【白猫】Original Horizon Story3
目次
登場人物
story
…………
正しく創り直してやるよ!こうなったら、俺の命は、もう!
……あれ……?何も……?
……ダメだなお前は。
うおおおおおおおおっ……!!?
ソウルがクロカに!?これだと……!!
シロー!クロカは<鍵>を無理やり奪う気だ!
そしてクロカも……!己の意思で、力を!
<鍵>を、もぎ取ろうとしている!
自然の掟はシンプルだ!勝者は生き延びる!敗者は――
――喰われちまうんだよぉおっ!!
わかりいい世界になぁ!?
アピス、イズネ!私にソウルを!転移する!
story2 様
<あれから――と言うほど時が流れたわけじゃあない。
俺たちはあの時――
――<再誕>の力に巻き込まれる寸前、ル=グインの術で転移した。
転移先はリシュール島。……ドミティア島の中にいたままだったら、今頃。
俺たちも、創り直されていたのかもしれない。
アテル・ラナは今――クロカただ一人の物になっている。
そこにいた冒険家たちを含めて、誰もが、クロカのことを絶対的トップと崇めているそうだ。
……<再誕>の力と言うわりに、影響範囲は、島の中だけでおさまったし――
創り直した歴史も浅い。ル=グインが言うには、あのときの<再誕>は、不完全に終わったらしい。
クロカの周囲に、<陣営>を整えるだけで、力は収束した。
……それが、世直しの第一段階、ってことみたいだ。
……クロカは、最後の方。明らかに様子がおかしかったと思う。
アテル・ラナの私物化なんて、そんなこと、あいつは本来絶対やらない。
……力に……飲み込まれたのかもしれない。
昔からそういうきらいはあった。クロカは、どっちかっていうと本能寄りの性格だから。
<力>=<正義>、という考えが、どこかにあった気はする。
情報によれば……クロカは、本格的に始めるつもりらしい。
アテル・ラナを率いて、この世界から、不要な部分を取り除いていく作業を。
魔物を討つだけならいい。クロカはそれにとどまらず、社会にもメスを入れる気だという。
人間は、単純じゃない。弱者ゆえに、悪に染まることだってある。
弱者を振り落とすような世界を、俺は、正しいとは思わない。
クロカの暴走を止めなければ。
……その目的のために。
リシュール島はーつの勢力となった。
――この俺をトップとして――>
story3 長として
ご命令を。シロー様。
認めたわけではない。今後、一兵でも増やせば、即座に処断する。
また、術を解く方法も必ず編み出せ。さもなくば――
――戦力が必要でしょ?アテル・ラナとやりあうために?
不満があるわけではないんです。僕は、誰かの片腕になるのが夢だった。
僕より有能な人物が見当たらなかったから、仕方なく自分を自分の上長に設定していたけれど……
戦争後のことも、万事、仰せの通りに。
あれらを解体せよと言うなら勿論。研究も約束しましょう。
<鍵>を手にすれば、完全な<再誕>によりクロカの蛮行も塗り替えられる。
そうだったな?ル=グイン?
新たな予言ももたらされています。
――<再誕>の<鍵>をこちらへ取り戻すこと。そのためには。
アテル・ラナの現統領、クロカ・マニトを――
――討たなければならない。
また、奴の周囲は厚い防備で覆われている。レディ・キラーの連中と――
アテル・ラナの構成員だ。
これらを確実にー枚ずつ剥ぎ取っていき、クロカを狙う。
そのためには……<種>も戦力とする。……歴の長い者から前線へ。
……不安を不安と認めること。それも大事なことだ。
不安があることで、人は慎重さと謙虚さを得て、他人を思いやれるのだから……
クロカにもそれがあれば。こうはならなかったかもしれない。
時をかければかけるほど、相手は援軍を呼ぶだろう。
そうなる前に――ー気に勝負をかける。
クロカはハナが効く。本命を重くすれば、即座に守りを固めるだろう。
――進発せよ!
story4 皮肉と釘
<シローが命令した通り、<種>たちは次々と飛行艇でドミティア島ヘ――>
(……クロカは間違っている。
世界を整えるなんて、強者の勝手な理屈だ。
魔物を退治してまわるだけの、善良な自警団ではいられない。
すぐに目にすることになる。それを利用し、私腹を肥やそうとする悪党を。
そして弱い人々が苦しむ。
『攻める』アクションには必ずデメリットがある。
愚直に『守る』べきなんた。弱者のことは。
犠牲を認めるのは簡単だ。その上で積極策を取るなんて馬鹿でもできる。
でも、世界はそんなにシンプルじゃないんだ……)
……そっか…………同じなのかもしれない……
多少の犠牲を、認めちゃってるとこは……
――運ですよ。極論。
……だが、それを増やさないようにはできるはずだ。
覚えておいてあげるくらいしか、僕が同じ立場だったなら――
『わかる』とか『可哀そう』とか、同情は別にいらない。どうしてくれとも思わない。
ただ、いたってことを『知ってて』くれるだけでいい。
サニオ。お前のことを、許したわけではない。
それが最善の方法です。
もう増やさないなら、必要はないでしょう?
強いんです口喧嘩。生まれつき。アンド、経験による錬磨で。
では。
story5 石を食べてもいいですか
ただ食い物を運ぶだけ……それがわしの仕事じゃ。
まあ、そんなこと、どうでもいいことじゃな。
常に疑問じゃわい。わしのしとること。
わしの人生。
子供だけのモンではないんじゃからのう。未来は。
長い短いで比べられると、不公平じゃなあと思うわい。
…………
この石、食べてもいいですか?
わしが触れた物は全て食い物になる、とかではないぞい。
少し引くわ。
story6 その返しは
予言とはいったい何なのか……何のためにアテル・ラナにいたのか。
何をどこまで知っているのか。全てを聞かせてもらう。
今度こそ本当に全てだ。
戻り次第、お前を拘束する。
……なんなりと。やれやれ、ー度失った信頼は容易には取り戻せませんな。
己の感情など二の次。相手の気分を良くさせてやり、口を滑らせるのを待つことです。
さすればヒントも増えるでしょう。
全てはシロー様の選択次第。目的がー致しているうちは、絶対の忠誠を誓い続けますよ。
煙に巻くようなことばかり……未来樹といったか、お前の本体は。
……
story7 一寸先は
――ドミティア島。自分が育った島に攻め込む。
気分は悪い。考える時間に余裕があれば、こんな方法決して取らないだろう。
先行して<師>たちは上陸している手筈だ。
既に島のあちこちでは、戦闘が繰り広げられているだろう。
……これで正しかったのか……?
いや~、長らく守護神的なキャラをやってたこの俺が、この島へ攻め込むなんて……
人生何があるか、わっかんないもんだね~……
ル=グインにしろサニオにしろ、普通に考えたら怪しさMAXなんだけどさ。
でも、クロカとシローだけで考えたとき……
お前の方が、正しいんじゃないかって思ったし。
だから、先に止めなきゃいけないのは――クロカだな、って。
師匠として……弟子が間違ってたら、バチコーンって目を覚まさせてやんなきゃなぁ、って……思ってさ。
失望させんなよ、シロー?
私たちは予定通り、戦闘をなるべく回避しながらクロカの本陣を目指しましょう。
……イズネ……さん?
雰囲気的に、偉そうな口調をしてみたんスけど。
本来は、イズネさんの方が年上だし、兄弟子……姉弟子だし。
むむむむむ……?
アレ!?魔物だ!?
なんでなんで?どーしてこの島に!?
本番で困るだろ!
story8 盛りに盛って
……精霊降ろし?
……センセイのソウルを吸収しませんでした?
この技、人間には基本使えなくて。ざっくり言うと、不思議種族なら力を賃してもらえるんだけど。
私が曖昧な存在であることは、否定しません……
三人の力を合わせられれば、戦術の幅も広がると思うんで。
……わかりました。
ただ、今はその話じゃなかっただけなので、気を悪くしないでくださいね。
――任務を再開する。アピス、イズネ、行くぞ!
……
でもホントはずっとふざけてたい奴なんだ。
メリハリが利きすぎてるっつうか、公私がきっぱり分かれてるつうかやること決まったら感情は別の話っつうか。
story9 第一の刺客
……いや、違う!
そう簡単にはいかないか。リンプイ!
――はあああああっ!!!
< >
――ただのカンだよ!
やるな。俺も同じだ。心眼など、カンと大差はない。
俺たちの手で、クロカの理想の世界を実現させる。
お前は立ちふさがる道を選んだ。ならば衝突する。
< >
ただ気絶したわけじゃないぜ。寸前に、俺に――
力を賃してくれたっ!
<禁呪>よ!俺の命を代價に!
力を寄こせっ!
あなたたちは仕方のない犠牲なの!
story10 犠牲の許容
はなせっ!なぜそこまでして!?
それだけだ。リンプイ!
…………
……
やっぱ、思った通りじゃんか。
犠牲を許容すれば、そりゃ、大胆な手も取れるって。
だけどそれ……洗脳じゃね?
正義の味方のやることじゃ…………なくね?
……正義の味方……
……まあ、俺は俺で…………そんなカンジじゃないけども……
サニオもル=グインもあやしさMAXだし……
お前らからしたら、俺の方が悪に見えてんだろうなぁ。
……なんか……
割と虚しい。
<――……様!>
一人一人が熟練の冒険家だ。時間をかければ続々と戻ってくる。その前に――
クロカじゃあるまいし……
ですが今は、一刻も早く、クロカを討ち取り、シロー様の手に<再誕>の鍵を取り戻さなくてはなりません。
感傷はそのあとに。
こんなやり方、間違ってる。俺が修正してやらないと。
どんなに道のりが、キツくても……