【白猫】ティファレス・オーダー Story3
ティファレス・オーダー Story3
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子供っぽいかもしれませんが、私も、みなさんのような大人になりたいと思いました。
だから、私はこの島から出てみようと決めたんです。
……この、綺麗な世界から。ですから……えっと……
<04>と呼べ。
ゼ、ゼロフォーさん。……私を、くV.O.X>のー員にしてください。
じゃあ、エスカちゃんはこの島を出ていっちゃうの?
はい。とりあえずは、ヴェルガ王国に行く事になるかと思います。
その<V.O.X>ってトコ、つえーヤツが大勢いそうだな。
そこのマスク。どうだ、俺とー戦。
…………
アンジェラさん。せっかくの機会ですから、私、頑張ってみようと思います。
お前が決めた事だ。忠告はすれど、反対はせん。
……いざとなれば、お前をこっそりウルドに匿おうと思っていたが……その必要もなくなったな。
そういえば、デクスター様の事は、本当に大丈夫なのですか?
ハッハッハツ!わからん!
fすぐには旅立たないのだろう?
はい、色々と準備もありますから。……ですのでみなさん、よろしければその間、この島にいていただけませんか?
私、少しでもみなさんにご恩をお返ししたくて……
んなコト気にしなくていいんだぜ。ま、島にはいさせてもらうけどよ。体を休めなきゃだし。
私も滞在しよう。お前の旅立ちを見届けなければならんからな。
f俺はもとより、この島からはしばらく離れられん。厄介になるぞ、レディ。
あの、レインさんも、よければ……
……俺とケンカしてくれるなら、いてやってもいいぜ。
まあ……!どうしましょう。
エスカちゃん、今のは『しょうがねえからいてやる』って意味だ。
何勝手に翻訳してんだレモネード野郎!そんな意味なわけねーだろが!
レインさん、ゆっくりしていってくださいね!
……オメーも中々、人の話を聞かねーヤツだな……
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部屋はたくさん空いてますから、ご自由にお使いください。
使用人は大丈夫なのか?昨日の今日だろう。
むしろ、物騒な人達がいなくなって安心しているかと。
ところで、ライフォードさん達は?いつの間にかいなくなってますけど……
街の方に行くと言っていた。散策でもするのだろう。<V.O.X>の男は知らんな。
では、私達もお散歩しませんか?やっと、ゆっくりお話ができますし。
……そうだな。
アンジェラさんがここへ来た時の事は、今でもよく覚えています。
私、ー人っ子だったからうれしかったんです。お姉さんができたみたいで……
だが、私がやってきたわけは知らなかっただろう?
知ったのは、もっと後になってからでした。父が教えてくれたんです。
ー番上のお兄様に殺されかけたアンジェラさんを、デクスター様が助けたのだと。
兄上がお前の父親に私を匿うよう頼み、彼はそれを承諾した。
切れ者のエルランド卿の事だ、何らかの取引もあったに違いない。だが……
私は、彼に命を救われた。それは絶対的な事実だ。
……事情を知って、やっとわかりました。明るく振る舞うアンジェラさんが、時折、つらそうな表情を浮かべていたわけが。
…………
……ごめんなさい。嫌ですよね、当時の話なんて。
面白くない話も多いが、全て否定するほど狭量でもないよ。
……当時の私は、まだ兄上ほど覚悟が決まっていなかった。
……再会した時、ずいぷんと印象が変わっていたから、驚いたんですよ。
でも、すぐに悟りました。……強くならざるを得なかったのだと。
エスカは、昔の私と今の私、どちらが好きだ?
どちらも大好きですよ。それに、アンジェラさんの根幹はきっと変わっていません。
……そうとも限らんぞ。
いいえ、きっとそうです!だって、アンジェラさんはアンジェラさんですから。
……勝手ながら、今でも私のお姉さんだと思っています。
ならば、昔のように膝枕してやろうか?
まあ……!アンジェラさんったら。
ハッハッハッ!
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<一方その頃、男どもは――>
ふっ……これだけ飲んで酔わないとは、やるな。
ハッ、悪魔ナメんな。
悪魔だって弱えヤツはいるだろ。……この島の酒、ウメーなあ。水がいいのかな?
つーか何でオメーらと酒盛りしなきゃなんねーんだよ。
飲みたい気分だったのさ。そらレイン、もうー杯。
ったく……
なあ、あんちゃん達。もしかして、屋敷の騒ぎを収めてくれた人達か?
おうよ!あんたら大丈夫だったか?傭兵達がウヨウヨしてたろ。
いやあ怖かったけどさ。エルランド様がお亡くなりになった時から、覚悟はしてたよ。
……本当に、素隋らしいお方じゃったな……
けど、いつまでも落ち込んでいられねーやな。ほれあんちゃん、これサービスだ。
……たくましいのだな。
…………
……
Fuuuuuuuu!Haaaaaaaa!
wいいぞ、兄ちゃん!
おいキザ野郎。酒飲み対決はもういいから、俺とケンカしようぜ。
またそれか。君は本当に戦うのが好きだな。
まったくだ。少しは大人しくしてろっての。
オメーでもいいんだぜ、レモネード野郎。確か武闘大会で優勝したっつってたよなぁ?
力、ホントは隠してたんだろ?テメーでテメーをバカに見せてよ。
いや隠してねっすよレイン兄さん。その血の気の多い顔やめてくれません?
もったいつけんなよ。表出ろや、オラ。
アン!誰かこの悪魔をどうにかして!
……わかった。レイン、勝負しよう。
おっ……!
ただし、三人でだ。
Huh?
三つ巴のバトルロイヤルってか!いいぜ、楽しくなってきやがった!
***
クイーンのワンペア。
ストレート!オレ、ストレートだぜ!レインは……ブタじゃねえか!
ポーカーかよ!
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フルハウスだコラァッ!
ウソだろオイ!今のはワンペアの顔だったじゃねーか!
みなさん、こちらにいらしたのですね。
麗しいレディ達。ー足先に楽しませてもらっているよ。
ずいぶんと仲睦まじいな。
ともに戦い酒を酌み交わせば生涯の友だ。レディもいかがかな?
卿と酒を交わす気などない。……と言いたい所だが、付き合ってやろう。
おや。
エスカのためだ。これから彼女は厳しい世界へ入る。
その前に、少しでも楽しい思い出を作ってやりたい。
アンジェラさん……
マスター、酒だ!存分に飲もうぜ、姐さん!
酒は適量がー番だ。あの男の前で酔っぱらうのも御免だしな。
…………
……
ハッハッハッハッハッ!エディの踊りは愉快だな!ハッハッハッ!
姐さん、もうその辺にしといた方が……
何を言う。酒が足りんではないか。ハッハッハッハッハツ!
ハッハッハッハッハッ!なぜだ!笑いが止まらん!よし!お前も笑え、エスカ!
わはははははー!
おいライフォード。ライフォードおい。貴様……ハッハッハッ!
ウ……ウム……レディ。
(ライフォードさんが困惑してる……!)
よーし、よしよし。……ム、レインはどこだ!レインがいない!
レインならカウンターにいるぜ。
テメッ、教えんな!
どうしたレイン、何故逃げる!私の視界からいなくなるな!私とケンカしたいのだろう!?
しようしよう、ケンカしよう!猫ちゃんパーンチ!
うぜぇ……!酔っ払ったヤツとケンカする気はねぇよ!
アンジェラさん、水でも飲んで落ち着きましょう。
飲むぞ!飲むから笑え、エスカ!
わはははははー!
ハッハッハッハッハッ!エマ!エマはどこだーーー!?
<……一方、酒場の端では>
…………
<<04>がこっそり見守っていた――!>
オクトパス&ワサビ……
<ちゃんと注文もしていた――!>
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<翌日>
おや、エスカ。出かけるのか?
父のお墓へご挨拶に行こうかと。旅立つご報告もしなければなりませんし。
ならば私もー緒に行こう。今ー度、命を助けてもらった礼をせねばな。
そういう事なら、オレに任せろ!
ヒーハー!屋敷の馬車を借りるぜ、エスカちゃん。さあ、乗りな!
そういえば、お前は御者だったな。
やっと本領を発揮できる時がきたってわけだ。ほら、野郎どもも乗った乗った!
安全運転で頼むぞ。
俺も行くのかよ、メンドくせぇ……
…………
……
あれ。森ん中に入ってくけど、道、こっちで合ってる?
ええ。この辺りはオルハイム家の私有地ですから。
美しい森だな。どの木々も実に瑞々しい。
木なんてどれも同じだろ。
いいえ、そんな事はありません。人と同じで、それぞれに個性があるんですよ。
声が聴けるお前だからこそわかるのだろうな。
なあ、エスカちゃんって、今までどんな風に暮らしてさたんだ?よかったら教えてくれよ。
そうですね……習い事をしたり、父に会いに来たお客様のお相手をしたり……
いかにも貴族のガキって感じだな。箱入りっつーか温室育ちっつーか。
コラッ!
後は、この森で過ごしたり。……思い返してみると、私、今まで何にもやってこなかったんですよね。
もちろん、<遺産>を守るというお役目はありました。でもそれも、ほとんどは父が担っていましたし。……レインさんの言う通りです。
それはあなたの責任ではないと思うがね。
……甘えていたのは確かですから。
でも、これからは違います。狭い世界で生さるのは、終わりです。
……エスカ。ちょっと疑問に思ったのだが。
島の外で、神樹の力を島の外で、神樹の力を発揮する事は可能なのか?元々はこの島に生えていた樹だろう。
……あ。
確かに疑問だな。どうなのだ?レディ。
えーと、えーと……たぶん大丈夫な気がします?
ほら、アクティリフィラ様もこのように。
いや、このようにと言われてもわからんぞ。
……意外と後先考えないタイプ?
…………
……
<墓所に到着した一行。
エスカは、これまでとこれからを、父親に報告した。>
……ですから、お父様。どうか、見守っていてください。
エルランド卿。今や私は軍人の身、いつ何があってもおかしくはないが……
あなたに救われた命、決して無駄には使わないと誓おう。
終わったか。
はい、ありがとうございました。……もう、心残りはありません。
だそうだ、<04>。
オメー、なんでいつも陰から見守ってる系なの?
お前達と群れる理由はない。
ゼロフォーさん。明日、この島を出ます。
わかった。
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<そして、旅立ちの時がやってきた>
しばしの別れだ。健闘を祈ろう、レディ。
エスカ。お前が行く道は、決して楽な道ではない。
いまー度、問おう。覚悟は出来ているか?
はい、アンジェラさん。
……神樹女。タネ、無くすんじゃねーぞ。
まあ……神樹女……ふふ。お世話になりました。
出発だ。
あの……また、会えるでしょうか?
決まってんだろ。まだオメーとは勝負してねえんだからよ。
力、つけてこいや。楽しみにしてるぜ。
御者が必要になったら、いつでも呼んでくれよな!つーか必要なくとも呼んで!
約束だ。また会おう、エスカ。
はい!
<二人が飛行艇に乗り込む。
姿が見えなくなるまで、エスカはその手を振り続けた>
……約束などしてしまって良かったのか?
良くはない。だが……つい、な。
さてと、オメエらともお別れか。色々あったけど、楽しかったぜ。
俺はまだまだ物足りねえけどな。
……ならば、今から四人でやるか?
Sorry?
……本気か、ライフォード郷。
四つ巴のバトルロイヤルだ。楽しくなってさただろう、レイン?
…………
***
……ふむ、そうか。……ならば…………さらにレイズだ。
面白い。乗ってやろう。
ウゥゥ……フォールドォ……
ポーカーだと思ったよ!
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<連邦>加盟国、<ヴェルガ王国>内。
<VOX>の拠点である、聖王家当主の屋敷――>
…………
女を引っかけて来るとは、お前も隅に置けないな。
今の話を聞いていなかったのか?
……ハァ。ここは孤児院じゃねーんだよ。
自己紹介。
エスカ・オルハイムと申します。翠聖の島からやって参りました。
知ってるよ。
どうぞよろしくお願いします!
よろしくお願いします!
勝手に進めてんじゃねえよ。おいアッシュ、確かに<09>のスカウトを任せてたけどな。
力の使い方もわからねえド素人を連れて来いとは言ってないぜ。
ポテンシャルは超A級だ。逃がす手はない。
おい嬢ちゃん。ここがどういう場所で、どういう組織かわかってんのか?
もちろんです、大公殿下。
特務機関なんて言うと格好はいいがな、やってる事は汚ぇ仕事ばっかりなんだ。
覚悟は出来ております。それに、みな様は正義の味方だとお聞きしました。
英雄になりたくて来たんなら、今すぐ帰れ。
…………
(ひるむな。押せ)
今はまだ素人ですが、いつかきっと役に立ってみせます。
俺が欲しいのは即戦力なんだよ。箱入り娘の世話をしてる暇はねぇんだ。
そんな事はないと思うけど。
あぁん?
あたしだって箱入りだったでしょ?最初から、今みたいに任務についてたわけじゃない。
<支配>の概念だって、初めは上手く使いこなせなかった。
お前とコイツじゃ境遇が違う。
それはそうだけど、シンパシー感じるんだよね。名前もなんとなく似てるし。
あ、あの、エリス様。あなたも、最初は……?
エリスでいいよ。今じゃバリバリのエージェントだけどね、最初はあたし、事務員だったんだ。
バリバリ……か。
あ、いまちょっと笑ったでしょ。フ、って言ったでしょ。
……サイファー。そういえばお前、事務員を欲しがってたな。
……嬢ちゃん。デスクワークは出来るか?
そうですね……父の仕事の関係で、来客対応はよく行っておりました。
書類の作成は?
ー般的なものでしたら、父に教えてもらった事があるので、ー通りは……
即戦力だ。
……逃がす手はないよ、サイファー。
……ハァ。お前、本当にいいのか?もう、元の綺麗な世界には戻れなくなるぞ。
そのつもりで来ました。どうか、お願いします。
……事務員スタートだ。
仕事の合間に訓練してやる。エージェントにするかどうかはそれ次第だな。
は……はい!
エリス、お前が面倒見ろ。
えっ!?いいの!?やったー!
期待しているぞ。
ありがとうございます、みな様!では、さっそくお仕事を……
……あ、お茶が冷めてしまっていますね。私、いれてきます!
……はっ!
よかったな、お茶くみ。