【白猫】メインストーリー 第10章 バルヘイム
2016/05/12
目次
登場人物
story1 焦熱の監獄島
ここが……!
あの、なんとかのあれってのがあるところね!
なんとかっていうのよね?もう一回聞いてもいい?
今言おうとしてたところよ。この島にあるのはただ一つ。
焦熱の監獄、タルタロス……
焦熱の……監獄……
こんなアツイところに押しこめられたら…………参っちゃうわねぇ。
この島は、黒の王国に――いいえ、<闇の王>に歯向かう者を幽閉する監獄、だった……
だった?当時は多くの囚人がいたことでしょうけど。――見て。
❗
<遠方に霞む山……巨大な魔法の鎖が、黒煙の中心へと伸びている……>
……あれはね。たった一人を抑えるための装置なのよ。
狂える竜の神……いいえ、彼はそう呼ばれてるだけ。竜なのか、神なのかすらさだかではない……
彼はただの……暴力。そう伝えられている。
伝えられてる?
あたしも、会ったことがあるわけじゃないからね……
……彼をここへ連れてきたとき、彼以外の全ての囚人は……消滅した。
……それはあまりにも彼の力が強すぎたから。監獄も、この島も、いまでは全て、彼一人のためのもの。
ひえぇ……!そんなとこにアタシがいていいのかしら……
大丈夫じゃないかしら?
どうして?
だって――何万年も。
閉じ込められていて……弱ってないなんてこと、あるはずないじゃない?
まあ……フツーは、ね……
……必ず、味方につけなくちゃ……!……いきましょう……!
……フン。闇の王を倒すためなら……てこと?ずいぶん積極的じゃない。
……!
ま……いいわ。あいつらには、あたしも頭に来てるし。同行してあげる。
……はい。
二人とも、仲良くだよ?
……うん。
…………
さあ、そろそろいくとしようぜ。
ああ。この暑さだ。モタモタしてはいられない。迅速に進もう。
おー!やったったんぞー!
……
飛行島のことなら心配はいらない。
守りは俺様たちに任しときな。
どんな魔物が来ても撃退してみせるさ!
私に敵はない。ヒヒィーン!
……行ってらっしゃい。
うん。待っててね。
……ええ。
よぉ~し……それじゃあ……あっついけど!いくわよ!主人公!
story2 仲間たちとの行軍
辺りを流れる溶岩……すごい島だな……
歩いているだけで、肌がコゲつきそうだぜ。
鎧があついんじゃない?
いや。これは火山用の鎧だ。これ以上は他にないぜ。
そうね。そんなのがあるって方が驚きだわ……
この島って、だれも住んでないんだねー?
闇の王の眠りと同時に、放置されたんでしょうね。
好き好んで、こんなところに住む者がいるとも思えないし。
そっかー。闇の王って、寝てたんだねー?
……ええ。数万年前の、あの日からね……
あの日ー?
…………
……ええ。
そっかー。ずーっと寝てたんだねー。グローザも寝てたの?
そうなるわね。闇の王は、闇なる力の源だから。
じゃあ闇のひとたちは全員寝てたのー?
……例外がいるはずよ。
れーがい?
闇の道化、エピタフ……そして、ドゥドゥと同列の、シャッテンシュピールの一人……
――ウィユ・ブロサールは闇の<眠りの刻>も、活動していたはずよ……
story3 監獄の奥で
??? |
---|
……………………
ウィユ・ブロサール |
---|
……また……来ました……
…………
ごめんなさい……これが私の……仕事だから……
バールさんは、とてもとてもとても、強いから……
…………
だから……少しずつなんです……
<ウィユはそう呟くと、人差し指ほどの太さのクギを取り出し――>
…………
あと……二回です……
少しだけずらして……半分は重なるように、削るようにして……
<――>
これでワンセット……あと、残り、千回です……
…………
…………
……
……今日の分は…………終わりです……
………………よくやる……
……王直々の……おいいつけだから……
永い永い時間をかけて……あなたを、弱らせていくようにって……
…………
だけど、あなたはまたまだ元気だから……
だから……これからも…………ごめんなさい……
……弱らせる、だと?
…………
闇のこせがれの分際で、この儂に、何が出来る?
今日は……元気ですね……何か……ありました……?
…………
……ごめんなさい……追加……しなきゃ……
あと……三千回…………を…………三セット……
…………
story4 嗤う囚人
…………
……ククク……!
白と黒……再び……均衡のため……動き出したか……!
story5 二つの脅威
――火山を利用した、脱獄不能の牢、か。しかも……
それだけではない。あの魔法の鎖で封印されているという……
うむむむ……助け出すのは難しそうだねー……
助け出す、かぁ…………まぁ、そういうことになるのかぁ……
…………
……かつて、白の王国を攻め滅ぼそうとした闇の王には、<二人>の敵がいたそうよ。
二人?
……そして、闇の王は、そのどちらも、この島に封じ込めた……
一人はその、竜なんだか神なんたかって人でしょ?もう一人はなんなの?
<智恵>だそうよ。
ちえー?
正確には、<識る>という行為そのものを司る、<智の賢者>らしいわ。
<智の賢者>……
行為そのものを司る……?どういうことだ……?
闇の王はその両者を最優先で捕え、幽閉した。
なるほどな。つまりこの島は、<力>と<智恵>の監獄ってわけだ。
……あなた、意外と飲み込みが早いわね?
あん?おかしいか?
……いいわ。その通り。ここは、闇の王にとっての二人の難敵を閉じ込めた牢獄。
てことは、その<智の賢者>も助け出しちまえば……?
無理ね。
それはどうして?
<智の賢者>は、ある日忽然と、牢獄から姿を消したそうよ。
おお!?脱走だー!
違うわ。
じゃあ、どゆこと?
おそらく、切ったのよ。
切った???
――他人が自分を、『知覚する』というその働きをね……
!
story6 賢者の行方
なあ、もう一度教えてくれ。わけがわからなくなってきた。
あら。さっきはあんなに賢かったのに?
さっきはさっきさ。それより、どういうことだ?<智の賢者>は、脱獄をしたわけじゃあないんだよな?
そう。島の外へ出たとは考えられなかったそうよ。
じゃあ、まだ幽閉されているってわけだ?
そうね。
なのに、姿は無いんだろ?
ええ。
……わけがわからねえ。
まるでリドルだな……
そお?いるけど見えないってだけのことじゃないの?
…………
だから、それがどういう理屈かわかんねーってんだよ。
そのへんは考えてもしょーがないと思うけどなー。
……あなた、結構すごいのね。
あたしはタビィだよ!
……そう。……タビィ……
ねーねー。タビィは感覚的にわかったっぽいんだけどさー、アタシはよくわかんないんだけど?
……ふふ、キャトラちゃん。いいのよ。あたしだって、この目で見たわけじゃないんだから。
頼りねえなあ。ンなんじゃ、<智の賢者>っつーのは、見つからねえんじゃねか?
最初から狙ってないわ。忘れた方がいいんじゃない?
まあ……そっか。そうだな。
……君は実に、冷静で理知的だな。
え?そう?
それに、みんなをまとめるカリスマもある。頼もしいよ。
……ヘンに褒めないで。エルフ。
エレサールと呼んでほしいな。
……図々しい。
……まだ、ダメか……
ううん。いまのは、ホントにちょっと卜ートツだったと思うなセンセー。
むむむ……
story7 世界の我儘
竜か神かもさだかではなく、ただの暴力、か……そんな者が、力を貸してくれるだろうか?
どうでしょうね。なんせ御大は、闇の王だけでなく、白の王国にまで喧嘩をふっかけてきたんだから。
…………
……アイリス……
……ううん……
けんかっぱやい人なんだねー。
なぁに、こっちには俺やコジロー、それに、主人公だっている。負けやしねぇぜ。
……頼もしいわね。
…………
……どうしたの?
……思い出していたのよ。
❓
白は光に、黒は闇に。それぞれ従い、そして――互いに競り合う。それが、この世の理……
…………
彼はそんな仕組みを、真っ向から壊そうとした、世界の<我儘>……
…………
ここには、あたしに、<黒の王子>さま……白の巫女までいるわ。
彼は、どう見るかしらね?
……なくも、ないんじゃない?
……え……?
だって、ここには、白と黒……が、一緒にいるわけでしょ?
だから……仕組みを壊したかったんなら、もう……
…………
……かも、しれないわ……
理に反抗してるなら……
それなら……私たちにも……!私たちのことも……!
……きっと……!
……フン。調子のいいこと。
<黒の王子>様とは一緒にいたい……でも、闇の王は憎い……
そんな手前勝手、まかり通ると思ってるのッ!?
……それが理だと言うから……!
まってまってー!ここで喧嘩しちゃダメダメー!
…………
……どういうことだ?
<彼>は、闇の王の後継者だからな。
だけど、俺たちの仲間だぜ?
わかっている。私たちの相手は、現闇の王、それと闇の道化だ。
……ムシがいい……!
あっ、まってよ!グローザのことは言ってないよ!?
……そうだな。彼女も理から外れている……
は~ん……そんな、誰が作ったかしれねえしがらみに、縛られることなんざねぇと思うがなぁ……
当事者たちには、また別の思いもあることだろう……
…………
いこう。ここは危険だ。彼女を一人にはさせられない。
そうだな!
story8 黒の姫と子猫
…………
やっほー。
キャトラちゃん……?みんなは?はぐれたら危ないじゃない。
ヘーきヘーき。……あはは。
?
『みんな』、だよねぇ~♪
…………
あっ、あっ!ごめんってば!からかって悪かったわよう!
……怒ったわけじゃないわ。……自分でも、驚いたのよ。
ウンウン。そーゆーことってあると思うわ。それにね……
?
アンタって元々、悪い人じゃなかったと思うの。
……そんなことはないわ。
ううん。一緒にいたらわかる。
失敗とか、だれだってするから……アタシは、いまのアンタを見て、いいなと思えばそれを信じるよ。
……そう。ありがとう。
あらやだ、アタシったらまた善行を積んじゃったわ!
……うふふ……♪……それにしても……
んー?
キャトラちゃんって、本当に、何者なの?
…………
この島が危険なのは事実でしょう?普通の猫ちゃんが、一人でお散歩できるところじゃないわ。
んーとね……
……アタシは……
…………
……なんだと思う?
……だから、それを聞いてるんだけど……
!
これは――!?
ここにいたか!
安易に別行動すんじゃねえ!危ねえだろ!?
そうですよ!
……そうね……
あーっ!魔物だー!
ちっ!イヤなタイミングだ!
みんな!やるぞ!
story9 檻の目
やったったっぞー!
ふぅ……
……魔物たち、強くなってきてるって感じるのは、気のせいじゃねぇよなぁ?
ええ。闇の王が力を取り戻してきている影響でしょうね。
こっちも戦力が増えてなんとかやれてるけど、結構たいへんよねぇ~……
どちらも……同じように……力を増している……
❓
……ううん。なんとなく、思っただけ……
う~ん……?
どうしたのよタビィ?
なんだか……だれかに見られてるような……?
……彼が、気づいたのかもしれないわね……
……?……って!幽閉されてるっていう奴がか!?そんな力があるってのかよ!?
それほど強大だから、闇の王も危険視したのよ。
……こりゃあ、ゾッとしねぇぜ……!
だが、だからこそ、仲間になってくれるならこんなに頼もしいことはない。
かもしれねえがよ……
いこう。
…………
アイリス。君は、魔法でサポートしてくれればいい。無理はするなよ。
大丈夫です……!
……わかった。
…………
story10 沈黙と信念
それにしても、荒れ果てた島だ……植物のソウルも感じられない……
のさばってるのは魔物だけ、か。
昔はひとも住んでたんだよね?
牢獄には看守が必要だもの。
どんなひとだったんだろー?
黒の王国の人間よ。闇の王に忠誠を誓った、ね。
じゃあさー、ちゅーせーを誓ってなかったひともいたのー?
……どうでしょうね。黒の王国で生きるってことは、闇の王に従うってことだけど……
…………
❓
――!……なんでもありません……
なあ、その、黒と白の王国ってのは、何万年も前に栄えた国なんだろ?
……ええ。
しかし、いまは残ってねえ。どうして滅んだんだ?
……白の巫女に聞けば?
アイリスに?
――!
いや、そういうことなら……聞かねえ。
俺はアイリスを信用してる。
話すべきことなら、時が来たら話してくれるだろうからな。
ダンテさん……
……ホントに……どいつもこいつも、おひとよしなんだから……!
グローザ?
そういうつもりじゃあねえさ。
だったらなんなのよ!
言っただろ?信用だ。
おめでたいわね!?もしだまされてたらどうするのよ!?
だまされていたとわかったときに、止める。
そのときにはもう手遅れよ!
わかんねえさ。信用することと、盲信することは違う。
おかしいと思ったらぶん殴って、正しい道を向かせてやるさ。<こいつ>でも、アイリスでも、な。
……!
や、ちょ、アタシはどんなことがあっても殴らないわよね!?
猫は殴らねぇ。
ほっ……!なんかよかったわ……
……ありがとうございます、ダンテさん。
……私はみんなを、だましてはいません……
ただ、いまはまだ――勝手だとわかってるんですが……
だから、いいっつってんだろ?気長に待ってるさ。
私もダンテと同意見だ。
あたしもあたしもー!
みんな……!ありがとう……!
くだらない……!
そうか?
ええ、心底ね!
わかった。ならこの話はもうよそう。
え?
お前さんをイラつかせたいワケでもないのさ。さ、先へ進もうぜ。
ああ。
おー!
……なんなのよ……?
……あのね、ダンテはね、やや単純なけーこーがあって……
……もう、いいわ。ひとつだけわかったわよ。あなたたち……
――本当に、仲間なのね――
……うん!そーゆーことよ♪
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