【白猫】ヒヨリ・思い出
無欲な妖精 ヒヨリ・ダイコク cv.江口菓子 みんなを幸せにするために旅をしている妖精。 打ち出の小槌でどんな願いも叶えてくれる。 |
思い出1
私はヒヨリ。みんなを幸せにするために旅しとるんよ~。
ほう。それはご立派ね。
たんに使命を果たしとるだけよ~。私は<幸福の妖精>やから。
よ、ようせい? 人間のように見えるけど……
それな~。ご先祖様らが人間と生活しとるうちに、自然とこの姿になっていってんって。
やからみんなと同じで、お腹もすくし、眠くもなるんよ~。
ふ、不思議ね……
でもさ、それでどうやってみんなを幸せにするのよ?
この<打ち出の小槌>を使うんよ。
これはな~、どんな願いも叶えることができるんよ~。
ヘー、願いをねー……んん? まってまって!
まつん?
ほんとうにそんなことが……!
ん~? 疑っとるん~?
そんなら今から見せてやんよ~。
猫しゃん、欲しいもんとかないん?
うーむ、突然いわれても……
あ、じゃあさ。これを増やしてよ。
なんなんこれ?
カニカマよ。
ようわからんけど、わかったわ~。
(どういうこと……!)
えいや~ほいさ~。
ヒヨリが打ち出の小槌を振ると――
おおっ! カニカマが光って……
見て! ふたつにわかれたわ!
ほいさ~ほいさ~。
10、20、40……どんどん増えていくわ!
すごいわ!? 小槌の力はほんとうだったのね!
ひゃ~くせ~んま~ん。
って……
ぎにゃー!? どこまで増やすつもりよー!
カニカマの山が……!
なんで~? 多いほうがいいんやないん?
限度ってもんがあんでしょーよ!
そうなんや~。
思い出2
はむはむ……
<ヒヨリが真っ白いおむすびを食べている。>
ジー……
ほしいん? やったらあげる。
ごめん、そういうつもりで見てたんじゃないのよ。
<打ち出の小槌>を使えば、もっとぜいたくな食事ができるのにな~って。
ん~、やけど腹に入ればみんな一緒やんか。毎日おむすぴで十分よ。
そんなんで飽きないの? アンタ、欲求とかってないの?
ん~? たとえば~?
おしゃれしたいとか。
ん~、この一張羅だけで十分やしな~。
いっぱい寝たいとか。
5分寝れば十分やしな~。
有名人になりたいとか。
生きてるだけで十分やしな~。
ぎにゃー! なんなのよアンタ!
あんな~。こうなったんのも理由があるんよ~。
りゆう?
一族の掟でな~、<打ち出の小槌>を預かる代わりにな……
<欲>を奪いとられるんよ。
どうして……
私利私欲のために使っちゃいけんからやって。
それはそうね……アタシだったら我慢できないわ。
でもな~、そのせいでみんなん喜ぶツボがわからんくなってん……
そいで、願いを叶えるたびに怒られてな~……
みんなを幸せにするっちゅう使命を果たせんでおんのよ~。
本末転倒ね……
まあこの間みたく、おおげさに願いを叶えられるとね……
あのあと、カニカマ全部食べるの大変だったのよ。
食べたんだ……!?
ん~、<欲>ちゅうもんは難儀やな~。
思い出3
さあ、みんなの願いを叶えんよ~。
主人公たちはヒヨリの使命を見届けようと、小さな村を訪れていた。
どこかに困っているひとはいないかしらね~。
あ、あそこ。
おいちちち……腰が……歳はとりなくないもんじゃのう。
あいよ~。
なんだおめえ?
えいや~ほいさ~。
<ヒヨリが打ち出の小槌を振ると――>
えっ?
<老人が子供になってしまった。>
ちょっとー!? だから願いをおおげさに叶えすぎたってば!
ん~? 若くなりたかったんやないん?
上の階の人……深夜だっていうのに毎日大声で歌っちゃってもう……
あーあ、もっと静かなとこに引越したかったよ。
あい~。えいや~ほいさ~。
えっ?
いい、いまのひとどこにいったのよ!? 家ごと消えちゃってるし!
静かなところにやったんよ~。
いやー!? どこに飛ばしたか聞きたくないわ!
もう! さっきのおじいちゃんともども、ちゃんともとに戻しておきなさい!
あい~。
ねえヒヨリちゃん……もっとひかえめにしたほうが……
そうなんか~?わかった~。
ちくしょうボラれたぜ……あんな見てくれだけの酒場、二度といってやるもんかい……
あー、どこかに金落ちてねえかなー。
ひかえめに~ほいさ~。
お、ラッキー。こんなところに1G……だけか!
けっ! これっぽっちじゃ豆ひとつだって買えやしねえよ!
ぬかよろこびさせやがって! 俺の人生もうおしまいだ!
…………
今度はひかえすぎちゃったわね……
ん~……
どうしたのヒヨリ?
なんか……かなしいんよ……
思い出4
よいしょ~。
<ヒヨリが飛行島のど真ん中に布団を敷いている。>
なにやってんのよヒヨリ……
寝る練習。
はあ!?いったいどうしちゃったの?
みんながなんで怒るんか、気持ちを知りたくてな~。
みんなの真似をしとるんよ。
ふむふむ。<欲>を知るってことね。
そういうこっちゃね。
だからって眠くないのに寝ようとするのはちょっと違う気がするわよ。
そうなんか~……<三大欲求>は二つまでしか教わっとらんからな~……
教わった?
このあいだな。いろんなとこまわって、<欲>について勉強してきたんよ~。
へー、そこんところ詳しく聞かせてもらおうじゃない。
まずな~。<百戦恋魔>っちゅう女ん子に恋愛の手ほどきをうけたんよ。
パンをくわえながら男ん子に体当たりすると、ドキドキがとまらんくなるんやって。
ほ、ほかには?
食事のマナーを守ってるっちゅう女ん子にな。食べっぷりを見せてもらったんよ。
したらワニをデザートにシマウマを……
ほかには!
占星学者っちゅう女ん子がな。あくびをしながら流れ星に願いを100個となえはじめて……
うん、もういいわ。
…………ズバリ! 出会ったひとたちが特殊すぎてなんの参考にもなってないわ!
!?
そう……なんね……
あ……がっかりさせてごめん……
…………<欲>ってなんなんやろね~。
思い出5
ん~……もやもやすんよ~……
ヒヨリ? おむすび食べないの?
あ……忘れとった……米粒、固まってしもうたな……
えっ? おむすびを持ったまま、ずっとここに?
食欲がないにもほどがあるでしょ。
そういうのと違うんよ~。なんか頭がいっぱいでな~。
なにか悩みごと?
ず~っと、みんなんこと考えとったんよ。
どうやったら喜んでもらえるんかってな……
やけど、答えが見つからんくてな……胸んあたりがもやもやするんよ……
ヒヨリちゃん……!
ん~?
それが<欲>ってやつよ。
おお。
ようやくアンタも<欲>をとりもどして、アタシたちの気持ちに近づいたってわけね。
これで願いを叶えても、みんな怒らんようになったん?
い、いや、そういうことではないけども。
ん~、ならどうすればいいん?
そ、それは……
ああ、そうや。
<打ち出の小槌>を使うんよ。
私にいろんな<欲>を集めるんよ。
したら、みんなん気持ちもわかるようになって……
ちょちょちょ、ちょっとー!
そんなことしたらヒヨリちゃんがヒヨリちゃんでなくなっちゃうわ!
ん~、<欲>には勝てんのよ~。
えいや~……
ストップ! ストーップ!
主人公!
思い出6 (友情覚醒)
ん~、まぶしい……なんで邪魔するん?
アンタが不幸になってまで。アタシたちは幸せになりたくないのよ。
そのままで……いてほしいの……
それがアタシたちの願いよ。
願い……
…………
あい~。このままでおんよ。
ん~? みんな……もしかして、喜んどるん?
ええ。願いが叶ったんですもの。
はじめて……怒られんかった……
ふふふ、ヒヨリちゃんの願いも叶ったみたいだね。
そうなんか……それはうれしい……
あ、あれ? どうしちゃったの?
なんかな~……願いが叶ったらな~……
やる気がなくなってん……
へっ?
ま、まあ……願いが叶うってそういうもんかも……
欲が満たされちゃうからね。
それって幸せなん?
私、おもうんよ~。
願いを叶えるために、汗水流してたとさんほうが……
幸せやったんやないかって。
まあ、過程は大事だけども。
やから私、みんなん願い叶えんのやめる。
えっ!?
簡単に願い叶えたら、みんながんばらんくなるやろ~?
そっとしといたほうが幸せやないんかな?
そう……なのかな……
いいわよもう。それでアンタの<欲>が満たされるなら。
ただし、アンタもがんばんなさいよ!
ん~?
アンタは気にもとめてないでしょうけど、
そんな便利な道具もってたら悪いひとが寄ってくるに決まってるわ。
つねに危険と隣合わせってことをきもにめいじて生きなさい!
あい~。
ほんとに大丈夫かしらね……
まあまあ。気にしないほうが幸せなこともあるわよ。
ようわからんけど、がんばってみんよ~♪
幸福の妖精
その他