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【白猫】Wings of hearts Story 後編

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目次


Story10 2対2の攻防

Story11 守るということ

Story12 心の翼

Story13 めぐる想い

最終話 それぞれの生き方




story10 2対2の攻防



いまっ!!

<一瞬のスキをつき、ルカがロニーとエルゴラムの間に割って入る!>

……レインくぅぅぅぅん。なにしてんのぉぉぉ?

……すいません。油断しました。

してんじゃねぇよボケェッ!!


おりゃー!!

ロニー君!こっちに!

まきこまれるわよ!ほら早く!

…………


おい。先にこのクソ天使を始末すんぞ。

……了解。

<言い終わるや否や、悪魔二人の素早い連激がルカを襲う!>

やってやんよぉぉぉ!守護天使の意地ってもんを、見せてやらああああい!!

<ルカの気合に呼応すかのように、防御壁がその厚さを増す!

――しかし!>

おじさん、こう見えても結構強いのよね。

<エルゴラムの右手から赤黒い光線が放たれ、防御壁をみるみる侵食してゆく――>

忌々しい守護天使が……!そのウゼえ壁、ブチ壊してやるよ!

あっ……!!

<赤黒くなった壁に、ピキピキとヒビが入ってゆく――!>

<――ルカが危ない!>

ハッ!!テメーもやっと遊ぶ気になったか!

レイン……!レイン!!聞いて!!

あなたには正しい心……<善>の心が宿っているの!!

気づいて!!自分の気持ちに……ロニー君を想う心に!

訳わかんねえ事を言ってんじゃねえ!!

俺は悪魔だ!サタニアスに刃向かうクズどもをブチのめす、<悪魔殺し>だ!

<善>の心?笑わせんじゃねえよ!

やるじゃねーか!


うーん。なかなか強いね~、ちみたちは。ちょっとナメてたわ。

……じゃあ、こういうのはどうかな?

<サタニアス>の下っ端どもさ。ぼく、どっちかっていうとこーゆうのが得意でね。


主人公!ルカさん!

わたしたちは大丈夫!お二人は、ロニー君をお願いします!

まかしといて!


…………

やるんだ……ぼくは……あのおじさんと……せかいをせーふくして……

こらロニー!目を覚ますのよ!

そうすれば……きっと……!



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story11 守るということ


喰らえ赤髪ィ!!

<――しまった!>

守ったらああああい!!

だめだよ天使ちゃん。こっちに気を取られてちゃ――

かよわい女子供があぶないよ?

<エルゴラムが作り出した巨大な魔弾が、アイリス、キャトラ、そしてロニーを襲う!>

だめ、間に合わ――

みんなにはキズひとつ負わせんよ!!

はい、天使チャンのスキ、いらっしゃ~い♪

きゃあああっ!!

ははははっ!お返しだ~!

守るっ!!

もう回復したんかい。さすがは守護天使、治癒魔法もお得意な訳ね。

…………

なぜだ。

…………?

なぜ、そこまでして守ろうとする?

それがお前の使命だからか?役割だからか?

それもあります。そう、わたしは守護天使。人々を守り、正しく導くのが役目。

――でも!!やっぱり!!いっちゃんは!!

……?

よく聞けレイン!誰かを守るっつーことはなあ!

生きとし生けるもの全てのしあわせなんじゃーーーい!

あ~残念。イケると思ったのに。

…………

(俺には……わからねえ……)

ダメーーーーッ!!

!?

おじさん!!

ロニー君っ!?下がって!!

ぼくもうがまんできないよ!!早くぼくの魂をつかって!

早く……ぼくのお父さんとお母さんをつれ戻して!!

(わからねえ。悪魔の俺には……)

うふふふふふ。よくきたロニー君。きみの言うとおりにしよう。

<エルゴラムはロニーの頭に手を乗せる。>

汝、契約によりてその魂を以下略。

<エルゴラムの手がドロリと溶け、ロニーの中へと侵入してゆく――!>

(命を奪ってきただけの俺には……!)


…………ああああああ…………
ああああああああっっ!!


…………!!


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story12 心の翼



おなかが、ムズムズする……!

にくい、にくい、にくい……にくいよおおおおおおっ!!

ロニー君!!

ははははは!いいかレインっ!ガキがいう事きかねえ時はこうするんだよっ!よく覚えとけ!

…………

主人公……!

ちみたちの出てくる幕じゃないんだよ?ね、ロニーくん。

おじさあん……!こわそう!みんな!ぜんぶ!

わはは、いいぞ……!力が沸いてくる!これだからやめられんのだ、人間の支配はあ!

ガキの憎しみを、お前らにくれてやる!!――おらよっ!!

いけない!!みなさん、わたしの後ろに!!

はあああっ!!


…………

 「ぼくといっしょに、いてくれるの?」

だめ……!もたない……!

 「クソガキじゃないよ!ぼくの名前はロニー!」

ロニー!やめて!ロニー!ロニー!!

 「……手、にぎってもいい?」

防御壁が……壊れる……!

 「ぼくの……ともだち……」

ッ!!


がはあっ!!

レ、レイン……

…………

お前、何してんの?

……わからねえ。

さっきから暴れてんだ。俺ん中で。ワケわかんねーモンが。

今まで一度も感じた事ねえ何かが俺を突き動かしてきやがんだ……

あーー、何なんだよこれ!!ウザってえなああああ!!

お~~~い。レインくぅぅぅぅぅぅぅぅん。ちみは何を言って――

だからわかんねんだよっ!あぁーー!ムカつくぜ!!クソがぁ……クソがッ!!


<自分がいま何をすべきか。撃滅の刃を向けるべきはだれなのか。

その逡巡に――<悪魔殺し>の本能が応えた。

押し寄せる激情の狭間で……――<心>は咆哮する!>


――ロニーを返せェッ!!

ぐぬうううううう……!

てめ、裏切ったなあああ!?ガキに同情でもしたか!?

甘ちゃんがよぉぉぉ!!ぶっっっ殺してやる!!……ねぇ、ロニーくぅぅぅぅん!!

うわあああああ!!つらいつらいつらいつらい!!やだやだやだやだ!!

だからこわれて!!こわれてよおおおおおお!!

消し飛べレイィィィィィン!!

……テメー、何してる!?

言ったでしょう!?わたしは守護を司る天使……

悪魔だろうがなんだろうが、全部まとめてムンズと守ったるんじゃーーーい!!

バカな……!なぜ受けきれる!?

……なんだ、その力は!?

燃えてきたのさっ!レイン、お前はやっぱり……

漢だなーーーーーーっ!!

いくら攻撃したって無駄です!

…………

やっぱ、ぼくちゃんには戦闘には向いてないなあ。ね、ロニーくん。

きらい……きらい……きらいだよ……

やっぱりアレだね、自分の得意な分野で頑張るしかないね。

今の力なら、アイツを呼べるでしょ。

…………!あの暴獣を召喚する気か……!

……レイン!いまこそ、力を合わせるのです!

天使だ悪魔だいってる場合じゃねーかんな!!

クソ……しかたねえ!

いくぜ……!――ロニーを取り戻す!

がってんしょうち!


ア、アタシもいるんだからね!

……頼んだわよ、主人公!

……。

<エルゴラムの目の前で怪しく光る、巨大な魔方陣。そこからゆっくりと――

――暴虐を極めし、悪魔の獣が現われる!>



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story13 めぐる想い



……マジか。マジでか。レインくぅん……

残るはテメーだ。……エルゴラム。

こっちにはガキの魂っつう人質がいるんだが?忘れてたみたいだけどー。

……もういいでしょう!?ロニー君を解放しなさい!!

いいよー。

――!?

なんかもう疲れちゃったし。メンドくさいし。色々。

まったくさあ?レイン君。ちみは悪魔失格だね。クビだよ、クビ。

<サタニアス>を、追放処分としまーす。……二度とそのツラ見せんな。

言われなくても。

ああ……!!これで一安心です。

じゃそういう訳で、お疲れさまでした~!


待ってください!

……?何だ、どうした――

ウ、ウゥ……

うわああああああ!

な……!ど、どうして!?

ムズムズするよお……!ああ……さびしいよ……!

いやだ……いやだ、いやだ!まっくらにひとりぼっちはいやだ!ぼくをひとりにしないで!

ロニー君……!

もしかして……アイツ、アタシたちをだまして――

いや……魂の呪縛は解けている……

……エルゴラム……!こいつの魂を、いじくりやがったんだ……!

負の感情だけが、永遠に増え続けるように……!

そんな……!

きらい、きらい、きらい!!だいっきらいだ!!みんなみんな、だいっきらいだ!!

……ガキ……

レイン、力をかしてよ!!ふたりで、なにもかもぶっこわそうよ!!

…………

わたしが何とかします。

……どうやって?

守護天使の羽は、心が通じあった者に<奇跡>を与えることができるのです。

<ルカはロニーの前にひざまずき彼の頬を両手で優しく包み込んだ。>

なに!?なにをする気なの!?やめて……やめて!!

お願いロニー君……!心を開いて……!

<ルカの羽が、少しずつ輝きはじめる。しかし……>

やめてやめてやめてえ!!そんなのいらないよお!!

わたしはあなたを助けたいの……!お願いだから……!

やめて!!

レイン!!さあ、こわしにいこう!こわしに……

……心を開いてくれなければ、奇跡は起こせない……

このままだと、ロニー君の心が負の感情に耐え切れず、壊れてしまう……!

そ、そんな……!

……わたしは…………守れないの……?

…………

…………!


<これまで数多の同族の命を奪ってきた稀代の悪魔は――

壊れゆく少年を、静かに抱きしめた。>


クソ天使。俺の命を使え。

レイン……

エルゴラムの言う通りだ。俺は悪魔失格……

……クソ!ムナクソわりーぜ。……なあ、ロニー……

……!レ……イン……

ルカ……頼む……!

…………!

<憎しみに歪んでいたロニーの顔が少しずつ和らいでいく……!>

いけるっ!!

<ルカはその純白の翼を広げ、二人を包み込んだ。>

母なる大地の子よ。守護天使の名において、その御心に聖なる加護を与えん――!


……おい、ガキ……

う…………こころが、かるい……ぼく、たすかったの……?

……レインのおかげですよ。

よ、よかったあ……

レイン――

クソガキィ!!

レ、レインさん――

悪魔に魂なんか売ってんじゃねえよこのボケがぁっ!

甘ったれてんじゃねぇ!誰かがテメーを助けてくれるほど、この世の中は優しくできてねーんだよ!

テメの人生が気に入らねえなら、テメーで変えるしかねえんだ!

テメーが強くならなきゃいけねえんだっ!!

俺が……そうしたように!!

…………!

……強くなれ。そうすりゃ、オメーは世界だって征服できる。怖いものなんて何もねえ。

いいか、もう二度とこんなマネはすんな。

俺はお前の……ダチなんだろうが。

…………

……ごめんなさい……

ごめんなさい……!ごめんなさい!!ごめんなさあああい!!


<悪魔は――自分の胸の中で泣き崩れる少年の頭に、そっと手を置いた――>




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最終話 それぞれの生き方



話とはなんだ?ロニー。俺はこれから仕事があるんだ。

……私、眠いんだけど……ロニー、もうちょっと寝かしてくんない?


お父さん。お母さん。……なかなおりして?

!!

ぼくは、もうこれ以上、お父さんとお母さんがケンカしてるところを見たくない。

おねがい。ぼく、ちゃんと良い子でいるから。

三人で、またなかよくくらそ?……ね?

……ロニー……

……私だって、そうしたいわよ。でも、この人がちゃんとしてくれないと……

お前また、俺のせいにして……!ロニーをひとりにしたのは、お前の責任だろ!

はああ!?なによそれ!?毎日遅くまで遊びほうけるようになったのはそっちでしょ!?

や……やめて!!ケンカはもうたくさんだ!!おねがいだから――

お前は黙ってろ!あのなあ、俺は――


おやめなさい……!

!!な……なんだお前らは!?

守護天使です!

悪魔。

天使と……悪魔?

あなた方は……一体なにを見ていたのですか?なにを聞いていたのですか?

いい加減にせんかぁっ!!

!!

なぜ、ロニー君と向き合おうとしないのです!?

な……なによ!どこの誰だか知らないけど、知ったような口を利かないで!

……こいつはな……

テメーらに振り向いてもらいたい一心で、悪魔に魂を捧げようとまでしたんだ。

……何だって……?

…………

必要なら<お視せ>しましょうか?ロニー君がどんな想いでいたか……

どんなに二人を愛しているか!!

……それとも……

――悪魔がいかに恐ろしいかを、たっぷりと思い知らせてやろうか?

ヒッ……!

レイン、脅すのはなし!しかしよく言った!

いいかよく聞けっ!お前らはこの子の親だ!まごうことなき親なんだよっ!!

だったらおのれのタマをガツンと賭けて――

死ぬ気で子供を守ったらんかーーーーい!


……お父さん……!お母さん……!

…………


…………

……


あ……出てきたわ!

……どうでした?

……もう、大丈夫でしょう。少し時間はかかるかもしれませんが……

家族は、きっとまた一つになる。……ね、ロニー君。

うん。……お父さんとお母さん、泣いてた。ぼくのきもちに、気づいてくれたんだと思う。

それに……またケンカしたら、ルカとレインみたいにぼくが説教してやるんだ。

ふふ。その意気よ。

レイン。ぼく、もう大丈夫だから。強く、なるから……だから……安心して……

……まだまだ甘ったれじゃねえか……

……また、会える?会いにきてくれる?

さあ、どうだかな。気が向いたら来てやるよ。

へへ、すなおじゃないなあ、レイン。……顔にさびしいってかいてあるよ?

な……!

ねー、素直じゃないよねー。

うるせえ!!……クソ、俺はもう行くぞ!

ありがとね、レイン……ほんとうにありがとう……!

ずっとずっと、ぼくらはともだちだからねー!

……ふん。またな、ロニー……


…………

……


ねえ、レイン。……わたし達、案外いい相棒になれそうじゃない?

……オメーは何を言ってるんだ……?

んもう、ホントに素直じゃないのねー。心を通じ合った仲でしょー?

……あのなあ、天使と組む悪魔がどこにいんだよ。

そう……俺は悪魔だ。人間同士の争いを生み、争いに加担する……

<サタニアス>を追放されても、そこは変わっちゃいねえ。

いいえ、あなたは変わったわ。まだ気づいていないみたいだけど……

良き心は、確実に芽吹いた。……あなたはいい人よ、レイン。

だから、わたしが見守っててあげる。……導いてあげる。

大きなお世話だ、クソ天使。

もう、レインのいけずぅー!わたし、しっかりと覚えてるんだからね!

あなたがわたしの名前を呼んだこと!!

気のせいだ。忘れろ。

忘れてあげないのよさー!!


…………

アンタのキャラ、いまだによくつかめないわ……!

……お前ら。その、なんだ。メーワクかけたな。

いいってことよ。

レインさん、行くところがないのなら、私たちの飛行島に来ませんか?

アンタみたいな跳ねっかえりもたくさんいるから、安心していいわよ~。

……考えておく。

もちろん、わたしも一緒にね♪

……なあ、なんでこいつは、俺にこんなに懐いてるんだ……?

うふふ。……どうしてでしょう♪


…………

(変わった、か……

……わからねえ……あの時は、ただ無我夢中で……)

…………

レイン!お腹へったでしょ!握り飯食うか!握り飯!

(……見極めてやる……

人間という種族を……そして、俺の――)

ほら食え握り飯!守護天使の握り飯!うまいぞー!!

うるせえなあもう!




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Wings of hearts Ⅱ





コメント (Wings of hearts Story3)
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  • 最終投稿日時 2020/02/22 17:31
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