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【白猫】幸福のレストラン Story

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん

2016/11/07


目次


Story1 憂鬱のレストラン

Story2 ほっかほかのレストラン

Story3 激辛のレストラン

Story4 トンコツのレストラン

Story5 激昴のレストラン

最終話 幸福のレストラン



登場人物


ヒヨリ CV:江口菓子
みんなを幸せにするために旅をしている妖精。
打ち出の小槌でどんな願いも叶えてくれる。
ギュスターヴ CV:内匠靖明
強すぎたが故に封印された半竜の青年。
熾龍剣アグリオスとともに眠りから蘇った。



story1 憂鬱のレストラン


私は<幸福の妖精>、ヒヨリいうんよ~。

この<打ち出の小槌>でみんなの願いを叶えにきたんよ~。

はあ?なにいってやがる? 妖精って大丈夫かこいつ?

妖精っていうのはほんとよ。人間の姿をしてるからまぎらわしいけどさ……

ヒヨリちゃんは困っている人たちを幸せにするために旅をしてるんです。

<主人公たちはヒヨリの手伝いをするために、のどかな町を訪れていた。>

なんか困っとることとかないん~?

困ってること? そうだなあ……最近、ちょっと髪を切りすぎて……

あい~。

えいや~ほいさ~。

<ヒヨリが<打ち出の小槌>を振ると――

村人がロングヘアーになった。>

おいい!?なんじゃこりゃあ!

(私と同じ髪型……リボンまで一緒……!)

ん~? 髪のばすんやないん~? なんで怒っとるん~?

アンタがいつもみたく、おおげさに願いを叶えるからよ。

もとに戻してあげましょう! 今すぐに!

あい~。

まったく……ひどい目にあったぜ……

すまんかったな~……

あいかわらず、ひとを喜ばすツボがわかってないみたいね。

しょうがないよ。ヒヨリちゃんは<打ち出の小槌>を預かるときに<欲>を全部なくしちゃったんだから……

あい~。私利私欲のために使わんようにするためにな~。

あ、あの……そこのきみ……

あい~?

あ、ああ、いきなり声をかけてすまない。私は料理人のボーノ。こっちは息子の――

デリツィオです。さっきの力はいったい……

あんな~、私な~。どんな願いも叶えることができるんよ~。

どんな願いも……!だったら頼みがある!俺たちを……

レストランを救ってくれ!

ん~?


…………

……



<――ここはボーノが経営する小さなレストラン。

数年前までは人気の店だったが、客層の変化により今では閉店寸前まで追い込まれていた。>


<マカロニグラタン>に<かき氷>……<お好み焼き>に<カレーライス>……?

なによこのレストランらしからぬメニューは……

なりふりかまっていられないんだ。なっ、デリツィオ。

…………

ん~? そいでどうすればいいん?

客を呼んでほしい……と言いたいところだが、見てのとおり従業員が俺と息子の二人だけだ。

まずは腕の立つ料理人を集めるんだ。そして徐々に店の評判を……できるかい?

あい~。おやすいごようよ~。




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story2 ほっかほかのレストラン



えいや~ほいさ~。

えっ? ここはどこです?

<ヒヨリが<打ち出の小槌>を振ると、どこからともなくお米の少女が現れた。>

突然、呼び出しちゃってごめんなさい。頼めるのがマイさんしかいなくて……

あんな~、ちょっと手伝ってほしいんよ~。

はい?


…………

……


ほっかほかですよ~♪

<マイが力強く、おむすびを握っている。>

はたして、おむすびで集客できるのかしら……

だいじょうぶ~。きっとみんな好いと~よ。私なんて毎日食べと~し。

<食欲>のないアンタの意見じゃねえ……

いやー、お客さん入ってるなあ。

女の子が働いてるってだけで、引きになるもんさあな……てか。ははは。

…………

おうぉうぉう! いつまで待たせんだ! ここにおわすは生ける伝説! 九天神龍皇ギュスターヴ様だぞ!

ん~? 剣がしゃべっとる。

……して、アグリオス。余の飯はまだか?

兄ぃ、待っててください! 頼んだ握り飯がもうすぐ……

お待たせしました! ほっかほかのおむすびです!

きやしたぜ、兄ぃ! こいつは重量感たっぷりだ!

どれ、うむ。味のほうは……美味である。

どうっすか兄ぃ? 昔のイケイケだったころに戻れそうっすか?

……して、アグリオス。余の飯はまだか?

って今まさに食べてる最中だろ! しっかりしてくださいよ!

……さりげなくタメ口だったな?

き、気のせいっすよ~。姉さん、どんどん握り飯を持ってきてくれ。

は、はい……しかし今のでお米がもう……

bはっ、どうやら俺の出番のようだな。

あ、あなたはパン!?

b困ったときはお互い困ったときはお互い様さ。俺たちは兄弟……だろ?

ありがとうございます……力を貸してください……

余の飯は……

b目の前にいるぜ。俺がお前を満たしてやる。

…………

余の飯は……

兄ぃがボケたふりして現実から目を背けようとしている!

bはっ、チキンレースか。いい選択だ。だがな……

rガブってもい~い?

bが、ガブリンチョ!?どうしてここに!

いただきます!!

うわあああああ!!


…………

余の飯は……余の飯は……

兄ぃ! 戻ってきてくれ! 兄ぃ!

おむすび作戦は失敗ね。次を考えましょう。




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story3 激辛のレストラン



激辛でお客さんを集めんよ~。

wそういうことならまかせとけ! 俺の激辛料理を存分にふるってやるぜ!

…………


……余の飯はまだか?

なにいってんすか! さっき小寵包5人前食べたばかりじゃねえっすか!


またきてるわねアイツら……

はて?わしはなぜここにおるんかのう?

それはこっちの台詞だ! あんたの席はあっちだろ!

ご老人が増えてる……

あい~。私もまぜてほしいんよ~。

ヒヨリちゃんも一緒の席に!?なんだかいやな予感がするわね……

wへい、エビチリいっちょう!あまりのデキの良さに鍋ごともってきたぜ!

おうおう。こいつはかなり辛そうだな。

では、うむ。いただこう……美味であるな。

ほえ~?辛さが足りん気がするのう……

あい~。そんなら辛さを100倍にしてやんよ~。

えいや~ほいさ~。

……余の飯はまだか?

そこのエビチリっす。

では、いただこう……むむむ。び、美味であるな。

ほえ~?辛さが足りん気がするのう……

あい~。1000倍にしてやんよ~。

……余の飯はまだか?

それっす。

おいアグリオス。返事が雑になってはいないか?

まあよい……いただ――こほっ!こほっ!

ほえ~? 辛さが足りん気がするのう……

い~ちま~んば~い。

……余の飯はまだか?

それっす。

……余の飯はまだか?

それっす。

……余の――

だから見ればわかるっしょ!その鍋ん中にあるエビチリっすよ!

ほう……卿は余に、この灼熱の液体を飲めと……そう言っておるのだな?

おお?ええ!?な、なんじゃこりゃいつの間に!?

アグリオス……卿を鍛え直すにはよい機会かもしれんな。

やばいっす! この中に入ったら溶けちゃうっす! や、やめ――

うぎゃあああっ!!


激辛作戦は失敗ということで、次いきましょ。

ほえ~? やっぱり辛さが足りん気がするのう……




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story4 トンコツのレストラン



ラーメンでお客さんを集めんよ~。

k<トンコツラーメン>の準備できました。

t期待しておけ。今日のダシは一味違うぞ。

骨のアンタがいうと変な想像しちゃうわね……


……余の飯はまだか?

いいかげんにしてくださいよ!


すっかり常連客ね……

ん~……この匂い……ほわほわすんよ~……

どうしたのよヒヨリ?いくらトンコツラーメンが美味しそうだからって顔をドンプリに近づけすぎよ。

なんかな~。ようわからんっちゃけど、ふるさとの匂いごたっつがな~。

ヒヨリちゃんの言葉がいつにもましてナマってる!?

kあ、あの……

なんで細麺やないん?麺のかたさはもちろんバリカタっちゃろうね?

(ヒヨリちゃんが<欲>を……!)

kえっと……

この店、<高菜>おいとらんやん!どげんなっとっと!

kさっきから、なにをいってるんですか?

あーもう!せからしか!!!

せからしか!?

(一度も怒ったことがないヒヨリちゃんが……!)

ヒヨリ!落ちついて!

!?

ん~……私はなにを……?

と、とりあえず……ラーメンが冷めないうちにお客さんのところに運びましょう。

ヒヨリが顔を近づけたやつじゃないほうね。

あい~。私がやんよ~。


……余の飯はまだか?

おっ、噂をすればきましたよ。

お待たせしました~。

……大丈夫か?

ん~?

ラーメンのスープに姉さんの親指が……

あ~、だいじょうぶ~。私、熱いとかようわからんから~。

いや、そういう意味じゃなくて……

ん~?

ヒヨリの前でトンコツラーメンをだすのは禁止にしましょう。

…………



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story5 激昴のレストラン



2番テーブルにペペロンチーノ持っていってくれ!

あい~。

なんでアタシたちがホールの手伝いを……

それだけレストランが繁盛してるってことよ。

まあいろいろあったけども、なんとか……ね。

…………

デリツィオ! なにぼさっとしてんだ! さっさと運ばねえとコーンスープ冷めちまうだろ!

…………

あん?

私が代わりにもっていくんよ~。

おう! 頼む!


……余の飯はそろそろか?

パターン変えてきた!?

コーンスープもってきたんよ~。

うむ。ついでにスプーンも頼む。


このラーメン、のどごし最高ね。

エビチリおいしい~♪


ん~、みんな幸せそうやね~。

ふふふ、レストランを救うって願い……叶えられてよかったわねヒヨリちゃん。

あい~。

ぐぬううう!?

!?

兄ぃ!? どうしたんっすか!?

なんだこの泥のようなスープは! 不味い不味い不味い不味い!

よくもかような鳥の餌を! おのれ、おのれ! 許さんぞおおおおおお!!!

どうしちゃったの!? めちゃくちゃ怒ってる!

それが……兄ぃがこのスープを飲んだとたんに……

どれどれブホッ!? な、なにこれ甘いような苦いような……

バナナです。

バナナをスープにいれたんです。

そんな……本来なら甘くておいしいバナナが、鍋に入れられたことですべてを台無しに……!

な、なんでそんなことを……

…………

おいどこにいくんだ! 待て! デリツィオ!

うおおおおおおおおおおっ! 滅ぼしてやる!!

そんな……どうすればいいの……

こうなった兄ぃはもう……

町ごと消し炭にしてくれるわあああああ!

ヒヨリ! アタシからのお願い!

ん~?

アイツの記憶を消して!

あい~。

えいや~ほいさ~。

くっそおおおおおお……おおおおう?

…………

……余の飯はまだか?

いつもの兄ぃに戻った!

ふう……なんとかなったわね……

うーん……でも……


なにこの店……

こわい……


よろしくないね~。



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story最終話 幸福のレストラン



…………

はあはあ……こんなところにいやがった……

父さん……

デリツィオ……なんであんなことしやがった……これじゃあの店は――

いやだったんだ!

なっ!?

先代から受け継いだレシピを……料理を……どうしてみんなにふるまっちゃいけないんだ!

それはおめえ……あの料理は流行りじゃねんだ……そのせいで売り上げだって……

そんなもの!そんなもの……なあ、父さん……考え直してくれ……

…………

うるせえ!帰るぞ!


ふたりとも怒っとるん?

私……また願い叶えられんかってん?


…………

……


……余の飯はこれからだな。

ついに疑問形ですらなくなった……

はーあ……お客さんはアイツらだけか……

みんな怖がってお店に近づこうとしないみたいね……

願い……叶えられなくてごめんな……

…………

おい、飯は……む?

あの……先日は失礼いたしました。

なにがだ?そんなことよりも、飯を……

あいよ。

えっ?

おお、これは美味そうだ!なんて料理なんだ?

<キッシュ風ポテトサラダ>……時代遅れの料理さ。

…………

そうか……ではいただくとしよう。

むっ!これは……!

…………

いいかいお嬢ちゃん。

あの料理は手間がかかるわりに、まったく金にはならねえんだ……

なんと美味か!心が踊る!

料理人としてゆずれねえもんがそこにはある。

父さん……

お嬢ちゃん……ありがとよ……あんたのおかげだ……

ん~?私はなんもしとらんよ……

いんや。俺の願いが叶うわけがないって、教えてくれた……

本当の願いに……気づかせてくれたんだ……

……出直そう父さん。

ああ。これからだ!

ん~? なんでみんな笑っとるん~?

不思議そうな顔してないでアンタも喜びなさいよ。

笑顔は多いほうが幸せになるもんなのよ。

こんなときくらいは欲ばりになっていいんだからね。

…………

あい~♪



……余の飯はまだか?

あのですねえ! もういいかげんに……

…………

いや、そういう意味じゃなくて……か……

――おかわり。



幸福のレストラン -END-





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