【白猫】アシュレイ(正月)・思い出
新年騎士 アシュレイ・ディナ CV:早見奨 〈アルマ〉に憑かれた元神殿騎士。 その剣は弱き者を守るためにある。 | ||
2017/01/01 |
新春さるとり合戦 2017
思い出1
それで新年早々、なんの用なの?
……人身売買組織を調査している。俺一人では困難だ。手を貸してほしい。
奴らは組織的に人をさらい、他の国や島に売りさばいている。
ひどい……
ああ、見逃すわけにはいかない。新年早々悪いが、ついてこい。
ちょっとー!待ちなさいよー!!
父ちゃん!
っ!
父ちゃんだ!やっぱり父ちゃんだ!!
俺はお前の父親ではない。
父ちゃんだよ!母ちゃんが言ってたもん!
え!?まさか、アンタ、子持ちだったの!?
……違う。ありえん。おい、離れろ。
どうして、そんなこと言うの!?
父ちゃんが俺と母ちゃんを迎えに来てくれたんじゃないの!?
…………
……おい、お前、家はどこだ?
俺の家?
ああ、連れていけ。お前の母親に会えば、全てわかるはずだ。
***
……母親はどうした?
わかんない。三日前から帰ってきてない。
……捨てられたということか。
違う!母ちゃんは父ちゃんを迎えに行くって言ってたもん!
どうして、そんな嘘つくの!?
だから、俺は……
(アシュレイさん、ここは話を合わせてあげましょう)
(そうよ、そうよ!母親がいなくなったのに、かわいそうじゃない)
……そうだな。
お前の母親にお前のことを頼まれた。お前の名前はなんだ?
俺はリックだよ、父ちゃん!
思い出2
Zzz……
眠ったみたいですね……
それで、アシュレイ、本当にアンタの子供じゃないのね?
ああ、違う。身に覚えがない。
じゃあ、どうして、アンタをお父さんなんて呼ぶのよ?
それは、俺が知りたい。
それで、どうしますか?
……このまま放置というわけにはいかないだろうな。
当然ね。こんな小さい子を放っておくなんて言ったら、にんげんせいを疑うわ。
母親を探す。
そうですね。
お前らに、この子供のことを頼みたい。俺は……
父ちゃん、どこ行くの?
お前の母親を探してくる。
行っちゃやだ!ウェーン!
おい、泣くな。おい……
アシュレイ、アタシたちがリックのお母さんを探してくるわ。
アンタはリックの世話をお願い。
いや、待て。俺は子供の世話などしたことがない。
お父さんまでいなくなったらかわいそうじゃない。
そもそも俺は……
父ちゃん、行っちゃやだ。
………………わかった。この子供の世話は俺がする。
だが、俺には経験がない。どうなっても責任は取れない。
いざとなったら、ルウシェに手伝ってもらいなさいよ。
あの子、こういうの得意そうだし。
…………
がんばってね、お父さん♪
思い出3
父ちゃん、腹減った。
……そうか。
雑煮食べたい!雑煮食べたい!雑煮食べたい!
……俺は料理が苦手だ。
雑煮、雑煮、雑煮!
…………
***
騎士様にお子様がいらっしゃったのですか!?
持て、話は最後まで聞け……
そうだよ!俺は父ちゃんの息子なんだ♪
……わ、わかりました。
お、驚きはしましたが、これも聖霊様のお導きです。受け止めます。
だから、話を最後まで……
姉ちゃん、俺、雑煮食べたい!父ちゃん、料理とかなにもできないんだもん……
はい、わかりました。
お雑煮の作り方ならヘレナさんから聞いています。
買い物に行ってきますね。
ルウシェ、大丈夫か?足取りがおぼつかないようだが……
申し訳ありません、大丈夫です。その、少し驚いただけで……
では、行ってまいりますね。
…………
父ちゃん、遊ぼう。
……俺は遊び方を知らない。
遊ぼう、遊ぼう、遊ぼう!
……なにをすればいいんだ?
みんなやってる、アレがいい。空に浮いてるやつ!
タコあげか……
***
パパ、すごい!
はっはっは!喧嘩ダコのロビンって呼ばれてたからな。
タコあげなら任せろ!
父ちゃん、父ちゃん!タコあげて!タコあげてよ!
……待て。準備を……
父ちゃん!早く早く!
(子供の相手というのは、大変だ。これなら悪党の相手をしているほうが楽だ)
<アシュレイはタコを上げた。>
うわ~!高い!あっちのタコより、もっと高く!
ああ。
パパ、負けちゃダメ!
まっかせろい!
<二枚のタコが天高く上がっていく。>
高くあがればあがるほど、風ってのは強くなるぜ!
っ!
糸が切れた!?
<タコはクルクルと回りながら遠くへ飛んでいった。>
またまだ修行が足りないようたな。
やっぱりパパが一番ね!
…………
……父ちゃん、帰ろう。
…………
思い出4
どうしてタコ上げしてるの?
負けられない戦いがあるからだ。
父ちゃん、タコあげで負けちゃったんだ。だから、リベンジするんだって!
……覚えておけ、リック。
負けても、また立ち上がれば、それは負けではない。
うん! このタコ、作るの、俺も手伝ったんだよ!
だから、絶対に勝つよ!
当然だ。
なんやかんや言って、うまくやってるみたいね。
***
おや、また会ったな。
……勝負を挑ませてもらう。
いいぜ!喧嘩タコのロビン、売られた喧嘩は買うぜい!
パパ、がんばって!
<二枚のタコが天高く上がっていく。>
(高度が上がると糸の操り方が難しいな。風も強く、一度崩れれば体勢を戻しにくい)
腕をあげたな。
<二枚のタコは同じ高さに浮いていた。>
父ちゃん!もっと高くできないの!?
これ以上は、伸ばせない。糸が限界だ。
パパは!?
こっちも限界だ。……引き分けってことだな。
……そういうことだな。リック、お前もやってみるか?
うん!やっぱり父ちゃんはすごいね!
……すごくはない。コツさえつかめば、簡単だ。
楽しんでるところ、悪いんだけど、アシュレイ、話があるわ。
……わかった。リック、先に帰っていろ。
うん!
母親の件、なにかわかったのか?
実は……アシュレイさんが追ってた人身売買組織と関係が……
詳しいことはわからなかったけど、もしかしたら組織の一員かもしれないわ。
……そうか。
どうするの?
……関係者なら法の裁きを受けさせる。
リック君は?
……その時になってみなければ、わからん。引き続き、調査を頼む。
***
リック、帰ったぞ……おい、リック?
(……いないな。土足の足跡……大人のものか。タコも壊れている……)
ガキは、こっちで押さえてる。抵抗はやめときな。
…………
どこの組織だか知らないが、てめえの動きは目障りだ。しばらく寝とけ。
思い出5
ここは……
(檻か。どうやらこちらの動きは敵に気取られていたようだな……
潜入には成功したが、リックを巻き込んだか……無様だな……)
誰だ?
お願い、リックを助けて。
母親か?
ええ……
……なぜ、俺が父親だと嘘を言った?
あなた、覚えてないの? 少し前にカラまれてた私を助けてくれたのよ。
あなたみたいに強い人なら、リックを守ってくれるかもって……
お前は組織の一員じゃないのか?
そうね。一員よ。最初は普通の経理の仕事だと思ってた。
まさか自分の職場が犯罪組織だなんて思わないでしょ。
私、経理周りの仕事をしてるから、逃すわけにも殺すわけにもいかないみたい。こうして飼い殺しよ。
私はどうなってもいい。でも、リックだけは……あの子だけは……
……経緯はどうあれ、お前の所属している組織は人身売買をしている。
……ええ、知ってるわ。
……その罪は償ってもらう。だが、リックに罪はない。
それでいいわ。待ってて。今、鍵を開けるわ。
必要ない。デュナミス!
まずは倒さなければならない連中がいる。お前の処遇はそれからだ。
***
おい、こりゃあ、どういうことだ!なんの騒ぎだ!?
あの銀髪野郎です!檻をぶち破って、暴れてやがります!
……報告が遅いな。俺は、ここだ。
父ちゃん!
動けば、このガキは殺す!
……その子供は無関係だ。
ああ、知ってるぜ。でも、動けねえだろ?
…………
予想どおり情には弱いみてぇだな。そのわけわからねぇ化け物、消しな!
…………
おら、命乞いしろよ!よくあんだろ?
俺のことはいいから子供だけは助けてくれってやつがよ!
ぐっ!
父ちゃん!
助けてやるよ。だから安心して逝っとけ、正義の味方さんよ!
思い出6 (友情覚醒)
なっ!
ボス!襲撃です!わけわかんねえ女が、化け物と!
――
ぐっ!
父ちゃん!
待て、ガキ!
――――
なっ!死ねや、おらあ!
無駄だ。お前ではデュナミスには勝てん。
関係ねえ!てめえら、蜂の巣にしちまえ!
騎士様!ご無事ですか!?
アタシたちもいるわよ!
これ以上の抵抗は無駄だ。おとなしく投降しろ。
ふ、ふざけんじゃねえええ!
デュナミス!
アラストル!
かはっ!
父ちゃん!すごいや!やっぱり俺の父ちゃんだ!
……リック、よく聞け。俺はお前の父親ではない。
違うよ!父ちゃんは俺の父ちゃんだよ!
……お前のように弱い奴は足手まといだ。
どうして、そんなこと言うの!
……そうやって、すぐ泣くからだ。
お前は、男として母親を守らなければならない。泣いている暇はない。
でも、俺は父ちゃんと一緒にいたいよ!
リック、本当の家族を大切にしろ。お前も、母親としてリックを守れ。
はい……
待ってよ、父ちゃん!父ちゃあああん!!
***
あの組織、結局、どうなったの?
主だった幹部は捕縛した。
リック君のお母さんは?
……情状酌量が認められた。また家族で暮らせるだろう。
アンタ、リックときちんとお別れしたの?
……必要ない。もう会うこともない。
騎士様、お言葉ですが、父親としての責任があると思います。
そもそも俺の子供じゃない。
親子関係は血や時間で決まるものでしょうか?
私が見た騎士様とリック君は本当の家族のように思えました。
……気のせいだ。必要な雑務としてつきあっただけでしかない。
父ちゃん!
……行くぞ。
騎士様、待ってください。本当にいいのですか?
……変な期待を持たせるのも酷だ。
俺はリックの父親にはなれない。あいつの期待には添えられん。
……
……ケジメか。わかった、つけてこよう。
父ちゃん、待ってよ!
……リック、俺はお前の父親ではない。
うん、母ちゃんから聞いた。でも、父ちゃんは父ちゃんだ!
……俺には、やることがある。だから、一緒にいることはできない。
うん、知ってる。俺、弱いから……父ちゃんの足手まといなんだよね…
……そうだ。
じゃあ、俺が強くなったら、また会ってくれる?
……そうだな。その時は、会いにこい。
うん! また絶対に会いに行く!約束だよ!
ああ、約束だ……
……リック、お前は寝相が悪い。風邪には気をつけろ。
うん!バイバイ、父ちゃん!
正道を往く騎士 アシュレイ・ディナ
その他