【白猫】The Ancient Heroes Story
2018/00/00 |
story 英雄の導き手
我は抗う。
絶念し、頭を垂れることを<夢>と呼び――
頂きへ至るため、繰り返される敗残を<希望>と呼ぶのなら――
己が精神を高揚させるべき火酒とはなにか――
雄牛に角があるように、獅子に牙があるように、我に思考がある意味はなにか――
<試練>に挑みし者よ。汝に求めるものは思考を止めぬ、その意思のみ。
さすれば自明となって、切り裂かれし力に挑む汝の手に、我が祝福を賜ろう。
ゆけ。――英雄の、導き手よ。
その力を以て、踏破せよ。
***
ここが、<試練の塔>……
……召喚に応じて頂き、感謝する。
私たちをここに招いたのはあなたですか?
私ではない。極光の、大精霊だ。
精霊さんのお願いってことね?
そうだ。塔の攻略は私たち一族の悲願。頼んだぞ。
見たとこアンタ戦えそうじゃない。自分でやればいーのに。
無理だ。
どーしてよ。
私は弱い。ものすごくな。
……なんかごめん。
気にするな。……とはいえ、ただ送りだすのも不親切。
あら、ガイドしてくれるの?
そうだ。
…………
アイリス?
――もし、少しでもムリだと感じたら引き返しましょう。
そ、そんなにヤバイの?
ヤバイぞ。限りなくな。ぶっちゃけ、今引き返してもいい。
絶対に戦わないことを条件に、少しだけ案内してやってもいい。
まだ登ってすらないわ!
登りたくない気持ちもわかります。……とてつもない力を感じる。
だろうな!
アンタのせいでいまいち伝わってこない!
ありがとう!!
褒めてないわ!!