【リバリバ】世界でいちばん可愛い魔王・1の性能
リバリバのスクリプト「世界でいちばん可愛い魔王・1」の性能紹介です。ステータスやスキル性能、スクリプト内容を掲載しています。
目次 (世界でいちばん可愛い魔王・1の性能)
「世界でいちばん可愛い魔王・1」のステータス
レア | SSR | ロール | シューター |
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実装日 | 2024年03月25日 |
初期値/最大値 | |||
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HP | 274.6/908.2 | 攻撃力 | 485.1/1605.5 |
物理防御 | 0.0 | 特殊防御 | 15.0 |
「世界でいちばん可愛い魔王・1」のスキル
1 | 装備騎士の攻撃力が33.00%増加する |
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2 | 装備騎士の属性が衝撃なら、装備騎士の攻撃力が33.00%上昇する |
3 | 装備騎士の性別が女性なら、装備騎士の出撃コストが2減少する |
1 | 装備騎士の攻撃力が16.50%増加する |
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2 | 装備騎士の属性が衝撃なら、装備騎士の攻撃力が16.50%上昇する |
3 | 装備騎士の性別が女性なら、装備騎士の出撃コストが1減少する |
「世界でいちばん可愛い魔王・1」の内容
事件はすっかり片付いたというのに、カノンの心だけが、ふんわりと宙に浮いたままだった。
「バームクーヘン、結局買えなかったなぁ……」
独り言のように呟くと、商店街のおばちゃんがにっこり笑って言った。
「そんなこと言わんといて、カノンちゃん。あんたのおかげでうちら助かったんやから。せめてお礼させて?」
商店街の人たちが次々と頷きながらカノンの周りに集まり、みんなが労いの言葉をかけてくれる。
「えへへ、お気になさらず」
世界を救うことなんて日常茶飯事で、ましてやGARDENでのこととなれば、カノンにとっては呼吸と同じくらいいつものことであったけれど、みんなから感謝されるこの瞬間だけはいつまでたっても小っ恥ずかしい。
「……あれ、カノンちゃん!その制服!」
「ほんとだ!ほこりだらけで……、あら!ここ穴あいてる!」
「私らのために、ありがとうねぇ」
「あ!そうだ!ほら、ウチお洋服屋さんだからね、好きな服を一着プレゼントするわ!」
「費用は商店街持ちだ!感謝の気持ちとお詫びだな!」
えええ!?そんな!いいですよ!と抵抗するも商店街の話題は既に完全にカノンに何を着せるかに切り替わっていた。バームクーヘンを買いに来ただけだったはずなのに、なぜだか大事件を解決した上、服をもらうことになってしまったカノンは、正直なところ困惑していた。
みんなの気持ちは婚しかったけれど、カノンにとって服を選ぶのは、実はちょっとした試練みたいなものであった。
(お姉ちゃん、今日はいないもんなぁ……)
普段の買い物は、才媛シスコンお姉ちゃんであるソナタが的確にカノンに似合う服を選んでくれていた。多少の趣味嗜好は御愛嬌である。その安心感がないだけで、世界を救うときの勇気なんて比べものにならないほどの緊張が、胸にじわりと広がった。
「あの……じゃあ……」
カノンの視線が吸い寄せられたのは、ショーウインドウに飾られている真っ白なワンピースだった。眩しいほどに純白。ほんのりと透けるレースの裾はまるで雲の切れ間から差し込む陽だまりのように見えた。
「それ、前から気になってたでしょ?チラチラ見てたもんね」
花屋のお姉さんにそう言われて、カノンは頬が熱くなった。
ずっと前から欲しかったのを見透かされていたなんて、恥ずかしくて、くすぐったくて、心がぽかぽかしてくる。
「……これ、ください」
小さな声でそう告げると、周囲が一気に拍手喝采に包まれた。
そんな大げさにしなくても、と言いたかったけれど、胸がいっぱいで言葉が出なかった。
さっそく試着。ワンピースに袖を通した瞬間、いつものカノンとは少し違う女の子が鏡の中に立っていた。
(これ、本当に私かな……?)
真っ白な布地が肌を包む感覚はどこかくすぐったくて、でも同時に心を勇気づけるような、不思議な感触だった。自分自身がまっさらな紙になって、新しい物語を待っているような気持ちになる。
似たような服は持っているし、今までに何度も着ているはず。
だけれど、"自分で選んだ"だけでこんなにも違うなんて。
「わああ…、おねえちゃん、きれい……
世界でいちばんかわいい…!」
八百屋の一番下の子の、素直でストレートな声に押されるようにカノンもそっと笑った。鏡の中の自分は、世界を救った勇敢な少女とはまるで別人のように、ただひたすら照れくさくて、でもどこか誇らしげに微笑んでいた。
(……そっか、見せたい人がいるからだ)
カノンは自分の高揚感の正体に気付いた。今までのとは違う、自分が選んだこの服に込めた、素直な自分の気持ちに。
「ありがとうございます!みなさんっ!」
深々と頭を下げた、その時だった。
突然、制服の中のデバイスに着信が入った。ちらりと画面を覗いた瞬間、カノンの表情がぱっと変わった。優しい少女の瞳から、一瞬で世界を救う救世主の瞳へと切り替わる。
(……よし!)
白いワンピースのせいか、それとも宿命ゆえか。カノンは胸の奥が熱く高鳴っているのは自分でもわかっていた。新しいワンピースに包まれた今日の自分なら、きっといつもよりもっと頑張れる気がした。
「ごめんね!ちょっと、行ってくるっ!」
新しい白い裾をひるがえしカノンは夕暮れの街へ駆け出した。
汚さないようにしないと。でも、まずはこのまま。
その姿を、商店街のみんなは微笑みながら見送った。
──少女の戦いは、今日も息を吸うように、あたりまえに続いていく。
──『世界で一番かわいい魔王・1』より抜粋