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【白猫】ちび太・思い出

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作成者: にゃん
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思い出1



なるほど。ここが飛行島だね。

ええ。歓迎しますね、ちび太さん。

空の上の感想はいかがかしら?

爽快の一語に尽きる。君たちは恵まれた旅をしているなぁ。

そーお?意識したことはあんまなかったケド……

ちび太さんは、広いところが好きなんですか?

もちろんだとも。私は猫だ、動物だからね。

もっとも、家の中も好きさ。『猫はこたつで丸くなる』とはよく言ったものだよね。

こたつ?

あったかいヤツさ。

あったかいところで丸くなって寝るのは、アタシも大得意よ!

キャトラったら……

いやいや、猫はそれでいいのさ。私も平素はほとんど寝ているんだ。もう若くはないからねぇ……

あんまりそうは見えないけど?

これでも、家では長老と呼ぱれているんだよ。

ふ~ん……

アイリス!じゃらし!

がってん!

わ~い! ねこじゃらしだ~!じゃれるぞじゃれるぞ、じゃれつき倒すぞ~♪

……長老よ。

……ハッ!?

じぃ~……

……ふっ。この私も、長老である前に、猫だった……と、いうことかな。

な~にが『と、いうことかな』なんだか。


思い出2


私の自慢は、この白い毛並なんだ。

ええ、とっても綺麗だと思います。

二人とも、ありがとう。

ちょっと待ったあ!白い猫といったら、このキャトラさんじゃないのお!?

キャトラくんの毛並も素敵だよ。私には及ばないけどね。

及ぶもの!アタシのほうがピチピチだもの!

どっちも綺麗ってことでいいんじゃないかしら……?

そうはいかないわ!自分の毛並がだれより一番!

それが猫なんだから!

勝負よちび太!

いいだろう。受けて立とう。

勝負……?

お互いに、自分の毛並をけづくろい対決よ!よーい、ドン!

べろべろぺろぺろ……

ふっ……!

べろ?

こんなこともあろうかと、私は常にこれを持ち歩いていてね!

<そう言うと、ちび太はブラシを取り出した!>

べろべろ!(ひきょうよ!)

なにを言ってるのさ。これは紳士のたしなみだろう?

スッスッ、ササササ!

べろ!(負けないんだから!)

べろべろべろべろべろべろべろべろべろべろべろべろべろべろべろべろべろべろべろべろべろぺろぺろ……

くっ……! やはり、光沢の面では遅れをとるか!?

べろ……!

ずる禁止!

なっ!

アタシはそれないんだから!かわりにアンタは、なめるの禁止!

……もっともな要求だ!仕方ない……!

スッスッス!サッサッサ!

べろべろぺろぺろ……


 ***


ヤッター! 勝ったー!

くぅ……!あと少しだったのに……!

……キャトラってすごいね……


思い出3


おしりという部位についての話なのだが。

いきなりおげれつな話!?

そうではない。そもそもおしりって、なんだと思う?

なんだ、と聞かれても……

……座るところかな?

そうだね。

それもあるだろうね。

ほかになにがあるの?

体の中でも、比較的鈍い部位である、ということかな。

ほほう?

つまり、ある程度ぶたれても、おしりであればへっちゃらだってことさ。

……だから?

ためしに私のおしりをぶってくれないか?

ナゼ?

だからためしに。

うーん……ためしてみる意味がわからないんだけど……

そこをためすのがためしだろう?ほら、いいから、早く。

……主人公。どうする?

<意を決して、ちび太のおしりを叩いてみる。>

お! いいぞ!ばっちこーい!

ほら、もっと!ここを! ここをこう!ここをこうこうこう!

ぼっちこ一い!いいぞぉ、ノってきたぁ!

ばっちこーい!さあさあ、アゲイン!ばっちこーい!

主人公……

…………

ああっ!? なぜやめる!?

なぜじゃねえ。


思い出4


ここは楽しいところだね。

あら、どうしたんですか?

このあいだ、おしりについて思案しながら歩いていたときのことだ。

なにを考えてるのよ……まあ、あたまの中は見えないからいいけど……

ところが、顔に出てたんだろうね。

どう出るわけっ!?

突然、ツノを生やした男性に声をかけられてね。

『貴様、いま、でんぶのことについて考えているであろう?』って。

ものすごい呼び止め方もあったもんだわ……

なぜわかったのか尋ねるよりも、私はこう返した。『もしや、あなたも?』と。

彼は『うむ』とうなずいた。

なにその流れ……

するとそこへ、見事なふとももの霊長の末裔という戦士も通りかかった。

なにその流れ……!

そして言った。『俺もー緒に踊ろう』

なにその流れ!

『貴様ら、見事なステップだな』『帝王として当然である』『猫のワルツをお見せましょう』

すごい……!なんか、わからないけど、なにかがすごいわ……!

……とまあ、そんなことがあってね。

ただの変態の饗宴じゃないのよさ……

そんなことはない。それぞれが使命を背負った一人前の男だったさ……

アンタなんか背負ってたっけ?

特には。


思い出5


なあ、君たち。

なんでしょうちび太さん?

うわさで聞いたのだけど、なんでも叶えてくれるルーンの光があるそうだね?

……どーゆーウワサなのかしら……まあ、そんなに間違っちゃいないけどさ……

私の願いも叶えてくれるのだろう?

願い次第よ。

そうなのか?

と、いうよりは……困っている背中を押してくれる、みたいなものなのですが……

私は特に困っていないんだ。こうして元気に過ごしていて、そんなこと言ったらバチが当たる。

それ自体は悪いことじゃないけど……じゃあ願いってなんなの?

あんまり変なことだと……

若返りたいんだ。

それは無理じゃない?

全部じゃなくていい。毛ヅヤを取り戻したいんだ。あの頃のような、光り鐸き、水滴を弾く毛ヅヤを……

毛ヅヤを……?

ご存じの通り、先日の対決では僅差でキャトラくんに負けてしまった……

ううん。ダブルスコアだったわ。

キャトラったら……

私は飼い猫だ。ご主人様を喜ばせるのが仕事だ。

だから、年をとって色あせてきた毛並を……見せたくはないんだ……

そんなこと……しょこたんは思わないと思いますが……

かもしれないけど……猫として、アタシは気持ち、わかんなくもないわ……

どうだろう、主人公?

私の願い、叶えてくれないだろうか……?


思い出6


これはっ……!?

<ちび太の毛並がルーンの光を浴び、つやつやと光り輝く……!>

ちび太さん……!

……どうだい?

キレイです……!

う~む、アタシも認めるわ……三日三晩ナメたみたいにぴかぴかだわよ……

やった……やったぞ……!

よかったですね、ちび太さん♪

これはご主人様喜ぶわよ~♪

これでしょこたんも、私のおしりをぶってくれる!

へ?

この美しいおしりなら……!ふふふ……ばっちこーい!

ちょちよ、待って!それが狙いだったの!

いや、副次的な恩恵だが、でもそうだろう?

これだけ美しい毛並であれば、逆におしりをぶちたくもなるだろう!?

それとこれとは別だと思うの!

いいや、別のようでー緒さ。『ちび太どうしたの?超カワユス~!』となるだろう?

それから、おしりをバチコーン! といくだろう!

どんな理論よ!

これは理論を超えているのさ!この美しいおしりには、そうさせるだけの魔力がある!

ほら、主人公!吸い込まれそうだろう!?叩きたくなるだろう!?

ほら! ほらほら!遠慮しないで、ばっちこーい!

あんたねえ……

ばっちこーい!いつでもいいぞ!いくらでも来い!

ばっちこーい!

ほらほらどうした!ばっちこーい!

ほら、ばっちこーい! これ、ぶたないと終わらないヤツだぞ?無限ループするぞ?

さあ、どうした!こい、ばっちこーい!

OH!そうそう、いいぞ!どんどん続けてぱっちこーい!


 ***


<――かくして、陽は没し――

おしりをはらしたちび太は、誇らしげに宣言した。>


では、さらばだ!またいつでも、おしりをぶちたくなったら呼んでくれ!

さ~て、待っていてくれよ、しょこたん!


<アイリスとキャトラは、とっくに帰っていたのだった。>





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