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MARELESS 夢現の蝶 Story4

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夢占いの力が有用かもしれないとはいえ、怪しい女と助け合う約束をするとは自分らしくないとノクスは思った。

もっとも、自分が何者かわからない男の自分らしさというのもあてにならない。

「あの女、どこまで信じていいものか……。」


夢占いは得体が知れない。

どういう仕組みかわからないが、ノクスを占った瞬間、ロザリアの魔力が跳ね上がった。

こちらの魔力を吸収されたのかと思ったが、そういうわけではないらしい。

まるで、何もないところから魔力が湧き出したかのようだった。

「うまく利用できればいいが、油断ならんな。」


あてもなく街を歩いていると、外套に止まっていた蝶が羽ばたき出す。

ノクスを誘うように、蝶はゆったりと飛んでいく。

そのあとを追っていくと、〈フェノメア〉と戦う少女のもとにたどり着いた。


ロザリアとは、苦戦していたら助け合うという約束をした。

ただ、ノクスが助ける対象はロザリアだけではなかった。

ロザリアは、エリンという鷹匠師の少女と行動を共にしているらしく、そちらも助けろとのことだった。

日く、この街に似つかわしくない、こぎれいな格好をした子だから会えばすぐわかるという。 

「こぎれいで……似つかわしくないな。」

こぎれいな少女は魔力がこもった球体を〈フェノメア〉にぶつけている。

多少はダメージを与えているようだが、勝てるかどうか怪しい。

〈フェノメア〉の手が少女を引き裂こうとする寸前、ノクスは杖を割り込ませた。

そのまま薙ぎ払うと、〈フェノメア〉はあっけなく消滅した。


「あ、ありがとうございます……。」

警戒しているのか、エリンはおどおどした態度で礼を言った。

「魔匠師のエリンか?」

「ど、どうして私の名前を……。」

「夢占い師のロザリアに聞いた。」

ロザリアの名前を出すと、エリンの目に動揺が走った。

そして、勢いよく頭を下げた。

「ご、ごめんなさい! ロザリアさんの占いはインチキなんです!」

「いや、あれは確かに力を持っていると思うが。」

「もうロザリアさんの信者なんてすか……。」

エリンの目には、どこか憐れみが込められているように見えた。

「ロザリアさんの占いは嘘です。私の作った魔匠具をお客さんに買わせようとしているんです。」

「何か勘違いしてないか。俺はロザリアと、お互いに困ったら共闘すると約束しただけだ。

エリンという魔匠師もついでに助けろと頼まれただけだ。」

「そうだったんですか! 失礼しました!」

「お前に話を通さずロザリアが勝手にした約束だ。迷惑なら、こういう真似は控えるが。」

「いえ、迷惑だなんてとんでもない。ちょうど困っていたので、助かりました。

あ、あの、厚かましいお願いなのですが、ついでにもうひとつ困っていることが……。」

「なんだ?」

「私、誰かを探していたんですけど、誰を探しているのか、わからなくなってしまって。

大切な人だったような気がするんですけど………。」

「……お前は何を言っているんだ?」

「す、すいません。ちょっと頭が混乱していて。変なこと言ってしまいました。」

大げさにおじきをしたエリンは、走り去っていった。

「この街は、わけのわからないやつが多すぎるな。」

ノクスのような者が身を潜めるには、ちょうどいいのかもしれない。





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