【白猫】プロジェクト・ブリッジ Story
2016年11月07日
目次
登場人物
ケンゾウ 未完成の建物を完成へと導く人。ルーンブルドーザーで現場に向かう。 | |
クレア 鉄道の島ディーゼラにある鉄道会社の令嬢。ルーントレインを広げるためがんばっている。 | |
ブランシュ ステキな建物を創るお姫様。平和を築くために奮闘中。 | |
リアム 己の腕だけで騎士の座を手にした少年。伝説をめざし我流の剣技を磨く。 | |
ミミ | |
ジョゼ |
story1 職人の登場
う~ん!やっぱり<ルーントレイン>の旅は最高ね♪
クレアさん、ありがとうございます♪
それと、実は、もう一人、ここで待ち合わせをしている方がおりまして……
うおおおおお!!僕は、いったい何万馬力なんだ!?
知らないわよ!
ケンゾウさんもクレアさんに呼ばれたんですか?
僕の帰る場所は建設現場だからね。祖父は言った。『お前は、きっとワーカホリックだ』って。
アンタ、基本的になにもしてないじゃない……
それで、クレアさん私たちにお願いってなんなんですか?
皆さんもご存知のとおり、ここ鉄道の島ディーゼラではルーントレインが普及しています。
とある山奥の路線がありまして、その途中に鉄橋があったんです。その鉄橋が壊れてしまいました。
どうにか鉄橋を直したいんです!力を貸してください!
そういうことなら任せてくれ!必ず直してみせるよ!
まあ、ケンゾウが……っていうより<ルーンブルドーザー>があればすぐに直せるわね。
アイリス、主人公アタシたちもやるわよ!
がんばろうね、主人公。
では、作業現場のある村までご案内しますね♪少し歩くことになるんですけど……
みんな、乗ってくれよ!ルーンプルドーザーなら道なき道を道にする!山ごと道にしてもいいくらいだ。
なんでもすぐ壊そうとするんじゃないわよ!
でも、ブルドーザーに乗るのは少し楽しみかも♪
さあ、みんな、乗ってくれ。行くよ!
うおおおおお!油圧がなんだ!?アラートだと!?気づいてたまるか!僕にはアクセルしかないんだ!
今、気づいたでしょーがストップ!ストップ!スト――ーップ!!
み、んな……大丈夫?怪我はない?
だから<自動車>系の乗り物は嫌いなんです……
う~ん、困ったことになった。ブルドーザーの調子が悪いみたいだ。
調子が悪いもなにも、さっき、爆発したでしょ!
大丈夫だ。しばらく放置しておけば、元どおりになる。
本当に、これってただの機械なんでしょうか?
それは僕にもわからない。
(わからないんだ……)
とりあえず、現場のある村まで行きましょう。
story2 職人の人事
ここが、終点のロッコー駅です。今はルーントレインが来ないので閉鎖されてるんですけど。
あれ?でも、プラットフォームに人が……
…………
あの……ルーントレインなら来ませんよ?
知ってます。
幼馴染を待ってるんです。戦争が終わったから帰ってくるはずなのに……
……あなたたちは鉄橋を直しに来たの?
ああ、そうだよ。必ず直してみせる!
ミミ |
---|
私の名前はミミ。手伝えることがあったらなんでも言って。
鉄橋を直さないと彼も帰ってこれないだろうから。
…………
……
戦争に行った幼馴染の帰りを待ってるね……戦争なんてしてたの?
ディーゼラは広いので、いろいろあるんです。
とにかく、ミミさんのためにも工事を進めましょう!
でも、ルーンブルドーザー、壊れちゃったじゃない?
キャトラさんたちは顔が広いと思いますので、作業してくれる方を紹介していただけませんか?
何人か思い当たるヤツがいるわ任せてちょうだい!!
…………
……
私はブランシュ、<荒れ野の島>の王女です。
王女様!?土木工事とか大丈夫なんですか?
はい、任せてください。よっしゃおらー!
400馬力の掛け声……採用ですね。
よくわかりませんけど、現場監督がそう言うなら……採用っと……やっと初採用ですね。
任せてください。っしゃこらー!
では、次の人……
待たせたな――俺だ!!
……どちら様ですか?
俺の名前はリアム・マクラレン。愛読書はメンズナイツ!荒事なら、俺に任せておきな!
あー、他の人と揉められるのはちょっと……
不採用ですね。
ちょっと待てよ!まだ自己紹介しかしてねえだろ!
声を聞くだけでわかるんですよ、僕……あなたの馬力が……せいぜい200馬力ってところですね。
最低でも300馬力はほしいね。だから、不採用だよ。
言っとくけどな、俺は傭兵だ。何度も死線を越えてきた。どんな戦場でも役立つぜ。
あ、戦場じゃないです。工事です。鉄橋建てるんです。
はああっ!?なんだよ、それ!
今の叫びは400馬力採用っ!!
いやいや、ちょっと待ちな。俺は秘密の仕事だって言うから一人で来たんだぜ?本当に大工仕事なのか?
はい、壊れた鉄橋の修復です。
悪ぃな。アテが外れた。大工仕事なら俺は降りるぜ。
戦争に行った若者を待ってる人がいます。
…………
兵士たちは故郷に帰りたくとも帰るための手段がない。鉄橋が壊れているせいでね。
チッ……わかったよ。やるよ。
いいんですか?
……傭兵にだって帰る場所は必要だからな。他人事じゃねぇしよ。
ありがとうございます!
story3 職人の流儀
よっしゃおらー!
主人公さん、その調子です。やはり大工の才能がありますね。
…………
リアムさんも、大工らしく気合を入れましょう♪っしゃこらー!
だから俺は大工じゃねえ……
アンタもいい加減、自分の才能を認めたら?
俺は傭兵でいいんだよ。って!おい、そこ!生コンの練りが甘ぇ!
すみません!
いいか、生コンてのは、こう腰でかき混ぜるんだよ!見とけ!
スッゲェ!セメントと砂が水を含んでまるでカーニバルっすよ!
ここの練りが甘いとすぐ亀裂が入る。手ぇ抜くんじゃねえぞ!
っしゃっす!あざっしたー!
親方ー!足場組み終わりましたー!
だから、俺は親方じゃねえって……てめえ、ヘルメット着用が義務だろうが!注意ー秒、怪我ー生!
すいやせんっ!
おら、気合入れて行くぞ!
っしゃおらあああ!
っしゃおらあああ!
っしゃおらあああ!
…………
アンタはなにもしないの?
祖父は言った。『なにもしないを、してるのさ』って。
手伝いなさいよ!アンタが現場監督でしょ!
そうだね!まあ、僕に任せてくれよ!
…………
…………
え?
え?
手伝わないの?
……え?
もういいわ……
皆さん、お疲れさまです。
ミミさんとー緒におにぎり作ってきました♪食べてください。
よし、じゃあ、ー服するか。
そうですね♪?
ー仕事した後の食事は格別だからね。
アンタはなにもしてないけどね……
story4 蘇る職人!
完成しましたー!!
やったじゃない♪
おめでとうございます♪
後は線路を敷くだけです♪これで、ルーントレインが戻ってきます。
ありがとうございます。これで彼が帰ってくるかもしれません。
おい、クレア大変だ!!
…………
……
そんな……
……トンネルが崩れてる。
ー応、調べてみたが、どうやら、ただの落盤じゃないみたいだ。
はい。資材の運搬に線路を使うため、安全点検はしてあります。
俺も同行して、ー緒に調べた。頑丈な作りだったぜ。
それって、誰かが意図して崩したってことでしょうか?
そうだとしたら、あの鉄橋が壊れた理由もキナ臭くなってくる。
クレア、どうする?
困りました。修理の予算は使い切ってます。このままだと廃線になるかも……
追加で金を引っ張ってこれねえのか?
難しいです。この工事も無理を言って予算を捻出してるので……
そんな……みんなで、がんばったのに……
この音って!?
祖父は言った。『ヒーローは遅れてやってくる』って。
ルーンブルドーザー!?直ったの!?
僕は言ったはずだよ、キャトラくん。僕に任せろってね。
現場監督は帳尻を合わせるのが仕事!うおおおおおおおお!!
すごい!ブルドーザーが、土砂を……
手伝います!よっしゃおらー!
皆さん……ありがとうございます!
喜ぶのは、まだ早いぜ。犯人を見つけねえとまた同じことの繰り返しだ。
ここは二人に任せて、私たちは犯人を探しましょ。
ミミさん、村の方々に話を聞きたいので、ー緒に来てくれませんか?
はい。
俺と主人公たちはこの周囲を探す。行くぞ、主人公!
story5 職人の裏で
でも、誰が邪魔なんてするんでしょうか?
……そうですよね。でも、少し怖い気持ちはわかります。
ミミちゃん、最近、駅で見ないな。
鉄橋の修復を手伝ってるらしいわ。
停戦から半年か。なんの連絡もねえってのは死んでるか、逃げたか……
っ!
ミミさん、行きましょう。
クレアさん……彼は戻ってくるのでしょうか?それとも手紙が来るんでしょうか?
手紙?
彼の戦死を告げる手紙です。クレアさん、ルーントレインはどっちの答えを私に……?
答えが無いままなら、待っているだけでいいもの。
どうして、答えを突きつけようとするの?私は知りたくないのに!
ミミさんが……二人?
ケケケケケケケケ!
きゃあっ!
クレアさん!
ケケケケケケケケ!
そっちは……鉄橋?まさか……
…………
……
やめて!壊さないで!みんなで直したのよ!
手紙ヲ運ぶモノを壊せば手紙ハ来ない。オマエは幸せなママだ。
違う!私は、ジョゼの無事を……
嘘だ、嘘、嘘、嘘!嘘だヨ♪オマエは鉄橋が壊レたトキ安心したダロ?
っ!
答えヲ知らないデすむ♪オマエは待ってるダケで安心、変わらない!それが幸せ、ダロ?
違う……
イイや、違ワナイ。なぜなら、オレはオマエの感情から生まれ夕!
……違う。
本心を言エ。また、オレが、壊してヤる。オマエの心を守ってやる。
ルーントレイン……?
鉄橋は壊させませーん!!
っ!
待たせたな――俺だ!!って!今あいつ、ルーントレイン出さなかったか!?
よくわかりませんが!そっちのミミさんが!なんか良くないものだというのはわかります!
クレアさん……
ミミさん!それの言葉を聞いてはダメ!それは<闇>です!
オレはミミの望みヲ叶えたダケ♪オレが<闇>ナラ、ミミも……
ルーントレインアタ――ック!
なっ!人が話シテるダロ!
ミミさんがどうとか、そんなことは知りません!細かい話はどうでもいいんです!
あなたが何者だろうと!ルーントレイン拡散の邪魔をするなら、倒すべき人です!
まあ、私も鬼ではありませんので改心すると言うのなら許してあげますよ?
ケケケケケケケケケケケ♪
ありゃあ改心するタマじゃないな。
やっつけてやりましょう!
最終話 職人の言葉
ふう……やはりルーントレインの敵ではありませんでしたね。
ルーントレインぶつけるとか無茶苦茶だな。
否定はしないわ。
うおおおおおお!アクセル全開!踏み抜け!なんなら、貫け!!
無事にトンネルエ事、終わりました♪
さすがに早いわね。
それが僕の仕事だからね。
…………
ミミさん……
私、本当は怖かったんです。心の中で、彼が戻らないかもって。そんな現実ならいらないって。
その気持ちが、皆さんの邪魔をしてたなんて……
負の感情が<闇>を引き寄せ、具現化したのかもしれません。でも、それはミミさんのせいじゃないと思います。
戦争で悲しんでいる人は多いですから……
…………
……祖父は言った。『やまない雨はない』って……そして、こうも言っていた。
『だが雨は何度だって降る。それを恵みの雨にするかは本人次第だ』って。
土砂降りでも仕事をする時はある。一人の作業は辛いさ。だが、現場には仲間がいる。相棒のブルドーザーがある。
君も一人じゃない。悲しみや幸せを共に分かちあえる現場の職人がたくさんいるはずだ。
そうですよ!私に何かできるとかわからないけどー緒に待ちます!それくらいはできます!
そうね、最後まで見届けるわ。
はい。そばにいます。
みなさん……ありがとうございます……
<無事に工事は終わり、ルーントレインの運行が再開した。そして……>
あっ!ルーントレインが来た!
…………
祖父は言った。『大抵どうにかなる』って。
……そうですね。ありがとうございます。なんか、元気出てきました。
<ルーントレインから乗客が降りてきた。だが、ミミの前で立ち止まる者はいない。>
彼、いませんでした……
……ミミさん。
ん?アンタ、ミミって名前なのか?
はい……
ジョゼを知ってるか?
はい!幼馴染です!
そうか!あんたがアイツの……俺はジョゼとー緒に戦っててな。
彼は生きてるんですか!?
ああ、ただ怪我が酷くてな。今までずっと意識がなかった。
あいつから言伝を頼まれたんだが、鉄橋が壊れてて、足止めを受けててな。
『必ず帰る。待っててくれ』だそうだ。確かに伝えたぜ。
ジョゼ……よかった……
ま、必ず帰るにしても、すぐには無理だ。今は、まだ病院からは出られない。
だったら、私のほうから会いに行きます!もう待つのはやめます!!
ミミさん、よかったですね。
はい!皆さん、ありがとうございます本当に……!
祖父は言った。『道は自分で作るものだ』って。
はい♪ミミさんの前にもミミさんの線路があるはずです♪
準備しないといけないでしょ?ほら、行きなさい。
はい!