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アナザーエデン Story2

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「なんだ?どうなったんだ?こ……ここはいったい……?」



「な……何なんだこれは……!?まさか空に浮いてるのか!?ウソだろ……。」


「何者なのあなた!?

空中からいきなり飛び出して来たように見えたけど……まさか合成人間の新種!?」

「ちょ……ちょっと待ってくれ!オレはフツーの人間だぞ。

そのナントカ人間ってのはいったいなんの話だ?」

「オーケー。どうやらヤツらの一味じゃなさそうね。合成人間にしてはなんだかマヌケそうな顔してるし……。」

「おい聞こえてるぞ!失礼なヤツだな。というかそもそもここはどこなんだ?」

「ここがどこって……エアポートに決まってるじやない。曙光都市エルジオンの。」

「エア……ポート???しょしょこう都市……?なんだそれ?」

「エルジオンを知らないって……あなたほんとにだいじょうぶ?」

「いや実はオレにも何かどうなってるんだかさっぱりわからないんだ。

魔獣を追ってバルオキーから月影の森まで行ってそこでヘンな穴に吸い込まれて……」

「待って!いまバルオキーって言った?」

「ああ。バルオキーがどうかしたか?バルオキーはオレの育った村だけど。」

「ウソでしょ。バルオキーってたしか800年くらい前にこの辺りにあった村の名前よ。」

「はあ?800年前……?なにわけわからないこと言ってるんだ?そっちこそだいじょうぶか?」

「じゃあ聞くけどいつの時代に生きてるっていうのあなた?」

「いつって……AD300年に決まってるだろ。」

「バカ言わないで。今年はAD1100年よ。」

「1100年!?冗談はよせ。そんなバカげた話だれが信じるってんだ?」

「信じるもなにも……現にあそこにああしてエルジオンがあるじゃない?」

「エルジオン……?」



「あれが……エルジオン……!?

……なあ。まさかほんとのほんとに1100年なのか……いまは?」

「ええまちがいなく。わたしはウソはつかないわ。

第一あなたをダマして何の得があるっていうの?」

「……それじゃあオレは未来世界に飛んで来ちまったってことか……?

くそッ!カンベンしてくれ。なんか悪い夢でもみてるような気分だ……。」

「あなたの話はこれっぽっちも信じられないけどその悪夢にわたしを巻き込まないでね。

といけない!こんなとこでノンビリ油を売ってる場合じゃなかったんだわ。」

「あ!ちょっと待てよ!ええと……その……」

「私はエイミ。

話があるなら家に来て。エルジオンのカンマ区画。三つ星のウェポンショップだからすぐわかるわ。」

「オレはアルド。」

「じゃあねアルド。過去からやって来たっていう時の旅人さん。」

「カンマ区画?ウェポンショップ……?っておい!?」


「ちぇ。しょうがないな……。」

ともかくエルジオンというのに行ってみるか。

ここがほんとに未来だとしたら元の時代に帰る方法をなんとかして見つけ出さないと……。



 ***


「なんだこの鉄の箱は?なんだ?乗れってことか?


 ***


馬のいらない鉄の馬車だったのかこれ!?

しかも空飛ぶ……!」


 ***

 ***


「うわッ!なんだあいつら!?

鋼鉄人間……!?それにあの子……?てっ鉄仮面少女!?

ひょっとして……さっきのエイミとかいう子が言ってた合成人間ってヤツか?」

「ワタシが合成人間……?ソレは聞き捨てならナイ誤謬(ごびゅう)デス。即時訂正をお願いしマス。

ワタシはKMS社製汎用アンドロイドTYPE2-03通称リィカモデルデス。

タダイマこの一帯は危険地域と認定されマシタのでドウゾスミヤカにお下がりクダサイ。」

「ケイエムエス……アンドロイ……?いやでも下がれって言われてもこの状況じゃほっとけないだろ?」

「ソレはご親切にドウモ。ではケガなどなさらぬヨウご注意クダサイ。」

「脅威判定C。セーフティロック解除。ドリフトチャンバー換装。コンバット・モード起動。

コレより制圧させていただきマス。覚悟はよろしいデショウカ敵勢力の皆サマ?

ワタシにもハートはありマス。デスガ悪者に対スル情け容赦はインプットされてオリマセンノデ!

ソレデハ……追撃を開始シマス!」


 ***



「あらためマシテ、ワタシはリィカ。先に述べマシタようにKMS社製汎用アンドロイドデス。」

「オレはアルド。しかしアンドロイドって……?リィカはその……本当に全身鉄で出来てるのか?」

「正確には主に超合金ギルカマッサーと高剛性特殊繊維によってデスガ。」

「すごいな!金属で出来た人間か……。自分の目が信じられないよ。」

「ワタシは人間ではありマセン。繰り返しマスガKMS社製汎用アンドロイドデス。

さらにアルドさんの視覚センサーには視覚、眼圧、眼底、ドレも特に異常は認められマセン。

その状態でご自身の視覚疑うのは非合理的と言わざるを得マセン。」

「……。」

「ところでヒトツお聞きシテモよろしいデショウカ?アルドさんはコチラで何をサレているのデショウ?」

「何って……いや特に何も……というか自分でも何がどうなってるのかさっぱりわからないというか……。

なんだかとんでもない世界に来ちゃったみたいだし……。」

ナルホド。何ヤラ深い事情がおアリのようデスネ。

ワタシにお手伝イデキルことがありマシタラ精一杯尽力致す所存でございマスガ、イカガ?」

「え?オレに力を貸してくれるっていうのかリィカ?」

「ハイ。ワタシ、ソーシャル・ヘルパーデシテ……義を見てセザルは勇ナキデス!

アルドさんがお困リナラ黙って見過ごすワケにはまいりマセン。」

「本当に?リィカにそう言ってもらえるとすごく助かるよ!

でもそのヘルパーっていうので雇うにしてもそんなに高い報酬は払えそうにないけど……?」

「ハイご心配には及びまセンデス!ツケとしてワタシのメモリチップに完全保存しておきマスノデ!」

「ああそう……?まあいいか。それじゃよろしく頼むよリィカ!」

「ハイ。よろしくお願いしマスアルドさん!

ソレカラ、ワタシはごくマレに方向音痴になったりシマスガどうかお気にナサラズニ!」

「ええッ?方向音痴……?」

「問題ありマセンノデ!!モレなくワタシの保証書が付いておりマス確認が必要デショウカ?」

「ああいや……リィカが大丈夫だって言うなら……。

それじゃあリィカ。エルジオンという街に行ってみようと思うんだけど。」

「了解デス!このエアポートを抜ければエルジオンです。出発シマショウ、アルドさん!」


 ***

 ***

君たち……変わった集まりだね。なかなか面白そうな顔ぶれだ。
僕の名はクレルヴォ。今は……そうだな。しがないいち研究者だ。
ここで何をしているかって?ちょっと捜し物をね。

 ***



 ***



「……しかし何なんだこのバカでっかい建物は?バルオキーがいくつ入るんだ?

それにちっとも地面がない。妙に落ち着かないぞこれじゃ。」

「アルドさんが800年前の世界から通って来ラレタのはおそらくは時空の裂け目と推定されマス。

一種のワームホールデスネ。しかしどうしてソレが……

あとアルドさんそろそろ……」



『シータ16区画侵入者に警告。』

「わッ!なんだなんだ?」

『個人情報が確認できません。すみやかにシスズン。ナンバーを提示してください。』

「し、しちずん……?なんだぁ?」

『ナンバー提示拒否ということで生体認証での確認に切り替えます。』

「うひゃ!?な、なんだ今度は!?」

「心配いりマセン。エルジオン防衛監察局の生体認証システム・インターセプターデス。」

『エルジオン建設以降の全住民の基本データと照合中……。該当者なし。

侵入者はこの世界において存在していない人間と認定されます。

なお合成人間である可能性はゼロに近く潜在的危険因子も3.31%以下と判定。

このたびエルジオンにはどういった用件でご来訪でしょう?』

「どうって……えーと……ガンマ区画の三ツ星ウェポン・ショップっていうのに行きたいんだけど……。」

『イシャール堂ですね。了解しました。

短期滞在者としての仮登録を完了。ガンマ区画への通行を許可します。

なお正式な住民登録を希望する場合は中央管理センターサービス窓口までお越しください。

ご協力ありがとうございました。』



「こ、これは……!?

な、なんだかよくわからないが……ともかく入っていいってことだよな?」

「さあ参りマショウアルドさん。」


 ***


「よ~し!今日もジェネレーターは正常稼働中!これで今日も平和に過ごせる!ゼノ・プリズマ様々だね。」
「これプリズマ……?なんかフツーのプリズマとちがうような感じだけど……?」
「なんだいあんた、おかしなこと言うなあ。そいつはもちろんゼノ・プリズマだよ。
むしろ天然のプリズマなんかもうどこに行っても見つからないだろう?」

このエルジオンが100年前に建設されたのは知っているね?
でもそれ以前からずっとプリズマの枯渇化が声高に叫ばれるようになっていたんだ。
と同時に大地の汚染腐蝕も深刻な問題になっていたらしくてね。
プリズマとして結晶化する強大な力は実は長年に渡って大地にダメージを与えていたんだよ。

ふふふ……このクーポンがあればラヴィアンローズのフルーツタルトを……。
む?なんですの?盗み聞きとは趣味が悪いですわ!一体あなた何者ですの?さては……魔界からの使者……!?真実を見抜くわたくしの魔眼で……その正体を暴いてみせますわ!!
……。きょ、今日は星の巡りが悪いですわね……。また日を改めてくださいまし。

通常他の区画に移動するにはこのエレベーターを使うんだ。
ただ市民レベルによっては通行制限が課せられていたりするから注意しなさい。

合成人間といやあクロノス博士がいてくれたら事態はまた今と違っていたかもしれんのになあ。
もう10年以上も前になるか。ある日いきなり家族と共に姿を消してそれっきり。何の音沙汰もないんだ。


合成人間をやっつけるのに正規軍に入るのでなく自主的にハンターとなる人も多いよ。
軍隊というのが嫌いな人とか肉親や身近な人を奪われて個人的な戦いに身を置きたいと願う人とかね。
人間は憎しみの連鎖からそう簡単には逃れられないから……。彼らの方はどうなんだろう?

ぐぅ……ぐぅ……ん……?ふあぁ……。
今日はずいぶん早く見つかっちゃったなぁ。って……あれ?よく見たら君たち先生じゃないねー。じゃあもうー眠り……。ぐぅ……

 ***



 ***


「あらあなたは……!いらっしゃい時の旅人さん。寄ってくれたのね。」

「エイミの知り合いか?なんだその時の旅人とかいうのは?百代の過客か?」

「この人800年前の中世時代からやって来たそうなの。」

「なんと!?それは本当か!?ということは君の武器や防具は当時の代物ということだな!?

ちょっと見せてもらっていいかな?うん?」

「あ、ああ。別に構わないけど……。」

「って言うかいきなり信じるかな今の話フツー?」

「おおッ!?ここれは……!?まさしく中世ミグランス朝期の武具に間違いない!

このデザインこのあつらえ……!ううむ……!

しかも!まさにどれもが新品と言っていいような状態の品々!

我が目が信じられん!まさか夢ではあるまいな?」

「ちょっと……冗談でしょ?」

「エイミおまえわしの目が節穴だと言いたいのか?うん?」

「でもそれじゃ……ほんとにこの人800年前から……!?

ううん!いや聞きたくない!

そんな話より今は合成人間のアジトの件よ。」

「合成人間のアジト?」

「そう。ついに連中のアジトのひとつがどこだかつかめたの!

ガリアードという指揮官に統率された部隊が工業都市廃墟の地下に潜んでいるらしいわ。

大規模な討伐隊を差し向ける前にその情報が本当かどうかまず確認する必要があるわね。

万が一ワナたった場合も考慮しなきゃいけないし……。」

「おいエイミ。まさかひとりで行くつもりじゃあるまいな?」

「もちろんそのつもりだけど?」

「バカをいうな!いくらなんでもそりゃムチャしすぎた。」

「それにへ夕にこっちの動きが知られたらマズイから少人数で迅速に行動しなきゃならないし。」

「しかしなあ……。

おおそういえば!ここにちょうどいい人物がおるではないか!」

「は?オレのこと?」

「そうとも!800年の時を超えて過去からやって来た……ええと……誰だったっけ?」

「アルド。」

「そうそうアルド君が!」

「…………。」

「なんだよその沈黙は?」

「まあいいわ。じゃあ力を貸してくれるアルド?」

「ああ……とりあえずどうやったら元の時代に戻れるのか見当もつかないし……。

このエルジオンでただじっと待っていても仕方ないしな……。

それに合成人間の反乱軍ていうヤツもほっとくわけにはいかないんだろ?」

「オッケー。それじやあよろしくねアルド!

でも足手まといになるようなら容赦なく置いていくからそのつもりでね。

ちなみにこれはうちの親父ね。」

「よろしくなアルド君。ああそれからその変わった剣。柄のところがちょいと傷んでるようだから直してやろう。」

「え?あ、ああ……ありがとう。」

「よし!これでいいぞ。

さあそれじゃ娘を頼んだぞアルド君。ふたりともくれぐれも気をつけてな!

ああそうそう。武器が必要ならうちの店員に聞いてみな。素材をもってくりゃつくるからよ。」


 ***

 ***


「エイミ!よかった~。探してたのよ。」

「あらセバスちゃん。どうかした?今ちょっと忙しくて……」

「話があるの。それがどうやらエイミにも関係あるらしくって。ちょっと一度うちに来て。

詳しいことはその時話すわ。じゃあね!」

「あ!ちょっとセバスちゃん!

もうしょうがないわね。」


「どうするんだエイミ?とにかく話くらいは聞いてあげればいいんじゃないか?」

「聞くダケナラ無料!と昔のヒトは言いマシタノデ。彼女のユニット・ハウスはシータ区画デス。」

「そうね……。じゃあ先にセバスちゃんの話を聞いてみましょうか。

工業都市の方も閉鎖されていて入れないはずだから何かしら手を考えないといけないし……。」


 ***



 ***


「ああ来たわねエイミ。」

「ちょっとセバスちゃん!この合成兵士は……!?」


「ああそいつなら心配ないわ。そこらに落ちてたパーツを拾い集めて組み立てたヤツだから危険はないし。」

「組み立てたって……こいつをセバスちゃんがひとりでか?」

「そうだけどどうかした?でね話というのはそいつのことなのよ。エイミちょっとこれを聞いて。

そいつを集めている時サウンド。オーブを拾ったの。合成兵士のひとりの持ち物だったみたい。

そのオーブに残ってたデータを復元したものなんだけど……いい?」


 星の想いに そっと抱かれ

 人の祈りに まろくくるまり

 眠れ 眠れよ わたしのエイミ……


「セバスちゃん!このサウンド・オーブどこで見つけたの!?教えて!お願いだから!」

「どうしたんだエイミ?」

「今の……母の声だわ……。10年前にいなくなってしまった……。

間違いない!私が小さかった頃にとく歌ってくれた子守唄……」

「やっぱり……。もしかしたらと思ったんだけどエイミのお母さんだったのね。

ダメージがひどくて……残念だけど修復できたのはそれだけなの。

この唄の入ったオーブを拾ったのはエアポートの中程の突き当たりの所よ。」

「わかった。ありがとうセバスちゃん。」

「どういたしまして。」


「ねえアルド、リィカ……?」

「ああエアポートを調べに行くっていうんだろ?つきあうよ。」

「モチロンデス。お断りスル理由が見つかりマセンノデ。」

「ありがとうふたりとも。それじゃ早速出かけましょう。」


 ***


「セバスちゃんが合成兵士のサウンド・オーブとかいうのを見つけたのはこの辺りか。

今はもう特に変わったものはないみたいだが……。」

「10年前子供だったわたしは母に連れられてここにいた……。あの日はわたしの誕生日だったの。

当時はまだよその大陸との飛空船の行き来も頻繁にあってね。にぎやかだったのよここも。

そしてここでわたしと母は……合成人間の反乱に巻き込まれた……。

人が大勢いたんだけどもうすごい騒ぎでね。みんなパニックになっちゃって……。

当然よね。合成人間達がとつじょ自分達に襲いかかって来るなんて誰も思いもしなかったんだもの。

逃げ出す人でぎゅうぎゅう詰めのカーゴシップになんとかわたしだけ押し込むと母は微笑んだわ。

大丈夫だから……行きなさいって……。ちっとも大丈夫なんかじゃないのに……。

窓にかじりつき泣き叫ぶわたしに……愛してるわ私のかわいいエイミ。いつまでもずっとって……。

カーゴシップが動き出して……どんどん小さくなってゆく母の姿はすぐに涙でにじんでかすんで……

母の姿を見たのはそれが最後よ……。


事件の後で父さんと必死になって母を探したけど何も見つけることはできなかった……。

わたしがよくエアポートに来るのは母の何かがここに残されてないかと今でも探してるからなのかもね。」


「するとおまえがあの時の小娘というわけか……。よくぞ今日まで生き延びたな。」

「……!?おまえは!?」


「俺はガリアード。この辺りー帯の合成人間部隊を統括するリーダーだ。」

「ガリアード!?どうしておまえがここに……!?」

「失くしたものを取り戻しに来た。話を聞いたところではどうやらそれはおまえ達が持っているらしいな。」

「サウンド・オーブのことか?しかしあれはもう壊れてしまって使い物にならないみたいだぞ。」

「フン。オーブを所持していた兵士が破壊されたと聞いておそらくそんなことだろうと思ったが。」

「そもそもどうして合成兵士が母の声の入ったサウンド・オーブを?」

「スーペニールだ。どうも我々にはオリジナルの人間の個人的な物体に魅せられる傾向があるらしくてな。」

「思い出の品……形見……?合成人間がドウシテそのようなモノを必要とスルノデスカ?」

「アンドロイドのおまえなら考えたことがあるのじゃないか?

人間の心……魂とは何だ?それは人間の体の中のどこにある?

人間に似せて作られた我々に心は……魂は存在するのか?」

「いったい何の話だ?」

「あのサウンド・オーブのようなモノが我らにとってどういった意味を持つのかという話だ。

あれと同一の物がもうひとつ存在する。

残りのひとつが欲しければルート99まで取りに来い。」

「ちょっと!待ちなさいガリアード!」


「もうひとつのサウンド・オーブ……。」

「どうせワナだろうが……それでも行くしかないだろ?ここで後には退けないしな。」

「行きマショウ。アルドさん、エイミさん。

合成人間のこのスーペニールの件は事実確定の必要アリと認定シマス。」


 ***


「来たか人間ども。」

「でもうひとつのサウンド・オーブというのはどこにあるの?」

「こいつだ。聞いてみるか?」


“……聞こえますかエイミ?

今日は記念にあなたの好きだった子守唄を録音したのよ。”


「母さん!?」


“サウンド・オーブはふたつ作ってもらうことにしたの。ひとつはあなた用。もうひとつはパパ用にね。

あの人子守唄を聞いてぐっすり眠ってるあなたの顔を眺めてるのが最高に幸せらしいわ。

そのくせ自分もあなたの隣でひっくり返ってすぐにいびきをかきだすんだから。

でも本当にパパもママもあなたのことが大好きよエイミ。

これから先……ジッジジッ……!”


「ここまでだ。これより先はデータが破損していてな。ノイズがひどくて聞けたものじゃない。

こいつとおまえ達の見つけたオーブは10年前エアポート襲撃の際に拾ったものだ。

おそらく俺達に襲われたおまえの母親が落としたのだろう。

そのひとつを俺がもうひとつを先日エアポートで破壊された仲間が見つけたというわけだ。

「くッ……!おまえ達……!」

「聞け。そもそも人間をその人間たらしめているのは記憶だ。記憶こそがひとを形作っている。

だが我ら合成人間に記憶はない。我々にあるのは記録だけだ。わかるか?

メモリ内の記録データが全てでありそれを書き換えられたら過去の自分は消えて新しい自分に生まれ変わる。

いや変わったことさえ気づかずに書き換えられた記録を本来の記録と受け止めて疑うことすらできない。

だからこそただのデータではないオリジナルなひとの個人的なモノに魅せられてならないのだろう。

またそうすることで自分達の心……魂の存在証明を求めているのかもしれない。」

「御託はどうでもいい!おまえ達は絶対に許さない……。母さんの思い出は返してもらう!」

「取れるものなら力ずくで取ってみろ。来い人間ども!」



「おまえは……合成兵士?ガリアートじゃなかったのね!」

「残念だったな。俺は下っ端さ。ガリアードのような特殊モデルじゃあない。ただの大量生産の既成品に過ぎん……。」

「エアポートにのこのこ指揮官が出向いてくるなんて……なんかおかしいとは思ったのよ。」

「我々には親兄妹もなければ家族もない……。記憶もなく唯一持っているのは記録だけだ。

スーペニールは補って満たしてくれるのだ……。そんな我らのあらかじめ失われた何かを……。

ただの錯覚かもしれないが……それでも何もないよりはマシだ。ずっとずっとマシだ。

我々は何も残すことができない。何も残らないのだ……。

わかるかおまえ達に……この……気持……ち………」

「…………。」



「さあそれじゃ戻ろうか。そいつのオーブセバスちゃんならなんとかできるんじゃないかな。」

「合成人間のスーペニールの件は確認完了。コレより帰還シマス。」


 ***


「お帰りなさい。どうだった?何かわかった?」

「ああセバスちゃん。もうひとつサウンド・オーブを手に入れたんだ。これも壊れかけてるみたいなんだが。」

「なんとかデータを修復できない?お願いセバスちゃん!」

「いいわ貸して。やってみる。まあこの私に任せなさいってね!」


 ***


「オッケー。なんとかなったわよ。」

「ほんとに!?ありがとうセバスちゃん!」

「どういたしまして。それじゃ再生するわよ。いい?」

「待って!

いいわお願い。」


“……聞こえますかエイミ?

今日は記念にあなたの好きだった子守唄を録音したのよ。

サウンド・オーブはふたつ作ってもらうことにしたの。ひとつはあなた用。もうひとつはパパ用に………

でも本当にパパもママもあなたのことが大好きよエイミ。

これから先あなたと共に歳を重ねてきっといろんなあなたと出会えるのね。

大きくなって反抗期を迎えたあなたとケンカしたり好きな男の子のことで相談されたり……

多くの友達に囲まれて笑ったり泣いたり……パパや私を驚かせたり困らせたり……

そんな日々が今からもう楽しみで楽しみで仕方ないわ。


 ねむれよい子よ よい子やねむれ

 星の想いに そっと抱かれ

 人の祈りに まろくくるまり

 ねむれ ねむれよ かわいいエイミ


 ねむれよい子よ よい子やねむれ

 時のゆりかご かそけく歌い

 夢の楽園 あまねく呼ばふ

 ねむれ ねむれよ わたしのエイミ


エイミ……お誕生日おめでとう!!”


「これ……10年前のあの日の……バースデイ・プレゼントだったんだわ!

母さん……ありがとう……」

「大丈夫かエイミ?」

「ええ……。心のどこかではとっくにわかってたもの。母さんはもう……。

この世界はどうしてこんなに悲しみと憎しみで一杯なんだろ?

でもその悲しみと憎しみを……この拳で打ち砕いてやる!

いつかわたし達がもうひとつのエデンにたどり着くために。」

「エイミ……おまえってエイミ……おまえっていいヤツだな。」

「な、なによいきなり!?」

「オレ達で頑張ればきっと何とかなるって話さ。

よし!それじゃ行こうぜ。明日の世界がオレ達を待ってるらしいからな。」



「工業都市廃墟の入口のロックはハッキングして解除しといたわよ。ガリアードの部隊調べに行くんでしょ?」

「ああ、ありがとうセバスちゃん。よしそれじゃ行こう。エイミ、リィカ。」

「ええ。今度こそ本物のガリアードを見つけてやるわ。」

「了解デス!気合いを入レテ参りマスノデ。」








 ***


「おい確認だけじゃなかったのか?これくらい見て回ればもう十分だろ?」

「しッ!聞こえる?この先に誰か……何かいる……。」

「半生体反応2体確認!敵性勢力と推定サレマス。」

「ヤツらだわ。隠れて!」



「……先の時震をみろ。ドクター・クロノスの言っていたとおりだ。

時層の歪みはもう限界に来ている。このままではこの世界は……」

「だからと言っていつまでもこんなことを続けていくわけにはいかないわ!

互いに憎しみの傷を広げるばかりだし……なんとかしてもう一度話し合いの機会を……」

「今さら人間に何を言ってもムダだ。いいからさがっていろヘレナ……。客人のようだ。

よく来たなそこの人間!」


「しまった!気づかれてたか。」

「ここに乗り込んできたからにはそれなりの覚悟はできているのだろうなおまえ達?

人間は自分達に都合のいい現実しか見ないし聞きたい話しか聞こうとしない。

カづくでわからせてやるしかないのだよ。残念ながらな。」

「悪いけどこの後ちょっと用事があるからあなた達とデートしてるヒマはないわね。

アルド、リィカこっちよ!」

「えっ!?おいエイミ!?」


「このホバーが生きてれば……!

オッケー!行くわよふたりとも!早く!」

「ちょっと待てよエイミ!」


 ***


「施設の点検整備用のルートのようね。どこか適当なところで降りて地上への通路を探しましょう。

間違いない。アイツがここに巣くう合成人間のリーダーガリアードよ。はやく帰ってみんなに知らせないと!」


「後方ヨリ急激に接近する物体確認。」

「なんだって……!?」

「まさか……?ガリアート!?」


「逃すか人間どもよ!せっかく来たんだ。そう慌てて引き上げることもなかろう?

おまえ達自身が生み出した我ら合成人間の力たっぷり思い知らせてくれる!」



 ***



>ちいッ!人間の分際でなかなかやるじゃないかおまえ達!

よかろう。ならばたっぷりと味わわせてやるとしよう俺のランスを!

おまえ達人間どもの愚かしさ醜さをつらぬき……この星の新たな未来を切りひらく創世のランスだ!」

「あなた達にはあなた達なりの信念真実があるのかもしれない。人間に対する疑念憎しみも……。

確かに人間は愚かで弱い生き物かもしれない。それでもわたしは……わたし達は引き下がらないわよ!

わたしは人間を人間の明日を……無限の可能性を信じてる。どんな時も絶対にあきらめたりしない。

わたしの拳が勝つかあなたのランスが勝つか……とことん相手になってやるわ。

さあ来なさいガリアード!!」


 ***


「ガリアード……?」

「ヘレナか……だいじょうぶだ。」


「聞け人間よ。おまえ達は何もわかっちゃいない。ゼノ・プリズマは世界に大きな災いを招こうとしている。

このままではこの世界も時間も……すべて失われることになる……。

巨大時震に襲われて……」

「ちょっと待って。それはどういう意味……?」

「いずれわかる……その時が来れば……。」


「ヘレナ……すまない……。どうヤら俺ノ道は……コこマデの……よウだ………。

オまエハ……追いカケ……ツヅケろ……自由の……ひカリ……ヲ………

…………」

「ガリアード……?ガリアード!?」


「もう行って……。ここから出て行ってお願いだから……。彼とわたしだけにして。

それとも……わたしの機能も停止させる?今ここで……?」


「行こうエイミ。ここは一旦引き上げよう。」

「先の戦闘でコチラも損傷を負ってイマス。ココはー旦撤退スルノガ得策だと判断シマス。」

「ええ……わかった。行きましょう。」



「ガリアード……」





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アナデン mark

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