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【黒ウィズ】ヴァルザイン

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最終更新者:にゃん
ヴァルザイン CV:
2017/00/00









その異界の人々は、強い魔力を身に秘めながらも、それを自在に操ることができなかった。

ゆえに、天を舞う聖竜が彼らを守護していたと言われている。

しかし、人々の持つ魔力を狙う悪鬼どもが、計略を以って霊竜の命を奪い去り――

人々は、悪鬼の群れの襲撃に為すすべもなく命と魔力を奪われていった。


「我らの願い、我らの祈り……命とともに、おまえに託す……」


光の差さない深き森――その奥で、老人は竜に語りかける。

大木のごとき巨体を鋼の鱗で覆い尽くした機械の竜。

老人はその首元に立ち、動かぬ竜に吼えていた。


「おまえは機械だ。人の手で造られたドラゴンだ。

だが――おまえの血は我らの魔力。おまえの心は我らの魂!

希望の未来を守るため……我らの命、持ってゆけッ!!」


老人の姿がかすんでいく。光の粒子……魔力そのものと化し、竜へと流れ込む。

刹那、竜の眼が冴え冴えたる光を放った。

数多の人々の命と魔力をエネルギー源とする内燃機開、ゼーレンレーペンの光――

今、機械竜ヴァルザインが起動した圧であった。


(熱イ……! 無数ノ命ト魂ガ……我ガ内デ燃エテイル……!!)


産声たる咆哮を放ち――ヴァルザインは、飛んだ。

森の闇を切り裂き、流光を引きながら天を舞い――悪鬼の群れが兵士たちに襲いかかる戦場へと、一気に馳せる。

カッと開かれた口腔から、高ぶる魔力が吐き出された。

凄まじい電撃の光閃が、地上の悪鬼ともを殲ぎ払い――吹き散らす!


 兵士たちは、茫然と空を見上げた。

そして、見た。鋼の翼を。新たなる守護者を。

天を背負うかのごとく悠然と佇む機械竜――ヴァルザインの雄姿を。



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