［笑かしてみてくださいよ］財前光

【前編】

財前光　　　　「よっと…！はっ！　ふぅ…」

金色小春　　　「財前ちゃん、お疲れ様～。ええサーブ練習やったで」

財前光　　　　「別に、いつも通りっスわ」

金色小春　　　「もう、クールなんやからぁ。せやけど、まだ休憩とってないんやろ？」

財前光　　　　「…まぁ、そうっスね」

金色小春　　　「せやろ！ほらほら、ベンチで休んでいきや～」

財前光　　　　「ちょ…背中押さんといてください…！」

一氏ユウジ　　「フッフッフ…来たな財前。特等席にご案内や！」

財前光　　　　「…いや、お邪魔そうなんで他のベンチ行きますわ」

一氏ユウジ　　「遠慮すんなや！俺らのネタ、心ゆくまで堪能してもらうで」

財前光　　　　「またっスか…。今朝から何回見せたら気ぃ済むんですか」

金色小春　　　「そら、財前ちゃんの笑顔が見られるまでや。いくで、ユウくん！」

一氏ユウジ　　「任しとき、小春！さあ、楽しい楽しいコントの始まりや！」

財前光　　　　「…はぁ」

一氏ユウジ　　「ハァ…ハァ…。な、なんでや財前…」

金色小春　　　「なんでクスリとも笑ってくれへんの！？」

財前光　　　　「そないなこと言われても、困りますわ」

一氏ユウジ　　「今回は自信あったっちゅーのに…！」

丸井ブン太　　「お前ら、さっきから何してんだ？」

金色小春　　　「あっ、2人ともええところに！ちょっと聞いてぇな～」

丸井ブン太　　「ハハ！腹痛ぇ…！」

ジャッカル桑原「コント、スゲー面白かったぜ！」

金色小春　　　「アリガト～♡」

財前光　　　　「……」

丸井ブン太　　「…コイツの心には響かなかったみてーだけどな？」

一氏ユウジ　　「財前のヤツ、どーしても笑ってくれへんねん！」

財前光　　　　「朝からずっとこの調子で、いい加減飽きましたわ」

ジャッカル桑原「朝からって…。何でそんなことやってんだよ」

金色小春　　　「実は今朝、千石くんに占ってもらってん。ほんなら…『無愛想な後輩の笑顔を見られたら、今日は幸せが訪れる』…って♡」

財前光　　　　「悪かったっスね、無愛想で」

金色小春　　　「アタシは財前ちゃんのそーいうとこもええと思うけど…」

一氏ユウジ　　「今日ばっかりは、小春の幸せのために笑ってもらわなアカンねん！」

財前光　　　　「…思ってた以上にしょーもない理由でしたわ」

丸井ブン太　　「でもまあ、笑わせないと終わらねぇってんなら、笑わせるのを手伝ってやるぜ。ジャッカルが」

ジャッカル桑原「って俺かよ！できねーっての！」

丸井ブン太　　「面白いこと言うだけでいいんだって。ほら、３、２、１…」

ジャッカル桑原「な、え、えーっと…　　布団が…ふっとんだ…？」

財前光　　　　「ようそんなベタなネタ言いますね」

ジャッカル桑原「鋭いツッコミだ…」

丸井ブン太　　「こうなったら、何としても笑わせたくなってきたぜ」

一氏ユウジ　　「せやろ！？」

財前光　　　　「勘弁してくださいよ。ウチの先輩ら相手にするだけでも大変やのに…。じゃ、そろそろ自主練戻りますわ」

一氏ユウジ　　「待ってくれ財前！もう少しだけ、つき合うてくれ！」

財前光　　　　「…テニスコートでならええですよ」

金色小春　　　「！」

財前光　　　　「先輩らのお笑いテニス、俺に見せてください」

【後編】

財前光　　「先輩ら、ええ加減諦めてください」

金色小春　「財前ちゃん笑かすまで…」

一氏ユウジ「絶対諦めへんで！　結局お笑いテニスでも、笑わせられへんかったからな…」

財前光　　「さっき一瞬、笑いそうになったんですけどね」

金色小春　「えっ、いつ！？」

財前光　　「立海の2人が連れ戻された時っスわ」

一氏ユウジ「なんや、真田の乱入かいな。俺ら関係あらへんやん」

金色小春　「せやけど…説教してる弦ちゃん、めっちゃステキやったなあ～♡」

一氏ユウジ「こらーっ、小春ーっ！浮気は許さんで！」

財前光　　「…オーダー、はよこんかな…」

遠山金太郎「なんや、みんなも来とったんか」

石田銀　　「一緒にええやろか」

財前光　　「ええですよ。ここ座って壁んなってください」

石田銀　　「壁？」

金色・一氏「……」

遠山金太郎「ケンカでもしたんか？」

財前光　　「ちょっと距離置きたいだけや」

石田銀　　「どないしたんや」

金色小春　「財前ちゃんが笑ってくれへんねん…」

一氏ユウジ「コントもダジャレもアカンかった…。一体コイツ、何やったら笑うんや」

一氏ユウジ「2人とも、何か思いつかへんか？」

遠山金太郎「そんなんよりワイ、腹減ったわ」

一氏ユウジ「そんなんてなんやねん！」

石田銀　　「フッ…。金太郎はんらしいな。みんなはもう注文しはったんか？」

財前光　　「しましたわ。白玉ぜんざい。あ、来たみたいやわ」

財前光　　「おおきに」

一氏ユウジ「！」

金色小春　「ざ、財前ちゃん！」

財前光　　「…いきなりそないに大声出したら、落とすやないですか」

金色小春　「今、かすかに笑ったわよね！？」

財前光　　「え？…気のせいとちゃいますか」

金色小春　「んもー照れちゃって♡ねえユウくん、今の見たやろ？」

一氏ユウジ「ああ、しっかり見たで！」

金色小春　「てっきりもう、財前ちゃんは笑い方忘れてもうたんかと…ホンマに良かったわ～」

財前光　　「大げさっスわ…」

一氏ユウジ「これで占いの『無愛想な後輩の笑顔を見る』はクリアしたで、小春」

金色小春　「つまり、アタシに幸せが訪れる…。運命の人と結ばれるっちゅーことやね！」

金色小春　「待っといてや、アタシの運命の人！今会いにいくわ～♡」

一氏ユウジ「お、おい小春！どこ行くねん！？運命の人ならここにおるやないか！小春ぅー！」

財前光　　「…やっぱ先輩らアホっスわ」

遠山金太郎「隙あり！」

財前光　　「なっ…！お前、白玉返せや！」

遠山金太郎「んぐ、もう食べてもうたわ。食ったモン勝ちや～」

財前光　　「お前な…」

石田銀　　「落ち着き、2人とも。ほら金太郎はん、パフェが来たで」

遠山金太郎「よっしゃー、パフェやパフェ！でっかいイチゴも乗っとるわー」

財前光　　「…仕返しや」

遠山金太郎「んあーっ！？ワイのイチゴが！」

財前光　　「もう食べてもうたわ。食ったモン勝ちや」

石田銀　　「ふむ。こら1本取られたな、金太郎はん」

遠山金太郎「むうー…！アホー！アホー！」

財前光　　「はいはい、アホで結構や」

財前光　　「たまには俺がアホになるんも、ええやろ」