【白猫】ルウシェ(花嫁)・思い出
白き祝福の聖女 ルウシェ・エルレンシア 世界を知るために旅を続ける<贖罪の聖女>。 人々の罪を許し、希望の光へと導く。 |
聖女と風色のブーケ
思い出1
ええ~!?!?アシュレイが結婚~!?!?
はい。騎士様からは、そのように。
<――少女の名はルウシェ。彼女は生まれてからずっと、<聖霊教会>に囚われていた。
<贖罪の聖女>――そう言えば聞こえはいいが、教団に飼い殺されていたのだ。
罪を喰らうアルマ――<アラストル>を操る力を持つ存在として――>
……驚きました。
あ、ううん……きっと、祝福するべきだとは思うんだけど……
……ルウシェさん。もう少し詳しくうかがっても?
はい。騎士様から、このような手紙が届いたのです。
どれどれ……?
<ルウシェ。知っての通り、俺はいま、ある連中と行動をともにしている。
正義――と、自分の行為を誇らしく呼べるほどには、まだ迷いはあるが――
――この世の<悪>と戦っているという事実は、いくらか気を紛らわせてくれている。>
へ~……アシュレイったら、そんなことをしてたんだ……
<――ときにルウシェ。俺はある人物と結婚することになった。>
唐突だな!
でも、まだ続きが……?
<……教会にも、そう伝えておいてくれ。今は。>
……今は……?
…………
騎士様のご結婚のことは、言われた通り、教会にも通達のてはずを取りました。
ですが……
ルウシェさん……
……アイリスさんも、なのですね……
私はこれまでずっと、世界を知りませんでした。知るようになったのは、つい最近のことです。
――ですが、そんな私でも――
……裏があるんじゃないかってことね。アシュレイの結婚に……
……騎士様の剣は、罪を赦し、人を救う剣です。私は騎士様を……信じています。
<――聖霊教会から解き放たれた、聖女と騎士に、また事件が起きようとしていた――>
思い出2
あら……?
ルウシェがお祈りしてるね?
<贖罪の聖女>だものね……日課になってるんだわ……
<聖女がその身に宿す、ソウルの化身たるアルマ……アラストルは、罪を喰らう。>
アラストル――罪を司りしアルマに命じます。
この心迷える者の罪を……<喰らいなさい>。
――――――!!!!
<その力と教会の教えにより、聖女は常に祈り続ける。
罪に悩む者が、一人でも多く救われることを。
そのためなら聖女は――己がその罪を引き受けることも厭わない――>
私が『罪』になることで人々が救われるのなら、こんなに嬉しいことはありません。
あなたの罪を――私にください。
<聖霊教会に叛逆した騎士、アシュレイに連れ出されたルウシェに、その『義務』はなくなった。
しかし――彼女は祈り続ける。
罪、赦し、その答えは彼女の中ではまだ出ていない。
だが、それでも――
――彼女は、他者の幸福を願う。それは決して揺るがぬ本意であるからだった……>
……あら?
あ、すいません、お祈りの邪魔しちゃって……
いいえ、そのようなことをお気になさらないでください。
いやぁ~、すっごい集中力だったわね~。
そ、そうでしょうか……?
一時期アイドルになろうとしてたなんて、とても思えないカンジだったわ♪
――!!あ、アイドルも、人々の幸せのための仕事ですし、それはいいんじゃないでしょうか!
あはは。わかってるって。そんなに言いわけしなくて大丈夫だよ~♪
うう~……
思い出3
(いまの男は……?やたら急いでいたようだが……
地面に手紙が落ちている。さっきの男が落としたのだろうか?)
ルウシェヘ――
――アシュレイ
……なになに?なんて書いてあるの?『結婚生活最高だわ~』とか?
キャトラったら……
結婚式はこれからのようです。日時と場所が書いてあります。
おおっ!?つまり、結婚式の招待状ってことね!これは行かなきゃね!
……そうですね。ぜひ、出席しなくては――!?
ルウシェさん?
『……お二人に会えることを楽しみにしております。久しぶりに私の剣の腕も、ご披露したいですね』
はァ~ン?アシュレイがそれを?
やっぱり家庭を持っと、人って変わるのかしらね~……
ちがうよ、キャトラ……!
お二人というのは、きっとルウシェさんと……
え~と?アイリスと主人公だと三人になっちゃうし……
まさかアタシ?アタシとルウシェってこと?
ううん……ルウシェさんと、アラストルのことを示しているんだよ……
それに、剣の腕を披露って……!?
私、行って参ります。
ルウシェさん……!
心配はいりません。私には――
――アラストルがいますから――
思い出4
J<アルマ喰い>だと?
ああ。ついに尻尾を掴んだ。
あの島の領主の正体は、通称<アルマ喰い>って野郎だ。ずっと姿をくらませていた。
<闇>のお尋ねモンだぜ。
J<闇>のお尋ね者が、いつのまにか島の領主にだと?
すいません。ウチの情報網に穴があったみたいで。
要は裏切り者なんですが。あ、そいつは始末しました。
J俺が行こうか。
『アルマ』喰いだろう。俺がいく。
どんなものか知らんが、デュナミスを喰えるものならやってもらおうじゃないか。
いや~、助かるぜアシュレイ。あんたが言い出してくれて。
やっこさん、警戒心が強くてなあ。ちょっとだけサブミッションがあんのよ。
何でも構わん。言ってみろ。
ちょっと結婚してくれない?
!?
!!
(なんでそういう面白いことを、俺じゃないんだ……!)
…………
……
…………
<アシュレイは戸惑った。しかし、元々モノが良かった。
一味には女性もいる。彼女のレクチャーを受けつつ、潜入の準備を整えた。>
やっぱり、思った通り。ステキよ、騎士様。
……本当にこれが必要なんだろうな?
さあ?
貴様っ……!
いいじゃない。仕事は仕事だけど、楽しい方がやる気も出るでしょ?
不要だ。
ふふ……♪
……
…………
<――しかし!
裏切り者はー人ではなかった。アシュレイの到来は、筒抜けになっていた!>
なっ……!?
<アシュレイを待ち受けていたのは、功名に隠された<ソウルコントローラー>。
ルーンの力で発動し、人の力の源であるソウルを抑制する罠だった。>
聖霊教会のデュナミスか。なるほどなるほど、私より随分強そうだね。
娘の縁談に来てくれて大変感謝しているよ。
私が<アルマ喰い>だ。だが、ここでーつ言いたいのだが……
――娘の方が格上でね。第二世代、とでも言おうか。
…………
……!
さあ、お手紙を書きたまえ。切迫した状況を暗号ででも伝えたらどうかな?!
思い出5
<――その島の民衆は領主の正体を知らない。
領主様の娘のご婚儀……それは善意のみのお祭り騒ぎだった。
ルウシェの服装が、殊更人目を引かなかったのは、その状況か幸いしたのだろう――>
あの、すみません!お聞きしたいことか……
ん?はは、あんたもご婚儀をお祝いに来たんだね。あやかろうとおめかししちゃって。
ご婚儀はどちらで執り行われるのでしょうか?
丘の教会さ。でも……ご覧。
<商人が指差した丘は、数多くの民衆で埋め尽くされている……>
本当は私も行きたいところなのだけどねぇ。
ハハ、仕方ないな。いずれお見かけすることもあるだろうさ。
……そうですか……
すいません。領主様がお呼びしております。
なんだって?やあ、あんた、ついてたなあ……!
(……この……気配は……!)
え?
失礼。
眠ってもらいました。
あなたは……?
敵の情報網も異常なまでに広い。
あなたがここに来たという、『事実』が必要だったんです。
……先程の気配。領主は、<闇>なのですね……
ええ。しかも、滑稽で用心探い。
力を貸してください。アシュレイさんのためにも。
はい……!
…………
……
…………
――さて、お待ちかねの花嫁のご到着だ。
…………
…………
<領主が手をかざすと、教会の扉は締められた。
自然な誘導により、警護の兵士以外がこの場からいなくなる……>
――では、始めようか。我が娘よ。二つのアルマを喰らい――
!!
!?貴様、聖女ではないな!?
…………
下等な幻術を!そんなものが通用すると思うなよ!
J通用しているではないか。
なに!?
貴様ら……!
何が結婚式だ。ムカつくぜ。
……趣味が悪い。
アシュレイ、もうしばらく辛抱していろよ……!
……四人程度で何が出来る!
!!
何体ものアルマを喰らい、宿したこの力……!
思い知るがいい!
!!
思い出6
どうした!我らはここだぞ!?たどりつくことすら難しいのかな!?
<闇>よ、広がれ――!
Jやはり、膨張するか……!
ムカつくぜ。
ほら、どうしたんだね!?そんなことではいくら戦っても――
なんだ……!?
花嫁のご到着だ。
!!
(感じる……!まだ、デュナミスは……!騎士様……!)
ジョ二ーに連れられ、ルウシェは再び飛行島へと戻ると――
絆の力――主人公のルーンの光により、アラストルを一時的にパワーアップさせ――
――上空から、丘の教会を襲摯する作戦に出た!
自由落下の最中、ふと、脳裏によぎる――
(そんなときではないけれど……世界は……綺麗……)
アラストルに抱かれ、鳥の視点になったルウシェ……
(世界は綺麗、だけど……!)
世には罪があり、人には悩みがある。そして、なにより――
――<闇>が存在する!
――アラストル!
――――――!!!!
はぁああああっ!!
<屋根を貫き現れたルウシェは、即座に娘を敵と定めた。>
――滅することでしか、救いを与えることが出来ない<闇>だと――!
!!
なっ……!?
ご無事ですか、騎士様!?
…………
騎士様、騎士様!?
…………
来い……デュナミス……!
くっ!?
<娘から解放されたデュナミスが、アシュレイの背後に引き寄せられる……!>
世話をかけた、ルウシェ。
騎士様、気づいたのですね……!
すまなかったなアシュレイ。嫌な役目だった。
構わん。危険だからこそ、俺に出来ることでもある。
くッ……!クソがあ……
やるぞ、ルウシェ!
はい!
馬鹿な……!貴様らごときに……!
お前、言ったよな?
コウナッタラ、キサマノ アルマヲ……!
散れ。
グアアアアアア……!
俺のデュナミスの方か、貴様なんぞより強いさ。
騎士様……
すまない、また借りができたな、ルウシェ。
なぜこのような危険なことをしたのですか!?
ルウシェ……?
騎士様の剣は、誰かを救う剣です……!
失ってはならない、大事なものなのです……!
もっと自分を大切にして下さい……!
…………
Jほう。聖女と聞いていたが、中々どうして……
取り込み中悪いが、どうやって引き上げる気だ?外には大勢いるぜ?
しかも、事情を知らない国民から見れば、俺たちは犯罪者だ。
まぁ、迎えは来るんだが…………そうだな。
めでたい印象で去ろう。
めでたい……とは……?
……
…………
ある島で、何者かによって領主が倒された事件の真相は、帝国と連邦により、ほどなく世間の明るみに出た。
真実を知った島民は<闇>に支配されていた事実にぞっとするも、すぐに希望を取り戻したという。
なぜなら、それは――
破壊された教会から、黒い飛行艇へと乗り込んでいった二人の男女が――
――絵に描いたようにお似合いの花嫁と花婿で……
……ご婚儀を見たかった民衆は、その二人をー目見たところ、全員、満足してしまったからだとか……
…………
……
………なんとか。
キャトラ、なにを見ているの?
新聞。ねぇ、ルウシェ~?
…………
アンタ、ものすごく有名になっちゃったわね~?
もう!バイパーさんが……!
(そっか、バイパーさん、新聞のノウハウがあるんだった……)
アイドルもやってたし……アンタもう、外で悪いことできないわね。
元々やりませんよ!もう!
<――こうしてルウシェとアシュレイの二人は、しばらくの間――
『幸せな結婚』の代表例のように扱われてしまうのだった。
……もちろん、それは、情報操作の意味も兼ねていたわけだが――>
その胸に抱くは希望の花束 ルウシェ・エルレンシア
その他