白猫ミステリーランド! N-Story4
story 6-1
これは……バッジ、ですね……
ふむ……見た所。
ファッションで付ける類の物ではなさそうだ。
刑事さん、わかるか?
ブンタ (刑事)
……いやー、ちょっと
見覚えがないですなあ……
クムチ (刑事)
……ええ、ハイ。
…………むむ…………
今までとは雰囲気が違う証拠品ですね……
もしかして……
犯人が身につけていたものとか?
その可能性も無くはないな。
よし、もう少しこの辺を調べて――
……だから、なぜ俺についてくる。
面白いからだ。
面白がるな。お前の担当区域は
ウェルカムゲートだろ。持ち場を離れるな。
そう言うなよ。
同じ<連邦>の者として
仲良くしようじゃないか?
俺はもう、どこにも属してなどいない。
……ライフォード卿。
知っているさ。<侵略者>よ。
ネモさん、ライフォードさん!
これはレディ。
そろそろ来る頃だと思っていた。
……久しぶりだな、主人公。
なぜ、お二人が……?
俺はここで臨時の警備員をしている。
フリーランスの<侵略>は稼げないらしいな。
黙れ。……お前はどうなんだ。
<嵐の国>に属する軍人が、
テーマパークの警備員とはな。
戦がなければ軍人などに用はない。
暇だって持て余すさ。
なるほど、優秀な警備員とはお前らのことか。
触れずともわかる。
……鍛え抜かれた、戦士の筋肉だ。
研ぎ澄まされた名刀のような……
え……筋肉が、刀……!?
こわいです!!
例えだ。
話は全てジモー卜から聞いている。
仕方ないが、これも仕事だ。協力してやる。
あの……ノアさんは一緒じゃないんですか?
ああ。ジモ島には来たがって
いたが……それよりも、タコヤキの
新作メニュー作りに夢中になっていてな。
見目麗しいレディよ。
俺と共に、ミステリーを楽しもうじゃないか。
え……あ、はい!
またお前はそうやって……
臨時といえど、警備員の自覚があるのか?
俺達はジモートランドに忍び寄る
不埓な連中の侵入を防ぐのが仕事だ。
集中しろと何度言えばわかる。
その意気や良し。だが、
現実はしっかりと侵入されているじゃないか。
ぐ……!
だからあれほど、警備は入場口付近に
集中させるべきだと言っただろう?
真正面から乗り込んでくる
バカがどこにいる。
わかりやすく裏口から
入ってくるバカもいないさ。
え……じゃあ、バカさんは
とこから入ってくるんですか??
ネモ&ライフォード
……………………
とにかく、人員は均等に配置すべきだ。
園内に穴を作るわけにはいかん。
等しく配すればこそ、穴を
見抜かれやすくなるぞ。
その時の状況によって、
重点的な警備ポイントを――
ああ、そうか。そうなのか。
そうなんだな!
口論をしている険悪なムードの
二人とは、お前らの事だな!
………………ええ、ハイ。
なあんだ、じゃあ
今回もハズレですね!
警備員さんが悪い事するわけないですし!
『悪い事をしないと思われている
警備員だからこそ、悪い事を考えている』
――こうも考えられないか?
レディ。果たしてその
先入観はいかがなものだろうか。
えっ!?だとすると……
まさか、あなたが犯人!?
ものの例えさ。
余計な事を言うな、ライフォード。
彼女が混乱する。
だが、その考えは正しい。
実際に、警備員が犯人だった、
という事件を手掛けた事があるしな。
いいか、リリー。
……常に考えろ。そして常に疑え。
真実を見抜きたいのならな。
…………
はい! わかりました!
だが今回のケース。
犯人は警備員ではないだろう。
……クロードさん。やっぱり、
マッチョさんたちが怪しいと……?
…………
story 6-2
さて、本題だ。
この警備バッジだが……
もしかして、お前らの内の
どっちかが落としたか?
俺は落としていないぞ。
そんなヘマなどしないさ。
…………
……おや? どうした、ネモ。
そんなしかめっ面をして。
まあ、いつもしかめっ面だが。
服も乱れているじゃないか。
警備員がそんな事でどうする。
よく言うだろう?
『服装の乱れは心の乱れ』と。
……は! よくみるとバッジが
ないな。まったく、警備を司る者の
象徴を失くしてしまうとは嘆かわしい。
クロードが持っている物を
借り受けたらどうだ?
…………お前、俺をからかって
そんなに楽しいか?
からかってなどいないさ。
嘘をつけ!!
なるほど!!
ネモさん、警備バッジをうっかり
落としちゃったんですね!
バッサリいったなお前。
落ち込むことないですよ!
私もよく、ものを落とすんです。
えへへ、お恥ずかしい……
お前は物を落とした事自体
忘れそうだがな。
…………
拾ってくれて感謝する。
返してもらえるか?
あ、いや、それがですね。
一応、捜査過程で見つかった
証拠品、という扱いになるので……
…………ええ、ハイ。
かわいそうなネモ君だ。
うるさい。
……わかった、そういう事なら
仕方がないな。
……では、警備員の二人に
事件についての話を聞きたい。
いいだろう。何か聞きたい?
ただ……俺達は怪しい人や物は
何も見ていないぞ。
警備員として恥ずかしい限りさ。
ふむ……
では、ボディビル大会の警備についてた。
大会の参加者は、ジモ島に着いてから
どのような流れで会場入りするんだ?
ウェルカムゲートには、
一般来場者とは別に参加者専用の
ゲートを設けている。
船から降りて園内に入る際には、
まずそこで手荷物検査を
受けてもらう必要があるんだ。
手荷物検査、か……
…………ええ、ハイ。
不正に繋がる恐れのある物は
全て持ち込みを禁止している。
薬や飲食物などがそうだな。
それ以外であれば、比較的自由に
持ち込みが可能なはずだ。
ただし、リスト化はされるがな。
<オイル>はどうだ?
オイル?
ボディビルダーは大会でよく
オイルを塗るだろう? 確か、
<ワールド・マッスル・フェス>も
使用可能だったはずだが……
……知らないのか? 筋肉探偵。
……? 何をだ?
確かにこの大会ではオイルは
持ち込み可、使用可だ。
しかし、長年開催する内に、
<暗黙のルール>が出来たんだ。
暗黙のルール?
慣例、と言ってもいいだろう。
『オイルは使わない』、というな。
特に、決勝に進むような強者ほど
その慣例を大事にしているようだ。
オイルなどに頼らず、純粋に
鍛え上げた肉体のみで勝負する、
という信念がこの大会にはあるようだな。
……ああ、そうだ、そうだった!
……俺とした事が……!
世界的に有名な大会の慣例を
ド忘れしていたとは……!
『己の肉体にのみ溺れる者は、
太陽を見ずに生きる者の如し』
――俺の馬鹿野郎!!
クロードは猛烈な勢いで、 腕立て伏せを始めた! |
ハッ! ハッ! ハッ!
ハッ! ハッ! ハッ!
……ふう。なるほどな。
道理で楽屋にオイルが
一つもなかったわけだ。
あれ、そうだったんですか?
全然気がつきませんでした……
ちなみにオイルを持ち込む
場合は、不正防止として中身の
検査が行われるんだ。
それも覚えておくといい。
……なるほど。よくわかった。
そうして入場した後は、
係員が会場の中まで誘導する。
そこでエントリーをしてもらい、
手続きは完了だ。
もう一つ、教えてほしい。
決勝進出者の中で、<ダンベル>を
持ち込んでいた人間は誰か、だ。
え? なんでそんな事を?
では、検査を担当していた
警備員を呼んでやろう。
ああ、頼む。
***
お待たせしました!
ええと、決勝進出者の
所持品リスト、ですよね。
そうだ。
ダンベルを持ち込んでいた者を
読み上げてくれ。
えーっと……
マイケルさん、メイソンさん、
そしてクリスさん、の三人ですね。
やはりか。
……わざわざすまなかったな。
もう大丈夫だ。
え?は、はあ……
えーと、何が『やはり』なんですか??
<ヤツ>は嘘をついている。
ヤツ……
……いや、『隠している』
と言った方がいいか。
…………
…………
むむむ……
むむむむむ……
むむむむむむむむ……!!!
story 6-3
マイケル
はあ……
ここは全然ふつくしく
ありませんねえ……
あ……!! あなたは……!!
――マッチョさん!!
そう来ると思ったよ!
マイケル
ああ……あなたは、
ふつくしい筋肉探偵さん
ではありませんか。
まあ、私のペクトレィ~レスの
ふつくしさには敵いませんかね……
マイケルは胸筋をピクピクと動かした。 |
うひゃー!!
こいつはマイケル。
胸筋のスペシャリストだ。
ただ美しい胸筋でありたい。
その為に、行きつけの美容院に
胸筋専用のジムを作った男。
何て迷惑な奴だ……
……握手をしてもらえるか。
マイケル
いいですとも。
握力87kg。
身長195cm。
体重87kg。
体脂肪率-8、5%。
マイケル
ほう……握手だけで私の
ふつくしい肉体を見抜きますか。
……確かに美しい筋繊維だ。
そう、まるで滑らかな絹のような……
マイケル
わかっていただけるとは……
光栄ですよ。
さて――
マイケル
わかっていますよ。もう一度
話を聞きに来たのでしょう?
話しますよ、何度でも。
ビューティフルな私には、
ガイをあんな目に遭わせる理由
などありませんから。
まず、休憩時間の事だ。
決勝審査が始まるまで、何をしていた?
マイケル
お弁当を頂いてから、
外のふつくしい空気を吸いに行きました。
……楽屋の空気が、あまりにも
ジョージに毒されていたもので。
ジョージ……
やたらとテンションが高い男か。
マイケル
そう……そう!!
あの男……気持ち悪いんですよ!
気持ち悪い、とは?
マイケル
だって、暑苦しいじゃないですか!
声は大きいし、やたらと動いて
汗を飛ばしてくるし……!
ああもう、思い出したら
腹が立って来ました!
何なのですか、あの男!
気持ち悪い!
キモすぎます!!
ボディビルとは、ふつくしくあるもの……
あの男はそれをわかっていないのです!!
きいいいい!!
むむむ……
マイケルさんは、ジョージさんが
嫌いだった、と……
マイケル
嫌い嫌い!!
大っ嫌いです!!
楽屋に戻ったのはいつ頃だ?
マイケル
ええと……決勝審査が始まる
20分前ぐらい、でしょうか。
ガイと何やら話していたようたが?
マイケル
ええ……
悔しいけど、やっぱりガイの肉体は
ナンバーワンです。
……ふつくしさでは私の
方が上ですけどね!!
――っていうようなお話を、
ダンベルしながらしてました。
ガイとは親しい間柄なのか?
マイケル
いいえ、とんでもない。
今日が初対面でした。
ふむ……
ガイさんかガリガリになるまで、
怪しい物とか人とか見ませんでした
マイケル
いいえ、何も。基本的に、
自分のふつくしいペクトレィ~レス
を眺めていたので……
なるほど……こんな所
でしょうか、クムチさん?
…………ええ、ハイ。
協力、感謝する。
マイケル
……探偵さん。あなたも大会に出なさい。
……あなたとなら、いい勝負ができそうです。
え……そうですかあ?えへへ……
お前じゃない。
マイケル
では、失礼します。
あ、いたいた!!
ねえちょっとア、アンタたち!!
オバチャンさん!!
あのねアタシね、
思い出したのよオ!!
思い出した……とは?
あら、ネモちゃんにライちゃん。
これはレディ。相変わらずお美しい。
アン、もうライちゃんたら!
オバチャンをからかうのは
やめてちょうだい!
からかってなどいませんよ。
<真実>を申し上げたまでです。
そうですよ!オバチャンさんは、
とってもきれいですよ~♪
アンもう!!
……それで?思い出した事とは?
……アラ、なんだっけ。
んもう、ライちゃんが変なこというから!!
……どうにかして、
思い出してもらいたい。
ええとね、アレよアレアレ、
アレがこうでそれがアレで……
アアそうっ!!!
清掃中に、怪しい人を見たのよオ~~!!
また怪しい人、か……
今度はどんな奴だ?
ええとね、こう、だぽっとした
フード付のロングコートを着た
人がね、早足で歩いてたのよオ!!
髪型とか顔とか全然見えなかったけど、
なあんか尋常じゃない感じだったわねえ!!
ほう……!
……それは、いつ頃の事ですか?
ええとね、アレ、お昼ごろよ!!
具体的に何時頃かは思い出せないか?
ごめんねえ。オバチャン、
働いてる時は集中してるから、
時計とかあんまりみないのよオ。
むむむむむ……クロードさん、
これはもしかして……
怪しいな。
今度こそ、当たりかもしれん。
……そいつはどこへ歩いていった?
あのね、アレアレ!
あの、サムライとか、ニンジャ?
がいる感じの、あそこね!
なるほど、あそこだな。
この情報、役に立つかねえ?
大いに役立ちますよ、レディ。
ご協力に感謝します。
うふふ。……じゃあアタシは
掃除があるから、行くわね!
アアいそがし、いそがし!
よし。早速向かうとしよう。
俺とライフォードは
引き続き警戒に当たる。
何かあればいつでも呼べ。
ああ、頼んだぞ。
主人公、頑張れよ。
君の力も必要なのだからな。
じゃあな。
ブンタ (刑事)
ようやく、捜査が進展しそうですな……
クムチ (刑事)
…………ええ、ハイ。
ブンタ (刑事)
…………
序章 探偵、始動
ノーマル2 ミゼリコルデ&メリド
ノーマル3 ツキミ&ポン
ノーマル4 ネモ&ライフォード
ノーマル5 ザック&フラン
ノーマル7 解答