【白猫】カレン(クリスマス)・思い出
真紅の聖夜 カレン・ガランド cv.瀬戸麻沙美 聖夜の舞台に立つ、剣誓騎士団副長。 その姿は立つ場所が変われども、誇り高い。 |
2016/11/30
メインストーリー
思い出1
<クリスマス公演を終えた後、カレンは飛行島を訪れていた――>
いらっしゃい、カレンさん。
ああ、すまないな、突然。
全然かまわないわよ。
カレンさんなら、いつだって歓迎です。
ありがとう。感謝する。
それで今日はどうしたの?
むう。どうしたというか、だな……君たちに協力要請をしにきたんだ。
あの……なにに協力すればいいんでしょう?
それなんだが、私に……君たち庶民のクリスマスを教えてほしい。
べつにいいけど、なんでそんなこと教えてほしいのよ?
私は騎士として、国と民を守らなければならない。そう心がけ、常に民に寄り添ってきたつもりだった。
だが今度の舞台で私は、本当の民を少しだけ近くに感じたのだ。
ふ~ん。ま、騎士って言っても、アンタお姫様でもあるもんね。
……普通の人たちには、近寄りがたいのは仕方ないかも……
ああ。そういうことなのだろうな。ただの役者として接した時、普段より民の顔がよく見えた。だから私は考えたのだ。
私はもっと民の――守るべき者たちのことを知らなければならないと。そして、本当の意味で騎士の本分を果たしたいのだ。
なるほどね。おっけー。わかったわ。協力しようじゃない!
ほんとか、キャトラくん!
モチロンよ!アタシたちが庶民のクリスマスを存分に味わわせてあげるわ!
ありがとう。君たちに頼んでよかった。よろしく頼む!
思い出2
ところで、アンタが今までしてきたクリスマスって、どんなのなの?
ふむ。そうだな……私にとっては公務だった。
……公務ですか?
そうだ。私は一介の騎士であるつもりなのだがな。
しかし、ガラントの名に連なる者として、少なからず責務が生じるのだ。
なんだかめんどくさいのねぇ……
まあ、そうだな。そうかもしれない。この日ばかりは、しつこいくらいにドレスでの参加を薦められるしな。
そうなんですか?
うむ。騎士としての正装で十分だと思うんだが……
まあ、パーティーなんだからいいんじゃない?それに鎧とか着て、料理とか食べるのもねー。
料理か……毎度のことだが、ほとんど食べられないな……
なっ!?そうなのっ!?
先ほど言ったが、私の参加は公務だ。パーティーに参加する貴族、他国からの来賓などの相手をしなければならない。
それこそ、口に出来るのは、飲み物くらいだ。
……そうなんですね……
ま、私にとっては、あんな場所では食欲もわかないから、たいした問題じゃないがな。
どういうことですか?
貴族同士の優雅なお喋り――と言えば、聞こえも悪くないが……実際は、誰もが相手を陥れるため、虎視耽々と隙をうかがっている。
不用意に気を許せば、なにを約束させられるか、知れたものではない。
ああ……なんか想像してたのと全然違ってたわ……アンタ、寂しいクリスマスを送ってたのねぇ。
反論の言葉もないが……これも私の務めだったのでな……
カレンさん……
つまらない話をしたな。すまない。忘れてくれ。
思い出3
さて、それじゃ、クリスマスパーティーの準備始めるわよ!
うむ。では、私はどうすればいいか指示をくれ。
そうね。なら一緒に飾り付けをするわよ!
飾り付け……そうか。そういう事も自分たちで行わねばならないのだな。
そうよ。ウチはみんなで準備して、みんなで参加するのよ!
わかった。是非、私も参加させてくれ。
いい返事だわ。アイリス。
カレンさん、私と一緒に、この色紙を輪にして繋げてください。
これは……紙で鎖を作るのか?
はい。これも飾りのひとつなんです。
そうなのか……わかった。やってみよう。
ふむ。緑の次は赤、次は緑……む。輪の大きさに違いが……よし。
できたみたいね。それと、こっちのキラキラしたのを一緒にツリーと部屋に飾るのよ。
うむ!わかった!
頼んだわよ。アタシたちは、追加の飾りを作るわ。
了解した。こちらはまかせてもらおう♪
***
……クリスマスっていうより、ハロウィンね、これ……
……す、すまない……こんなつもりでは……
ああー……うん。アンタに芸術方面の才能が全然ないの忘れてたわ……
ぐっ……ぬ……
でも、なんか強気で任せろって言ってたじゃん。あの自信はなんだったの?
絵に関しては自覚していたが――まさか飾り付け程度のこともダメと思ってなかったのだ……
カレンさん。私はカレンさんの飾り付けも個性的でいいと思います。
アイリス様……
ま、楽しければいいわよね。自分で飾り付けたってことがじゅーよーなんだし。
君たちも……感謝する。
それはいいから、ほら。続きやっちゃうわよ!
うむ!
思い出4
さて、次は交換用のプレゼントを用意するわよ。
む?交換用とは……どういうことなのだ?
どうって、プレゼントは、みんなで持ち寄って交換するのよ。
誰が誰のプレゼントを受け取るか、わからないので、誰にでも喜ばれるものを用意するんです。
……そうか……民の間では、そういうシキタリになっているのか……
シキタリとかじゃないけど。これがお楽しみのひとつにはなってるわね。
カレンさんは、プレゼント交換とかしたことないんですか?
う、うむ。私は……というか、私のような家の娘は、プレゼントをもらうだけだったな。
贈る場合でも、特別に親しい相手にだけだ。不特定多数での交換は経験がない。
そうなんですね……
それに相手によっては、送り主から求婚や頼み事の意味合いもある。
げげっ!?そうなの?!
貴族間での習わしだがな。面倒なことだ。
そんなプレゼントじゃ、素直に喜べないわねぇ……でも、大丈夫よ。アタシたちの間には、そんな意味はないから。
純粋に、もらった相手が喜ぶと思うプレゼントを用意すればいいんです。
そうか。……なんだか、気持ちが楽になった。
しかし、相手が喜ぶものか……むぅ……これはこれで難題だな。
そんなに悩まなくても大丈夫よ。アンタがもらって嬉しいものを選べばいいんだから。
私がか……しかし、自分本位のものを、他の誰かが喜ぶだろうか。
カレンさんのことを、もっと知ることができて、私なら嬉しいと思います。
っ!?
アタシも楽しめると思うわよ。出来ればカニカマが一番だけどね♪
……そうか。その言葉、とても嬉しい。
そして……だからだろうな、今私は君たちを心から喜ばせたいと思っている。この気持ちが、大切ということなのだな……
それじゃ、これでかいさん!なにを選んだかは、ナイショだからね!
うむ。わかった。とびきりのプレゼントをみつけてみせよう。楽しみにしていてくれ♪
思い出5
――ふぅ。
カレン、ちゃんと楽しんでるぅ?
ああ。もちろんだ。
このように雑多な賑わいでのパーティーは初めてだが、不思議とあたたかくて安心する。
気に入ったならよかったわ。それで、さっきのプレゼント交換、なにもらったの?
私は……これだ。
<カレンは可愛らしいデザインのてぶくろを取り出した。>
あ、それ……私のプレゼントです。
あぁ。このプレゼントはアイリス様でしたか。
はい。気に入ってもらえましたか?
とても。こんなに素敵なプレゼントは、久しぶりだ。
ほうほう。アンタがプレゼントを喜ぶとはね。それって誰からもらったの?
……セリア様からだ。
たった一度きりだが、まだ幼い頃にクリスマスプレゼントだと、小さなオルゴールを頂いた。
今も自分の部屋に飾ってある。……私の宝物だ。
そうなんですね……
私にとってセリア様がいらした、あの頃が……一番幸せな時間だっただろう。
もう、そんな穏やかな時間は、私に訪れることはないと思っていたんだがな……
ふふ~ん♪それは予想が外れたわねぇ♪
ああ。嬉しい誤算だな……本当に。……いつか……
?
ふと思ったのだ。いつか私も誰かと……こんなクリスマスを過ごしてみたいとな。
ん?今、過ごしてるじゃない。
そうだな。……たが、この時間は私が作ったものではない。
私は――君たちの時間に、混ぜてもらっただけだ。
そんなことは……
いいんだ。とてもありがたく思っているとも。
ただ、私には無理だとわかっていても、少しな……羨ましく思ってしまった。これも私の甘えだな……
思い出6 (友情覚醒)
……君の光は変わる事なく、暖かく私を癒やしてくれるのだな……
ありがとう……そしてすまないな。また甘えたことを言ってしまって。
私たちは、甘えだなんて思っていませんよ。
そうね。それにアンタがその気になれば、そんなのすぐにどうにでもなるでしょ。
む?それはどういう意味だ?
どうもなにも、そのままの意味よ。アンタにいろいろ事情あるのは知ってるわ。でも――
アンタのまわりにいるのは、なにも悪いヤツばっかりじゃないでしょ。
それは……いや!キャトラ、そもそも私の回りに悪い者など……
じゃ、言い方変えるわ。
アンタのまわりにいるのは、なにもアンタを寂しくさせるヤツばっかりじゃないでしょ。
……っ。
アタシたちだけじゃないわ。あの戦いの中で、たくさんの人と仲良くなったでしょ。
だが……それは甘えだ……
はぁ。アンタ相変わらずすぎよ。
カレンさん。もっと私たちに頼ってください。甘えてください。
アンタのちっぽけな甘えくらい、みんな笑って受け止めてくれるわ。ディーンとかキースたちだって同じこというわよ。
……そうか……ああ、そうだな。たしかに言いそうだ。
セリア様が私のために亡くなられ、私には……もうそんな時間は縁のないものだと思っていた。
だが、君たちのいう通りだ……ディーンたちのことを忘れるとは。これは少し叱られるかもしれないな……ふふっ。
そうよ。ま、これから心をいれかえるなら、黙っててあげてもいいわよ。
甘いな、それは……たのむ。
おっけー♪
ふっ……私は幸せ者だな。こんな私を叱り、甘やかしてくれる友がいる――
信じてくれる者たちがいる。信じられる者たちがいる。ひとりではない……
カレンさん……きっといつか、ミューレアさんとも……
……そうだな。いつか……信じよう。
ミュージカルナイト カレン・ガランド
その他