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Brave The LionⅡ Story2

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん

story3-1 時同じくして訪れし者



<ルーンチェーンソーの獰猛な唸り声が、人影の消えた廃村にこだまする!>

「断ち切るッ!!」

<ギュルギュルと回転する刃が、邪悪な意識ごと魔物を分断する。>

「これでよし――」


「――ガキが。」

<音もなく現れた男、その両手に携えた凶悪なノコギリ状の武器が、一体の魔獣を瞬時に10数個の肉片へと分かつ。>


「止めは確実に剌せ。堕ちてからでは遅い。」

「……私はあなたのように<刻む>趣味はないのよ、バイパーさん。」

「フン……そんな口答え、どこで覚えた?」

「どこでだっていいでしょ。」


「いいわけないわね。」

「穿つ!」

<――女性が両手に持った大槍が、さらに一体の魔獣を貫き、その身を爆裂四散させる。>

「退魔士の使命は<混沌>を滅すること……徹底的にね。

わずかでも<混沌>に染まる可能性があれば、それは敵。

与えるべきよ……完全な<無>を。

言われるまでもない。そうしているわ。

……ククク。

……なにがおかしいの?

なに……『そうしている』ように見えないから、セラは親切に忠告しているのに、と思ってな。

……! 子ども扱いしないで!

メア……お前、何体の<混沌>を滅した? 100か? 200か?

……! 300は超えてるわよ!

一桁足りん。

くっ……!?

メア。退魔士は兵隊なのよ。より早く。効率的に。より多くの<混沌>を狩るそれだけでいいの。

メア。学べよ。通常、個々人で仕事をするのが退魔士だ。そんな中で、<ルーンジグソー>のこの俺と――

<ルーンギムレット>のあたしと共闘出来るなんて、あり得ないんだからね。普通は。

…………

行くぞ。速やかに島内を調査する。

ええ。


退魔士は……それだけなの……?



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story3-2 獅子を狩る者たち


どうだ?

予想通りね。この村は、滅んでから50年以上経過している。

(……予想通り……?)

これって、何を調べているの?

メア。今回の狩りは、俺たちが上で、お前が下。そうだな?

無駄口叩かず、戦ってればいいのよ、お嬢ちゃんは。

……私は兵隊じゃないわ。

違うでしょ? あなたは兵隊にすら<なれていない>のよ。偉そうに語らないでくれる?

……!

セラは親切だな。

ええ、自分でも呆れるわ。

……?

行きましょうバイパー。ここは全ての証拠が抹消されている。

待って!

……なんだ?

……私たちの目的は、なに?

……<獅子>狩りだ。

……じゃあどうしてこんな寄り道が必要なの!?

行くぞ、セラ。

ええ。

待ってよ!

……証拠が、抹消されている……? どういうこと……?


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story3-3 貫く意志の力



……通路を埋める土砂と岩石が、ブ厚い層になっている。

廃棄『した』形跡があるわね。二十、いや、三十年ほど前かしら。

……さっきの村といい、捨てられた年代まで、よくわかるわね。

人が触れたあらゆる物には、痕跡があり、意志が宿る。

痕跡を見抜く術は、学習で得られる。あなたにはそれが足りていない。

それならばと、意志を感じ取る力も――あなたは全然使いこなせていない。

<意志>を<感じ取る>……?

セラは優しいな。

ホント、そう思うわ。

なにが……言いたいのよ?

下がっていろ。セラが、穴を<穿つ>。

――!?

――<穿つ>!

<セラの構えた<ルーンギムレット>が、命を宿したかのように激しく跳ねる!>

はぁッ!!!

<先端が閃光のように疾り、通路を埋め尽くしていた大質量に、人が通れる大きさの穴を空ける……!>

これが<意志>の力。あらゆる塊からー点の脆さを見抜き、<穿つ>、意志。

……<意志>が力になるなら……それを捨てて、機械的に任務を遂行するだけの兵隊になるのは……

……なに?

言ってることが矛盾してるわ。

してないわ。

ちょっと! 待ってよ!


……メア。

なによ。

対象を狩るための兵士になりきること、その先にも、<意志>はある。

……どういうこと?

俺はセラほど親切じゃなくてな。自分で考えろ。

…………



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story4-1 廃墟の深部



<広い空間に、人工物の残骸と、大型の生物の骨などが散らばっている……>


さしずめ、魔獣のトレーニングルームってところかしらね。

メア。 <混沌>は感じるか?

え!? ……いや、ここには、何も感じないけど……

そうか。

……ねぇ、教えてくれない? 一番下っ端でも、私も同じチームでしょう?

何も知らないままじゃ、いざというときに連携が取れないわ。

<獅子>を狩る……って、<混沌>を滅するいつもの仕事と、何か違うの?

……いつもの仕事、か。誰に頼まれた仕事だ?

え? ……それは、<混沌>によって被害を受けている人や……

それは正確ではない。

……じゃあ、つまり、それらの依頼を取りまとめている……

そう。退魔士――一族の長たち……退魔士の中の、上層部からの指令よね。

そうね。……それがどうしたの?

今回は違う。俺とセラは、この島で<獅子>を狩るという『提案』を通した。つまり――

メア。この仕事のあなたのクライアントは、あたしたちよ。

――!?



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story4-2 退魔の系譜


――はるか昔、一人の退魔士が、一体目の<混沌>を滅した。

しかし、<混沌>は、際限なく湧き続けた。

対抗するために、退魔士は一族となり、長年のうちに、数派に分かれた――

それがどうかしたの?

それって、何年前のことだと思う?

何年……前?

退魔士の系譜には偽りがある。

――!?

退魔士の歴史は、思った以上に浅い。おそらく長くて百数十年。

俺とセラは、そういう結論に達した。

待ってよ、頭が混乱してる……!

体を動かしているうちに、思考もクリアになるだろう。

他人事みたいに言うのね……

とんでもない。あたしたちだって内心ドキドキしてるわ。

とてもそうは見えないわよ。

くぐってきた修羅場の数の違いかもな。

簡単に言ってくれるわ。

……一つだけ今教えて。その、退魔士一族の隠された真実って……一体なんなの……?

簡単に言ってくれるわ。

……この島には禁忌の研究施設がある。

生命と生命を掛け合わせ、新たな魔獣を作るという、狂気の研究をしている。

生命を掛け合わせる……

……人間も含めてな。

そんなの……! 世間に知れたら……!

あたしたちもただじゃ済まないでしょうね。

え?

その合成に――

<混沌>が利用されているかもしれない。


――!



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story4-3 第三の男



<――一行の眼前に、ひと気のない研究所がひっそりと佇んでいる――>


ここは……島の外からも見えた、中心の施設の別館かしら?

そんなところか。少しは期待出来そうだな。どうだ、セラ?

……なにか違和感があるわ。

違和感?

入り口に敷物があるわね? 朽ち果ててはいるけど。それに……花壇。

どことなく、細やかな配慮の痕跡が見える……女性の研究者がいたのかしら?

女性……?


おーう! ここにいたのか! 探したぜ、おめーら!

それはこちらのセリフだ、オズマ。まあ、探してはいなかったがな。

おいおい、強がるなよ? オレがいなくて心細かったろ?

なぁ、セラちゃん? 仕事ハネたら飲み行かない?

仕事とプライベートは分けるようにしてるの。

くーっ、つれないねぇ。

じゃあ、メアちゃん。

イヤです。

ウソだろ!? このオレが二連敗だと!? 史上初だぜ! どーしてだ!?

『じゃあ』は失礼だろ。

『じゃあ』、バイパー……っと、口が滑ったぜ。

俺は今夜空いてるぞ。

ふざけろ、このオズマ様が野郎を誘ってられっかよ。


<ルーンマグナム>のオズマさん。

なんだ~い? メアちゃん?

真面目に仕事してください。

ハハ、冗談きついぜメアちゃん。このオレが、仕事中にふざけてるように――

見える。

見たくもない。

くう、最高だぜおめーら!ただし見る目はねーな!もっと遠くの緑を見ろよ!視力が良くなるぜ!

もっと目が良くなったら、より一層あんたなんか視界に映したくなくなる。

……なー、セラちゃん?

……なに?

オレだからいーけど、そーゆー愛情表現は、男を遠ざけちゃうぜ?

…………

パシャ! 心のルーンカメラにしっかりとおさえたぜ!いまのセクシーな表情!


オズマ。何か手がかりは掴んだか?

うんにゃ。そーゆーモンはよ、こーゆーアヤシイ建物ン中と相場が決まってらーな。

さあ、行ってみようぜ――って、おい!この扉、鍵かかってるぜ!?開けてくれよバイパー!

出来るだろうが、自分でやれよ……



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story5-1 別館の奥で


オラァッ!

木製の扉なら蹴破るんだな。

騒々しい男……

男には二種類いる……陰気な男と、疲れると陰気になる男さ。

は?

オレはそのどっちでもねぇぜ!つまり、最高の男ってワケさ!

…………

頭が痛くなりそうだわ。……ここは……やっぱり、女性の部屋のようね。

何のニオイもしないぜ~?

当たり前だ。昨日今日引き払ったわけじゃないだろう。

そーゆー常識的なロジックで考えるの、オレはあんましイイとは言わねーぜ?

お前がいると話が進まないな……セラ。痕跡から、他に何かわかるか?

……ここにいた女性、いたくなかったんじゃないかしら。

……どうしてそう思う?

女のカンね。

……くくく……はっはっはっはっはっは!

うるさいわね。

……くっくっくっく……

オズマさんって変な人……

何をいまさら。……ふむ。あそこの壁、さらに奥があるな。

おう、バイパー、そんならとっとと穴開けてくれや。

セラ、頼む。

下っ端のお嬢ちゃんの出番かしら?

え? え?

おい、持て待て。メアちゃんに押し付けるなよ。しょうがねぇ、オレがやってやっから。

最初からそうしろ。

<――オズマはコキコキと首を嶋らすと――――次の瞬間!>

ゲホ、グホ……!埃、溜まりすぎなんだよ!キレイ好きのオレにゃあ堪えるぜ!

自分で巻き上げといて。

もう少し加減しろ。

いいだろ、穴は開いたんだからよ。

……速い……!いま、<ルーンマグナム>を撃ったの……?まるで動きが見えなかった……!

あなたは目が悪いわね。

あなたたちが良すぎるのよ。

違うでしょ? 別のモノに頼っているからよ。

んじゃ、行っか~、っと。

……別のモノって?

だから言ってるだろ。俺は親切じゃないんだ。

そう……でも、なくない?

自分で考えろ。



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story5-2 反抗の隠し部屋



<隠し通路の先には、小さな部屋があった。

埃をかぶった壁際の本棚には大量の書類がある。長い間使われていないようだ。>


……ヒュ~……やっちまった……!……手荒すぎたぜぇ……!

? 隠し通路の開け方がですか?

いまさらね。

小さなことにこだわるな。事と次第によっては、この島ごと沈める選択肢も視野に入っている。

おっかないこと言うねぇ~。

まとまった資料があるな。さて、調べるか。

ええ。



…………

……


……全然わかんない……!

研究資料だからな。素人には難解に映るだろう。

あなたたちはわかるの?

欲しい情報かどうかくらいわかるでしょ。

……ほとんど、読めもしないんですけど……

それは勉強不足。

……こういうのも、退魔士に必要なスキルなの?

退魔士とは関係ないわね。目的がある人間には、それに関する知識が必要でしょ。

……私は、<混沌>を滅することだけが目的の、兵隊なので……

こんなときばかりそういう言い方をするもんじゃないわ。

知識の多寡は個人差がある。だが、学ぶべきものから逃げようとする姿勢は、プロ失格だろうな。

……くぅ~……!

悔しければやれ。

……やるわよ! でも、どんな情報が欲しいのか、教えてもらいたいんだけど!?

知ってる単語を探して。<混沌>とか、退魔士とか。

字が汚くて読めない。

違う。そういう符牒だ。

ううっ……!

仕方ない。お前はカンでやれ。その方が得意だろ?

そう……なのか、自分ではよくわからないけど……

とりあえず、そろそろ黙ってくれるかしら?気が散るから。

……オズマさんが消えたんですけど。

いい。

いいの!?

あんなチョビヒゲに頭脳労働を期待するな。

……ぷっ……

はぁ~い……



……

…………


転遷析出真法提案……どの資料も、可逆性についての研究ばかり。

予想外の人物が、ここにはいたようね。

…………

わからないか?

……はい……

つまり、この部屋の主は、<分ける>研究をしていたってことよ。

<分ける>……?合成魔獣研究所の別館で、そんな研究を?

だから隠し部屋なのだろう。真っ向から理念に反しているからな。

合成なんかおかしいって思う人が、内部にいたってことよね?それっていいことよね?

――でも、この研究棟が放棄されたっていうことは、……そういうことでしょう?

あっ……!

反対派を排除してのち、合成研究はさらに暴走しただろう。歯止めが利かなくなったわけだからな。

本館へ向かうぞ。やはり、目的の情報があるとすればそこだろう。

ねぇ!

なんだ?

魔獣を生み出してるなんて、人間への裏切り行為よ!しかも、人間自体も材料にしてるんでしょう!?

この事実、明るみに出して、この研究施設や、その背後にいる国なんかを、どうにかするのよね!?

あたしたちの目的はそういうことではないわ。

そんな!?

――あの男はソレもやるかもな。

案外世話焼きだしね。


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ノーマル

   Brave The LionⅡ Story1

分岐 Brave The LionⅡ Story2 メア ルート

   Brave The LionⅡ Story3 カティア ルート

   Brave The LionⅡ Story4 メイン ルート

   Brave The LionⅡ Story5 メア ルート

   Brave The LionⅡ Story6 メイン ルート

   Brave The LionⅡ Story7 カティア ルート

   Brave The LionⅡ Story8 メイン ルート

合流 Brave The LionⅡ Story9


ハード

   Brave The LionⅡ Story H-1

   Brave The LionⅡ Story H-2

   Brave The LionⅡ Story H-3

   Brave The LionⅡ Story H-4

   Brave The LionⅡ Story H-5






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