【白猫】ジュディ・思い出
ジュディ・ロックハート cv.優木かな <トランプの国>を治める女王。 トランプとクロッケーが大好き。 |
メインストーリー
思い出1
ごめんあそばせ。
あそばせー。
こちらが飛行島ですのね。うふふ、浮いてますわねぇ……
申し遅れました。私、ジュディと申します。よろしくお願いいたしますわ。
ずいぶんと礼儀正しいのね~。
飛行島へようこそ、ジュディさん。
おほ。では早速、あなた方のクビをいただいてもよろしいかしら?
……ン? くび???
……はぁん。失礼いたしました。私、つい先走ってしまいました。
は、はあ……
私は<トランプの国>で女王をしておりまして。
……女王さまなのね。
国にいた頃はよく、下の者のクビを容赦なくハネましたわ。
ア、アンタって……!
勘違いしないでくださいませ。
解雇……クビにする、という意味ですわ。本当にハネるわけではございませんの。
まぎらわしいわね!
トランプが好きなのですわ。あんなに楽しいゲームは他にありませんもの。
ヌヌ……トランプとなんの関係が……
それはまた後で話すといたしましょう。まずはゲームをいたしません?
……クビはハネないでね?
あらぁ……
残念そうにしない!
ゲームは<グレート・ザ・リッチ>でよろしくて?
***
はい、上がりですわ。
ぜんぜん勝てないんだけど。
ファイトですわ、<グレート・ザ・プア>様。
キーーーー!!
……あ、私も上がりです! うふふ、今回は<ザ・リッチ>よ~!
ちょ、アイ――え……主人公も?
またあなたが最下位ですわよ~。
……おつよいですのねぇ。
うふ、うふ、うふふ。楽しいですわね、楽しいですわね
も~~~……ぜんぜん勝てる気がしないわよ~~~……・
では、私の完全勝利ということで、あなた方のクビを――
ハネないでね? ていうか、アタシたちをクビにするっていうのもイミがわからんし……
張り合いがないですわねぇ。もっとノっていただけませんこと?
思い出2
それで、ジュディ。教えてほしいんだけどね?
<トランプの国>の事ですわね?
どういった国なんですか?
建国しましたのは、何を隠そう、この私ですの。
アンタが……?
私の国は、トランプを中心に回っているのです。つまり――
『全てがトランプで決まる』社会なんですのよ。
国民に必要なのは、運とトランプの強さのみ。トランプの強者は社会の強者。逆もまた然りですわ。
トランプ勝負で、物事が決められている、という事ですね?
おっしゃる通り。酒場のしがないウェイターが、一夜にして経済界のドンになってしまう事もあれば――
何不自由ない贅沢な暮らしを、ものの数分で失ってしまう人間もおります。
ハイリスクハイリターンってやつね……!
もちろん、国の基盤となるシステムや、トランプ勝負に関するルールは厳密に定めてはおりますが――
基本的には、全てが自由。生き方は各々に委ねられ、そして――
誰にでも<チャンス>がある。私の国は、そのような国なのですわ。
でもさ、そんな国で王さましてると、いろいろと大変じゃない?
ええ、それはもう。トラブルは絶えません。
ですが、私、トランプは強いですから……
……というと?
国民に不利益な制度を作ろうとする政治家や、過激なことを企む悪い組織……
行き過ぎた者達は、全て私が<粛清>するようにしておりますの。
粛清……!
イケない人間のクビは、ハネなければいけませんでしょぉ?
えっと……トランプ勝負で勝って、こらしめてるってことよね。……ね?
うふふ……もちろんですぅ……
そのように、騒がしく、落ち着かない国ではありますが……
自由とチャンスを求める人間にとっては、<トランプの国>は理想郷とも言えるのですわ。
……無論、私にとっても。
ふーむ……世の中にはすごい国もあったもんね……
まあ、国といっても、世界的に見れば取るに足りない小国ですわ。
……アンタなら、そのうち国をまるごと賭けちゃったりもしそうね。
あらぁ、それ、イイですわねぇ。戦争よりもよっぽど平和的ですわ。
そう……ですね?
あはぁ……一度でいいから、ハネてみたいですわね……国というクビをぉ……
思い出3
勝ちましたわ。また私の勝ちですわ。おほほほほ~。
うぅ……ババ抜きには自信があったのに……
ところで、ジュディさん。
何ですの?
この前のお話の続きをしてもいいでしょうか?
続き、と言いますと?
<トランプの国>の女王様なんですよね。えっと、どうして国を出てきたのかな、と……
私は……一人の少女を探しているのです。
少女?
少し長くなりますが、よろしいでしょうか?
その方は……ある日突然、私の国にいらっしゃいましたの。
何が目的というわけでもなく、たまたま来てしまっただけらしいのですが……
日夜行われているトランプ勝負を見て、『面白そうだから』と彼女も参加し始めたのですわ。
ふむふむ……それで?
……圧倒的でしたわ。彼女は国内でも有数の名手達を、次々と打ち破っていったのです。
私の元へとやって来るのに、そう時間はかかりませんでした。
それは……とうとう、女王の座をかけた勝負にまでなったということですか……!?
ええ。……間違いなく、私が今まで戦ったどの相手よりも強い。そう思いました。
私は私の全てを懸け、彼女と戦いました。
うふふふふ……興奮しましたわ……あんな凄いゲームはぁ、初めてでしたぁ~……
……勝負の行方は、一体……?
……負けてしまいました。あと一歩及ばず、といった所でしょうか。
謹んで、私のクビを献上いたしましたわ。
その女の子が、新しい女王になったわけですね……!
……ですが、問題が起きまして……
いきなり国へとやってきて、あっという間に女王まで登り詰めた彼女を、恨む者がいたのですわ。
暗殺者を雇い、彼女の命を狙つたのです。
ぶっそうね……!
彼女はそれも楽しんでいたようですが……どうやら、国にいる事に飽きてしまったようで。
気づいた時には、すでに島の外へと出て行っておりました。
私は代理として女王の座に戻り……そして待ちました。彼女の帰還を。
けれど、帰ってはこなかった。……だから、その子を探すために国を出た、と。
現女王はあくまで彼女。……ですから正確には、今の私は<元女王>なのです。
そういうことでしたか……
でもさ、ジュディ。くやしくなかった? その子に負けちゃったこと。
むしろ逆ですわ。……嬉しかったんですのよ。私よりも強い者がいて。
それに……そういった事が起きるのが、私の国のいい所なのですわ。
そっかぁ……
……女の子、見つかるといいですね。
ええ。女王として、国にいてもらわないと困りますし――
……あの血がたぎるような熱い勝負を、ぜひもう一度、彼女と……
うふ、うふふ……今度は、本物の首を賭けてみようかしらぁ……・
やめい!
冗談ですぅ……♪ おほ、おほほほぉ~♪
思い出4
さあ、始めますわよ、みなさん。
朝のスポーツは体にいいのですわ。
スポーツ?
<クロッケー>、ですわ。旅の途中で知りましたの。それまではトランプだけが楽しみだったのですが……
今や、私の立派な趣味の一つなのです。
<ジュディは飛行島の芝生に、門の形をした小さな鉄製の金具をいくつか剌していった。>
これは……どうやってあそぶの?
端的にいえば、木製のボールを打って。これらのゲートに順番に通していき――
最後に、中央に立てた棒にボールを当てるんですの。
ずいぶんとシンプルですね。
シンプルだからこそ……ヤミツキになりますわよ~。
……なるほど、このスティックでうつのね。
みなさんはそれをお使いになってください。
ジュディさんは?
おほ。私は、こうするのですわ。
<ジュディは大剣を用い、器用にボールを打つ。>
こっちの方が調子が出るんですのよ。
<のどかでまったりとしたスポーツの<クロッケー>。
あ~~~~っ、おしいっ!!
私の番ね。今度こそ、あがってみせるわ……!
――
やった~っ!
お見事ですわ!
<主人公たちは、その楽しさに気づいた……!>
……これ、メチャクチャ面白いわね!
力をほとんど使わないから、誰にでもプレイできるのがいいですね……!
そうでしょう? うふふ……
こんな楽しいスポーツがあるなんて、知らなかったわ~。
つい最近誕生したばかりですからねえ。まだ全然普及してないのですわ。
……さ、朝食の前に、もうひと勝負いたしましょ?
いいわね! 受けて立つわ!
今度こそ、クビをいただいてもよろしくて?
だめ!!
思い出5
<すっかり<クロッケー>にハマった主人公たち。
今日は、街の公園がプレイコートだ。
主人公さん、センスがありますわ。どんどんお強くなりますのねぇ。
ムムム……主人公、負けないんだから!
見てなさい!アタシの<にくきゅうストライク>を……!
……おや。あんた達、ここで何をやっているんだね?
なんだか、面白そうなことをやっているねぇ。
これは、<クロッケー>というスポーツですの。
くろっけー? 聞いたことないが……
ご高齢の方も楽しめますのよ。おやりになりますか?
いいのかい? どれどれ……
よーし、最後の門を通したぞ!
こりゃあ、接戦だねえ!
ワシも負けねぇからな!
……このスティックは、改良の余地があるのう。
用具一式はどこで買えるのかね? 孫と一緒に庭でやりたいよ。
おいみんな、そろそろ茶ぁにすんべや~。
ほれ、甘納豆買って来たぞ~。
<――いつの間にか、公園がお年寄りだらけに!>
お年寄りのブームになるかもしれませんわね!
みーつけた。
よお、<粛清の女王>さま……
まさかこんな所にいたとはナァ。
どちら様ですの? あ、あなた方もクロッケーにご興味が
コロッケ? なに言ってんだテメーは。
俺たちゃ、トランプ勝負をするためにやってきたんだよ。
あら……国民の方でしたの。
女王さまよぉ……勝ったままトンズラこいてんじゃねえぞ、コラ!
別に逃げたわけではありませんわ。
女王に挑める条件、苦労してクリアしたんだからよぉ。今こそ勝負してもらおうじゃねえか、コラァ!
あらあら、勇ましいこと。
……もちろん、受けてくれるよな? でなきゃ――
な、なんじゃ、あやつらは……
…………
テメーと仲良さげにしてる、あのジジイともに憂さ晴らししちまうかもなあ。
…………
いいでしょう。
ジュ、ジュディ……
あなた方のクビ……私が貰い受けますわ。
<自身の背丈ぼどもある巨大な剣を、ゆっくりと構えた。>
……え。ちょっと待って。ジュディ、まさか……
テメー、何を――
いただきまぁす♪
<白刃が、閃いた――>
思い出6 (友情覚醒)
ちょ……ちょっとーーー!! なんてことを……
待って、キャトラ。
う……うぐ……
イケない子達ですわねえ。同じ国民以外の人間に迷惑をかけるなど。
さっさと国へ帰り、長屋生活からやり直す事ですわね。
<気絶しているだけだ……>
何とも軽いクビですわねせ、おほ、おほほほほ~♪
もう……! ビックリしたわよ!
トランプ勝負は、あくまで国の中での話。
外では物理的に成敗した方が手っ取り早いのですわ。
……それにしても、今の動きは……
…………
私、もとは処刑人をしておりましたの。
暗殺者、といっても良いかもしれません。もちろん、比喩ではなくってよ。
……アンタ、ほんとうに……?
一人の人間が民を恐怖で支配する国で、私は、王に逆らう者達を――
悉く、<粛清>しました。
その国には、自由も、チャンスもありません。あるのは、どこまで行っても終わらない、憎しみと悲しみの連鎖だけ――
虚しくなりましたわ。ですから、辞めたんですの。
そして……<トランプの国>を?
誰もが希望を見出せる国。誰もが自由意志を持てる国。……無論、平和な国とは言い切れませんわ。そして、国として完璧でもない。
ですが、そんな国こそが、私が理想とする国であり……
処刑人として生きていた私が抱いた、初めての理想だったのです。
ジュディ……
血なまぐさいお話をしてしまって、ごめんなさいね。
……ええ、わかっておりますわ。大事なのは、今と、これから……
けれど、私の過去は、そう簡単に消せるようなものでもありません。
――きちんと向き合いながら、生きてみようと思っているのです。
……うふふ。私は、それをみなさんに知って欲しかったのかもしれませんわね。
ジュディさん。……もし、向き合うことに疲れたら……
いつでも、アタシたちを頼ってね。……クビはあげないけど。
みなさん……ありがとうございます。
これからも、<トランプの国>が理想の国であり続けるよう、頑張って――
クビをじゃんじゃんハネていきますわ♪
……フクザツだわ……いーんだろうけど……
とりあえず、早くあの方――現女王様を、見つけませんとね~。
……じゃ、主人公も光ったところで、クロッケーを再開しましょうかね~。
キャトラさんのクビ、今度こそいただきますわよ~♪ おほ、おほほほほ~!
…………
……キャトラ? どうし主人公の頭の上に……?
いやね? こうして首だけを見せ続ければ、ハネるもなにもないかな~って……
どーでもいいんだけど……ふと思って……やってみたくなって…………えへへ。
考えましたわね!
粛清の女王 ジュディ・ロックハート