【白猫】大工たぬきの春休み Story
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「みんなー!ちょっと手を休めて集合してちょーだい!
「キュッキュ、キュッキュ~♪
「今日はみんなに大事な話があるの。こんなご時世だから声を大にしていわせてもらうわ。
アンタたち働きすぎよ!!
「!!
「毎日毎日、朝から晩までトンテンカン、トンテンカン。
額に汗して働くのは尊いことだけどホントにそれだけでいいの?他にやるべきことはないの!?
「そういえば大工たぬきさんはもともと大空に憧れて飛行島で働くことになったのよね?
「そうよ!そうよ!自分を見つめなおすいい機会だわ。
アンタたち春休みをとんなさい!
「キュッ!?
「今はガムシャラに働けばいいってもんじゃないの。個々のワークライフバランスが問われる時代なのよ。
そこから見いだされたディーセントワークこそがQOLの向上へとつながるわ!
(またキャトラの謎の知識が……)
「キュ、キュウ……
「はァ?休んでも何をしたらいいかわかんないですって?根っからのワーカーホリックね!
南の島でバカンスを楽しむもよし。何もせずボーっとするもよし。アンタたちがしたいようにな。
でも、仕事だけはしちゃダメよ!
「ねえ、キャトラ。大工たぬきさんに休んでもらうのは賛成だけど……
建築中の建物はどうするの?工事が遅れて困る人がいないかすら?
「そこは抜かりないわ。心強い助っ人を呼んであるから。
「やあ、みんな。元気かい?
「ケンゾウさん!
「話は聞いたよ。大工たぬきたちに休みをあげるそうだね。
飛行島にある未完成の建物は僕が引き受けよう。
「でも、さすがにケンゾウさんー人だけじゃ……
「ふふん。それはこれを見てからいってちょーだい。ケンゾウ、アクセル全開よ!
「おう!
「ケンゾウさんがものすごい勢いで働きだした……
は、速い……
増えた!?
「いいえ。高速移動と急停止を繰り返すことで脳に起きる錯視効果……
いわゆるザンゾウよ。ケンゾウだけにね!
(キャトラのドヤ顔……)
「じゃあ、ケンゾウ。その調子で頼んだわよ!
「祖父は言った……」「祖父は言った……」「祖父は言った……」
『休息もひとつの工程だ』と……『休息もひとつの工程だ』と……『休息もひとつの工程だ』と……
「後は任せて休んでくれ!」「後は任せて休んでくれ!」「後は任せて休んでくれ!」
「さあ、これで安心よ。アンタたちは思いっきり春休みを満喫してちょーだい!
「キュッキュ~♪
大工たぬきの春休み
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「う~ん……
「ケンゾウさんが何か困ってるみたい。
「どーしたの?
「やあ、君たちか。大工たぬきの仕事を引き継いだのはいいんだけど……どうもうまくできていない気がするんだ。
「そうかしら。よくできているじゃない。
「そうですよ。ー人でここまでできるなんてすごいです。
「いや、やっぱり何か違う気がする!かくなる上は――!
「ちょっ、何する気なの!?
「飛行島を更地にしてゼロから造り直そうと思うんだ。
「!?
「そこまでしなくていいわよ!
「祖父は言った。『スタートラインに立った者しかゴールは目指せない』と!<ルーンブルドーザー>アクセル全開!
「ぎにゃー!誰か止めてぇ!!
「キュッキュウ。
「おや、大工たぬきたちが戻ったのかい?
「キュッ、キュッキュ~!
「そうか。後は君たちがやるというんだね。じゃあ、僕は世界中にある未完成の建築物を探しに行くとしよう。
じゃあね!
「行っちゃった……
「ふう。アンタたちが帰ってきてくれて助かったわ。
「♪
「でも、いいの?せっかくの春休みなのに。
「キュッキュ。キュッキュ。キュッキュッキュ~♪
「えっと……何て?
「休んでみてわかったそうよ。このコたちは働いているときがー番楽しいんだって。
わかったわ。なら好きになさいな。その代わり適度な休憩は忘れちゃダメよ。
「キュ~♪
…………
……
「キュッキュ。キュッキュ。
キュッキュ。キュッキュ。
「ふふふ大工たぬきさん、張り切ってるわ。
「そうね。やっぱり飛行島にあのコたちがいないとちょっと寂しいかもね。
「みんな、お茶を滝れたから休憩しましょう。
「お菓子や力二カマもあるわよ!
「キュッキュキュ~♪