白猫ミステリーランド! N-Story2
story4-1
…………
アイリス
リリーさん、大丈夫ですか?
怖いのが苦手なら……
……初めてなんです。
こういう、大きな事件に関わるのが……
ビリーさんの娘だろう?
しっかりしろ。
アイリス
あの、さっきから
気になってたんですけど、
ビリーさんという方は……?
希代の名探偵だ。
どんなに難解な事件でも
解決へと導いた、伝説の男……
へえ~。
お父さん、すごい方なんですね。
今回は一緒じゃないんですか?
……探偵という仕事が、本当に
好きだったんでしょうね。
いまはこの世を離れて、天国まで
謎を解きにいってるんです。
あ……ごめんなさい……
いえ、いいんです。
……私、幼い頃からお父さんに
憧れてたんです。
とっても賢くて、
とってもたくましいお父さんが、
大好きだった……
……探偵を生業とする者で、
彼に影響を受けていない者などいないさ。
お父さんが死んで……
私は、改めて決意しました。
お父さんの意志を継ごうって。
意志……
『リリー。謎を解くということは、
人を救うということなんだよ』
……お父さんの□ぐせでした。
だから、いちどは解体された
<コーネル探偵社>を、再び
立ち上げたんです。そして……
大いなる謎への、初めての挑戦、というわけか。
……気張れよ、リリー。
……はい!
……お父さん、見てて……!
私、頑張るから……!
では、捜査に戻るとしよう。
……道中で見つけた、コレだが……
はい!!
カボチャのキャンドルですね♪
かわいいです~♪
切り替え早いなお前。
恐縮です!!
ブンタ (刑事)
……一応、証拠品として
押収しておきますか?クムチさん。
クムチ (刑事)
……ええ、ハイ。
まあ、犯人が落とした物かもしれんしな……
その時。遠くの方から、 かすかに声が聞こえてきた…… |
耳の皮下筋肉に反応アリ。
男の声だな。
???
…………じゅつ…………
こわ…………よ……
ひゃっ!?
ななな、なんですか……!?
時速2、8kmでこちらに
近づいてきている。
アイリス
な、なぜそんなことが……
足音の強弱から筋肉の動きを読み取り、
歩行速度を割り出している。
アイリス
す、すごい……
???
…………じゅつ…………
こわく…………よ……
ひーー!!
そういえばココ、オバケ屋敷でしたーー!!
クムチ (刑事)
……ええ、ハイ。
来るぞ!
じゅーーじゅーつ、
こわくなーーーいよん♪
きゃあああああ!!
アイリス
……!!
メリドさん!?
ふたりとも、久しぶり。
元気にしてたかい?
メリドの全身から、禍々しい オーラが漏れ出ている…… |
……ふむ。警備員が目撃した
人間というのは、どうやら
お前らの知り合いのようだな。
……あなたは、ここの
スタッフですか?
はい。呪術の素晴らしさが
たくさん伝わるって、
ジモートさんにスカウトされて
ここで働いているんです。
『全身から魔力を出して、
暗い通路で――呪術、こわくないよ』
――って言う仕事なんですよ。
お前、騙されているぞ。
エッ。
……まあ確かに、多少の疑問は
なきにしもあらずだけど……
メリドくん、どうしたの?
お客さんが中々出てこないって――
……ああ、みんなだったのね。
アイリス
ミゼリコルデ!
久しぶりね。
ジモートさんから話は聞いたわ。
大変なことになっちゃったねー。
ミゼリコルデも、ここで働いてるの?
そうなの。
ジモートさんにスカウトされてね。
『オバケ屋敷をプロデュースしてほしい』って。
おかげさまで、お客さんからは好評よ。
『こんなに怖いオバケ屋敷は初めてだ!』ってね。
……くすっ。ウチの子たちが
手伝ってくれているおかげね。
なるほど。本物のオバケを……
えっ!?
この、周りを飛んでるオバケさん、
本物なんですか!?
そうよ♪
む、む、む……
むむむむむっ!!
よく見るとかわいいです~♪
(リリーさんにも見えるんだ……!)
story4-2
ブンタ (刑事)
ええと……
捜査に戻ってもよろしいですかな?
クムチ (刑事)
………………ええ、ハイ。
そうでした!!――メリドさん!!
うん?なんだい?
どうしてそんなに禍々しいんですか?
怪しいです!!
え……リリーちゃん。
僕が禍々しいって?
ふふ、冗談が上手いなあ。
そんなに禍々しいオーラで、
外をウロウロして!!
お昼ご飯を買いに行っていたんだよ。
なるほど……
まがまがお昼ご飯ですね!
……え、それってなんです?
自分で言っておいて疑問を持つな。
リリー、メリドくんは違うわよ。
禍々しいけど、いい人だもの。
ミゼリさん……!
僕は禍々しくないけど、嬉しいです!!
メリドの全身が、 どす黒いオーラに包まれた! |
きゃー!! 禍々しい!!
けど、いい人なら違いますね!
アイリス
(いいんだ……!
いや、いいんだけど……!)
そうだな。どうやら
ハズレクジを引いたようだ。
えっ!!
当たりたとなにがもらえるんですか!?
僕は呪術書がいいなあ。
アイリス
…………
やっぱりキャトラが
いてくれた方がよかったかも……
???
………………館長………………
うぎゃあ~~~!!
………………受付が………………
…………渋滞……して…………
…………ます……
あ、いけない。
ごめんなさいみなさん、
お客さんがつかえてるの。
ブンタ (刑事)
……そのお嬢さんは?
入口で受付をしてもらっている、
スタッフのアイラちゃんです。
アイラ
………………………………
…………こん……
……………………
……にちは…………
オバ…………ケ…………
楽し……ん……で……
ま……す…………か……
ウフフ…………
ブンタ (刑事)
(クムチさん……
独特な雰囲気の子ですな……)
クムチ (刑事)
(………………
………………ええ、ハイ。)
ブンタ (刑事)
(…………
……似たようなもんかも……)
では、ひとまず進むとするか。
このカボチャキャンドル、どうします?
ブンタ (刑事)
これは……―応、証拠品……
ですよね?クムチさん。
落ちていただけのものを
拾っただけな気もしますが。
クムチ (刑事)
…………ええ、ハイ。
……一応、預からせてもらって
よいだろうか?万が一、
という事もある。
本当ですか!!
ありがとうごさいます!!
お部屋に飾ろうっと♪
(……キャンドル、か……)
(キャンドル……ロウ……
ロウは油……オイル……)
(そうだ。楽屋を見渡した時――
何かが足りないと感じた。――オイルだ。)
(ボディビル大会では使用する事も多い。
<ワールド・マッスル・フェス>も確か――)
(――だとしたら、楽屋に
オイルが一つもないのは
おかしい。……ふむ……)
クロードさーん!!
置いてっちゃいますよー!!
……ああ、今行く。
アイラ
………………………………
story4-3
へえー、リリーは
名探偵の娘なのね。
ドヤァ……
くすっ。もしオバケたちが迷子に
なったら、捜索を依頼するわね。
はい!!
捜索は得意ですから!!
ネコちゃん探しは特に!!
……なぜか毎回、気づいた時には
ワンちゃんを抱いてますけど……
アイリス
(それは得意……なのかな!?)
メイソン
これはこれは。
遊んでるヒマなんてあるのか?
えっと、えっと……
……マッチョさん!!
お久しぶりです!!
お前絶対忘れてるだろ。
えへへ。
褒めてない!!
主人公&アイリス
…………。
こいつはメイソン。
上腕二頭筋のスペシャリストだ。
腕だけでなく、全ての筋肉が
トップレベル。前回大会では
それまで無敗だったガイに
勝利した程の実力を持つ男だ。
ふむふむ……
……ふむ?ガイさんって
そんなにすごい人だったんですか?
ブンタ (刑事)
<生ける伝説>。
そんな二つ名がつくほどの、
無類の強さを誇るチャンピオン
だったみたいですね。
メイソン
……俺は結局、たった一度しか
ヤツを越えられなかった。
……どうしてだ、ガイ……
俺の……唯一のダチだったのに……
……今更だが、会えて光栄だ。
握手を頼めるか?
メイソン
……ああ。
ふむ、握力92kgか。
身長は184cm。
体重86kg。
体脂肪率-7%。
アイリス
え……ええ!?
光り輝く腕の筋繊維……
ふ、さすが上腕二頭筋の
スペシャリストだな。
メイソン
お前……なぜ俺のことが……!
触れた者の肉体の<ステータス>が
一瞬でわかる。
……それが俺の能力だ。
筋肉へのたゆまぬ愛の結晶、
とでも言っておこう。
ブンタ (刑事)
…………すごすぎる…………
……ええっ!!
カボチャのソフトクリーム!?
すごく美味しいわよ。
今度、ご馳走するわね。
わあーい!!
アイリス
あの、お二人とも、
いまクロードさんがすごいことを――
リリーちゃん。
呪術をトッピングすれば、
もっと美味しくなるんだよ。知ってた?
えっ!!そうなんですか!!
まがまがソフトクリーム!!
これはすごいです!!
アイリス
わ、私がしっかりしなきゃ……!
ところでメイソン……
お前……嘘をついているな。
手の筋肉の収縮運動……
嘘をついた時のそれだった。
……どうだ?メイソン。
…………くくく。
あははははは!そうだよ!!
ブンタ (刑事)
……メイソンさん。あなたは……
唯一のダチ……
なわけねえだろおっ!!?
アイツは、ガイは――
マジで目障りだったよ!
まったく、ホントよかったぜ。
犯人には感謝だな。
生ける伝説ぅ!?
どうせ、不正でもしてたんだろうよ!
ガリガリになったのは
そのせいたろ、きっと。
バチが当たったんだよ。
なるほど……
あなたはガイさんを憎んでいた、と。
憎む?違うな。
俺はヤツが大嫌いだっただけだ。
いつも爽やかなツラしやがって……
虫唾が走るぜ。
へ?憎むのと嫌うのって違うんですか?
え…………まあ、違うな……たぶん……
アイリス
(困らせちゃった……)
刑事さんには話したと思うが……
事件前後の行動や、怪しい物などについて
もう一度話してもらえるか?
メイソン
……チッ。しゃーねーな。
ブンタ (刑事)
あ、ではその前に少し説明を。
大会の流れについて、ですね。
まず、午前中に予選があります。
それを通過した者が決勝審査に
進む事ができるわけですね。
休憩時問はあるのか?
ええ。予選審査が終わってから、
一時間。その後、決勝審査という流れです。
ご存知の通り、
決勝進出者五名の楽屋は
個室ではなく、大部屋です。
その時問、会場の出入りは自由だったのか?
そのようですね。
なるほど、よくわかった。
……ではメイソンに聞こう。
休憩の間、何をしていた?
メイソン
弁当を食ったあと、筋トレをしてた。
腕立て伏せとかな。
なにか、変わったことなどは
ありませんでしたか?
メイソン
そうだな……
マイケルがやたらとガイに
話しかけてたな、確か。
何を話していた?
メイソン
なんだっけなあ……
『ふつくしさでは私の勝ち』だのなんだの。
……それぐらいだよ。
そうか。……協力、感謝する。
えっ!もういいんですか!?
もっと色々聞きましょうよ!
それがな……
…………
あぎゃあ~~~!!
………………はや……く……
お……客さん…………
待って…………る……
ああ、そうだったわ。
『行列ができるけどなぜか
待ち時間がない不思議で
怖いオバケ屋敷』がココの
売りなのに……
私もまだまだね……
メリドくん。スタンバイして。
張り切っていくわよ。
燃えてるなあ、ミゼリさん!
任せてください!お待たせした分、
たっぷりサービスしますから!
メイソン
……じゃあ、俺はいくぜ。
せいぜい頑張れや。
……クロードさん。
メイソンさん、すごく怪しくないですか?
少なくとも、動機はありそうだな。
……さて、さっさとここを出るとするか。
館長~~~!!
あら、どうしたの?
いま、いま……!見たんです!
――<巨大なたぬき>を!
巨大なたぬき……!
むむむ、これは怪しいです!
いや……
ただの着ぐるみとかじゃないか?
巨大な!!!たぬき!!!!!
リリーの目が、らんらんと輝いている! |
はあ……
……おい、そのたぬきはどこにいる。
入場ゲート付近をうろうろした後、
近くの店へと入っていきました!
店、か……
行きましょう!
いますぐ行きましょう!!
序章 探偵、始動
ノーマル2 ミゼリコルデ&メリド
ノーマル3 ツキミ&ポン
ノーマル4 ネモ&ライフォード
ノーマル5 ザック&フラン
ノーマル7 解答