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【白猫】メインストーリー 第10章 Story3

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん


2016/05/12


目次


Story21 合流、再編成

Story22 賢者は語る

Story23 賢者と歩く

Story24 認識の世界

Story25 シルルを追って

Story26 のんびり急ごう

Story27 賢者と子猫

Story28 永劫の孤独

Story29 シルルのルーペ

Story30 おとぎばなし





story21 合流、再編成



<――突然別の場所へと飛ばされたのは、自分たちだけではなかった――>


……おでれぇたぜ。急に景色が変わっちまったもんだからよぉ……

一体全体、何が起こってこんなとこに迷い込んじまったんだ……?

私の英雄力のせいだと言ったではないか。

英雄力……って、なに?

どうせいつもの造語ですよ。

アンタたちは元気ねぇ。エレサールたちは疲れちゃったみたいだけど……

あいつらには休んでてもらおーや。こっからは、俺様たちが一緒に行動するぜ。

アイリス、大丈夫ですか?疲れていませんか?

ええ、私は平気よ。

グローザさんは?

いまのところ問題ないわ。

いつぶりだろうな、こうして他者に会うのは。

お茶でも滝れてみようか。……さて、滝れ方は、どうだっただろう?

シルル?

…………

そうそう、ポットだ。湯を沸かし、注がないとな。湯とはなんだったっけな、シルル?

△○?※▽!

そうそう、水を熱したものだ。もちろん、それくらい知ってはいたけれど、なにしろ久しぶりだったからね。

◇◆!!

いや、そうか。君に任せっきりだったからか。

◆▲●!!

わかったわかった。少し確認しただけじゃないか。そう不満がらないでおくれよ。

あなたが、<智の賢者>なのよね……?闇の王に捕えられた……?

そう。そうだね。現象だけ言うのなら、私は彼に、捕まったと言えるね。

それが、どうしてこんなところに……?ここはどこなの?

そうそう、こんなとこ、見たことも聞いたこともねえぜ。一体どこなんだ?

それに、どうやって一瞬でみんなを?

まあ、待って欲しい。僕にも口は一つしかなければ、答えられる質問も一つずつ。

しかもただいま、お茶をすするので大忙しときている。

……うーむ……

ところで、この子はシルル。僕の召使いさ。

◆◆●▲!!

そう怒らないでおくれよ。いまの単語が便利たったのさ。君は短気だなぁ。

●●!!!

質問に答えて欲しいんだけど?

そう急がないでくれたまえ。散策でもしながらおしゃべりしようじゃないか。

足を動かすということは、頭を動かすということに他ならない。馬の君ならわかるね?

たしかに、地を駆ける優駿こそ英知の結晶なれば、その論にも合点がいく。

ああ……この組み合わせ、会わせちゃならんかったやつかもしれませんね……

同意頂けて恐悦至極。さあ、ステッキを突きながらまわってみようではないか。

おや、ステッキ?フム、突くための『地』が必要だな。

『地』よ。ここに在れ。

<フムニールがスッテキをかざすと――>

道が……!

<突如として空中に歩道が生まれた……!>

へぇ……!

さあ、共に。

<フムニールはステッキを突きながら、歩道を歩いていく――>

い、いまのは……!?

……これが、彼が司る、<識る>ということ……

彼が『在る』と認めれば、それは存在するのよ……

……こりゃあ、中々とんでもねえな……

さあおいでよ。シルルも。

○?▽△△♪

……ハァ……めちゃくちゃだこと……



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story22 賢者は語る



うわわ……!宙に溥いてるみたいで、落ち着かない道だなぁ……

動揺するなリュート。不安定なる道をゆく。それは人生とて同じこと。

ウマいこと言ったような、当たり前なような……

なあ、智の賢者さん。要するにここは、世界の<認識>を司っている場、ってえことでいいのかい?

そうだな……そうとも言えるかもしれないね。なにせ、ここでこうして――

<フムニールがステッキをかざすと、その空間にビジョンが映り――>

こりゃあ……!

と、このように。ここにいながらにして、どこかの何かを認識することも出来なくはない。……あっと。

ありゃあ、セオリが怒ったときに落ちる、雷じゃねえか。

失敬。また靴紐を踏んづけてしまって。いつもこうなんだよ。

▲●▼!

ん?だから雷が落ちたんたって?これとあれとに、因果関係なんかあるのかなあ。

仮にあったとして、それをどうやって証明するっていうんだい?

◆?◆!◆……

そうだろう?

そういうことか。

え?いまのでわかったのかい、ウマルス?

この空間は、世界のあらゆる場所とつながっているのだ。

そしてフム二ール氏が己の靴紐を踏んだとき、世界に何かしらの異変が起こるらしい。

そ、そんなことって、あるのかなぁ……?

ないとも言い切れなければ、それはあるのかもないとも言い切れなければ、それはあるのかもしれない。ヒヒィーン!

○◇○♪♪♪

当たり……なの?

そうみたいだね。

……ウマルスの嘘って、嘘なりに的中率結構高いわよねぇ……

で、そんなところに俺様たちを呼び寄せたのは、どんな理由があってなんだ?

僕が呼び寄せた、ということになるのだろうか?

そうじゃねえか?こっちにしてみりゃ寝耳に水だったんだからよ。

なるほど、それなら僕が呼んだということになるのか。それがなにゆえ、か……

全ての事柄には、必ず理由というものがあるのだろうか?

あるいはそれが言語化しづらかった時、一番しっくりくるのが『運命』という言葉なんじゃないかい?

ふむ。実に理解し易い弁だ。

結局たいしたこたあ言ってねえようだなぁ。つまりは偶然なんだろ?

偶然と運命の明確な差なんかないだろう?だったら、ここは言葉を飾りたいじゃないか。

頭痛くなりそ……

アンドロイドの君にも頭痛は訪れるさ。人間の頭痛でさえ、そのメカニズムは解明されてないのだからね。

私がアンドロイドだって……?

識ってみた。いや、識っていたのだろうか?そもそも、僕が議らないようなことが、どこかにあったりするのだろうか?

……これが、ないんだよ。なぜなら<認識>というプロセス。それを管理し、許可するのが僕の役目なのだからね。

♪■△!○●?……▼!

偉い人なんですねぇ……

……ってことは、あんたは、この世の全てを知っているってことなのか?

それが言い過ぎじゃなければね。

……え???……言い遇ぎなのか???

どこが言い過ぎなのだろうね?この世の全て?それは何を指すのかな?

いまある物ならほぼわかる。だけど、いま<無い>ものは、<認識>しようもない。とは、言えるかもしれないね。

?????

さあ、もう少し歩こう。些か足が棒になってしまった。

■■▲▲!

意味が違うって?シルル、君は博識だなあ。

……ヘンなヤツ……



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story23 賢者と歩く



おや?こんなところに……これは、島かな?僕の仕業なのだろうか?いや、答えは決まっているのだけど。

○!○!○!

そうだよねえ。勿論、言われるまでもなく気づいていたさ。その上でさ。

あの……フムニールさん?

ん?

お礼が遅れていました。ありがとうございます。ピンチを救ってくれて……

そうか、君たちはあの局面、やはり窮地だったのだね。

はい。

ウィユ・ブロサール……不気味な奴だとは思っていたけれど、あんなに危険だったなんて……

本当によかったです。アイリスが……みんなが、無事で……

フム。君たちを救えて、光栄……である反面、思うところがないわけでもないんだ。

と、言いますと?

識るという行為に、善も悪もない。あるのは主体と客体のみだ。

まさしく。

僕は確かに、この権限により闇の王に目をつけられてしまったが、かといって光の王国の味方というわけでもなかった。

…………

……まあ、光の側に、近いとは思うけれどね。全てが闇に包まれれば、認識は生まれない。

そういう意味では、君たちに力を貸すのもやぶさかではないね。

やった!

心強いです。

やぶさかでもないが……一つ、条件がある。

条件というより、なんだろうね。そこまでのことではないのだけれど。

どーゆーことよ?スッとお話しなさい、スッと。

君にはかなわないなぁ。

シルル、おいき。

!★!


さあ、シルルを探してきてくれないかい?

そんなことでいいの?

結構大事なことなんだよ?何かを<識ろう>とするその能動的な行為には、思いのほか熱量が要る。

知識というものは、得たいと願う者だけに与えられる。

その姿勢を見せて欲しいんだ。

容易です。

頼もしいね。じゃあ、先に行って待っているよ。

ウマルスが二人いるようで、ホント疲れるわ……

中傷はよしたまえ。

ううん、事実だもん。さてと、そんなところで……

じゃあ帰りましょ!

❗❓

ウソよウソ。帰り方もわかんないし、言われた通り、さっきの妙なヤツを探してみましょう。

💧



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story24 認識の世界



にしても、わけわかんねえところだぜ。道が浮いてたり、島があったり……

ここはきっと、あの賢者が好き勝手に作り上げた世界なんでしょうね。

何が好きでこんな風にするかは知らねえがよ。たいした趣味してやがらぁ。

あるいはあえてそう見せているのかもしれないな。

不可解なる物に直面し、それへの理解で<認識>は生じる。既知の物だけでは生まれ得ぬ感動なのだから。

モノはいーよーねぇ。

さて、と。さっきのシルルちゃんは……♪

あ、ちょっとウキウキしてら。

結構可愛かったと思わない?

アタシにゃ及びもしないわよ。

ふふ、それはもちろんだけど。

……ずいぶん馴染んだんですね。

…………

ハーティ、駄目だよ?

私はまだ心を許してませんから。

……ええ。

…………

ただ、害がないことだけは…………わかりました。

…………

ハーティ……

保留です。行きましょう。

あっ、待てよハーティ!

よかったね、グローザ。まだ、少しずつだけど……

気にしてないわ。恨まれるのは……仕方のないことだから。

……償う……という、わけではないけれど……

今後、あたしが取る行動は、あの子に不利益にはならないと思うわ。

……うん。それでいいんだよ。

……行きましょう。



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story25 シルルを追って



あ!いた!

※☆◆○!!

逃げたわ!

キャトラ、いまのは少し声が大きかったな。

ごめんごめん。なんたかテンション上がっちゃって。

ところであの子って、なんなんですかねぇ?

ノンキな声出してからに。なんなんですかってどういうことよ?

いや、なんていう生き物なのかなって。アンドロイドでもなさそうですし。

まあなんか、コロアタマちゃんとかそういう生物なんじゃないの。

なぜそんないいかげんな命名を……

私はシルルの正体に心当たりがあるぞ。

まあこいつは無視していいとして。

ヒヒィーン!

つまりあいつは、『識る』という概念を、具現化させた奴なんだろうな。

このヘンの陸地と同じ、あの賢者が産み出した存在ってとこじゃねえの。

うん、僕もそうだと思う。

そんなことはわかってるのよ。

あん?

その上で、あの不可解な生命体を、どう呼ぶかってことを論じているの。

名前があるじゃねえか。シルルだろ?

シルル、ルシルル、ルシルル、ルシル……

おぼえづらいわ!

なことねえだろ。

とにかく!アタシはあいつの正体が知りたいの!

でも、そんなこと言い出したら、キャトラだって不思議じゃないか?

アタシは猫よ!

しゃべるじゃん。

ウマルスだってしゃぺってるわ!

ヒヒヒン。

そうだった……ウマルスって何者なの?

迷っている。<智の賢者>などという者が実在してしまっては、私の立場が。

そういうことじゃなくて。なんでしゃべれるのかってこと。

……<夢のルーン>の影響を受けたからだが?

あ、そうなのか、こっちは簡単だった……

さあ!追跡再開よー!アタシのおしりについてらっしゃーい!

あっ!もう、誤魔化して!

リューちゃん、ごめんね……キャトラ、どういうわけか、ちょっと興奮気味みたいで……

興奮……なんでだろ?

この空間が新鮮で珍しいのでは。

そんなところだろう。

……きっと、そうね。もう、キャトラったら、すぐにはしゃぐんだから……

…………



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story26 のんびり急ごう



…………

いました!

しーっ!

ヒヒヒィーン!

うるせえよ!

しずかにしなさいよー!見つかっちゃうでしょー!

!!!▲※▼!!!

ほらもー!いっちゃったじゃない!

てやんでい、ウマルスおめぇ、なにしてやがんでぇ。

鼻先がムズムズして……

ハーティも、ダメだよ、もうちょっと小さな声じゃなきゃ……

加減が難しいんですよ~。

……あなたたち……真面目に追う気、ある?

当たり前よ!

私が目的を見失うなど、あろうはずがない。

疑わしいわよ。

ま……過ぎたこたぁしゃあねぇや。のんびりと追ってこうぜ。

緊張感のない男ねぇ……

ずっと緊張しっぱなしじゃあ、体力がもたねえからな。

この面子、不安要素はねえ。俺様はだらだらと最後尾からついていくぜ。

怠け者……

コジローは、やるときゃやるタイプなんだけどねぇ。

やらないときゃ、やらないタイプでもあるのよ。

ってやんでぇ~い。

のんびりしてる暇、あるわけじゃないんだからね。一応言っておくけど。

ああ、それはわかってるさ。

私は、最後の直線まで脚を溜めているだけだ。

……では、急ぎましょう。考えてみれば。この空間からの帰り方もわからないですし。

……言う通り、ゆっくりもしてはいられません。

ええ。

……うん……


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story27 賢者と子猫



あれれ?あそこにいるのは……?

やあ君たち。シルルはいたかい?ところでお茶でもどうだろうか。

ほら、まだ湯気が立っている。このぬくもりこそ、ティータイムのだいごみだね。

フムニール、アンタどうしてここにいるのよ?

ゴールにいるなんて一言も言ってなかっただろ?

シルルを追ってるんだから、じゃまじゃま。

ううん、君はやっぱりすごいなぁ。

……なあ?

なんだい?

あんたなら、知ってるのか?キャトラのその…………正体?とか……

フム。君よりは、知っていることが多いのかもしれない。

え!?じゃあ、教えてくれませんか!?

識りたいのかい?

ええ。いつまでもええ。いつまでも不思議なおしゃべり子猫じゃ通りませんよ。

とおるわよぅ。

彼女の要素を語ることはともすれば簡単かもしれない。しかしね。ハーティ。

はい?

そちらのレディは、黒の王国の公爵家の姫。それを聞いてどう思う?

…………

……へ~、って。

敵だと判断するかい?

それだけ聞いたら、アイリスの敵だとは思うかもしれませんけど……

…………

普段の振る舞いを見ていると、あまりそうは…………思わないかも…………

…………

……ハーティ……!

そう。箇条書きできる事実なんて、その程度のものなんだ。

だから、あまり意味がないとも言える。完璧な無意味とも言わないけれどね。

……だから、無意味じゃないなら教えてよ。

キャトラは闇の王の化身だ。

!!

……なんてことは言いはしないが。事実でもないし。

なんだよ……

もしそう識らされたとして、どうする気なんだい?

……それは……

何も変わらないだろう?そう、君たちには、もはやその程度では揺るがない絆がある。

まあ……うん……

<識る>を司る僕だけどね。その無力さも識っている。

だから君たちには、シルルを追ってもらっているわけだしね。

てこたぁ、あいつを追えば、もっと体験的に何かを識れるってことだな?

そういうことになるだろうか。

ふむふむ。とてもヒヒヒンな理論だ。

はぁ?

いや、かねてより私も、言葉というものの無力さは痛感していたものだからな。

よく言うわ……

さあ、行きたまえ。君たちが識るべきことは、シルルが教えてくれるかもしれないし、教えてくれないかもしれない。

……キャトラのことも教えてよ?

フ~ム。それには答えておこう。教えることは出来ない。

けちんぼ!

ではない。これが僕に出来る精一杯の解答なのさ。

子供だと思ってさ……!

そんなつもりは毛頭ないさ。では、行ってらっしゃい。

ちぇっ、結局時間の無駄だったよ!行こうぜ、みんな!

そうですね。まったく、時間を返して欲しいですよ……

実に有意義な問答だった。

あっそ。よかったわね。

さ、切り替えて、前に進みましょう~!

……そうね。

…………

(中々どうして、でっけぇヒントをもらったぜ……

だがよ……どういうことだ……?

この世界の視点からは、見えないっつー、ことか……?)

ぼやぼやしてないで!最後尾ったって限度があるでしょ、コジロー!

おう。

(……まあ、いいか。いずれ線でつながるだろうよ……)



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story28 永劫の孤独



まったく、あのおじさんは面倒くさいですねぇ。より扱い辛くなったウマルスさんって印象です。

ホントホント。

相対的に私のことが扱いやすくなりはしないか?

そんなことはないです。

ヒヒィン!

あの人は本当のことも言ってるみたいだし。聞いてるだけで疲れてくるよな。

そんなことないわよ。

不思議猫のキャトラさん?

あんなのウマルスと同じ扱いでいーのよ。右から左。あとその呼び方やめて?

これは失礼。

まあでも、あのおっさんにゃあ同情するぜ。同情ってのとも違うかもしれねーが……

なんのこと?

フムニールの話し方ってのは、ありゃ、永い永い孤独を経験した者のそれだ。

よくわかるわね。

ま、カンだがよ。シルルったって、自分で創りだした存在だろ?

そうね……

何万年も自問自答してりゃ、ああいった、わけわかんねえ口ぶりになっちまうんだろうよ。

たかだか数十年生きたくらいの俺様たちが、ついていけるわけがねえや。

あたしはもっと長生きして…………でも、そうね。ほとんどは眠りについてたわけだし……

そーゆーこと。年長者の話はそーゆーこと。年長者の話は、多少面倒くさくっても聞くに限る。

いつかわかる日が来るだろう、ってな……

いやに肩を持つんですねぇ?

割と一般常識だぜ。

お年寄りのお話はちゃんと聞きましょうって、そこだけだと常識だけどね。

馬の話もちゃんと聞くべきだ。

馬はフツーしゃべらん。

ヒヒン!

猫もね。

ぎにゃにゃ!

あれは……!

いた……でも……?

…………

上下がなんか……?あれ……?さかさま……?

違うなハーティ。……あれが正位置なのだ。

え?だって、足が上の方に……

……足が耳に、腹が顔に。普段のシルルの方が、ひっくり返った姿なのだろう。

なんでわかるんです?

なんとなくだな。フムニール氏の感性は、私には共感しやすい。

しかし……なにやってんだ?

…………

あのお顔は……レンズ……?

近寄ってみましょう……!


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story29 シルルのルーペ


…………

全然気づいてないわね……

なんかモノっぽくなっちゃったな。

逆さまの方が可愛かったのに……

あら――?

…………

なんだ……?

お顔のレンズを通して、何かが、見えてくる……!

…………

これは……マスター……

…………

研究を……してらっしゃいます……

……いまのは……

RBだったわね。あのカッコってことは、いまげんさいの……かな?

…………

つまり、このレンズを通すと別の場所が見えるってことなのか……?

かもしれない。

すごい……!

実は、この働きは誰しもが持っているのたがな。

え?

夢は見たことがあるか?空想をしたことは?

自分の目だけに、何かがありありと映るとき。己の脳内でだけのことであっても、時間と場所を跳躍していると言うこともできるのだ。

え……?それは……?

それは置いとくとして。

ヒヒィーン!いまのもダメだったか?

いや、いまのはそこそこイイ線だったが、それよりこいつを。


…………


光が、また……!?

今度は別の……?

空間に浮かぶ島……この場所で、フムニールは何を見せようってんだ……?



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story30 おとぎばなし



<シルルのレンズが光を放つ――>


「…………」

これは、アイリス……?

だけど、雰囲気がなんか、いまとは違わないか……?

…………

ってぇことは……

これは……あの時代……

……光の王国……その……玉座……

!!

「……膨張する……闇……

――もう、これしか――」

……なんだ……?


<*×○■!&%$…………>

――全ての源たる、<始祖のルーン>よ――

<闇の王>の手に渡るくらいなら――

――いま、ここで――!」



「……これで……きっと……!!

――!!そんな――

…………ごめん……なさい……」

「――!?」

「――さよなら、約束の人――」


いまのは……?

アイリスが……たしかに……

…………

…………


――コレハ――

!!

イクタビメカノ、オワリト――ハジマリ――

――白ノ巫女ガ告ゲシ――イニシエノ――

――<大崩壊>――


…………



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