【白猫】ガブリー・思い出
暴飲暴食の少女 ガブリー・ハングリー cv.井口裕香 食欲のままに何でも飲み込む空腹少女。 マナーを身につけるために旅をしている。 | ||
2015/03/27 |
フォースター10th Story
思い出1
じゅるるぅ……鳥の唐揚げが転がってる……!?
なにやってんのよアンタ。そんなにその岩がめずらしい?
待って、キャトラ。あの子、フォークを岩に突き刺そうとしてるわ……
もしかして食べる気なの!?
――はっ!
えっ? こっちに向かってくるわ!
キャベツ!
パプリカ!
かわいい女の子!
はあ!?
キャトラと主人公を野菜と勘違いしてるみたいね……
アンタなにものよ!
アタイはガブリーだよ!
アタシはキャトラよ!!
生意気な野菜ね! おとなしくアタイにガブられなさい!
キャトラ!
ぎにゃーー!! 噛まれる~!
ぐへっ!
えっ?
ぐぎぎぎぎ……前かけが喉を……
もう、なんなのよ! 襲いかかってきたと思ったら突然苦しんだりして!
しまった……<いただきます>を言うの忘れてた……マナー違反だ……ぐぎぎ……
大丈夫?
ま、まだ幻覚が見え……お、驚かせて、ご、ごめんね猫ぢゃん……
アタイ、ハラペゴになるとときどきみんなが食べ物に見える、ごとがあるんだ、それで、勢いで、ガブるこどがあるの……
まったく、迷惑な体質ね!
思い出2
じゅるるるるぅ……
ちょっと、ガブリー! いいかげんヨダレとめなさいよ!
前かけがビショビショじゃない!
だってハラペコなんだもん。キャベツっていちいち厳しいよね。
キャトラよ!!
ねえ、ガブリー。カニカマを持ってきたんだけど……食べる?
うん! ガブる!
それアタシのぶんなんだから、ちゃんと心を込めて
<いただきます>って言ってから食べなさいよね。
――ガブリンチョ!!
きゃっ!
いきなり口からいった!
ぐへっ! しまった……また前かけが……ぐぎぎ……
これじゃ、カニカマが……飲みごめない……
いったいなんなのよ。その前かけ。
ご、ごれは<おあずけ前かけ>だよ。
食事のマナーを守らないと喉をじめづけでぐるの……
こほっ! こほっ!
ふう……おかげで、満足にご飯をガブれなくて困ってるんだ。
どうしてそれを?
それがね~。アタイがあんまり暴食を繰り返すもんだから、じいちゃんが心配してこれをつけたんだ。
それで、世界中を旅してマナーを身につけてこいって……
はしたないからね~。アンタ。
島のみんながアタイのことを<1日10食、イノシシは飲み物、クジラをおかずにクジラを食べる>って噂してるくらいだからね……
そこまで食いしん坊じゃないのにー!!
なによ、そのあからさまな噂は。それで、実際のところどうなのよ?
イノシシをオカズにイノシシをガブってただけなのにー!
って、ほとんど合ってるじゃないのよ―――!!
思い出3
いただきます!
よし! 基本はバッチシね。
それじゃあ、今からアンタにマナーを叩き込んでやるから覚悟しなさいよ。
ふたりとも、はやく食べないとスパゲッティが固くなっちゃうよ。
うん! ガブる!
いーい、ガブリー。これはスープが入ってないからスプーンを使わずにフォークだけで食べるのよ。
まかせて! 2秒もあれば十分だよ! 上から一気に、とりゃああああ!
ちょっとー!
なに、ひと巻きで全部食べようとしてんのよ! 量を減らしなさい!
ぐふっ! の、喉が……ぐぎぎ……
ほら、アンタの前かけも怒ってるわよ。
ぐぬぬぬ……スパ……ゲッティィィィ……!
アタイはぜったい……あぎらべない……
そんな状態で食べる気なの!?
ぬぐぐ……細がぐずれば……なんどが飲びこべる……
フォークでスパゲッティを刻みはじめたわ!
もう、なにやってんのよ!
というか、よけい食べづらいでしょそれ……
な、なんぼごれじぎ……
フォークでお皿を持ち上げようとしてるわね。
そのままサラごと口まで運ぶつもり!?
ぐぞおお……あがらないい……
あきらめなさい。
ごなぐぞ……ぬうう……
ぶりゃああああ!
お皿が飛んだ!?
あっ……
池に落ちちゃった……
ぬおおおお!
迷わず池に飛び込んだ!
ぐぎぎ……のぼがじまっで息がでぎな……ごぼごぼごぼ……
思い出4
もぐもぐ……
そうそう。よく噛んで食べることが大事よ。
それで、満腹感も得られるし……
ごちそうさま……
もっと美味しそうに食べなさいよ。
はい。最後はデザートのケーキよ。
うう……
そうそう、フォークで一口ずつ切りながら、ひと噛みひと噛みゆっくりと……
ぐうう……
ガブリー、どうして震えてるの?
食器音には気をつけなさいよね!
ふん! ふん!
どんどん鼻息が……
んぐ! んぐ!
なにも血管が浮き出るほど噛まなくても……
ごちそうさまでしたあああああ!!
そんなに大声で言わなくていいわよ!
あっ、口にクリームがついてるわよ。ナプキンでふかなきゃね。
……ぬがああああ!
こすりすぎよ!
さあ、次の料理を持ってきて!
だから、今のが最後だってば。
ひどい! ちゃんとマナーを守ってるのにあんまりだよ!
あのね、ガブリー。食事というのはマナーを守るだけじゃなくて……
おなかすいたあああああ!!
きゃっ!?
メシメシメシメシメシちょうだ――――い!
うわっ……背筋を伸ばしたままだだこねてる……
だいぶストレスがたまってる感じね……
変な気おこなさきゃいいけど……
思い出5
どど、どういうことよ!?
草木が枯れて……地面に亀裂が……!
池の水もなくなってるわよ!
これはいったい……
あんまし想像したくないけど……まさか。
ジュルルルルルルル……
あっ! ガブリー……?
……いつもと様子が違うわね。
タリナイ……オナカスイタ……オムライス、ハンバーグ、ワカドリノソテー、ジャガイモノチーズヤキ、トマトサラダ、ナマハムサンド、クリームソーダ、キノコピザ、シーフードピザ、マルゲリータ……
こ、怖い……
やっぱりアンタの仕業ね! なにやってんのよもう!
キャベツ、パプリカ、ブルーベリー、オマイラ マトメテ ガブル……
もう、正気に戻んなさいよね!
でも、どうして?
あの前かけがあれば食べられないんでしょ?
前かけはちゃんと喉をしめてるわ。
けど、今のアイツは食欲でその痛みを忘れてるのよ!
アタシが説得してみるわ!
ジュルルルル……
ガ、ガブリー! マナー違反よ!
…………
思い出して! アタシとの特訓を!
イタダキ……ガ、ガ……
が?
ガブリンチョ――――ッ!
キャトラ!
……そう。
アンタがアタシを食べるならそうしなさいよ……猫だから味の保証はできないけどね……
ジュル……
その代わり、もうこれ以上なにも食べないで……約束よ……
ぐうう……きゃと……ら……
ガブリー……!
思い出6
<ルーンの光が
ガブリーの手のひらに集まり――>
ジュルルル……
<炊きたてのお米となって、固く握られていく。>
ええ!? おにぎりになっちゃった……
なんでじゃー!!
…………ガブッ。
食べちゃった……
! ォィ……しい……!
絶妙な塩加減……一粒一粒にそれぞれ個性があって味を引き出しあっている……
うう……なんて……あったかくて優しい味……涙が……あふれてくる……
なによこの展開。
アタイ……今まで味なんて気にしたことなかった……
食欲を満たすだめだけに、目の前の食材を……ガブるだけだった……
<――再びルーンが光を放ち、食い荒らされた島を包み込む。>
見て! 枯れ果てた草木がもとに……
<大地の亀裂から植物が顔を出し、森が生まれ、小鳥のさえずりが聞こえる。>
…………
ねえ、聞いてガブリー。
マナーを守るということは精一杯味わうということ。
精一杯味わうということは全身で命を噛みしめるということ。
それは食事に関わるすべてのものに感謝をするということ。
ア、アイリス……!?
そっか……じいちゃんはアタイにそれを教えようとしてたんだ。
ふふ、しっかり味わうことが最高のマナーよ。それを忘れないで。
うん! これからはヨダレをふいて食事を向き合い……
マナーを守って、ゆっくり味を楽しむよ!
もう、その前かけは必要ないね。
お、おーう……
さあ、基本を忘れずに。
うん!
生きとし生けるすべてのものに全身全霊の感謝を込めて……
いただきます!
胃! 食! 獣! ガブリー・ハングリー
その他