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【黒ウィズ】訣別のクロニクル Story2

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最終更新者:にゃん

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story 聖王崩御



<メティースの提案で歴史を『イイもの』に書き替える事になった君たち。>

私が思うにそもそも『神界崩壊』さえ起きなければスっごく丸く収まってたと思うわけ。

<神界崩壊?>

今、私たちがいるこの神界はやがて7つの別々の異界に別れてしまうんだにゃ。

<君は歴史書の内容を思い出す。

かつて存在していた、神々が統べる7つの異界を内包する大異界――神界。

それは、天界の聖王、イアデル・セラフィムの崩御から間もなく崩壊した。

メティースの話では、今ある正史の悲劇は神界の崩壊に端を発して始まったものだという。>

ちゅーことはなんや?聖王さんの亡くなる日に行けばええんか?

うん。そういう事!

でもお前らアレやで。そういう悲しい日なんやから、あんま目立ったらあかんで。

ワイの泡ん中にいれば他の人からは見えんからとりあえずそっから出んことな。

あとワイ、泡を作とる間は一切喋れんから。

泡って何にゃ?

まあ見とけば分かるわ。ほなメっちゃん、始めよか?

おっけい。

<そう言うと、メティースはトートと額を合わせ、呪文を唱え始めた。>

みなさん、メっちゃんにくっついてください。

さあ、みなさん今から時の流れを超えますよ。


悠久を刻むセティエの名において、我らをしばし時の流れより解き放て。

ピューィ。

<鳥のような声で一鳴きすると、トートは口から虹色に輝く膜をだし、それを膨らましていく。

それはシャボンの泡のように君たちを包みこんでいく。>

さあ、みなさん。今から時の流れを超えますよー。

<君たちは〈時〉を超え、数年後の天界、聖王、イアデルの崩御する日へと渡っていく。>



<天界の宮殿では今まさにイアデルがその生涯を終えようとしている。

横たわるイアデルの傍らに、ミカエラとイザークの姿もある。>

お前たちのどちらが我の後を継ぐか……我の最後の言葉としてそれを伝える。

<苦しそうな声で続けるイアデル。>

次代聖王は……ミカエラとする。

そんな……私には無理です。

お前なら、大丈夫じゃ。アクサナもついておる。そして……。

<と、イアデルはイザークを見て、>

イザークよ……。なぜ我がお前を選らばぬか、分かるか?

俺は天界ってガラじゃない。

<それを聞いたイアデルは静かに微笑む。>

これで思い残す事はない……。

<それがイアデルの最期の言葉となった。>


……。

<イザークは何も言わずに窓から飛び去っていく。>

イザーク待って!

<と、ミカエラは翼を広げて飛び立つ。>


さ、私たちも後を追うわよ。

<と、メティースはトートの作った魔法の泡の中で走り始めるが、全く前に進まない。>

みんな!こんな泡ぶち破って走るわよ!

ピ、ピィー。

<天使の姉弟を追い、君たちは全力で走り始めた!>


 ***


<魔物を倒しながら先を急ぐ君たちの前方にミカエラの姿がある。>

イザーク……。

<ミカエラの先にはイザークがいるが、彼は使い魔と話をしているようだ。>

あ、あれはスクブスちゃんや!

<と、使い魔の方へ走り寄ろうとするトートを、>

あ、待て!このハレンチアニマル!

<メティースが慌てて引き止める。

君たちは陰に隠れて様子を窺う。>

イザーク、あなた何をしようとしているの?

……。

これはこれはお姉様……。

あなたに姉と呼ばれるいわれはありません!

あら、あるわよ。だってイザーク様と私は、フフフフ……。

一緒に魔界へ行くんだから。

な、なんやと!スクブスちゃんはワイの女や!

<トートがスクブスの前に飛び出す。>

キャ、何よ。このケダモノは!

<スクブスは君たちの存在にも気が付いて、>

あらあら、今日はずいぶん邪魔が入るわねえ。イザーク様、ちょっと待っててくださいね。

さあ君、アイツをやっつけて!

<言われるまでもない。君はカードに魔力を込めた!>


 BOSS スクブス


ぐ……。

<君の放った攻撃を受け、スクブスは倒れる。>

あー、スクブスちゃん……ワイとは遊びやったんか……。

ちょっと黙ってて!

トート、あんなのにたぶらかされてたんですね……。

<一方で、スクブスはその身を起こすと、>

イザーク様、魔界でお待ちしています。

<羽を広げて飛び去っていく。>


イザーク、あなた使い魔に惑わされていたのよね?魔界へなんか行かないわよね?

いや、俺は自分の意思で魔界へ行くんだ。俺は魔界で王になる……。

そんな……どうして……。

姉さんが……天界の王になるから……。

<イザークはそう言い残し飛び去っていく。>

……。


<メティースがたまらず飛び出す。>

ミカエラ様……私の事を覚えていらっしゃいますか?

あなたは確か、いつか私を助けて頂いた旅の方では?

はい……でも私ホントは――

あかんでメっちゃん!自分の身分バラシたら……。

歴史を司る神殿からやってきたんです!ミカエラ様、今すぐイザーク様を追いかけて!

私は未来の事を知っています。このままだとイザーク様は本当に……。

<メティースは、歴史を変えに来たという自分の目的をミカエラに話していく。>

あーあ。言うてしもた……。

言うとどうなるにゃ?

監督不行き届きで、ワイがクロノワにシバかれる……。

<なんだそんなことか。>

結構怖いんですよ、クロノワ先輩は。

想像はつくにゃ。

しっかし、綺麗やなぁ……ミカエラしゃん。

<トートはじっとミカエラを見つめる。>

メティースさん。状況は分かりました。しかし私一人で魔界へ行くなど……。

ご安心ください!我々にはあの高名な『黒猫の魔法使い』が付いております!

では、私と一緒に……魔界へ行っていただけますか?

当ったり前やないかい!

お前が言うにゃ!

<こうして君たちは、イザークを追って魔界へ行<事になった。>



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<君たちはミカエラと共に、天界から魔界へと渡ってきた。>

こんなに簡単に別の異界へ移動できるなんて、ちょっと不思議な感じがするにゃ。

神界内にある七つの異界であれば、基本的に行き来は自由なのです。

私たちなんか、いつも事件に巻き込まれて別の異界へ飛ばされるにゃ。

<などと話をしながら魔王の宮殿を目指している途中――

君は自分の意識が遠のいていくのを感じる。

光に包まれていくこの感覚を、君はつい最近も味わっている。

それはこの神界へやってきた時の感覚と同じだった。>

どう?ここまでの歴史、あなたの目にはどう映っている?

イザークは史実通りの愚かな弟だと思う?

<王位を継げないからといって、姉を裏切り、魔界へ渡る様な

そんな身勝手な行動を理解出来る人などいるのだろうか?>

裏切った?身勝手?本当にそうなのかしら……。

<君はその思いがけない問いかけに戸惑う。>

言ったでしょ?目の前の事実が常に真実であるとは限らないって……。

「ちょっと君?話聞いてる?」

とにかく今は先を急ぎなさい。ほら、お友達が呼んでいるわよ。

<純白と漆黒、2色の翼を持った天使は、そう言って君の前から消えた。>


たく、ボーっとしてないでよ。

<君はメティースの声に我に返る。

君は意識を失う前と同じように、皆と魔界の宮殿に向かって進んでいる。>

お体の具合でもお悪いのですか?

<心配そうに尋ねるミカエラに君は心配いらないと答える。>

みなさん、私の為に危険を顧みず魔界まで来て頂いて本当に申し訳ございません。

どうぞお気になさらないでください。私達は当然の事をしてるだけなんですから。

正義の味方なんです。メっちゃんはいつも。

アホのイザーク捕まえたら、ワイがガツンと言うてやりますわ!

みなさん、本当にありがとう。

<イザークは歴史に書かれている様に愚かな弟なのだろうか?君はプリュムの言葉が気になる。>

どうかしたにゃ?神妙な顔して……。

<なんでもない。とにかく先を急ごう。君はそう言って歩みを速める。>


 ***


魔界の宮殿まで辿り着いた君たち。

凶悪な雰囲気満開やなぁ。

確かに強力な魔力を感じるにゃ。

互いに神界の中にある事で、これまで天界と魔界は争いを避けてきました。

しかし、元々魔界の王はこの神界から抜け出したいと考えており――

お父様の力が衰えてきた頃から、その勢力を拡大していったのです。

許せない!弱った人につけ込むなんて!

「ほう。許せないのならどうするんだ?」


<君たちの前に、一際巨悪な魔力を放つ魔族が現れる。>

あなたは……。

ご存知なのですか?

アモン・バッケン……魔王ブラフモの重臣です。

お久しぶりでございます。天界の王女ミカエラ様。

<アモンは冷たく笑いながら顔を上げる。>

失礼。もはや王女ではありませんでしたね。聖王ミカエラ・セラフィム様。

まあ、すぐに前聖王になりますがね……。

<仮面の下から狂気を宿したアモンの眼がギラリと光る。>

あなたは今ここで、お亡くなりになるんですから……!

<君はカードに魔力を込めて、襲い掛かるアモンに立ち向かう!>


 BOSS アモン


ぐ……。

<君の放った渾身の攻撃を受け、アモンが膝をつく。

……私にやられておけば良いものを。自ら姉弟で剣を交える道を選ぶとは……。

<その言葉にミカエラの顔つきが変わる。>

イザークはどこ?イザークをどこへやったのですか?

どこにやった、だと?アイツは己の意思で魔界へとやってきたのだ。

<アモンは彼方の宮殿を見上げる。>

今頃はブラフモ様より堕天の儀式を受けているだろう。

堕天の……儀式……。

儀式が済めば、もうお前らに希望はない。せいぜい急ぐがよいわ……。

<アモンは不気味な笑みを浮かべたまま、動かなくなった。>

行きましょう。一刻も早く、イザークを止めなければいけません。

<ミカエラの言葉に君たちは力強く頷いた。>



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<魔王の間を目指し、宮殿の中を進んでいく君たち。

君はミカエラの顔を覗き見た。

イザークが自らの意思で魔界に降りた。アモンの言葉を聞いた後のミカエラはどこか沈んだ様子だった。

自分が聖王を継ぐことが許せなかったから弟は魔界に降りた。そんな考えを抱いているのだろうか。>

歴史ではどうなっているにゃ?

<ウィズは確かめるように、メティースに訊ねた。

ミカエラに遠慮しながら、メティースは答えた。>

……私の知る歴史では、イザーク様は天界の王になれなかった事に絶望して……。

魔界へと渡ったとされています……。

弟は……、イザークは本当はとても優しくて、素直な心を持っているのです……。

<ミカエラは、俯いて涙を落とす。>

……父を失い、弟まで失うなんて……私には耐えられない……。

……ミカエラ様。大丈夫ですよ。きっと魔物にそそのかされた、とか――

何か大変な事情がおありなんですよ、きっと。

事情かぁ。せやな。ワイかて魔族にそそのかされたしな。男には男の事情があるわけや。

男の人はみんな、トートみたいなハレンチアニマルって事ですか?

せやで!俺とおんなじハレンチアニマル……。

誰がアニマルじゃ!

そこは「ハレンチ」の方を否定しなさいよ!

ホンマや!ミカエラはん、誤解せんといてな。ワイ、ホンマはごっつ一途やねん。

今も神殿のアイドル、レメモちゃんにぞっこんでな……。

レメモちゃんって誰にゃ!

神殿図書館の司書官さんなんですけど、趣味が魔界めぐりなんですって。

そそ!魔族オタクの知識系メガネアイドルやねん。会えたらえーなー。

あ、でもプライベート邪魔されると、スっごく怖いらしいですよ。

もー!みんなうるさーい。

<収拾のつかなくなった雑談をメティースが断ち切る。>

ミカエラ様、すみません。不謹慎に騒いでしまって……。

フフ……アハハハハッ。

ミカエラ様?

<ミカエラは声を上げて笑っている。>

可笑しい……。なんだか皆さんを見ていたら元気が湧いてきました。

<ミカエラは、優しく微笑むと、頬の涙を拭った。>

さあ、先を急ぎましょう。魔王の間はもうすぐそこです。


 ***


<君たちはついに魔王の間へと辿り着いた。>

ここが、魔王の間……。

この中にイザークが……。

<目の前の大きな扉を開き、君たちは中へと入っていく。

しかし、その中にイザークの姿はない。

そこにいるのは、魔王の座についているブラフモ一人である。>

聖王自ら訪れて頂けるとは有り難い。

ブラフモ様、弟を、イザークを返して下さい。

それは私の決める事ではない。それに――。

貴様の弟は、既にその翼を漆黒に染めたのだ。自らの意思で私に忠誠を誓ってな。

そんな……。弟はどこにいるのです。せめて話をさせて下さい。弟に会わせて!

くどいわ!先王イアデルの時代であればいざ知らず――。

貴様の様な弱き者の統べる天界など恐れるに足らん。即座に滅ぼしてくれるわ!

神界に属する事の意味を知らないのですか!確かに私は未熟で、弱き王です。しかし――。

我々は7つの異界全ての総意によってこの神界を作り、共存の道を選んだのです。

その調和を乱す暴挙を、他の異界の神々が許すはずありません!

ハッハッハツ。どこまで愚かなのだ貴様は?

どういう意味ですか?

神界は互いの緊張関係の上に成り立っているのだ。

それは一度乱れれば、たちどころに崩壊するはかなき鎖のような物にすぎん。

そしてその鎖は、私が貴様を葬る事によって今、断ち切られるのだ!


 ***



己の弱さを知り、強き者の力を借りたか……。

<そう言って、ブラフモは君を見下ろす。>

精霊の力を借りる魔法とは面白い。私も本気を出さねばならないようだな。

<まずい。既に魔力を使い果たした君にこれ以上ブラフモの攻撃を受ける事は出来ない。>

さて、フィナーレだ!散るが良い!

<ブラフモが再び強大な魔力を解き放とうとしたその時――>

散るのは、お前だ……。

グアッ……。

<ブラフモは苦しそうな声を上げ、その場に崩れる。>

き、貴様……なぜ……。

<倒れたブラフモの背中には、イザークの剣が深々と突き刺さっている。>

イザーク、ありがとう……。よかった。翼、白いままじゃない……。

……。

私と一緒に天界に帰りましょう。

それは、出来ない……。

どうして?あなたが望むなら、聖王の座はあなたに譲るわ。

俺はそんな事は望まない。

<イザークはそう言うとブラフモの背中から剣を引き抜いた。

ブラフモの血を浴びたイザークの翼は、みるみるうちに黒く染まっていく。>

どうして……。

俺はここに残る。魔界の王として……。

イザーク……。

<と、ミカエラはその場に泣き崩れる。

その時、辺りが光に包まれ、君にとって見覚えのある天使が姿を現した。>


に、二色の羽根を持つ天使……。まさか、本当に実在するとは……。

あなたは、神界の象徴、昼と夜、黒と白を司る大天使、プリュム……。

<ミカエラはそう言ってプリュムの前にひざまづいた。>

若き聖王、ミカエラ。辛いでしょうが、どうかイザークの事は諦めて頂けないでしょうか。

……そんな。

イザークよ。あなたを魔界の新しい王として歓迎致します。よく決意してくれました。

別に褒められる様な事をした覚えはない……。

ミカエラ、まもなく神界は崩壊するでしょう。それをもう止める事は出来ません――

そんな事は分かりきっている。

私にはこの位しかできません――

<プリュムは自分の首飾りを外すと、それをふたつに分けてミカエラとイザークに授ける。>

この首飾りはあなた方が双子であるという証、天と魔の調和の象徴となるでしょう。

<プリュムはそう言い残し、消えていく。>


イザーク……。私、あなたが何を考えて、ここに来たのか……分かった気がするわ。

まあ、双子だからな。お互い似た様な事を考えるさ。

<君はふと、以前見た先王イアデルの講義を思い出す。>


――よいか。万事においてもっとも重要なことは、均衡、バランスである。

この様に、双方の力が同じであれば、秤が傾くことはない。それは天下も同じ事……。――


<イザークがため息交じりにイアデルの言葉を話し出す。>

どちらか一方の力が勝ればたちどころに均衡は崩れ、民は乱れる。

お父様の仰っていた事を本当に理解していたのは、あなたの方だったのかもしれないわね。

どうだか……。

<イザークは少しだけ照れくさそうに呟いて、魔王の玉座に腰を下ろす。>

歴史を司る神官よ!

は、はいっ!?

<突然呼びかけられたメティースが飛び上がる。>

我は今より魔王として、この魔界を治める。

この愚かな堕天使の名をしっかりと歴史に刻んでおけ!

しょ、承知いたしました!

<それを見ていたミカエラは君たちを振り返る。>

みなさん。ここまで付き合って頂き、本当にありがとうございました。

私は天界に戻り、聖王として私のすべき事をしようと思います。

魔界の王と戦う天界の聖王として……!


<そう言い放つ彼女の顔にもう迷いはない。強く清々しい聖王の顔がそこにあった。

宮殿を出て、天界へと帰る君たち。その間ミカエラが魔界を振り返る事はなかった。>


私たち、結局何しに来たんだろうね?

んー。歴史の再確認?

ま、歴史なんて、そうそう変えられるもんやない――

起こった事は起こるべくして起こった、ちゅーことやな。

起こった事は起こるべくして起こった、ね……。

さ、ワイらも帰んで!

おっけい!

<メティースはトートと額を合わせ、呪文を唱え始めた。>


ちょっと、私たちの事忘れてないかにゃ?

あ!完全に忘れてた!トート、お願い!

ピィー。

<鳴き声と供に生み出された虹色の泡に包まれて、君とウィズは空高く昇っていく。>

いろいろありがとー。

お世話になりましたー。

<そして君たちは光に包まれた。>



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気が付くと、君たちは自分の部屋にいた。

手元の歴史書は、バロンから手渡されたままの、ひどく古いものに戻っている。

「中身を確認してみるにゃ。」

君は頷き、歴史書を開いた。


「やっぱり何にも変わってないにゃ……結局、元通りの歴史に戻っただけにゃ。」

そこには、神界崩壊後、長い間姉弟で戦う事となったミカエラとイザークの

悲しい歴史が書き込まれているだけである。

そしてやはり、イザークは愚かな堕天使として記録されている。


「目の前の事実がそのまま真実だとは限らない、ってことだにゃ。」

どこかで聞いたそのセリフに、君はそうだね、と答えた。

感慨深げに歴史書を読み返していくウィズ。

「にゃにゃ!これって私たちの事にゃ?」

ウィズの言葉に君も歴史書をのぞき込む。


『天界の聖王ミカエラは勇敢な黒猫の魔法使いを従えて、魔界へ乗り込んでいきました……』


君はなんだか恥ずかしくなって、歴史書を閉じる。

永い時を超えてきた歴史書の埃が昼下がりの西日を浴びながら、キラキラと宙を舞った。


「クシュンッ。」





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