけど、ほんとに大丈夫だった?

トワんちは厳しいから、ああいう大衆向けの文化ってあんま好きくない感じでしょ?

……バレたら怒られない……?

心配には及びません。別に秘密になんてしていませんから。

え、そーなの!?

はい。最近はできるだけ、自分の意見を言葉にするよう心がけています。

その証拠に、サモンカードだって一緒に続けているでしょう?

う、うん……

お祖母様にはやはり、怒られてしまいましたけど。

やっぱ怒られてんじゃん!

でも、セツナと一緒にお芝居を観られて、楽しかったですから。

…………

――あのさ、トワ。また一緒に学校……通わない?

へ?学校って、もしかして――茶熊学園、ですか?

そ!今、前はトワも忙しかったけど、また新入生募集してて……

実家の説得とか、いろいろ大変かもだけど……どうかな?

セツナと一緒に……学校に……



時が経つのは早いな、イサミ。

ああ。光陰矢の如し、とはよく言ったものだ。

……寂しい、な。

我らは校友だ。またいつでも来ればいい――

――というものでもないからこそ、こんなにも寂しいのだろうな。

ああ。かつて、暗喩たる宿命に縛られていた我らが、あんなにも温かな日常を送ることができた……

青春というのは、本当に……素隋らしいものだな。

糧にしていこう。我らがこの学び舎で得たもの、余さずすべて。

言われるまでもない。――さようなら、茶熊学園。

この場所での思い出を、我らは決して忘れ――

wはああああああーー!!!

zククク……いい加減に諦めろ!貴様の力では我に勝てぬわ!

!!


くっ……!さすがは<サロン>を牛耳り、この島の支配を目諭んでいた真の黒幕ね――

でも、負けないわ――負けられない、絶対に!!

皆の想い、私の願い、あの人から託された使命――この学園には、たくさんの大事な<心>が詰まってるから!

<このタイミングで……!?――声なき叫びを上げつつも、シズクとイサミは空気を読んだ――

シズクは鼻がムズムズするし、イサミは背中がかゆいが――これが最後だと――我慢した――!>

w私も力を貸すよ~~~!!!

あなたは……おだんご仮面……!?

wあなたは決して一人じゃない……この私が……ううん。学園のみんなの想いが、ちゃんとついてるんだよ~♪

zこしゃくなアアアアア!!!

――アレで決めましょう!おだんご仮面!!

w――うんっ、アレだね~~!いくよ~~!!

w合体奥義――


「シャイニング・セイントレイー!」

「おだんご☆ビーーーーーーーーム!」


…………!

<技名、事前に決めておけよ……!ニ人は突っ込みそうになったがすんでのところで踏みとどまった!>

zぐわーーーーーーーー!!!!


終わったわ、全部……あなたから託されたこと、ちゃんとやり遂げた。――見ててくれた……?

おだんご仮面もありが――って、いない。……最後まで助けられちゃったな。

さて、<凍結>解除、と――あら、シズクにイサミじゃない?

――ずに歩んでいこう。やや、これはハルカ殿。奇遇ですなー!

(不自然だぞ、馬鹿者……!)

(す、すまない……久しぶりだったもので、少し圧倒されてしまった……)

な、なによ……変な感じね……

みんな、こんにちは~♪こんな所でどうしたの~?

やあ、おだっ……ゲフングフン!ツキミ殿ではないか。

ぐうぜんですね!!!!

や、ツキミ。最後まで購買部でお仕事なんて、律儀なんだから……

大好きなお仕事だったからね~。もう、心残りはないよ~。

<ツキミは校舎に向かって立つと、ぺこりと頭を下げた。>

――今まで、お世話になりました。

またきっと……みんなで遊びにくるからね~♪

ええ、きっと……いえ、絶対にね♪

はい。またいつか――

さらば、我らの青春よ――



――入学式 前日――


……へぇー。ここが茶熊学園か……!

気持ちが逸って、つい前日入りしちまったが……――まさかオレが学校に通うことになるなんてなあ。


……釣れねえなあ。今日はボーズかな、こりゃ。

お、主人公!会いにきてくれたのか?

<――体の調子は?>

ああ。ああ。この通り、かなりい~い感じだぜ?

……カティアのやつがさ、すげえがんばってくれてんだよ。忙しいクセに、新しい薬やら、治療法やらいつも考えてくれて……

おかげでちょっとは残り時間も伸びた。本当、感謝しねえとな。

で、なんか用か?いや、別に用がないといけないってワケじゃないが。

<――学校に、通ってみないか?>


 ***


――絶対、許しません。

……本当なら、そう言って止めるべきなんでしょうけど。保護者として……

保護者って、姉ちゃん……

ねえ、主人公。どうしてダグラスを学園に誘ってくれたの?

<――なんでもない、平穏で賑やかな学園生活を、ダグラスに楽しんでほしいから。>

主人公……

……ダグラス。一応、もう一度聞くわね。あなたはどうしたい?

体のこともあるし、不安がないわけじゃねえけどさ。

だけど……ヨシュアやミレイユ、バイパーやメアたちが茶熊学園のこと話してたとき……楽しそうだな、っていつも思ってた。だから――


 ***


……にしても姉ちゃん、色々と持たせすぎだっての。鞄がパンパンで重てェ……

お、主人公!わざわざ出迎えてくれたのか?サンキュー!

ああ、そうだな。まずは学長さんに挨拶して……そしたら寮まで案内してくれよ!


 ***


ねえ、お兄ちゃん!メアさん!あそこ、校門のとこにいるの……!

ダグラスさん……!

話は聞いてたけど……ダグラスさん、本当に茶熊学園に入学するんだね……

……お兄ちゃん、メアさん。あたしやっぱり、まだ学園にいたいよ……

ダグラスさんと一緒にいたい……そばで支えてあげたい……

……ミレイユちゃん……

そんなの、僕だって……っ!!

ヨシュア、ミレイユ。どこに行くつもりだ?

答えるんだ。

……カムイ先生のところです!

あたしたち、もう少しだけ学園に残りたいって……お願いしたいんです。

――お前たちは、あいつのことを縛りたいのか?

…………

長い戦いを終えて、背負っていた荷をすべて下ろして、ダグラスはようやくここに辿り着いた。

お前たちが<自分(ダグラス)のため>に学園に残っていると知ったら、あいつはどう思う?

いい加減、あいつには自分自身の人生を……新しい道を歩ませてやるべきだ。違うか?

バイパーさん……

………………ごめんなさい……

――ああ。偉いぞ。

……ねえ、ヨシュアくん。ミレイユちゃん。

それならせめてさ、ダグラスさんにこっそり、残していかない?

私たちの気持ち。私たちからのメッセージ。

僕たちからの……

気持ち……?メッセージ?

――なるほどな、メア。最後の最後でイケナイやつめ。

えヘヘ……

だが気に入ったぞ。いくぞお前たち。最後の悪ふざけだ!

???



――入学式 当日――


とーちゃーく!

わあ……ここが、あの……!!

茶熊学園へようこそ、エレノア。制服、似合ってるよ♪

ありがとうございます♪綺麗な校舎……!お庭も広くて……他にも色んな建物が……!

アラアラ、はしゃいじゃってからに♪

アイリスさん、キャトラちゃん。あらためて……ありがとうございます。

本でしか読んだことのない学校に、実際に通えるなんて……夢みたいです。

この学園には、色んな授業があって、色んな部活動があって、色んな出会いがあって……色んな青春があるわ。

そんな素敵な場所に、エレノアを連れてきたかった。

にしてもグラハムったら、最後までめちゃめちゃ心配してたわね。

ふふ、授業参観のときには真っ先に飛んで駆けつけるって言ってました。

過保護なんだからもー。

それじゃあまた、入学式でね♪新入生の入口はあっちよ。

式が始まるまで、スピーチの練習でもしてなさいな♪


あの人も、生徒さんかな……?

こんにちは。私、新入生のエレノアと申します。

……ウェルナーだ。同じ、新入生だ。

そうだったんですね。あの、これからよろしくお願いします!


 ***


――調査任務だぁ?

<花園>上層部の命令だ。茶熊学園という教育機関に、生徒として入学する。

<花園>――<禁忌>と呼ばれる危険な魔術や技術を封印、統制し、世界の混乱を防ぐことを信条にしている集団だ。

学園があるアラマキ島からは、<智の民>と呼ばれる古代人の遺した技術がこれまで幾度か発見されているらしい。

へぇ~……?

いずれも<禁忌>として分類される脅威度の高い技術だったそうだ。

今回の俺の任務は、未だ眠る<禁忌>――<智の民>の遺産を、事前に探し出すことだ。

……んで、どーしてわざわざ入学する必要があんだよ。

調査が長引く可能性がある。学生の身分の方が、任務を遂行しやすいと上が判断した。

……ずるいぞ……

ガッコーだとー!?親分をおいて子分だけそんな楽しそうなトコにいくやつがあるかー!!

遊びじゃない、仕事だ。

うーるーせー!ずーるーいーぞーウェールーナー!

……おい、スネを蹴るな。

あーたーしーもーガッコーいーきーたーいーー!!

太ももを蹴るな……

だいたいお前一人じゃメシも作れねーだろ!絶対あたしもついてくからな!

許可がおりない。大人しく待っていろ。

……っ!



<――そして、出発当日――>


…………

……おい、ウェルナー。……髪。

んなボサ髪で行くヤツあるか!ただでさえ人相ヤベーんだから、友だち一人もできねーし不良にも絡まれんだからな!!

だが、飛行艇の時間が……

つべこべ言ってないでこっちこい!バシッと整えてやる!!

……ああ。助かる。

……ちゃんと、メシ食えよ。

……ああ。

……朝起きたら顔洗えよ。歯、ちゃんとみがけよ。

……俺は子どもじゃない。

……あぶないこと、できるだけすんなよ。

……約束できん。だが、善処はする。

……ん。……じゃ、いってこいっ!


 ***


入学式の時間、もうすぐですね。

……ああ。

あっ!もしかして新入生の方々ですか?

お二人とも、初めまして。私はエクセリアと申します。

新入生のエレノアです。もしかして……上級生の方ですか?

はい。……と言っても、生徒としてここに立つのは今日が最後なんですけどね。

あ……そうだったんですか……

少しでも長くここにいたくて……入学式の設営を手伝っていたんです。

……でもここを去る前に、こうしてエレノアさんたちと会えてよかったです。

え……?

あなたたちを見て思いました。この人たちなら、学園のこれからを安心して託せるって。

姫様。そろそろ発ちましょう。

ええ、ゲオルグ。名残惜しいけど――踏ん切りをつけなくっちゃね。

青春が永遠に続けばいいのに……なんて思った時もあったけど、最後は笑顔で発ちましょう♪行こう、ラピュセル!

……うん。寂しいね、カグツチ……

フン。さっさと行くぞ、ゲオルグ。

ここにいると――色々と思い出して敵わん。

ああ、行こう。……君たち。

後を、託す。よろしく頼む。

――はいっ!!






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