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【白猫】Gravity Horizon Story3

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん



目次


Story19 この時代の閃き

Story20 血に狂う人々

Story21 遭遇

Story22 中身の話

Story23 鏡

Story24 <やり直せる>

Story25 仮面

最終話 はじまりの悪夢



登場人物






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story19 この時代の閃き


行け!反逆者どもを皆殺しにしろ!


……誰もいない?

もぬけの殼だと!?

くっ!急使を送れ!


 ***


……おかしい。先陣が静かすぎる。

おいおい……本拠地だぞ?どう考えたって、迎え撃つのが有利じゃねえか……

そうでもしなきゃ追いつかねえ数なんだぞ……

寡兵側が打って出るなんて、そんな法が……あるのか……?

……ユベル?

…………

……まさか、エヌマ様だけが狙いか?

なんだと?

馬鹿を言うな。無人の野をゆくのではない。兵を全て討たねば不可能だ。

いやー違う!方法がある!

こちらの軍の大半を誘導し、空振りさせ――

――その隙をつけば!

おい!

やばいことになるぞ!

お前、天才だな!?

発想が飛躍してるぞ!今この瞬間に覚醒したか!?

ああそうだな、今、閃いた!ピキピキピキーンってな!

連中は戦の常識を覆すつもりだ!

なんということだ。負けた。

こんなことになるなら、これまでもっと頭を使って戦争をしていればよかった。

諦めんな、こんな戦法、奴らの全員が理解しているとはとても思えねえ!

逆に、これを考えた奴さえ討てればいい!

む。よくわからんが、まだ負けたわけではないと?

そうだ!白旗しまえ!

常備していてな。よしわかった。

――何をすればいい!?

自信満々に俺任せだな!?まあいい、よく聞け。

俺らは別行動する!

は?本隊は?

勝手にやらせとけ!数では勝ってるんだ、装備もな、いざやりゃ負けはしねえ。

将が離脱し、士気は?

いるカンジを装っときゃいい!後方に下がったってことにする!

命令は?

どんな報告にも『各自奮戦せよ』とか返すように言っときゃいんだよ!

お前、天才だな!?

勝てばね!俺だってこんなことやったことはねえんだ。

じゃあさっさといくぞ!

わかった。



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story20 血に狂う人々



なんでこんなとこを通る?まっすぐ行った方が早くないか?

敵に出くわさずに済む。

うちとアピスの相手じゃないけど?

騒げば引きつけてしまう。

困らないけど?全部倒すし。

…………

レヴ。相手も、お前と同じように考えているだろう。

へ?

だから、裏をかくのだ。

裏をかく……?なんで?

……アピスは温存してるな?

ああ、もちろん。

精霊は清浄なソウルより生まれる。ソウルを無駄づかいすれば、活動が低下する。

そうだけど、相手のソウルが先に尽きればいいじゃん。

まあいいや。なんかわかんないけど、あんたは不満もないようだし。

リーダーの指示に従うよ。

そうしてくれ。

けど……オルエンたち、やばい状況になってないかな……

策は授けた。

頭なんか、すぐに動かすのやめるよ。

この島の民は、ずっと争ってきたんだ。血の匂いを嗅ぎながら。

戦闘になりゃ、カッとなる。

リーダーとあんたは違うみたいだけどね。

そんな奴、他にいやしない。


投げろ投げろ投げろー!

効くかそんなもの!

ふん!来い!

うぉおおおっ!

――落ち着くんだ!忘れたのか!ー対ーでいくな!

冷静に――!

――くっ――!


引き算にしかならないだろうね。

……勝ちたくないのか。

勝つ?それは自分が生き残るってことだろ?

エヌマを討つということだ。

あー……そっち?

くらいにしか思わないね。いざ血を見たら。

オルエンがいる。

死ぬよ。



……っ……!

大将に届くぞ!討ち取れ!

…………

フィエゴ……すまない。君の思い通りにはいかなかったよ。

被害を広げてしまった。……でも、安心してくれ。

僕の見える範囲くらいは。

せめて相打ちにしておくよ。

こいつ、ルーン魔法か!?

もっと原始的なものさ。水、風、大地。僕の目に映った物で――

――操れない物はない――


――犠牲はつきものだ。オルエンも覚悟している。

俺たちは進むぞ。

そうだね。

ん?なに?

初めて?

立ち止まるな。

争えば人は死ぬ。知らぬわけはあるまい。



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story21 遭遇


――来る。

上だ!


いた!

探したぜ――え――……?

……その姿は……?

お前は……何者だ……?

…………

――っ――!

自分は――

――闇の――

……王の、後継者。

…………

……なぜだ。

貴様には……何かを……

エヌマの手先だな。

下がれリーダー!アピス!

――

やっぱこっちが本命だったか!

何をしている。敵だ。構えろ。

――

精霊アピス……!

この期に及んで降参とか言うなよ?

我は覚悟している。

――退けぬー戦があることを!

<――>

空飛ぶとはな。インチキくせえ手使いやがって。

リーダー!温存はここまでだ!

アピスよ!我がソウル、汝の心臓と捧げる!

ちぃっ……!やれんのか……!?

そして本体アタック!

!!


……我が担当はこちらか。

幸運とも――思えぬな!

主人公!

動揺すんなよ!死ぬぞ!


……こいつだな。

うぇぇ……!この翼、見掛け倒しは勘弁だぜ、エヌマサマよ……!




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story22 中身の話



かませ、アピス!

――

――がはっ……!

――ううううっ……!

…………(紛い物……)

もらった――!?

何をしている!?どけ!

敵だぞ!

待て。

リーダー!?あんたまで、どうして止める!?

ー度剣を向けてきた相手、情けなんか――

待てと言っている。

……っ……!

アピス。

――

――!?

……俺からも聞かせてくれよ。どうして殺さない?

余裕こいてると噛みつかれるかもよ?

しないさ。……俺の考えに追いついてきたのだろう?

血に狂わない者ならば、聞き入れる耳もあるはずだ。

…………

……ユベル?

ー方的に加工された哀れな二人よ。

世界を取り戻したくはないか。

……世界を?

枠ではない。中身の話だ。

……どういうことだい?

この世は存在する。成立させるための細かな法則も。

それは、何故と問うたところで、どこかへ到達することはない。

それよりは、己の力で変えられる<可能性>のある領域のことを考えた方がよい。

即ち――未来だ。

…………

人は過ちを犯す。

だが、それ故に成長する。

次はより良きー歩を。その積み重ねが、歴史を築く。

用意された道の上を歩んでゆくだけでは、多くのものを見落とすだろう。

道幅に収まらぬ者を振り落とすしかなくなるだろう。

それは本当に正しいのか?

夢物語に聞こえるかもしれない。

それでも、気づいた者は、動かなければならない。

――命を燃やさねばならない。理想の実現のために。

――そうだ――

――自分は――理想の世界のために――!

変革の刻は来た。変革の刻は来た。

神獣に愛されしユベルよ、そして二エルよ。

授けられた力に縛られるな。人の持つ意志を信じ――

我らに、力を賃してくれ――?



……なんだったのだ……?

主人公、お前は――

――ふ。お前が、構わぬか。誰であろうと――

――闇でも、光でも――!


……ユベル……

……思ったよりも、早くきたなあ。

あんた、名前は?

フィエゴだ。

フィエゴ。……エヌマ様は、俺たち二人にこう言った。

俺たちは<可能性>なんだと。

俺たちはエヌマ様から子供同然にかわいがられ、力も与えられた。

教えに従い、ー族同士の戦争は終結したし、町は、夢のような発展を遂げた。

それには恩も感じている。だけど――

エヌマ様は言った。

反逆者たちをソウルごと滅ぼし、循環から排除せよと。

……お前の言った通り。意にそぐわぬ者を振り落とし、従順な民だけを残す未来に。

広がりは感じない。恐怖も生まれる。

いつ自分がそうなりはしないかと。

……我が子らには、そんな窮屈な思いは、させたくない……

……では。

あんたにつこう。この世界を取り戻すために。

同じく。

――感謝しよう。

共に――歩もう――



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story23 鏡



お前ら、なに食って育った?

ん?肉。

肉。

なぜだ。

それにしちゃヒョロイな。

えー。

だから弱っちぃんだ。

ガーン。善戦したのに。

――

……戻ってきたか。

すまんね。これで戦争はおさまるだろう。

踏み止まる冷静さの残っている者はな。

どうしてそんな顔をする?戦ったことがないのか?

ー々考え込んでたら何にもできやしないだろ?

……それでも。

誰かが考え続けることが、未来につながる……

……ような、気がするから。

気が合うな。概ねアグリーだ。

顔が似るとも似るモンなのかね?

顔も似ていないぞ。

なことないだろ?

どう思う?

ソウルで見ると全然違う。

些事だ。

なんでみんな興味ないの……

ははは……

仕方ない。俺たちだけでも仲良くなろうぜ。

構わないよ。

なんか決めよう。あ、鏡のポーズはどうだ?

鏡のポーズ?

やってみ?

いいねえ!これでもし、もうー人似てる奴がいても、すぐにニセモノがわかるぜ!

そうだね。……聞いても?

なんでも。

君たち二人の、その見た目は……?

姿も力と同じく、エヌマ様から与えられた物だ。

たしかこの姿も、『崩壊前の世界において、最も信じられた<可能性>』だって言ってたな。

――崩壊――

――っ……!?

どうした?

……わからない……けど……

何か、とても大事なことを――

――大事な、人を――

――忘れて、いるような――

大丈夫か?私でよければ力になりたいが。

どうかね……そういうの、他人が外からどうこうできる事でもない気がするな……

町に着くぞ。



魔獣のソウルを感じる……!

本性を現したか。

呼び寄せたってワケね。

底が知れる。やはり奴は、人を信じてなどいない。

全てを自分ー人の思い通りに運ほうとする独裁者だ。

俺たちは違う。

人と人とが信じ合い、誰もが幸福に生きられる世界をこの手に取り戻すため――

――今こそ、神を騙る獣を討つ!



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story24 <やり直せる>



――なぜ――

――どこで道を誤った――

我は完璧だった。崩壊せしあの世界において最も確率の高かった道。


あの二人を模し、子孫を準備させ、手を取り合わせ――

何代も、何百代も、二人の王のもと恒久の平和が訪れるはずだったのに――

――――

どれほど目をかけ、手を差し伸べようとも――

――人は――

自ら揺らぎを生み、対立と衝突を求める――

――愚かな存在なのか――

――――

――いいや――

――もうー度だ――!

出来損ない共を消し去れば。我が<力>で――

――何度でもやり直せる――!


――失望したぞ。

己の愚かしさに、なぜ気づかぬ。

気づかぬようにさせていたのはそちらだったのでは?

この通りやれば完璧だと。何も心配しなくてよいと。

それにただ従う愚かしさに、ようやく気づいたのですよ。

――――

エヌマ様の教えを聞いたとき、私は、救われたと思いました。

尽きた命は地のソウルヘと還り、循環を経て蘇る――

――いつか必ず、やり直せる。何も覚えていなくとも、今の自分と違っていたとしても――

あらゆる命に与えられた救いだと、私は思いました。それを――

事もあろうに……!ご自身でそれを断ち切る命令を下されるとは!

そこまで傲慢で、あっていいはずがない!

――――

――なぜわからぬ――

我は書物の如き存在。

なぞるだけでよい。

それで全ての不安、全ての禍いから逃れられるのだ――

浅い。

……なに……?

そんなこと望んでおらん。

人を見ぬ者に、世界が作れるか?

笑わせる。

――貴様が異端者か――

それはお前だ。

他人の庭で神を気取る気分はどうだった?

束の間楽しめただろう?だが、もう飽き飽きだ。

舞台から降りろ。

……他人の庭、だと……?

なぜそれが――

レヴ!

おっけ!アピス!我がソウルを喰らえ!

口喧嘩つえーなリーダーよ!意味はわかんなかったけど!

あと何すればいいかはわかった!口で負かした後は――

――拳だ!

決別させてもらう。

これも『子』の務め。

――――

愚か者どもが……!

なぜわからぬ!貴様らなどでは、この世界の舵を取ることなど――

貴様はっ……!

っ……!いいや――好都合だ!

まがい物ごと、貴様を、この世界より排除し!

何度でも創り直して!

我の正しさを証明する!


 ***

 BOSS:エヌマ

 ***

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story25 仮面



――馬鹿な……何故だ……!

どうして……!我は、誰よりも正しいのだ……!

世界は我が意に従うべきなのだ!

……ええ。そういう時期も、ありましたとも。

ですが、もはや――

認めぬ……!我は、<記されし>エヌマ……!

この世にただー冊の、正しき書物!

あの二人よりも、我こそが――!

油断すんな!最後が来る!

せめて貴様らだけは――

――ギャアアアアアアアアア……!


……やった。

しょーーーーーりっ!

…………

……ニエル。

これで……よかったんだな……?

ああ……そうさ。

これが俺たちの……最後の、恩返しだったさ……

……そうだな……

フフフフフ……ハハハハハ……!

やったなリーダー……!これで、みんなの犠牲も報われる。

ハハハハハハハハハハ!

そんなに嬉しいか?念願叶ったんたもん――

ギャハハハハハハ!

ヒィ、ヒィ……!アハハハハハハハハハハハハハハ!アハハハハハハハハハハハハハハ!

駄目だ、苦し、苦しすぎ……!アッハハハハハハハハハハハ!

ギャハハハハハハ!

……おい……なんだよ……?

だって、だってさ、だってだよ!?アイツ、なんも、悪くねぇのに!

何を「自分たちが正義です」ってツラしちゃってんの!?もう、オカシくて、オカシくて……!

子の務め?救い?なにそれ、ソノ台詞、辛そうに、嘘でしょ、マジな顔して、ガチで?

なんて笑える悲劇なノ!?ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!

……っ……

………わるく……ない……?

いやだからさ!アイツだって!ちゃんと自分なりに考えて!

この世界を少しでも良くしようと、みんなを幸せにしてあげようと、自分を削ってまで、頑張ってたの!

何度も言ってたのに!わかってくれって!なのに、なのに……!

全部無視とか!ヒドクない!?自覚ない?ギャハハハハハ……!

……なにをいっている……

……おまえ……なんなんだ……

……ヒィ、ヒィ……!…………あ゛――――――……

笑った笑った……んじゃ。

いちお、もらっとこっと。神獣の因子。クソ雑魚だったけど、混ぜて化けるかもしれないしネ。

っ!?

レプリカはいっか。オレのセリフまでサブくなったらたまんねぇもんな。

アピス!!!

あ、コイツもいた。そうそう、いつか言おうと思ってたんだケドさ。

昔はねぇ、精霊ともよく遊んであげたもんだよ。

つい懐かしくて、カワイクてねエ。贔屓にしちゃったヨ。

じゃもらうネ♪

――!!逃げろアピス!

おっと丸呑み失敗。まあいいや、培養すればいいし。

あと残ったのは――

ぐぁあああああ!?

ああああっ……!?

……なにがっ……!

戦えないだっ……!あああああああっ……!

オソージ、ちゃんとしなきゃネ。……アレ?

いち、にい、さん――



主人公っ……

げほ、げほ…………助かった……のか……

お前は……

……いやそれよりも、あいつは……

――ギャハハハハハハ!




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story26 はじまりの悪夢


なっ……!?今、真っ二つに……!?

?ええ。確かに<分けられ>ましたトモ。

咄嵯だったけど、ナルホドネ~。コーユー応用も利くんだ~。

――幅が広がっちゃうなァ!?

――テメェ、あの女の顔でー瞬固まってたよな?

ちょっとツラ賃せ。

<――>


……消え……た……?

……おい……なんだよ……?

なんだってんだよー!?


…………

!?出たり消えたり……!?

――俺は――

――王の盾であり――そして剣――

おい……フィエゴ!!!

なんのつもりだ!?なにがしたいんだお前は!?


……フィエゴ……?……俺は……

……守らねば……

この男は……?

!!

――違う――

――っ!?

――王はどこだ!?

……王だと……?

――ニセモノめ!姿形だけ真似たところで!

――世界を照らせると思うなッ!

――うぉおおおおおッ!!!

なんという……禍々しい光……!

フィエゴッ!!!

――探さねば……!

ちくしょう……!うちらを、見ても……!!

――王は!国はどこだっ!?

……わけわかんねえよ……!

リーダーはどこ行っちまったんだよ!?

……二エル……まずい、ぞ……

……ああ……!あんな奴を、外へ出したら……!


 ***


どこだ……どちらに……!

――はぁああああっ!!!!

なっ!?やめろ!血に狂いすぎだ!町を狙うな!

白なる民――ではないな。どこから紛れたッ!!

違う……白の王国ではない……

ならばここは……黒の……?

――オォオオオオオッ!!!

どこだ……どこにいるんだ……!

行かなくては……!

アイリスゥウウウウウウー!!!



その叫びを最後に、男は姿を消した――

そして――

世界は再びゆるやかに崩壊へと向かう――

――ただ一人で文明を支えていたエヌマを失い――


――だが――

結果はどうであれ、人々は得た。

命の基盤となる観念と――

――宿敵を。


そしてまた人々は、結束することを覚えた。

これで終わりではない。

長い長い時を越え――

――運命の歯車は、再び動き出す――




next HARD



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