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【白猫】シュガーリィホーム Story2

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最終更新者:にゃん


目次


Story8 チョコケーキ!

Story9 暴走ハウス

Story10 心

Story11 マイスイートホーム

Story最終話 シュガーリィタイム



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story8 チョコケーキ!



pチョコの歯車、できました!

sビスケットのレンガを積み上げて……ぺたぺた。

nこのマフィンなら、大ささは……


nシロップは焦げないように気をつけてください。

pチョコチップいっぱいくっつけましょう!

sふわっ、ぱりっ……いい響き。


nふう……チョコレートケーキ、会心の出来でしたね。

pこれだけ家のパーツじゃないんですね。ただの大きなケーキ……?

nでも、一番おいしそうです♪

sエレノアはどうしてお菓子が好きなの?

nどうして、ですか。うーん……

豊かで安定した食からは、平和な世界を実感できると言いますか……

s平和……平和は好き。

n特にスイーツは、お腹を満たすための料理ともまた違うでしょう?

誰かを幸せにするためにあるものだなって……そこが、とても好きです。

pスイーツは幸せ……ハッ!ということは……

チョコであふれるバレンタインとは、それはもう幸せのかたまりなのでは……!?

nふふ。そうかもしれません。

nシオンさん?

sアナウンスが来るわ。

nえ!?長いこと止んでたのに……

<完成――>

nいま、たしかに……

s壁に現れては消えてたレシピも、もう次が出てくる気配はない。

pどうやらやり遂げてしまったようですっ♪

nよかった……二人とも、ありがとう。

pお礼を言われることなんて。

s元は私が受けた依頼が発端だった。

nいえ、幸せな時間でした♪


nきゃ!

s地震……!?

pいえ!揺れてるのは、お菓子の家自身です!

信じられないことですが……お菓子の家、動いちゃってます!

<さて、最後の仕上げね!>

n仕上げ……!?

<家をダーリンと食べようにも修復機能がそのままじゃ食べ終わらないもんねっ。私ったらおっちょこちょい♪

家が完成したら、最後は特製チョコレートケーキに自己治癒機能のすべてを収束させるようプログラムする!

そうすれば、家自身はじきに修復機能を失って……

うそ、人が玄関の前に……彼が来ちゃったの!?

この場所は――秘密――ブツッ。>

s特製チョコレートケーキ……さっき作ったもの?

nなくなってますよ!?

s<共鳴>した……家の中を移動してるみたい……

pお菓子の家は、いったい何をしようとしてるんでしょう……!?




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story9 暴走ハウス



深い森だね。迷わないようにしないと。

なーんか、さっさから甘ったるい匂いがするのよね……

にしても、あのおじいさん、元気だったわね~。おばあさんにチョコねだってたわ。

あれは筋金入りの甘党よ。

でも、あの体……かなり重い症状だと思う。

若いころ、出稼ぎで危険な精霊に近づいて、毒素を吸って体か動かなく……って話だったわねえ。

なんとかしてあげたいけど、私じゃ治せそうもなくて……

もう、アイリスが気に病むことじゃないでしょ?

二人は今も仲良くチョコつまみ合ってるんだから、それが一番じゃない。

そうね。いいバレンタインになると――

何の音かな……

ぎにゃー!!なんなのー!?

お菓子の家!?

お菓子の家かもしれないけど、なんでキャタピラ回してこっちに走ってくんのよー!!

とにかく逃げなきゃ!



nいま外はどうなってるか……まさか被害が出てたりなんて……

s窓がないから、不安。

pこの方角に進むと、おばあさんたちの街があります!

s止めたい……けど、方法が……はぷ!

p家が動き出したのは、あのケーキがきっかけでした。あやしいです。

nでも、ケーキはとこかへ運ばれていってしまいました……

あれ?シオンさんは?

sぷはっ、ケーキの位置、わかるわ。

nプリンの下敷きになってたんですか!?

sプリンの中、振動がなくて静かだった。好き。

n(頭だけ出して話を続けてる……)

s質問、いい?

お菓子の自己治癒の力……収束すると強くなる?

p強まると思います。とてつもない回復作用をもたらすかと。

そもそも、あの家の回復作用自体、数十年間ルーンの力をため込んだ故のものだと思います。

元々は、食べてもちょっと疲れがとれる、くらいの効果しかなかったはずです。

nそれが、何倍も強まって薬のようになり、さらに収束した……

s強力な回復薬……どうして家がそんなものを作るの?

pそれは、そうプログラムされてたと……

nもしかして、誰かを治そうとして、自らの意思で?

p動き出したのも、薬を届けるための行動と考えると……

<急げ!急げ!バレンタインが始まっちゃう!>

nと、とにかくケーキの行方を追いましょう!考えるのはそれからです!

sついてきて。




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story10 心



どいてどいてどいて――!?

wうわあ!?

wなんだありゃ!?

もうすぐ街の入り口よ!?

いままでは人払いできたけど、これ以上は被害が……

アンタたち!なにやってんの!

wjなに、チョコっと散歩をつつって……なんじゃあ!?

wbあれは、マイスイートホーム!?

避けなさぁーい!!

wj車椅子をなめるな!そんな早く動かんわ!

ばあさんだけでも離れんかぁい!

wbいいえ、私があれを受け止めないでどうするんです!

ああ、どうすれば……!?


s進むの、大変……っ。まるで家が、私たちを進ませまいとしてるみたい……!

nああ、ケーキのある部屋にたどり着いたのに……どうしても届きません!

sケーキ以前に、私たちがお菓子に埋まってしまいそう……!

p止める方法はあります……!

この部屋のエネルギー量、セキュリティ強度……家の中枢を担う動力室で間違いありません。

お菓子の家が何をするつもりだろうと……ここを破壊すれば、家は……

すべての機能を停止します。

n……仮に、家が誰かを治すために移動しているのだとしても……

家の中からじゃ、外の様子がわかりません。大変な被害になっているかもしれない。

pはい。その憂慮がある以上は……止めるしか……

sエプリル、大丈夫?

pえ?

s壊すの、ためらってるでしょう。<共鳴>しなくてもわかる。

nこの家に心があるというならぱ、私たちの行動は、ひとつの命を奪うことと同義かもしれません。

p……お気遣いありがとうございます。

ワタシがシオンさんと出会ったのは、アリーゼ……連れとの喧嘩がきっかけでした。

彼女は機械の心なんて嘘っぱちだと、そう思い込もうとしてる変なアンドロイドで。

でもやっぱり機械にだって心はあると思うんです。ワタシの心はお菓子の家を守りたいと思ってる……

でもそれ以上に、お菓子の家が誰かを傷つける存在になってほしくない!そう思います!

n私も同じ思いです!この家が届けるものは、幸せでなくては!

sやりましょう。最後まで面倒、見なくちゃ……!



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story11 マイスイートホーム



お菓子の家が、崩れてく……

ギリギリで止まってくれたわね……

wbああ、マイスイートホーム……

wケホ、コホ。

s外……?

nなんとか出られたようです……!

アンタたち、なにやってんの!?

sキャトラ……?

pメルチさんまでいらっしゃいます……って、ガナさん!?

ぎにゃー!!チョコケーキに頭が埋まってる!!

wbあんれまあ!?

pあのケーキは……!

自分では抜け出せないよ!助けてあげなきゃ――

wbあんれまあ!?

s自力で!?いったいどうやって……!

wjうまあ~~い!!!


wjこのチョコレートケーキ、絶品じゃあ!!

n埋まりながら食べてたんですか……?

チョコが好きにも程があるでしょ。

wbじいさんが……足で立っておる……

そういえば……!?

wjそれが、不思議なんじゃが……めちゃくちゃ元気がわいてきておるんじゃ!体の不調が全部飛んでったわ!

どゆこと!?

wbおお、じいさんや……!

wjファッファッ。ばあさんと抱擁を交わすのは、結婚式以来かのう。

このカカオのチョイス……ばあさんのチョコじゃろ。今年はずいぶん粋なバレンタインじゃな。

wbやっと届けられましたよ……

な、なんかわかんないけど、よかったわ。

ええ、本当に。

<――した――お礼――

完成――

ありがとう――>

s今のアナウンスは……?

n家が動き出したのは、やはりおじいさんを治してあげるためだったんでしょうか。

完成の、恩返しに。

s本当のところは確かめられないけど……そうだといい。

pきっとそうです。立派なやつです……っ。

三人ともー!こちょこちょ話してないで、こっち来なさい!

このお菓子の家、道をふさいじゃってるからどかさないと!

nすべて廃棄……ですよね。心苦しいですが……

wbみなさん、ちょっとよろしいかしら?



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最終話 シュガーリィタイム



nいただきます♪

これ、ナッツの食感がすてきですね♪

nアイリスさん、こちらも美味しいですよ♪

sメルチさんのお菓子を、また食べられるなんて。

wbあら?どこかでお食べに?

sお菓子の家を……

wbそう。だから私が家から食べられそうな箇所を再利用したい、だなんて無茶を言ったときも、同意してくれたんですね。

wj普通は、何言ってんだと思われるじゃろうなあ。

wb改めて、<甘い思い出>を届けてくれて本当にありがとうね。

私の心のしこりだけでなく、おじいさんの傷まで癒えて……最高のバレンタインになりました。

それにしても、皆さんお菓子づくりがお上手なのね。

pフフン♪クッキングのお手伝い、役に立てたようですね!

アラ、エレノアはともかく、二人も?

みんなが作ったの、どれかな?

nでは、三人で作った自信作を持ってきますね♪

wおねーちゃーん!

sレナ!どうして?

L帰りがおそいから、さがしに来たんだよ~。おとーさんたちもいるよ♪

sそういえば、外ではー日以上経ってたみたいね。

Lお菓子、食べてたの?おいしそー……

sレナもいっしょに食べましょ。

Lいいの!?わーい!

sそうだ。相談があるんだけど……

Lいただきまぁす……もぐ……ふぁあひ?

s二人で、ハーヴェイとディーラにバレンタインチョコを作らない?

お菓子づくりなら……お姉ちゃんが教えてあげられるから。

Lほんと!?おねーちゃん、すごーい!


pアリーゼ!

Aエ、エプリルじゃない。こんなところにいたのね。

pアリーゼこそ、こんなとこに……

探しに来てくれたんですか?

――イエス。

Aクロワ!

ア、アンタのせいでー泊増えた宿代を回収しに来ただけよ。それだけ。

pアリーゼ。バレンタインが何のかたまりか知ってますか?

A……チョコ?

pぶぶー!まったく、なーんにも知らないんですから!

Aこ、このがきんちょは~……!!

pフフン、帰ったら答えを教えてあげましょう。バレンタインのおすそ分け……

(幸せのかたまりの、おすそ分けですっ)


nお待たせしました。

すごい、カップがチョコになってる!

これ、アタシの顔ね!こっちのツンツンは、主人公かしら!

じゃあ、こっちは……

nアイリスさんをイメージしてみました。どうでしょう……?

かわいい♪食べるのがもったいないくらい。

ねーねー、どうしてこんなの作れるの!?

s色々あったから。

p天才に不可能はないのですっ。

nハッピーバレンタインです!どうぞ召し上がってみてください♪

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