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ほんと、海って広いわね……
はい……ここから船を探すのは、相当大変そうですね……
ｋだからこそ、人手が必要だった。
手分けして探した方がいいのかも？
……単独行動は危険だ。分かれるのならグループ単位で行動した方が良い。
というわけで、Ａチームは私とレイチェルちゃん、シエラちゃんにけってーい。
よろしくね、サテラ！
こちらこそ！友達が増えて嬉しいなー♪
私も♪レイチェルも、仲良くしてくれると嬉しいわ♪
よ、よろしくお願いします！
あっ！ねーねー見て見て見て見て！！
わあ、魚群だわ……！
ほらほら、こんなに近づいてもぜんぜん逃げない！あはは、可愛いー♪
ふふ、ほんと♪
……ってー！！遊んでたらだめだった！
はっ、ほんとだ！ついつい夢中になっちゃった。ね、レイチェルちゃん――
……あれ？レイチェルは？
私一人だけドジでダメダメな分、がんばってクルーピエさんや皆さんの役に立たないと……！
シエラさん、サテラさん！私、次は向こうの方を探して――
って、言ったそばから先走って単独行勤しちゃった！？
……バカだなあ、私。ー回戻らないと……
おーい、レイチェルちゃ～ん！！
どこ～！？
きゃああああああ～～～～！？！？
こないでくださ～～～い！！
でっかいピラニアにおっかけられてる！
じゃなくてサメよ！！い、急いで助けないと！！
！後ろ！追いつかれる……！！
え……！？きゃ――――――ーっ！！！？？
……そんなぁ～！？
レ、レイチェル……レイチェル――！！？
あ、大丈夫ですー。
……！？
えええええええええ～！？ま、ま、また増えた――！？
お願い……！もう少しだけ耐えて……！！
た、助けてくたさあ～～い！！いや――――――っ！？！？
そんな……！！
……お願い！返事して！レイチェルちゃーん！！
あ、無事ですー。
なんで！？
とか言ってる間に追いついた！
あっちに――いきなさーい！！
うぅ……助かりましたぁ……
無事で本当によかったけど、どうして傷ひとつ負ってないのよ……
私、体がすごく頑丈なんです。痛いことは痛いんですけど。えへへ……
もうだめかとおもったあー……！！
ご迷惑をおかけして、本当にごめんなさい……
ううん、よそ見してたのは私たちだもの……こっちこそごめん。
海をナメてたねえ。気を引き締めて、がんばろー☆
……シエラさん？
……しー。ねえねえ二人とも、向こう、よーく見てみて？
……なにあれなにあれ！？なんか、ぴょこって出てる……！
……ぴこぴこしてて……
……可愛いですね～……！
ねえ見てキャトラちゃん。魚群だよ。綺麗だね。
きれいね！
図鑑で読んだことがあるんだ。あれはシックルフィッシュっていうお魚なんだ。
そうなのね！
お魚が魚群を形成するのはね、小さな個体が集まることで大きな個体に見せかけて、外敵から身を守るためっていう説がー般的だったの、昔は。
詳しいわね！
でも今は、個々が狙われる確率を減らすためたっていう説が主流なんたって。希釈効果っていって……
ぎにゃ――ー！！！
エマったら、さっきから顔見知りのアタシたちにしか話しかけてないじゃないの！
アンタのグループのメンバーはヴィクトールとエイスでしょーが！
でもキャトラちゃんたち、ずっと私のそばにいるから……
いちおう心配だったの！でも、もう過保護はヤメー！
いくわよみんな！
あ……
…………
……それじゃあ、探しましょうか。
……ああ。
…………
…………
……………………
こら！ヴィクちゃん！！
だめやないの黙りこくっとったら！
いえ、私は別に気になりませんけど……
……だそうだ。
ええから、ちょっとこっちきい！
もう！こういう時はヴィクちゃんが気い使わなあかんで！
……だが、彼女も気にならないと言っている。
そういうことやない！あんたが口下手なのは、赤ん坊んときからずーっと見守ってきたウチがよう知っとる！
でもや！いまは夏真っう盛り！広大な蒼い海、幻想的な景色！気分も思わず開放的に……
お前は何を言っているんだ。
お友達作るチャンスやってこと！責任ある立場なんやから、対人能力も日頃から磨かんと！
まずはたあいのないことでええからこっちから話題振る！向こうが答えたらちゃんと返す！会話の基本はキャッチポールや！
…………
……すまない、持たせた。
いえいえ。
（……ガンバ……！）
……たあいのない話をしろと言われた。
え？は、はい……？
……だが、俺は口下手だ。他人に共感することもできない。たあいのない話などしたところで、人を楽しませられるとは思えない。
ならいっそ、全霊をもって面白いことを言ってみようと思う。
……！？
面白いこと……ですか？
そうだ。ー発ギャグだ。傾聴してくれ。
あかん！それ、絶対、……アレ？あかんやつや！デジャヴ！？
『氷の国のあいさつを教える。……俺に続いてくれ。あい～～ッス。』
え？あ、あい～～っす？
（……いまのが、面白いことなんだろうか？）
ちなみに、今のは、嘘だ。……次だ。聞いてくれ。
『先日、知人からおやつをごちそうすると言われた。｢君、アイス食べるかい？｣｢あ、いいっすね｣』
（笑ったほうがいいのだろうか？）
アイスを愛す、というパターンもあるんだが……聞いてみるか？
あの、無理はしなくてもいいですよ？
夏は終わりや。
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ぷかぷか～～ん♪
もう、キャトラ？まじめにやらないと……
ｋそうよ？ぼーっとしてると危ないんだから――
きゃあっ！？
ｋあ、ありがとう……助かったぁ……
……やっぱり、冒険家の入って強いんだねえ。
ヘヘ――ん。でしょ？
クルーピエさんは、船で待っていてもらっても大丈夫ですよ……
深く潜れば潜るほど、危険でしょうし……
アンタが言ってた、船を沈めた魔物とかゆーのもいるかもしれないんでしょ？
ｋ……そういうわけには、いかない。
私は絶対……＜海で咲＜桜＞を見つけないと……
……クルーピエさん？
気になったんだけどさ。
どうしてアンタは、そこまで海で咲く桜とやらを見つけたいの？
ｋ…………
海は広いし、ただでさえ五年も前の出来事なんでしょ？
こんな人数の冒険家を雇うなんて、ずいぶんとお金だってかかってるだろうし。
見つかるかどうかなんて正直わからないのに……
ｋ――それは――
――お金よお金！お・か・ね！
そんなの決まってるでしょ？この世から失われた幻の桜！見つければー揖千金間違いなし！人生勝ち組大決定♪
深い理由なんてナイナイ。あはは、ヒいた？
別に？お金はだいじたもの。
依頼をお受けした以上、全力でがんばりますね……！
ｋ……あなたたちって、きっといい人たちなのね。
プロフェッショナルと呼んでほしいわね！
ふふ、キャトラったら……
でも実際のトコさ、お話のしんぴょうせいはどうなの？
ｋガセってことはないよ。生還した人たちから直接聞いた証言だもの。
沈んだのは氷の国の商船だよ？帰ってきた船員たちが、口をそろえて言ったの。
＜イサナザクラ＞を積んでいたって。
それは……確かに、信頼できる情報ですね。
オッケー！そうと決まればがんばって探すわよー！
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いつの間にか、陽が傾いてきちゃいました……
見つかる気配がないわね……
あ、エマちゃんたちだ！おーい！どうだったー？
こっちは駄目でした……
んあー、そっちもかー……
……夜の海は、危険だ。今日は切り上げた方がいい。
そうね……さすがにヘトヘト～……
もーお腹ペコペコー……
ずっと泳ぎっぱなしだったもんね。
ｋ…………
（……あかん、消沈ムードや……）
かくなる上は……ヴィクちゃん！ごにょごにょごにょ……
……意味はあるのか。
意味とかやない！やるんや！ウチらで夏を盛り上げるんや！
いくでぇ！！
――はぁあっ！！
これは……
氷の、小島……！？
夕陽を受けて、きらめいて……綺麗……！
ねえねえ、ぜんぜん冷たくない！水着のおかげかな！？
即席の海上キャンプ場ってワケね！やるわねエイス、ヴィクトール♪
せっかくの夏や。休憩ひとっとったって記憶に残る思い出にせんと！
お二人ともありがとうございます♪
……いや。
ピーちゃんも。そないがっかりした顔せんと、元気出していこ？な？
ｋはい、ありがとうございます……
船から薪とか食材持ってきたよー！
調味科もたくさんありました。
わあ……タラにニシンにアンコウに……ロブスターまで！？
おっきい……美味しそう！
あ、聞いたことあります。氷の国の周りの海はすごく豊かで、海の幸が美味しいって。
ｋ無茶なこと頼んでるぶん、しっかり食べてもらいたくて、いろいろ用意しておいたんだ。
ありがとうございます。さっそく下ごしらえしましょう♪
今夜はバーベキューね♪
あ、私も調理、手伝います。
オーケー♪みんなでがんばりましょう♪
は、はい！よろしくお願いします！
ううう～……ぜんぜん火がつきません……
こっちもー……手の平が痛いようー。
（はっ！ルエルちゃんからもらったアレの出番……）
（って、いやいやダメダメ！こんなことに使ったらもったいない……！）
……あ、そうだ。これがあった！
晴～天～鏡～！！
せいてんきょう？
私の故郷の道具でね、太陽の光を集めていろいろできるんだー♪
もう陽も沈みかけてるけど……薪に火をつけるくらいなら……えいっ。
……あ、火、つきました！すごいです！
って、消えちゃう消えちゃう！
ふー！ふー！ふー！
ほんじゃいくでー！
でかしたわエイス！さあ、この氷の塊を削って、テーブルと椅子を作るわよー！
わかった。
跡形もなくなったわ！
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それじゃ……せ――ーっの！！
「「「いただきま――す！！！」」」
どんどん焼きますので、どんどん食べてくださいね！
アタシはひたすら食べる役～♪
もう、キャトラ？食べてばっかりじゃ、レイチェルさんが食べる暇が……
大丈夫です！ご迷惑ばかりおかげしている分、皆さんの役に立たないと……！
レイチェルー、あーんしてー♪
いいですよー。はい、あーん♪
あ、レイチェルさん！ロブスター焦げてます……！！
ぎにゃー！！アタシのメインディッシュ――！！！
ひーん！すみませえーん……
いらっしゃい。海の上が騒がしくて、気になっちゃった？
エマちゃん、隣いいかな？
あ、はい……
エマちゃんてさ、生き物と仲良くなるの上手だよね？
私もさっき、撫でようとしたけど逃げられちゃって……
私は動物と触れ合うの、慣れていますから。
へえ、すごいなあ……
……ね！せっかくだから、この子と一緒に写真撮りたいな！
いいですよ。じゃあ私、シャｘｔｕター押しますから――
違うよ、エマちゃんも一緒。はい寄って寄って♪
え？
はい、ピース☆
うん、いい感じ！友達になれた記念だね♪
……と、友達……
わーい♪
あはははははは！！
喜んでくれて嬉しいわあ。
うん、スケートしてるみたいで楽しい♪
というわけで、はい。ヴィクトール、あなたの分のバーベキュー！
……気を遣わなくていい。
でも、どんどん食べないとみーんな取られちゃうわよ？
もー、ヴィクちゃんたら、ちゃんとお礼言わな……
ううん、お礼を言うのは私の方。海の真上でバーベキューなんて、本当に素敵！
だから二人とも、あらためてありがとう♪
……エイスの発案だ。
ふふ、それでも！……ナギや学園のみんなも連れてきたかったなー。
…………
どうしたの？
……お前は、ドラゴン乗りか？
え、どうして……！？
全身の重心制御に独特の癖がある。
すごーい、大正解！！
私にもフレイヤっていう、竜の相棒がいるのよ。
あら、親近感わくわー！
ｋあ、主人公……
ちょっとへこんでたとこ。やっぱそう上手くいかないね。
コツコツ貯めたお金、ぜーんぶブッ放してまで何してんだろって……
……馬鹿だなー、私。
こーら、そんな端っこにいるとさびしいぞー？
みんなで楽しく過ごした方が、きっと明日の活力になるよ。ね？
……はい。明日もありますから。
ｋ……うん。
みなさーん！またまだあるので、たくさん食べてくださーい！
……だってさ、クルーピエ。ほら、みんなで食べましょう？
せやで、ピーちゃん、育ち盛りなんやから。
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（……なんか、眠れないなあ……）
あれ、エマちゃん？お早いお目覚め～。
サテラさんも眠れないんですか？
うん、なんかまだ、胸がドキドキしててさ。
ドキドキ？
私、生まれてからついこないだまで、故郷の島から外に出たことなかったんだ。
だから……見るもの全部、びっくりであふれてて、楽しくて。
……そうなんですね。
さくらちりまい なるしらべ らっかのほとり さざめきて
そのねをたどり ひたあゆむ いとしあなたと あえますように
素敵……！
ｋうわっと……！？……二人とも、まだ起きてたのね。
こんばんは。いまの……＜つきよさくら＞ですよね……？
私も小さい頃、両親と一緒に歌いました。
綺麗な曲だね……その箱から流れてるの？
ｋオルゴールっていうの。お母さんにもらった宝物なんだ。
へえ～。クルーピエちゃんのお母さん、どんな人なの？
ｋ……優しいお母さんだったよ。
小さい私がねだるたんびに、このオルゴールを鳴らして……一緒に歌ってくれた。
……！
ｋお父さんは無口な人でさ。でも、私たちを大事にしてくれた。
仲良しな両親だったんだね。
ｋ昔は、大変だったみたいだけど。
……大変？
ｋいわゆる、身分違いの恋。深窓のご令嬢と、ただの漁師の一人息子。
二人とも、昔は氷の国じゃなくて別の島に住んでたんだけど――
その島には大きな桜が植わってて、真夜中になると、二人はそこで逢瀬を重ねてたんだって。
それを誰にも知られないよう、先に着いた方は近くに隠れて……
それで、後から来た方が、＜つきよさくら＞を歌うの。
その歌声が、二人の時間の始まる合図。
……桜の樹が、ご両親の架け橋になってくれたんですね。
わぁ……ロマンチックー……
ｋ私は桜の花を見たことなくってさ。私見てみたいって、よく駄々こねてたっけ。
……氷の国の寒さじゃ、桜は生育できませんからね……
だからクルーピエちゃんは、＜つきよさくら＞が好きなんたね？
ｋ家族の絆の歌、みたいに思えてね。
このオルゴールも、お父さんが昔、お母さんに贈ったんだってさ。
大切な物なんですね。
ｋ……うん…………本当に、大切にしてた。
……もしかして……
ｋうん、もうしんじゃってる。三年前に。
ずっと病気でさ。私を生む前から。
………………つらかったですね。
ｋいいって、撫でないでよ……！
……だって……
ｋはい離れた離れた。はいーどいてー！
あう。
ｋ――お父さんは、船乗りでさ。知り合いが世界中にいて――
それで、知ったんだって。遠い遠い島の、＜海で咲＜桜＞のこと――
いま思えば、あのとき……お母さん、もう長くないって、お父さんはわかってたんだ。
だから、お父さん……私と、お母さんに言ったの。綺麗な桜を見せてあげる、って。
必ず持って帰って来るから、家族みんなで見よう、って。
……どうして、＜海で咲く桜＞にこだわったんだろう……？
ｋお母さんの体力じゃ、遠出は無理だったから。
で、お父さんが氷の国を発ったのがもう五年前のこと。
……！！君が探そうとしている沈没船は……
お父さんが乗っていた船……なんですね……？
ｋ……船が、魔物に襲われて。他の船員たちを避難させてたせいで一人だけ逃げ遅れたんだって。
それで、積んでた桜ごと……お父さんが乗ってた船は……
……もうしんじゃってるなんて、私だってわかってる……
それでも……私は、この目で見ないといけないんだ……お父さんが、命を懸けて……私たちに届けようとした桜を……
――お母さんの、形見と一緒に――
……ってね。お涙頂戴の身の上話はオシマイ。
しっかり寝て、明日も働いてよね！依頼主の私のため――
（……波が……！）
ｋあ……オルゴールが……！
――っ！
サテラさんだめです！！生身で夜の海になんて飛び込んだら……！
……だけど……！
ｋ――ううん、いい。
もう……いいんだ。
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＜――翌日――＞
＜＜＞
ぜんぜん見つからないわね……
……さらに深いところまで潜るほかなさそうね。
……ここからは、まとまって行動した方がいい。
せやね。何が出てくるかわからん。
……かなり、深いところまできましたね……
どんどん視界がきかなくなって……
水は、光を散らしてしまうんです。ここまで深く潜ってしまうと、水着の効果も薄れちゃうのかも……
そっか……海の生き物ももう、あんまり見かけないわね……
深海は、とても厳しい環境ですからね……
水着がないと、私たちもー瞬で……
私たちの命綱がコレー枚なんて……ちょっぴり怖いかも。
あああっ！ごめんなさい、怖がらせてしまって……！
ううん。でも――
……本当に見つかるのかしら。ルーンランプの灯りくらいじゃ、もうほとんど見えないし……
エマちゃん、そっちはどう？
こっちは何も……
……離れすぎると危ない。二人とも、先行しすぎるな。
あ、ごめん……！
すみません。
（……絶対に、見つけるんだ……船も、桜も……！）
（……あのオルゴール……見つかるといいけど……）
――――
ｋ……もう、いい……
でもまだ……
ｋ見つかるかもわからないものに、これ以上命かけられない。
そもそもの理由だって、お金のため、なんて感じだし――
……！違うんです！クルーピエさんは……！！
理由なんて関係ないわ。
クルーピエは叶えたいことがあって私たちを雇ったんでしょ？
その目的が何か、なんて……いいの。
あなたが心から真剣なんだってことだけは……伝わってる。
ｋ……シエラ。
依頼人が望むなら、私たちは全力で応えないと。
――冒険家として♪
そ、そうですよクルーピエさん！希望を捨てるのは早いと思います！
私も、諦めたくありません。
せっかくここまで来たんだもの。トコトンまでやりましょ？
ｋみんな……
それに探しものって案外、すぐそばに転がってるものです！ー寸先は闇と言いますし！
いまがその暗闇なんだけど……
って、いたーいっ！？
いてて……あれ？目の前に何か壁が……
これは……
船……！？ねえ、クルーピエ！これ、もしかして――
ｋ……間違いない……
この……船だ……
next
