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【黒ウィズ】アルティメットガールズ Story3

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最終更新者:にゃん


最終話 絶級〈魔杖〉、降臨



とりあえずー時休戦ってことにして、杖探しに行ってみる?

 というレナの提案を受け、君たちはエターナル・ロア探しに出た。

既に日が落ちていて、いつの間にか大きな月が見えている。

弱ったわね。大会が終わってしまう前に見つけたいのだけど………。

 依然、街の人々は賑わっているようで、歩くのは結構大変だ。

リルムの杖、エターナル・ロアを見つけてあげたいという気持ちはあるが、

これでは探すことすら困難だ。

うーん、うーん……。

 リルムは困ったような顔で、周囲をぐるぐると見回している。

杖な一……杖はなー……見つからないな一。

エリスってほら、封印を生業にしてるなら、魔力の行方とか、そういうのわかるんじゃないの?

何よ、藪から棒に……。

“あの杖”の魔力を感じ取れれば、すぐ見つかるでしょう?

私の魔法で感じ取れるのは、悪しきものだけよ。魔杖ならすぐ見つかるかもしれないけど………。

そういえばエリスの家を壊した魔杖って、どんな形をしているにゃ?

さあ、お祖父様しか見たことがないから、私にはわからないわ。

ただ……今から数百年前に生まれ落ちた魔杖は、人々に恐怖と絶望を与えたという話よ。

 そんな危険な杖が、この異界には存在している。

エリスの境遇を思うと、その魔杖もどうにか封印したいところだが……。

……私は、その魔杖を封印して家の名誉を取り戻したいの。

だからわたしが見つけて、叩き割ってあげるって!

縦に。

ええ、ありがとう、アリエッタ。

とりあえずエリス、魔法使ってみて。

使うのはいいけれど、あれ結構疲れるのよ。だから普段は使わないようにしてるの。

ものは試しだね!

 レナがアリエッタに微笑みかける。

…………。

 エリスは静かに目を閉じ、集中力を高める。

――“箱”に魔力が集まっていく。

あった――凶々しい魔力の気配!

行こう!

意外と使えるね、その魔法。

茶化さないで……。

行こう、リルムちゃん。

うん、わかった!

さあ、黒猫のひとも!

 君は頷いて、アリエッタたちとともに声が聞こえたほうへ走りだした。


***


……な、なにこれ。

 逃げ惑う人々。崩れ落ちた建造物。

大会の熱狂とはかけ離れた、ある種の絶望的な空気感が、そこにはあった。

あった!杖!

 アリエッタが指さしたところに、君も見たあの杖……エターナル・ロアが“いた”。

あ。私の杖だ。

どうしてあの杖に反応したの……?

 もしかして……とエリスは小さく呟く。


ククッ、来たか小娘……ッ!

 見たことのない男性が、杖を握りしめている。

生まれ落ちて幾星霜。数多の大魔道士を邪悪な力により傀儡にしてきたが……

小娘と出会って以降、投げられ、売り飛ばされ、精神的苦痛を味わわされてきた。

落としてくれたことは、我にとって幸運だったと言うべきだろう。

小娘!これまでの恨み、まとめて晴らしてくれるわ!

わけわかんないこというな!

ええ!わかんないの!?


 だが真実に気づいたエリスは震えが止まらなかった。怖いからではない、もちろんない。

貴様!魔杖、エターナル・ロアか!!

 激昂するエリスの魔力が爆発する。

そうだ。我だ。魔杖エターナル・ロアだ。

あれがロアちゃん……。

くくくっ……この空気、久しい。久しいぞ。

我を手にした人間は運がなかった。見ろ、こうして乗っ取らせてもら――。

てーい!

うぐッ……待て。我、話してるから。

おりゃー!

そりゃー!

 話の途中でアリエッタが魔法を叩き込み、

それを皮切りにしてリルムが続き、面白半分にレナが加わる。

ちょ、待たんか!まだ我が話しているだろ!杖の話を聞かんか!

ちょ、待て!待てというに!ぐッ、貴様ら……親を呼ぶぞ!!

ちょっと、みんな、ちゃんと話聞いてあげようよ。

それもそうか……みんな、やめー!

はーい!


……そんな改まって話すほどのことは……ないのだが。

 エターナル・ロアから膨大な魔力が溢れているが、なんだか拍子抜けしてしまう。


こんな近くに魔杖があるなんて……私は運がいいわ。

お、そういえば、貴様。祖父がどうとか言っていたな。我を封じようとした者。確かにいたぞ。

少々、物足りなかったがな!

一族の汚名……ここでそそがせてもらうわ!

よーし、アレが魔杖なら――叩き割るっ!縦に!

やってみろ。小娘ども。

キミも構えるにゃ!

 あれがエリスの言っていた魔杖なら……。

……なんとかして杖を引き剥がさなければ。

魔道というものを貴様らに教えてやろう。


***

BOSS

***


 みんなの魔法が、エターナル・ロアに向かって放たれる。

ぐッ、貴様らァッ!我を舐めるなよ――!!

 しかし、君たちの魔法エターナル・ロアが倒れることはなかった。

強力で、強大な魔杖……。

……必ず封印してみせる。

出てこい!本!

またあの本にゃ!

 そうか――と君は思い当たる。

エターナル・ロアの強烈な魔法を防ぐために、あの本を取り出したに違いない!

攻めの型――

鈍器!

げぶぼあぁッ!?

 尋常ではない速度で飛ばされた巨大な本が、エターナル・ロアに直撃した。

もはや魔法なのか何なのか……わからないにゃ。

ええ……痛い。我、すごく痛い……。


出てこい――私の賛よ!

箱の中から飛び出てきた”ソレ”は、言葉にはできない異形の何かだった。


げっ、なんかやば……。

 皆が口々に驚愕の声を上げる。

ぐッ、くうッ……よもや我が呪いが――引き剥がされるというのかッ!

 音を立て、依り代になった人とエターナル・ロアが分かたれるのが見える。

そして数秒と経たず……杖がカラン、と音を立てて落ちた。

う、うわぁ……。

 さすがの魔道士たちも、困惑を隠し切れない。君もまたそのひとりだった。


ふぅ、終わりね。“繋がっていた”部分だけ封印したわ。

…………。

どうしたの?みんな。そんな顔して。

 明らかに“引いている”ことに、エリスは気づいていない。

今の何にゃ?

シャルム家に伝わる“封印の魔物”です。日く、禍事を喰らうものらしいですが詳しくは……。

はー、終わった終わった。もう帰ろー。

……本当に終わったのかにゃ?

 たぶん、と君は口にする。

……本当に終わったのかは、君にはわからなかった。



***



 街の外れに来た君たちは、そこで一息つくことにした。

アリエッタは大きく伸びをして、息をつく。

助かったわ。あなたのおかげで、エターナル・ロアを引き剥がすことができた。

 君は、そんなことないよ、と言う。

みんなの頑張りのおかげだよ、と付け加えた。

乗っ取った瞬間に、顔も体つきも何もかも変わっちゃうのね。

幸い、エターナル・ロアに乗っ取られた人に怪我はなかった。

ただ、魔杖が離れた瞬間にまるで別人に戻っていったのには驚いた。

呪いのような形で体を奪い取り、顔も体も……。全部が全部、別人になったようだ。

君は、エターナル・ロアを封印しなくてもよかったの?と問いかけた。

ええ。リルムが上手く扱うと約束してくれたから。

 リルムとエターナル・ロアが「あばばばば……」といって倒れたのは言うまでもないが、

今後、このようなことがないようにする、と約束してくれたようだ。

黒猫のひと、もう帰るの?

もうちょっとここにいませんか?

どうするにゃ?

大会のあとは、お祭りが1週間くらい続くしせっかくだから遊ぼ!

優勝は逃したけど、まあ仕方ない!ごめんね、エリス!

どうして謝るの?

優勝してお金をもらって、エリスにあげたかったんだけど、ダメだった!あはは!

……馬鹿ね。いいのよ、そんなこと。

 エリスがアリエッタの頭を撫でる。

気づけば大会は終わっていたし、優勝者はどこかの魔道士に決まっていた。

エターナル・ロアを止めるため動いていた君たちは、いつの間にか失格扱いになっていた。

だが皆――アリエッタなんかは特に、晴れやかな表情を浮かべている。

災害だとか言われてるけど、この子、意外と世界のために貢献してるのよ。

 やることは無茶苦茶だけど、わからなくはない、と君は言う。

そういえば魔道障壁を作ったのも彼女だと言っていたのを思い出す。

自分で作って自分で壊すなんて、意味がわからないにゃ。

でもアリエッタちゃんのおかげで、生活が豊かになったっていうのも、事実ですよ。

とんだ大魔道士にゃ……。

それで、どうするの?黒猫の魔道士さん。ちょっとぐらいいられないの?

 君は考えたあと、それなら少しだけ、と返答した。


それじゃあ、行きましょう。

すぐには帰らせないけどね!


 その言葉どおり、君たちが帰ることができたのは、お祭り騒ぎに巻き込まれ、

”封印された魔道士”との戦いを経てからのことだった。




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