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【白猫】Brave The Lion 4 Story3

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story17 予兆


忘れられたモノたちの家とはどこにあるんだ?

この辺りのはずだが、細かいことはわからん。

レイチェルはなにか覚えてないのか?

えっと、その……すみません……

…………


「これがワタシのコピーですかァ?同じ顔を見るのも不思議な気分ですねェ~♪

それで、これは本当に壊れてないんですかァ?血の病が発症してないと資料で読みましたが……」

「はい。統合能力を付与するにあたって……

え?」

「壊れてないィィ!?そんなこと、頼みましたかァ?そんなものを作れと頼んでないですよねェ!?

おかしいじゃないですか。ワタシが壊れたままなのに、その贋作が壊れてないなんて……

冗談にしても笑えません。同じ痛みを、同じ苦しみを同じ呪いを、同じ病を――

与えないと採算があわない。ねェ、アナタもそう思いませんか?」

「ひっ!」

「怖いですか?不安ですか?その予感、大当たりです。アナタ、今からワタシに壊されるんですよォ♪

ギャハハハハハハハハハ!」



ルエルちゃん、大丈夫?

……別に。

お前は、忘れられたモノたちの家がどこにあるか知ってるか?

……こっちよ。

(行きたくないのに、どうして行こうとしてるの?)

(考えすぎよ……)


…………

……


<森の奥に朽ちた建物があった。>


あれが忘れられたモノたちの家か?

ここ……知ってる……?

ちょっと!レイチェル!!


レイチェル、落ち着きなさいよ!

ご、ごめん……

なにを思い出したんだ?

そんなの、なんだっていいでしょ!

お前には聞いていない。

えっと、その……なんか、懐かしい気がして……それ以上は、その……ごめんなさい。

……フゥ、二手にわかれよう。お前達は三人で東側を調査してくれ。俺たちは西側を調査する。

ああ、わかった。


ここ……知ってる……

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story18 樹冠



ここ……知ってる……私、ここにいた……

ルエルちゃん、先生、行こう。

……レイチェル、待って。

…………



私はレイチェルの過去を知っている。

自分と同じ顔をした女にひたすら痛め続けられる地獄にいた時、私はレイチェルと出会った。

私はこの世界が大嫌いだ。どいつもこいつもクソだ。みんな死ねばいい。

それでも、そうじゃないモノがある。それを教えてくれたのが、レイチェルだった。


「あれ?こんなところに人がいるの?」

私があの時、ギリギリ壊れなかったのはレイチェルと出会えたからだ。

「……だれ?」

「私はレイチェル!一緒に遊ぼうよ!」


差し伸べられた手の平の温かさを今でも覚えている。

微笑みかけられた時のこそばゆさを思い返すだけで救われた気持ちになれる。

――私の存在を望んでくれる人がいる。

その確信が、この世界で唯一私に与えられた光だった。

だから私は嘘をつく。

私も同じものだと嘘をつく。私にだって光はあるのだと虚飾を必死に貼り付ける。

だから私は怖いのだ。その嘘を暴かれることが――


…………

……


……資料室だな。

<バイパーは書架にあるファイルをめくっていく。>

なにかわかりそうか?

……詳しいことはわからん。お前ならわかるんじゃないか?

私の手ではページをめくれぬ。グレイヴ、読み聞かせるのだ。

タイトルは……樹冠兵団計画だそうだ。

――獅子複製計画の失敗作をサンプルとしてエキドナから搬送。

検体の複製を行い、魔術的技術によって様々な要素を複合させていった。

それは既にヨーゼフが試していたのだが、無駄なことをするのだな……

失敗例の報告がしばらく続いてる。どれだけ殺してるんだ……

……レイチェルの写真だ。

検体一○三七号。エキドナで成功した獅子複製計画におけるサンプルの細胞を手に入れ、その情報を混合することに成功。

だが、肉体崩壊の速度が遅くなっただけだった。

また、しばらく失敗が続く……これが本当に人のすることなのか?

真正面から受け止めるな。怒りで理性を失えば、同じものになる。

……わかってる。だが、あまりにも命をないがしろにしすぎだ……

検体一八四六号。三種情報混合に成功。再生能力を得たことにより、肉体の崩壊が発生しなくなる。

以降、検体一八四六号を試作品一号と呼称。樹冠兵製造に成功の兆しが見える。

だが、試作品一号の複製は失敗。三種情報混合の際、利用した魔獣の要素が強くなってしまう。

知性を持つ半魔獣の軍団。瘴気さえあれば火力を維持できる。<破壊樹計画>と合わせることで樹冠兵団計画は完成するだろう。

……終わりだ。

レイチェルはダグラスの情報を利用して造られた存在ということか……

よもや、ヨーゼフ以外に混ぜることができる者がいるとはな……

魔術的アプローチだろう。完璧ではなかったようだが……

……研究員はどこにいったのだ?

たしかに変だ。ルエル・サクラリッジが死んだことで施設を放棄したにしては、資料が残りすぎている。

それがなにか問題なのか?

研究員にとって実験の成果と情報こそ、自分を高く売るための材料だ。その成果を残して立ち去りはしない。

想定外のなにかが、起きたということだ。


忘れられた研究室

嫌な予感がする。



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story19 終わりの始まり



待って、レイチェル!

先に行ったっていいことなんてなにもない!

…………

思い出したことがあるの。私は、ここで誰かと一緒にいた。

……友達がいた。うん、いたんだよ。

それがルエルちゃんならいいなって思ってたんだ。……でも、違うのかな?

…………

私は私を知りたい。私に不思議な力がある理由を知りたい。どうして過去を忘れてるのか知りたい。

どうしてルエルちゃんが、そんな悲しそうな顔をするのか知りたい。

教えてよ、私のこと、ルエルちゃん……知ってるんだよね?

一緒に帰ろう、レイチェル……

……ごめん、なさい。

<レイチェルが扉に手をかける。>


<天井に届くほどの木がそびえていた。

そして小さな木々が庭園の至るところに生えている。>


この木が……

フソーの実のなる木だろう。

…………


「次はジョルジュが鬼だよー。」

「待ってよー、レイチェル!」


私たちはここにいた……?でも、こんな木、なかった……

頭が……痛い……


「あ、ルエルちゃん!みんな、みんな!前に言った新しい友達のルエルちゃんだよ!」

「素敵なお友達みたいですねェ。……やりなさい。既に種子は植えつけてあります。」

「嫌っ……!」

「逆らっても無駄です。ギャハハハハ!!」


「な……んだ……これ……ぎゃああああああああ!!」

<今まで話していた友人の体が捻れるように変化し、一本の木に変わる。>

「え?」

「いだい、いたい、いだい、いだいぃぃ!」

<一人、二人、三人……次々に木が増えていく。


「あら、一人だけ残りましたねェ。おかしいですねェ……どうしたんですか?」

「お願いします。レイチェルだけは……」

「知ってますよォ♪お友達なんですよねェ♪でも、アナタはワタシの命令には逆らえません。

アナタの大切なもの、ぜェんぶ、壊しなさい。ギャハハハハ!!」

「嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だあああぁ!」


「ルエルちゃん……どうして?」



この木は……ジョルジュ……?

これは……リックで、ナターシャが……これで……

ねえ、ルエルちゃん――

――みんなを殺したの?

……違う。ワタシは……違う。

ルエルちゃんは私を殺したの?私が、あの大きな……

違う!あれはワタシが……

<ルエルの体から禍々しい瘴気が溢れ出す。>

下がれ、危険だ!

<連なる木々から瘴気が溢れ出てくる。>

一度、ここから出るんだ!

無駄ですよォ♪

この部屋の扉は閉めました。皆さんにはここで果ててもらいます。

ルエル・サクラリッジ……

お久しぶりですねェ。でも、すぐにお別れです。ギャハハハハ!

押し通る。

どけ。そいつは消さねばならない。

これがなんであれ、ガキはガキだ。

全員、死ぬぞ。

だとしても、これが俺の職務だ。



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story20



はあっ!


うおおおおっ!

アナタの顔は知りませんがいろいろと厄介そうな感じですねェ。

貴様、グレイヴを知らんのか?

知り合いなんですかァ?この記憶を植え付けた後に出会ったんでしょうねェ。

別人格として精神に転写されていたのか……

その体のルエルはどうなった?

消えました。ず~っと、ワタシが表に出るのを邪魔し続けてて、本当に厄介だったんです。

でも、自分の隠してた過去が暴かれて、壊れてしまったみたいですねェ。アナタも続いてください。

体が……動かな……い?

<グレイヴだけではなく、コテツもバイパーも張り付けられたかのように停止していた。>

ルーンと瘴気を混ぜることで作られる兵器は、潤沢なソウルを燃料にして起爆することで莫大な瘴気を生み出します。

でも、これがいろいろと問題のある兵器なんですよ。使える環境は限られますし、コストもバカになりません。

リーズナブルに壊したいじゃないですか。人の営みを。この世界を!ギャハハハハ!

だから作ったんです。この<破壊樹>を――

一人に実を食わせて瘴気を生み出す生体兵器か……

ご名答。文句のない推理です。優秀ですねェ。

この破壊樹の細胞は人の体内に侵入すると、ソウルを食いながら増殖します。

そしてやがては脳にまで至り、人を己の支配下に置くんです。

最後は瘴気を生み出して宿主を殺し、苗床にするのか……

我々が動けなくなった理由は……なるほど、花粉か……花粉症がひどくなるわけだ。

グレイヴ!お前のなかにある花粉を自分から<分離>させろ!

うおおおっ!

させませんよ。

これ……は……俺のなかに……なにかが……入って……

!!

言ったじゃないですかァ。人を支配下に置くと。

苗床になるまでいい夢、見てください。ギャハハハハハハハ!

……ルエルちゃん、どうして?

どうして?そんなの答えは簡単です。

ワタシは全部が憎いんです。壊れながら生きるよりほかなかったのに、ワタシを素に造られたゴミは壊れてなかった。

壊したいんですよ、全部。ワタシの周りのすべてのものを。だから、アナタも壊れてください。

それで――

アナタはどうしますか?花粉の効きが悪いようですけど……

孤児院に帰るぞ、ルエル。

今までの話、聞いてましたか?

理解している。だが、俺の職務は変わらない。

ガキの面倒を見る。それだけだ。

帰るぞ、ルエル。

……黙れ。

<風が巻き上がり、花の香りがフゥを包む。>

花粉が人の練ったソウルに弱いことは知っている。まあ、ちとしんどいがな……

練気、あるいは神気道ですかァ?それでも抵抗できるものじゃないんですけどねェ……どれだけ鍛えてるんですかァ?

あまり手をあげたくはないが、歯を食いしばれ、ルエル。

ギャハハハハ!アナタ、面白いですねェ!アナタだけはワタシが手ずから壊してさしあげますよォ!!





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story21 破壊樹



 ここは……?

<崖の縁に立つ、小柄な影。

少年は、両の手に糸鋸を備えた武器を手にしている。>

 このガキは……俺だ。

「俺はもう二度と、こんな思いをしたくなかった。だから、命の限り戦ってきた。

その結果がこれか?」

<かつて見た光景。救いたいと思い、救えなかった母子の亡骸を見つけた時の自分。

足元にダグラスが倒れている。いや、ダグラスだけではない。

救おうとして救えなかった亡骸が折り重なるように積まれていた。>

「お前はあの時の俺と同じだ。なにひとつ救えやしない。」

 …………

「力に踪踊される者を。理不尽に摘まれる命を。共に戦った仲間でさえ、お前は救えなかった。

お前の人生に価値はない。お前はただ人の死を積み上げるだけの毒蛇だ。」


「精神攻撃か……

……グレイヴ、折れるなよ。」


 ***


「憎い……憎い、憎い、憎い!どうして俺を理解してくれなかったどうして俺を裏切ったんだ!!

どうして今も俺の欲しかった者に手が届かない……

どうして……?

ぐっ!違う。この感情は俺のものじゃない!わかってるはずだ!」

「わかっていてもあらがうことができない。そう作った。」

「黙れっ!!俺はお前の操り人形じゃない!俺はっ!!」

「お前はなんだ?その偽りの感情さえ否定したらお前になにが残る?」

「俺には……なにも……」

「そもそも不要なのだ。自我など!!お前は神の贋作だ。その役割を全うしろ!なあ、エピタフ。」

「違う。俺は!!」

「なにが違うと言うのだ?さあ、その顔を見てみろ。お前は誰だ?」

<鏡に映るその姿は見なれた顔ではなかった。>

「ああああああああっ!!」


 ***



私には、たくさんの友達がいた。

ジョルジュにリック、ナターシャ……ほかにもたくさんの友達がいた。

みんな私と違う姿をしていたけれどいつも一緒に遊んでくれた。みんな優しくて愉快で、温かかった。

そんななか、私は私と似たような姿をした子をみつけた。

その子はなにかを怖がっていていつも怯えていた。でも、私はその子と仲良くなりたかった。

いつも泣いてるその子の笑顔を見たかった。

だって私だけ笑ってるのはずるいじゃないか。私はみんなから笑顔をもらっているんだから、私だって誰かを笑わせてあげたい。

誰かが笑っていれば私も嬉しい。ああ、そうだ。そこはきっと昔から変わらない。

でも、それも全て私ではない私の思い出――


「…………」

「なにもなかったね。」

「私はなに?」

「考えなくてもわかるだろ?お前は僕たちと同じように変えられた。あの瘴気を生み出す木に。」

「じゃあ、私はなに?」

「ただの贋作だよ。お前はお前の見たレイチェルを模して造られたものだ。」

「なんだ……じゃあ、やっぱり私には……なにもなかったんだ……」

「そうだよ。だからもういいじゃないか。安らかに眠ればいい。

僕らと一緒に眠ればいい。」

「うん、そうだね。もうそれくらいしか、私にはできないよね……

ごめんね、みんなのこと忘れてて……ごめんね、助けることができなくて……ごめんね……」


 ***


ぐっ!!

がんばったとは思いますよォ。でも無駄です。だって、こちらには瘴気もあるんですからァ♪

ここ……までか……

最後に言い残すことはありますか?

うちに帰るぞ、ルエル――

…………

ギャハハハハハハハ!壊れた、壊れてしまいましたねェ。アナタの大切な家族が!

ああ、胸が痛い!本当に痛い、痛い、痛い!ギャハハハハ!!

でも、これじゃあ、足りないんですよォ。ワタシのように壊れるには、まだ全然足りないんです♪

まだ孤児院の子供達がいるでしょうでみィんな、仲良く苗床にしましょう♪

<……やめて……お願いします。やめてください……なんでもするから……>

ギャハハハハハハハ!せいぜい中から見ていてください。アナタの愛したモノが壊れていく様を♪


 誰か……

 ……助けて。


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story22 獅子髪の剣士



「オレが消えていく……

でも、不思議と嫌じゃねーな。ああ、そうだよな、オレ、けっこう、がんばったもんな。」

「……がんばった?本当に?」

「!」

「あのさ、そういうの、ボクとしてはすごく困るんだよな。」

「……誰だ?」

「ボクのことまで忘れたの?キミって本当、マイペースだよね。」

「ああ、思い出した。ダニエル……」

「一応、キミはボクで、ボクはキミなんだ。こんなところでポッキリ折れるなよ。」

「どうせオレは死んじまう。だったら、もう終わりでいいじゃねーか。」

「誰だって、いつかは死ぬよ。たしかにキミの死は理不尽な運命かもしれない。」

「だったら、もういいだろ。ここで終わりでも……」

「怒れよ、ダグラス!キミは怒っただろ!嘆いただろ!?そして、キミは叫んだ!

なんもねえじゃねえか!なんもねえじゃねえかよぉぉおおおおぉぉおあああぁぁあああ!!!ってさ。」

「…………」

「自分の運命を嘆いて怒って、それでも立ち上がったじゃないか、それがキミだ、ダグラス。」

「あがいても無駄だってわかってて立てるほどオレは強くねーよ。」

「そうだね、どうせ死ぬよ、キミもボクも。でもさ、ボクはこんな最後、認めたくないな。

どっかのクソ野郎に運命弄ばれて、全部ねじ曲げられて、ボクはいじけて諦めてた。

でも、キミは違った。運命に抗った。だからボクはキミに力を貸した。

立てよ、ダグラス!キミはボクとちかって<できちまう>男なんだろ!」

「でも、死ぬんだぜ?あがいたって苦しみしかないんだ。嫌だろ、もう。」

「それでも、ボクは最後まで生きることを放棄したくない。でなきゃあ、あの時、ミーチャに食われたほうがよかったってことになる。」

「…………」

「それにほら、キミを待ってる人たちはたくさんいるよ。」


「早く起きなさいよ、ダグラス。」

「助けてくれ、ダグラス。」

「こんな時、ダグラスがいればな。」

「まったくだ。ダグラスがいないと困る。」


「捏造じゃねーか!!」

「たしかにカティア以外は嘘だけど、あながちまちかってないと思うよ。それにさ……

こんなところでへこたれるのはくできちまう>ダグラスらしくない。」


 誰か……助けて……


「おっと、今のは投造じゃないよ。助けを呼ぶ女の子の声だ。

こんな声を聞いて、へたってる男なら、もうボクは知らない。ここでキミを消してボクも消える。」


「……で、どうしたらいいんだよ?」

「やっとやる気になったね。」

「しかたがないだろ。なんせくできちまう>からな。」

「おっけー!じゃあ、アレを倒そう。」

「姉ちゃんじゃねえか!」

「違う、よく見なよ。あれは、そんないいものじゃない。」

「ミーチャ……」

「キミにとってのトラウマ。超えるべき壁。ボクらは彼の命を奪ってここにいる。」

「……それをもうー回繰り返せってか?ほんと、趣味悪いな。」

「ボクらは奪った命の分だけ生きる義務がある。でなきゃ、彼だって無駄死にだ。」

「…………

いいぜ、やってやるよ!

オレは生きる!その先に絶望しかなくてもな!

つーか、やっすい絶望くらい希望で塗り替えてやるぜ!ここまでケツ叩いたんだ。最後までつきあえよ、ダニエル!」

「当然だろ。さあ、進もう、ダグラス。」



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