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【白猫】劇団ほわいときゃっつ Story2

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん



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story レ・無情



zLL…………

<元魔王の演劇人レザールは、なにも衝動的に逃げ出したわけではなかった。

元々所属している劇団びたーちょこれーと……そこでも色々、あったのだ……

うだつの上がらない仲間たちとの飲み会を重ね、虚しさを積み上げていったり……

また、客演した先で……

自分ではなく他の役者が、たまたま観に来ていた大物プロモーターに気に入られ……

どう考えても運だけで大抜擢をされ、大きな舞台へ羽ばたいて行ったり……

などの様々な経験から、レザールは、どんどんわからなくなっていったのだ。

『小劇場界で成功するには一体どうすればいいのか?』

『結局運じゃないのか?』

『いや、実力だよな?』

『だが、いい舞台を打っても、報われない人間が、どうしてこうもたくさんいるんだ?』

クリスマスに劇場を格安で押さえられ、プロデュース公演が決まったレザールだったが――

――心は疲弊しきっていた。

公演の成功などもうどうでもよくなり……

ただ、金だけを集めて。演劇界をおさらばしようと決心してしまうほどに……

だが――

それでも、演劇の楽しさは麻薬。

レザールは、必死で脚本を書き上げようとしたが――

――ふいに、最後の糸が切れた。全てがどうでもよくなってしまったのた――

『どうせ報われないのなら』と――>


zLL……みなにはすまないが……演出家の降板など、よくある話さ……

俺などいなくとも……ウォルターが上手にやってくれるだろう……

w

zLL!?

ウォルター……

w…………

zLL……俺を呼び戻しに来たのか?……だが……

俺は……もう……

wわたくしはビジネスマンです。

これからご提示いたしますのは、あくまでもデータ。

zLLデータ……?

w辞めるのでしたら引きとめません。ですが、そのデータを、ご覧になってからにして頂きたい。

zLLその、データとは……?

wすぐに、届きます。



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story ハウトゥ復活



お待たせー!借りてきたわよー!

zLL借りてきた……?

ほら!これでも読んで、頭を冷やしなさーい!

<キャトラは紙の束をレザールヘ差し出した。>

zLL!!こ、これは……!!

<それは、アンケート用紙だった。劇団ぴたーちょこれーとの、本公演で回収した物だった。>

『ご自由にご意見お書き下さい』とだけ記されたそれには、観客たちの声が詰まっていた。

『舞台、初めて観ました!最高に面白かったです!』

『ずっと笑ってたのに、最後に泣いてしまいました……また観に来ます』

『いつまでもかんばってください。黒い役者さんがカッコよかったです』

『プロデュース公演が本当に楽しみです!絶対行きます!』

年齢も性別もバラバラのアンケート用紙の束は、ーつのことを物語っていた――

――お客様たちは、確かに受け止めていてくれたのだ――

――レザールたち、演劇人の<熱量>を……!>

w……コップの水は、あるー定量を超えてから、ー斉にあふれ始めます。

そこまでは辛いでしょう。ですが、着実にコップを満たしていっているのです。

……いかがでしょうか?これだけの声を受け、それでもあなたは、背を向けるのですか?

zLL…………

……この公演を最後に、俺は演劇を辞める。その決断は変わらない。

レザール……

zLLだが……!

!!

zLL冥界の屍風レザール!いまはまだ、小劇場界の演劇人である!

最後の最後まで、全力を出し切り……

有終の美を飾らせてもらう!

wはい。わたくしは全力で、そのサポートを行いましょう。

zLL礼を言うぞウォルター!来い、シャグラン!まずは脚本を完成させるのだ!


w……これでー安心ですね。

まったく……上手なんだから……

wはて?

あれ、『良いアンケート』だけを集めたヤツじゃないのよさ~?

wわたくしは、あれがデータの『全て』だなどとは、ー言も申しておりませんが?

モノはいーよーねぇ~。

w良いではありませんか。傾きかけた船が持ち直しました。

本番当日が楽しみですね♪



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story 初稿の渡し



<――では、『降りてくる』ことはある、と?>

あたしが使うのもヘンな表現だけど……まあ、あるわよ。

気分がノッて、ガーっとー気に書けちゃうことって、ね。

……まあ、あたしの場合、締切直前に、ー回だけしか経験したことないんだけどね……


<奮起したレザールは台本を、書いた、書いた、書いた!

――そして出来た!>


zLLお待たせしてすまなかった。これが、今回の台本だ……!

<役者たちはそれを受け取り、目を走らせた。>

lふむふむ……

Kこ、こんなに台詞が……

kわあ!コヨミ、ライオンさんだって!たのしそうだね、タロー♪

Tキューン!

tええと……『どいつもこいつもシケた面しやがって!世界の終りじゃあるまいし!

難しそう……

zLL初めての脚本で、拙い部分も多いと思う。不明点は遠慮なく言ってくれ。

これはまだ初稿だ。稽古しながら仕上げていさ、上演台本へと持っていきたい。

w……素晴らしいです、座長。

ふむぅ……!初見の印象はいいわよ!

飛行島に戻ったら、もっと、読み込んでおくわね!

zLLキャトラだけでなく、全員、じっくりと読んでみて欲しい。今日は、解散。


<――かくして――

腹をくくった座長の元、プロデュースユニット『ほわいときゃっつ』は本格始動するのだった……!>


名前がダサイ!

zLLそういう伝統なのだ。



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story 愛――だ



<台本が出来たと聞き、やってきた稽古場は――

――白熱している!>


zLLカレン!また客席におしりを向けているぞ!

Kで、でも、レーラの方を向くと、必然的に……

tカレンさん、教わった通りにするといいですよ。基本は最低45度、ツラの方に体を開いて……

kツラの方にある足を、半歩引いておくのがコツだと思いました!

<ツラ……?なんだっただろうか……?>

ツラっていうのはキャパの方向のことよ。あ、キャパってのは客席ね。

<キャトラが詳しい……!>

キャトラ、私たちにだまって、ちょくちょくレザールさんのところへ来ていたみたいなの。

zLLカレン、君は光をどこで浴びる?

K光を、どこで……?

zLL胸だ!胸で浴びるんた!おしりを光らせても意味はない!

Kわ、私は騎士です!そんなはしたないこと……!

zLLそういうことではない!……胸で光を受け止めれば、結果、顔が一番見えやすくなる。

お客様が見るのは役者の顔なのだ。顔が見えなくなると、お客様はストレスに感じてしまう。

Kえ、ええと……?

l落ち着いて、カレン。ひとつずつ行きましょう。

とりあえずこのシーンでは、私の方を向き過ぎないように……

K待って、台本に書いておきます……

……レザールさん、厳しいね……

う~ん……カレンはシロートだからねえ……

ちょっと求めすぎよねえ。あとでフォローしとこうかしら。

<キャトラがなんだかすごい……!>

w座長。そろそろ照明打ちへ。

zLLもうそんな時間か……仕方ない。

ミサンスづけはこんなとこにしておこう。課題は他にもある。

ミザンスってのは段取りのことよ。

l課題……感情解放ね?

zLLみなには初舞台で過剰な要求をして心苦しいが……出来る限り良いものにしたいのだ。

tその気持ちはわかります。私も、最大限の努力をします。

kコヨミももっとがんばります!

zLLうむ。……舞台の演技、特に初舞台には、『恥』の感情がつきまとう。

それに慣れるよう、しっかりと稽古してもらいたい。

w座長。

zLLわかった。では、あとは頼む。

だいじょうぶ!今日はヨシュアがいないけど、このキャトラさんに任せなさーい!

みんなが一人前の女優になるよう、ビシバシしごいておくわ!

<キャトラがなんでも出来る……!>

さて……やりましょうか。

『恥』の感情ね。言いえて妙だわ。だってフツーは、大勢の人が自分のことをずっと見てるなんてないわけだものね。

l私は音楽家だから、ある程度経験はあるけどね。

K私も、副長として兵の前に立つことはあるのですが……

演技となると、どうにも勝手が違います……

そうでしょうね。だからこそ、稽古が必要なのよ。

tどんな稽古をするの?

そりゃ愛の告白よ。

tあいのこくはく~!?

ハイストップ!恥ずかしいでしょ!?

tそりゃそうだよ!そんなこと、したことないもん!

しかも、みんなに見られるんでしょ!?こんな恥ずかしいことないよ!

そう!そうなのよ!これが一番恥ずかしいのよ!

tえ……?

だからこそ、なのよ。相手の目を見て、想いを伝える……

この恥ずかしさに慣れておくと、たいていのことにはへいちゃらってワケ。

Kう、ううん……理屈は間違ってないとは思いますが……

lアイリスねーねや主人公にーにに好きだよって言うのとは違うの?

全然違うのよ。

kむむむ……!どういうことだろうね、タロー……!

Tキュウン……

レーラはスイッチ禁止ね。

lへ?

素のアンタで、愛の告白をする。その恥ずかしさに耐えること。

lえ……ええええ!?

やいやいいわないの。ここに、告白シーンの台本があるわ。

おのおのそれを暗記して!ひとりずつ、じっくりと稽古していくからね!

相手役は主人公!お願いね!

が、がんばってね……



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story カレンの告白



……ごめんなさい……こんなところに呼び出して……

…………

……急にこんなこと、困るかもしれないけど……

あなたのことを、いつも見ていました。

――あなたが好きです。

良かったら、これからずっと、一緒にいてください――

――永遠にょい――

力――――ット!おっし――――ーい!


あと、もうちょっと全体的に感情が乗ってれば、なおよかったんだけどね!

Kええっ!?感情、こもっていなかったか?

自分としては、これ以上ないほど気持ちを込めたつもりだったのだが……

うん、アタシはわかるけど、もっと色んな人に伝えるには、もっともっと乗ってるといいわね!

Kなるほど……勉強になる。



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story ティナの告白



t……ごめんなさい……こんなところに呼び出して……

…………

……急にこんなこと、困るかもしれないけど……

あなたのことを、いつも見ていました。

あなたが好きです。

良かったら、これからずっと、一緒にいてください――

――永遠に――

ハイカーット!


tものっすごく恥ずかしいんだけど!

それでいいのよ!やった甲斐があるわね!

tもうやんないから!

いまはお逃げなさい。でもアンタは、大きな壁を乗り越えたわ……!

これからも稽古、がんばるのよ!



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storyレザールの告白



zLLすまんな。こんなところに呼び出して。

…………

……急にこんなこと、困るかもしれないが……

お前のことを、いつも見ていた

――好きだ。

これからずっと、一緒にいてくれ――

――永遠に――

カァ――――ット!


zLLム。

そんなんじゃダメ!ダメよレザール!もっと、もっと出来るでしょ!?

zLL出来る出来ない以前に……他の役者が見てもいないのに、やっても意味がなくないか?

アタシが見てるわ!

zLLいやキャトラでなくて。

ちがうのよレザール!演出家がお手本を見せてしまうのは、良くないじゃない?

zLLたしかに……『自分のマネをしろ』と、手本を見せてしまう演出家は下の下だと言うな。

だからよ!

zLLさすがキャトラだ。わかっているな。

……なあ、演出助手もやってはくれないか?

それはゴメンなのよね……アタシってば、役職があると力を発揮できないから……

zLLなるほど……いるな、そういうヤツ。

でしょう?だから、いまやったことには疑問を持たないでちょうだいな。

zLLわかった。ここは大人しく、煙に巻かれておこう。



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story ウォルターの告白



wすいません。このようなところに呼び出しまして。

…………

……急にこんなことを申し上げまして、困惑されるかもしれないのですが……

あなたのことを、いつも見ておりました。

――あなたが好きです。

良かったら、これからずっと、一緒にいてくださいませんか――

――永遠に――


w……とまあ、こんなところでしょうか?

ムグーッ!、やるじゃないのよウォルター……!

アンタ……役者もやれば……?

wそういうわけには参りません。タスクが山積みでございますから。

では、失礼いたします。

……よく、言われることなのよね……

『スタッフには、役者よりも芝居の上手いヤツがちらほらいる』って……

ヤツが……それなのかもしれないわね……!



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story レーラの告白



l……ごめんなさい……こんなところに呼び出して……

…………

……急にこんなこと、困るかもしれないけど……

あなたのことを、いつも見ていました。

――あなたが好きです。

良かったら、これからずっと、一緒にいて……ね♪

――いつまでも、永遠に――


カッツカッッ!カ――ーッッ!

なにやってんのよレーラ!お色気スイッチは。ダメって言ったでしょー!

l――あら……入ってた?

入ってたわよもう!そういうことじゃないの!

芝居しないで!芝居しちゃダメなの!

l――え……?

ただ、本気で言うの!それだけでいい、それが全てなんだから!

真剣に!集中して!技術なんてね、二の次なんだから!

lそっか……そうよね……!

わかったわ!小手先の技に頼らないよう、心がけてみる!

ウム!しょーじんなさいな!



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story オレリアの告白



o……ごめんなさい……こんなところに呼び出して……

…………

……急にこんなこと、困るかもしれないけど……

あなたのことを、いつも見ていました。

――あなたが好きです。

良かったら、これからずっと、一緒にいてください――

――永遠に――


はいオッケー!イェイイェイイェイ♪

oイェイはいいんだけど……なんなのこれ?

いやね、みんなにやってもらってるもんだからさあ。

o……私、バンドだけど?

やっぱりそこよね!見事な感情だったわ!

oえ?

音楽もさ、気持ちを込めなきゃ聴いてるひとの心を打たないもんね!でしょう?

oそうだけど……なにかひっかかる気が……

気のせい気のせい♪ありかとね~♪

oう~ん……

うん、いいもの見れたわ♪



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story コヨミの告白



k……ごめんなさい……こんなところに呼び出して……

Tキュウン……

k……急にこんなこと、困るかもしれないけど……

…………

あなたのことを、いつも見ていました。

――あなたが好きです。

良かったら、これからずっと、一緒にいてください――

――永遠に――

Tキュウキュンキュン!


あらあら、もう……!いいカンジだったのに、タローが混ざっちゃダメじゃない、

Tキュン……

k夕ローもおしばいしたい?

Tキュウウン。

それはいいんかい。

kおしばいって難しいね、アイリスねーね、主人公にーに……

コヨミ、もっともっとおけいこするから!がんばるね♪



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story クレアの告白



c……ごめんなさい……こんなところに呼び出して……

…………

……急にこんなこと、困るかもしれないけど……

あなたのことを、いつも見ていました。

あなたが好きです。

良かったら、これからずっと、一緒にいてください――

――永遠に――


ウーム!満点!

満点だわよっ!

cありがとうございますっ!

おしむらくは、クレアが裏方だってことね……

cあの……この告白稽古、私がやった意味は……?

だいじょうぶ!あるわ!とっても参考になったから!

cそれならよかったです♪

さあ、ルーントレインに乗っておいきなさい!

cはい♪出発進行~♪

ウーム……!裏方にしとくにはもったいない才能だったわね……!



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story サウンドオブBGM



<――時間は矢のように流れ――

ついに小屋入り初日を迎えた。>


c間もなく、第二便出まーす!

T積み残しはねえか!?忘れてたじゃ済まねえぞ!?

m大声出さないで。ちゃんと確認したわ。

Tお、おお……悪イ……

ふわあ…………あ、失礼いたしました。

眠そうだな姫さん。ほら、乗りな。

ありがとうございます。

俺らはこの便に乗ってって、すぐさま建て込みだぜ。

存じております。さあ、時間との勝負ですよ……!

c貨物よーし!乗員よーし!

T頼んだぜ!

この俺様に任しておきな!

……ホントは大工じゃねえんだけどな!

c出発進行~!

mいってらっしゃい!


o――バンドのイリはお昼よ。みんな、調子はどう?

T私は万全よ。

Pピヨ……、バンド、楽しみ♪

Rクリスマスこそ、ハンドベルの見せ場です!気合入ってます!ラー!

o……あなたたちは?

あのクソッタレの聖火が~♪俺を焼き尽くすのさ~♪YEAR!

o絶好調みたいね。……あなたはそのカッコなの?

 デコ。

 ボコ。

A彼らの島、オーラ・ムーチョではこの格好が正装みたいだね。結婚式なんかでもこれだってさ。

o今のー言にそんな意味が……!?


Cテステステス、アーアーアー。

Vあ、ちょっと上手に戻って~!、そこ、ハウってるかも!

Cアーアーアー!

Vフットマイクが利き過ぎね。シャグラ~ン、710パー落としてみてー!

Cアーアーアー!

Vオッケー!そのまま下手に~!

M音響さーん!灯体の吊り込み始めていい~!

Vあ、上手の奥からお願いしま~す!

Mは~い!

Vスピーカーのバトンだけ、ー本外にずらしちゃったけど、大丈夫でしょうか~!?

M平気なはずよ~!主人公、脚立をこっちに~!

アタシのバイト経験が、活さるときが来ちゃったね♪

さあ、照明班!舞台班が到着する前に、全部吊り込むわよー!

<――活気のある、舞台仕込みの雰囲気ー

けっこう好きだ!>



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story 調理場から愛を込めて



<リハーサル室。>

あ、レーラさん、ちょっと待ってください!

lえ?

ドレスの裾が……

……はい、とりあえず安ピンで留めました。休憩中にちゃんと縫いますね。

lありがとう♪

Kあーあーあー!ハッ!ハッ!ハッ!

kえヘヘ~♪ライオンさんだぞー!悪い子は食べちゃうぞ~?

Tキャーン♪

tほら、コヨミ、そっち向かないで、前髪直してあげるから……

Yみなさん、衣装はオッケーですか?では、シーン2のラストから、シーン4の頭までいきまーす!

座長が戻るまで、段取りを全部復習しましょう!

tはーい!

Yゲネプロは明日のー発勝負です!集中していきましょう!

M(お兄ちゃん、頼もしい♪)


w――明日の開場は、開演の45分前。受付開始はさらにその15分前となります。

上手の前列二列は、シャルロット様の孤児院の団体予約席です。

他の席も予約で満席ですが、開演五分前になるとキャンセルが始まります。

また念のため、立ち見となりますが当日券も50名様分用意がございます。

こちらへお通しする際は、必ず『立ち見である』旨をお客様に了承頂いてください。

何か質問はありますか?

客席って、お弁当を食べても良かったかしら?

w軽食なら構いませんが、周囲を見て、アレでしたらロビーヘ誘導するようにしましょう。

わかったわ♪

wまた、上演中も、必ずロビーにはスタッフの誰かが残って下さい。

その場合、くれぐれもスピカさんを単体で受付に放置しないように。

え?

wえじゃありません。



Y――ハイ、では15分だけですが休憩となりまーす!

kはーい!

Tキャンキャン!

ご注文は、俺だったな?

バーガーさん?

ふっ……冗談さ。

<バーガーは、トマトとレタスの間にポテトをはさむと、紙袋を差し出した。>

kわあっ♪いいにおい♪

差し入れだ。食ってくれ。

tわぁ~い♪おなかぺこぺこだったんです!いっただっきま~す!

l今日は私たち役者より、スタッフさんたちに……

もう、渡したさ。じゃあな。

バーガーさん……!

K…………

lカレン、いただかないの?

K緊張して、食べられそうにありません……

l……そう。

K明日は私が、ステージに……!そして、大勢のお客様が、私の演技を……!

l大丈夫。自信を持って。あれだけ練習したじゃない?


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story オン・ジ・イヴ



<――怒涛のような舞台仕込みは、なんとか時間内におさまり――

セットは完成。照明も音響も今のところ問題はない。

スタッフも役者たちも帰り、あとは明日を待つのみとなっていた、その夜――>


zLL…………

シャグランだったか……いまここには、誰もいないことになっているのだがな……

まあ、いいだろう……

見ろ、シャグラン。

未熟なこの俺に、みなが協力してくれ……

こんなにも立派な舞台が、出来上がってしまった……

明日の本番……良い舞台に、なるだろうか……?

w信じなさい。

一度は逃げ出したけれど、戻ってきてからのアンタは、あんなに本気だったじゃない。

zLLキャトラ……

みんなね。嫌々付き合っているわけじゃないのよ。

アンタが<熱量>を持ってがんばっているから……

それに心を動かされて、ついてきているんだから。

zLLそうだろうか……?

弱気にならない。座長でしょ?

zLLフッ……!そうだな……!

この冥界の颶風、レザール!

おっ!?

zLLとりあえず、マックスがんばってみた!

あとはお客様の反応を待つだけだ!うう~!怖いなぁ!

ズコッ。、ここでカッコつけないんかい。

zLLいいか、キャトラよ?『カッコをつける』というのは演劇においては最も憎むべき悪しき欲求でな……

……ハイハイ。語ってちょうだいな。

(ようやっと、元のレザールに。戻ってきたみたいね……♪)


<――そして、レザール座長のプロデュースユニット<ほわいときゃっつ>は――

――公演本番当日を迎える!>


 つづく――



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