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【白猫】光焔の御子と黄金の覇者 Story

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん
少女が<金獅子>と出会うとき、新たな運命が動き出す――!
2015/08/28


目次



Story1 その名はシャルロット

Story2 金獅子と呼ぱれた男

Story3 御子の真意、その本性

Story4 謎の美女?

Story5 シャルロットの憂鬱

Story6 ルクサントに潜むモノ

Story7 <闇>の暗躍者

Story8 救済からの破滅

最終話 自由への門出

飛行島 思い出


story1 その名はシャルロット




『やっと着いたわあ~。

 ここがギルドの依頼にあった<ルクサント国>ね。』


 ――


「なんだか物々しい雰囲気ね……」

『ま、アタシたちはアタシたちの仕事をしま――』


「うおおおーー!!」

『うわっ!な、ななななにごと!?』


「御子様のご出陣だぞー―!」

「きゃ~!シャルロット様ぁ~~!」



騎士や民衆の歓声に迎えられ、

不思議な瞳をした少女が威風堂々と前に出る。



「聞きなさい、ルクサントの民よ!勇敢なる我が騎土たちよ!

今日この日!わたくしは長きに渡る蛮族どもとの戦いに終止符を打つ!」


「うおおお一一!!」

「我らの剣と命は、御子様のために!」


「正義は我らにあり!

御子の祝福を受けし兵たちよ!わたくしに続きなさい!!」


「うぉぉぉーー!!

 全軍、進撃せよ!!御子様に遅れるなーー!!」


 少女の号令を合図に、騎士たちが激流のように城の外へと駆け走る!



「きゃあ!キャトラ!主人公!!」

『ぎにゃあ~~!お、押し流されるう~!!』



第一話:御子の出陣

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story2 金獅子と呼ばれた男



「よう、ミコサマがわざわざここまで出張ってくれるとはなあ。オレの首を取りにきたってか。」

<金獅子>オウガ!あなたの命運もここまでです!覚悟を決めなさい!」

「相変わらずつれない女だな。せっかく大将同士の戦いなんだぜ?少しは楽しんだらどう――」

「せあああーー!!」

「問答無用ってか。いいぜ!決着つけてやろうじゃねえか!」


『ちょっと、ここどこよお!一体なにがどうなってるわけ!』

「なんだかとんでもないところに迷い込んじゃったね……」



「てい!せあ!はぁ!」

「……おいおい、ミコサマよう。オマエ、なに無理してんだ?」

「ああっ!?そりゃどーゆ――

 どういう意味ですか!?わかったような口を……!

 いいから早くその首を渡しなさ――」

「そりゃオマエ、さっきから妙に力んでて剣にキレがないからな。」


「っ!みなさん、今すぐ戦いをやめてください!」


「!? あ、あなたは……?」

『どうしたのよ、アイリス!近づいたら危ないって!』


「……その娘の言うとおりだぜ。周りの気配を探ってみろ。」

「……!これは……魔物!?いつの間にこれだけの数が……」


『さすがに厳しいわね……ここは逃げるが勝ちでいきましょ!ほら、アンタも早く!』

「で、ですが……!ここで<金獅子>を討たなければ……!」

「おっとオレもズラかるぜ。お互い生きてたらまた会おうや!」

「ま、待ちなさい!今日こそは必ずあなたを……!

 って、おいこら、待てって――」


『アタシたちも行くわよ!このままじゃ囲まれ――』


「ふっざけんなあーー!!」


『…………え?』

「え、え?」


「ここで野郎を倒さなきゃあたし、働き損じゃないのよ!!

くそったれ一一!!


『……………はっ!

と、とにかく、その子を連れて逃げるわよ!』


「はぁ、なんかもうやる気ないわ一もう帰りたいわー。

でも戦うのメンドくさいわー。」


「わーわー言ってないで戦いなさいっての!」


第二話:魔物の包囲を突破せよ
あー、とーっとと帰りたいわ――。

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story3 御子の真意、その本性



「おお、<光焔の御子>よ。こたびは災難であったな。まさか魔物の襲撃を受けるとは……」

「……いえ、すべてはわたくしの不徳の致すところ。もっと早くに気付いていれば……」

「気に病むことはない。<金獅子>は逃したが、結果的に蛮族の軍勢を退けることはできた。

御子よ、どうかこれからも、我らを……この国を光明のもとに導いてはくれまいか。」

「この身はもとより、ルクサントの未来に捧げました。すべては預言に記されし、しるべの通りに……」


 ***



「あーあ、あそこで取り逃すとか、ほんとありえないし……サイアク。」

『……あのさあ、一応確認だけど、『<光焔の御子>シャルロット』って、アンタのことよね?』

「そーだけどだからなに。」

『やっぱりそうだったのね……』


「実は私たち、ギルドの依頼であなたの護衛に来たんです。」

「……ああ、あんたたちだったんだ。逃げ出した侍従に代わって新しく来た人って。」

『……なんか今、不穏な単語が聞こえた気がするんだけど。』


「あの、<光焔の御子>ってー体なんですか?」

「この国に昔からある預言書に書かれてるヤツのこと。あたしの目、左右で色違うでしょ。

これ、<光の瞳>と<焔の瞳>って名前らしいんだけど預言によると、

この目を持って生まれた人間は、この国を救う『御子』なんだと。」

『それで<光焔の御子>なのね。名前だけはえらくご大層じゃない。』

「だけ、じゃないし。ま、あたしは預言とか興味ないけどさ。」

「で、でも御子様、なんですよね?」

「あたしはきっちり務め果たして、御子の立場を利用して好き勝手に贅沢したいだけ。

本当なら今頃そうなってたはずなのに……あ一あ、なんか死にたくなってきたわ一。」

『なんちゅう御子様よアンタ……今までずーーっとネコかぶってみんなをだましてたのね!』

「仕事ってのは、本音と建前を使い分けるもんでしょ。」

『そーかもしんないけどアンタが言うとハラタツわ!』


「ま、そーゆーわけだから、お互いお仕事ってことで。あたしのことはシャルでいいから。」

「はい、よろしくお願いしますね、シャルさん。」

「それじゃ、まずは夕飯の支度で。料理は、高級ルクサント牛のワインソテーに、子牛のシチューと――

あと国王御用達の農園でとれた句の果物を使ったフルーツパフェ。基本、肉とスイーツはセットね。」

『なんでそんな高そうな料理ばっかなのよ!』

「あたしは、この国を救う御子なんだから、このくらいの贅沢は当然の権利だし。」

『これじゃ護衛じゃなくて、ただのお世話係じゃないのよ……』

「あたしはー生懸命ラクするから、みんなも馬車馬のように働いてねー。」


『もがー――!!ワガママにもほどがあるわよ!そりゃ前の人だって逃げるわ!』

「キャトラ、押さえて……これもお仕事だから……」



「――っ!痛っ!」

「? どうかしましたか?右目を押さえて……痛むんですか?」

「……別に、なんでもない。」



第三話:御子とともに戦え!
よろしくー、便利な侍従さん。

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story4 謎の美女?



「! 見て、御子様よ!」

「おお、御子様……相変わらずお美しい……」


 沸き立つ民衆にシャルロットがにこやかに手を振り返す。


「シャルさん、みんなから尊敬されてるんだね。」

『そうみたいだけど……でも、やっぱり納得いかないわ!』

「……あら?あの人……」


 練り歩くシャルロットの前より、

 妖艶な雰囲気の美女が、ゆっくりと近づいてくる。


 そして、そのすれ違いざま――


「クククク、相変わらずお高くとまってんなあ、ミコサマよ。」

「っ!!」


『な!……い、今の声……アンタまさか……!』

「…………」

『あ、ちょ!待ちなさい!追いかけるわよ、みんな!』

「え、えーっと、ですが……」

「急ぎましょう、シャルさん。見失っちゃいます!」


「え、ええ~……」


 ***


「うぇぇ、仕事中なのにさらに別の仕事が入ってくるとか。マジでありえないわー。」

『なに言ってんの!この前、取り逃したとき、アンタも悔しがってたじゃない。』

「あのときとは状況が違うし。今さらどーでもいいし。」

「っ!いました!」



「よう、オマエら!また会ったな。

『やっぱりその声!まさかとは思うけど、アンタ……

「ククク、驚いてるようだな。まあ、見てな。」



「クックックッ……どうよ、オレの完璧な女装はよ。思わず惚れそうになっただろ?」

おい、なんだその顔は。まさか、ブスだったとでも言いてえのか?ああ!?」

「むしろブスじゃない分タチ悪い。ぶっちゃけ、キモい。」

「キモい言うなや!変装は潜入の定石だろうがっ!」


『そんなことより!アンタどうしてここにいるのよ!まさかシャルを狙って……』

「おいおい、待ちな。今日はオマエらとやり合うつもりはねえ。

単刀直入に言うぜ。オマエら、オレと手を組みやがれ!」

「……はいい~?」

「どういうことですか?あなたはシャルさんの敵なんじゃ……」

「ミコサマも気付いてんだろ?あのいきなり現れた魔物ども。オレはどうにもきな臭く感じる。」

「……つまり、あの魔物たちを探るために協力しろってこと?」

「そういうこった。オレらやオマエらにとってもヤツらは敵だ。悪い話じゃねえだろ?」

「……まあ、いいけど。」

『え、いいの!?そんなあっさり……』

「利用できるなら敵でも利用する。それであたしの手柄にしちゃえば楽して得するっていう寸法。」

『こっちはこっちでダメダメだった……』


「決まりだな。

今この時からオマエらは、オレら<荒野の民>の同胞だ!よろしく頼むぜ!」


第四話:御子と金獅子の共闘
魔物ばっかでイライラするわー。
肩慣らしにひと暴れいくか!

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story5 シャルロットの憂鬱



「そういや、ミコサマよ。最近の調子はどうだ?」

「……どういう意味。」

「この前、なんか無理してだろ?ちょいと気になってよ。」

「あたしはあんたら蛮族の敵でしょ。気にする必要も理由もないと思うけど。」

「細けえことは気にすんな!今はオレの同胞なんだからよ。悩みでもあるなら話してみろや。」


『……シャルもああ見えて気苦労が絶えないのかしら。ずっとネコかぶってるし……』

「シャルさん、話してみたら楽になるかもしれませんよ?」

「楽に……なる?」

『そこに反応すんのかい。』

「……まあ、話すだけならタダだし。別にいいけど。」

「おう、言ったれ言ったれ。」


「……最近さー、魔物が多くて物資の補給もままならない状況が続いてるでしょ。」

「ええ、そうみたいですね……」

「そのせいでさ、日に5回あったあたしのスイーツタイムが――

<3回>に減らされたわけ……!」

『……は?』


「それだけじゃない。魔物の討伐に行く頻度も増えて、おかけで睡眠時間も減ってさ……

たったの<7時間>ってなに!?あたし、9時間は寝ないとダメな体質だってのに……!

「え、えーっと……」


「んで、さすかにひどすぎたから『ちょっと』文句を言ったわけよ。したら侍従は実家に帰りやがるし!

でも、あたしは我慢した。もう子供じゃないから、分別くらいわきまえてるし。

『………………』


「なのに、生活はどんどんどんどん切り詰められて……!ぶっちゃけありえねーっての!

この前あんたと戦った日なんか、献立のお肉がビーフからチキンに格下げされたの。おかしいでしょ?

おかけで全然調子でなかったし!あたしは肉といったら牛派なの!そんなこともわかんな――」

『フシャーーー!!』

「キャトラ!押さえて!!」


「あー……つまりオマエは、テメーの好き勝手できねーからイラついてたってことか?」

「好き勝手じゃないし!御子様なんだから当然の権利を主張してるだけだし!」


「ククク……ハハハハ!ガハハハハハハハ!!」

「オ、オウガさん……?」


「ミコサマ、オマエ最高だわ!クク、なるほどなあ、確かにそれは無理してるわなあ!

「ふん、どうせくっだらねーとか思ってんでしょ。」

「んなこたねーよ。人間、欲望に生きてこその人生だ。オマエはなにも間違っちゃいねえ。」

『ちょっと!そんなこと言ったら、ますます調子に乗っちゃうじゃないのよ!』

「おいおい、自由な生き方ってのは大切にするもんだぜ、キャト公。」

『キャ、キャト公!?』

(……ま、本当の意味で自由ってわけでもなさそうだがな)


「ふ一ん……ちょっと意外。あんた、野蛮で悪人面で臭そうな割に、結構わかってるじゃん。」

「オレもさすがに驚かされたぜ。まさかあのミコサマが強欲でメシにうるさいわがまま娘だったとはな。」

「なんとでも言えば一。あ一あ、思い出したら余計に気分悪くなってき――っ!」

(痛っ!また……<焔の瞳>が……もう!なんなんだっての……ったく!)


「シャルさん、また右目を押さえて、大丈夫かしら……?」




第五話:仁義なさ破壊工作
暴れてストレス解消しよっと.
これ、壊しちまっていいのか?

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story6 ルクサントに潜むモノ



『そろそろ詳しく聞かせてくれない?アンタ、なんでここに来たわけ。』

「……来たな。」

『え?うん、だからなんで来たって話しで……』


「ガァアアアアッ!!!」


「ま、魔物!?どうしてこんな街中に……!」

「最近、この国じゃこういうことが多いらしいぜ。そうだろ、ミコサマ?」


「……ルクサントじゃ、あんたたたち蛮族の仕業だってもっぱら噂になってるけど。」

「んなわけあるかよ。むしろオレら<荒野の民>は、魔物どもを監視する側なんだぜ?」

『へえ~、そうなのね。』

「原野に拠点を置くオレらにとっちゃ魔物の動向は把握しとかねえと命にかかわるからな。

だが、最近その魔物どもの動きが、どういうわけか『ここ』を中心に起きてやがる。」

「魔物が発生する原因が、この国のどこかにある……ということですか?」

「オレはそう睨んでる。あとは……あ、いや、なんでもねえ、気にすんな。」

「――?」シャルロット


(なんでか奴らは常にミコサマの近くに出現してんだよな

……ま、今さら言うことでもねえ、か)


「つーわけだ!この魔物どもの巣を探し当てるぞ。野郎ども、ついてこい!!」

「大声出さなくてもわかってるから。というか野郎じゃないし。」


 ***


 襲い来る魔物たちを蹴散らし、魔物出現の元をたどる。

 そして、たどり着いた先には――



「ここは……!」アイリス

「なんだぁ?こいつは遺跡か?」


「あ一、なるほど。そういうことか。」

「シャル、ここのこと知ってるの?」

「ルクサントは、元々この地にあった遺跡の上に建てた国だから、郊外だとその名残がよく見つかる。

ちなみに<光焔の御子>のことが書かれた預言書も、この遺跡から発見されたって聞いた。

『へぇ~、歴史ある国ってかんじなのね。』

「中は入り組んでるし広いから、まだ調査が進んでない場所もたくさんあるんだってさ。」

「つーことは、逃げ隠れするにも絶好の場所ってことだな。」

「……やっぱ行くわけ?このクソ辛気臭い、カビ臭い、最低最悪な場所の奥に。」

『当たり前でしょ!アンタそれでも御子様なの!?』

「はぁ……さすがに見て見ぬフリできる状況じゃないか。早く終わらせて、とっとと帰ろ。」


「油断するなよ、オマエら。なにやら妙な気配がしやがるぜ。」



第六話:ルクサントの遺跡調査
時問外勤務とかカンベンして……
イヤな予感かしやかるゼ……

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story7 <闇>の暗躍者



「ほう……まさかそちらから出向いてくれるとは。」

「……なんなんだよ、この吐きたくなるようなドス黒い気配は。なにモンだ、テメェ!」


「ううっ!いった……また、右目が……!」

「って、おいおい、大丈夫かよ。いきなりどうしたってんだ?」

「私の<闇>に瞳が反応したか。……あの預言の通りだな。」

「……あんた、この痛みの原因を知ってるってわけ?」

「お前の持つ御子の証、<光の瞳>と<焔の瞳>。

光は<救済>を象徴し、焔は救済の妨げとなる敵を焼きつくす<力>を意味する。」

「……だからなに。そのくらい知ってるし。」

「では、その両者か危うい均衡の上に成り立っていることは。」

「……へ?」


「ふん、やはり御子本人には隠していたか。

左目の光か、右目の焔か。均衡崩れたときどちらに傾くかは御子の心次第だ。

今は『光』の側のようだが、もし『焔』に傾けば……」

「……力に、支配される……?」

「救済の御子は、―転して破滅を呼ぶ御子となる。秘されし預言の続きだ。」

「…………」


「ふむ、どうやらお前を『力』に傾かせるために魔物を放った甲斐はあったようだ。」

「そういうことかよ。オレたちの戦いに水差してたのはテメーだったってわけか。」

「御子よ、その力を<闇>に委ねろ。そうすれば、すべてかお前の意のままに――」

「意のままって言うけど、それってどの程度のことを指すわけ。」

「……なに?」

「あんたって典型的な、建前だけはご立派だけど具体的なとこははぐらかすタイプでしょ。

こーんな回りくどいやり方で引き抜くよりもさ、まずそのへんをハッキリさせとくべきでしょ普通。」

「この世界を<闇>で支配する。これ以上の見返りなどあるものか。」


「ふっざけんなあ!!」

「っ!貴様……!」


「みんなの笑顔が報酬ですとか、そーゆー犬も喰わない精神論があたしは大っキライなの!

働いたら働いた分、見返りは目に見える形でちゃんとよこせ!わかったかこの陰険メガネ!

あとあんた絶対『お前は用済みだ』とか言って仲間を切り捨てる系の悪者でしょ。陰険メガネだし!

いきなりクビになるような職場とかもうね、行くわけねーつつの!第―印象ですでにアウトだから!!」


「下劣な俗物め……!」



「残念だったな。このミコサマはな、世界がどうのなんてことより、目先の欲を取るような奴なんだぜ。」

「あー、なんか久々にキレたわー。ま、ここなら人目もないし、存分に暴れられそうだわー。」

「おう、話は終わりか?それじゃあテメーにもう用はねえ。大人しくオレらにボコられろや!」


「ならこちらも容赦せん。……魔物の餌食となれ!」



『……ねえ、アタシ帰ってもいい?』

「ダメよ、キャトラ。これもギルドのお仕事なんだから。」


第七話:<闇>の脅威を排除せよ
テメーら全員、刺し身だコラァ!
へっ、ならオレは串刺したせ!

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Story8 救済からの破滅



「……腐っても御子か。蛮族ともども忌まわしい存在め。」


「遺言はおわり?それじゃ、サヨナラ。」

「くっ!おのれ……!!」

「なっ!」


 瞬間、<闇>の障気が煙幕のごとく解き放たれる――!


「くっそ!どこいった!?」

「逃がしたか。」

「は!?ここまでやっといて逃げられたって……はぁ~!?」

「相手が一枚上手だったってことだ。諦めな、ミコサマ。」

「ウソでしょ……さんざん魔物と戦っといて、あげくのはてに無駄足とか……!」

『でも魔物は退治したんだから、それでいいじゃないのよ……』

「あのね、欲しいのは成果なわけ。一生懸命努力しましたーじゃノルマ達成って言えないわけ!

ああ、もうサイアクだわー。イライラマックスで頭痛するわー。

――って痛ッ!いたたたた!!」


『ちょ、ちょっと、シャル!どうし――』

「!おい、離れろ、キャト公!」

「み、右目が、燃え……る……!う、あああ……あああ……

うわああああ!!!」



「はぁ……はぁ……う、ううあ……あああ!!」


『なにが起こったの……?シャル、一体どうしちゃったの!?』

「もしかして……これが預言に隠されてた『破滅の力』……!」


「チッ、そうきたか。ここにきてあの陰険野郎の狙い通りに事が運んだってわけか。」

「う……が……あああ……!」


「それに、どういうわけか遺跡の中が殺気であふれてやがる。魔物どもがこっちに来やがるぞ!」

『まさか、シャルのあの『瞳』に反応してるってわけ?』

「国を救ってきたミコサマが、今度は魔物を呼び寄せて国を壊すってか。

……笑い話にもなんねーな。」


「……うそでしょ……

あたしの御子人生、ここで終了?こんなしょーもないことで!?

なんでだよ……!あたし、なんのためにここまできたっていうんだよ……!

ちっくしょう一一!!」



「……おい、オマエら。まずは魔物どもを片付けるぞ。

ミコサマは、オレがなんとかする。」

『な、なにか策あり!?』

「……まあそんなところだ。っと、話はあとにしな。

来るぜっ!


最終話:迫り来る破滅の足音
この金獅子を甘く見るなや!

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最終話 自由への門出



「いやだあー―!せっかくの地位と権力が一!

苦労して立てた人生設計がぁー!」

『ちょ、落ち着きなさいって!じゃないとまた魔物が―」



「グダグダ言ってんじゃねえ!」

「ふぎゃ!いきなりなにすんの!」

「おう、悔しいか?ならオマエもやり返してみろや。そのヒョロそうな細腕でなあ。

「言ったなテメー……」



「死にさらせやあ一一!!」

「んん~?効かねえなあ?にしても遅っせえー撃だな。重しでもつけてんのかあ?」


「こんの!筋肉ダルマがあ一!」

「だから、遅せえーんだよ。ま、んなくだらねえモン抱えてりゃ拳のキレも悪くなるわな。」



「はぁ……はぁ……うっさい……うっさいんだよ!」


「……なにもかも捨てちまえよ。

重しになるモン全部投げ捨てて、そんで全力でかかってこいや。」



「うっさいつってんだろ!勝手なこと言ってんじゃねー!

これがあたしの人生なんだよ!

これしか生き方知らねんだから簡単に捨てられねえんだよ!


あのクソったれな預言のせいで!

生まれた瞬間に将来決められて!

やりたくもないことやらされて!


だからそのぶん贅沢しまくって!

大好きな牛肉も食べて!スイーツも毎日5食は食べて!


でも、ぜんっぜん楽しくない!

どんなに好き勝手やっても全然、楽しくならないんだよっ!」


『シャル……アンタ……』


「もうウンザリなんだよっ!

顔も知らねー連中のためにずっとずっと戦わされて……!


こんな割に合わない仕事、これ以上やってられるかクソったれ!

御子なんて……御子なんて……


やめてやるあ一一!!」


「ゴフウッ!クク、ハハハ……!

そうだ!それでいいんだよ!言ったろ?無理すんなって。」


「……あ、あれ?あたし……なに言って……」

「いいー撃だったぜ、ミコサマよ。

……いや、同胞シャルロット。派手に暴れてスッキリしたろ?」

「あ、うん……さっきまでのイライラがウソみた――って!あんた血まみれじゃん!」

「オウガさん、早く手当しないと!」


「ヘッ、なんとも、ねーよ……

この<金獅子>が、この程度で、倒れる、ほど、やわ、じゃ、ね――」

『もー!無茶しすぎだっての!』


「……オウガ、あんた……」


 ***



「おお、御子よ!遺跡に潜んでいた魔物どもを討伐したとはまことか!」

「はい。これにてルクサント内の魔物の脅威は去ったと見てよいでしょう。」

「よし、魔物がいなくなった今こそ、蛮族どもを駆逐する好機!御子よ、早速出陣の――」



「知るかボケ。あんたらで勝手にやってろ。」

「…………は?」

「これからは、あたしの力はあたしのためだけに使わせてもらうから。

そーゆーわけで、御子、やめます。じゃ。」


「………………は?」


 ***



『まったく、あんたが御子やめたからギルドの依頼もパアになったわ!』

「あー……えっと、まあ……悪いとは思ってるし?」

「あ、あはは……ところで、シャルさん。これからどうするんですか?」

「ん一、やりたいことがいっぱいあるようで、なにをしたらいいのかわかんない……そんなかんじ。」



「おいおい、んなモン思いついた端からやっつけていけばいいだけだろうが。」

「……あ、生きてたんだ。絶対に死んだなって思ってた。」

「勝手に殺すなや。それよりオマエら、暇ならちょいとオレに付き合わねえか?」

「お断りします。」

「まあ聞け!実はよ、オレたち<荒野の民>の祖先が、万が一のために遺した隠し財宝があってな。

で、オレの知り合いがようやく古文書と地図を解読し終わって、宝の在り処を突き止めたのよ。」

「財宝……?それって金銀ザックザク的な?」

「おうよ!ただちょいとばかり厄介な場所にあってなあ。……どうだ、興味あるだろ?」


『ふふん、冒険なら、冒険家のあたしたちにまかせなさい!』

「なんか胡散臭いんだけどー。」

「きっと楽しいですよ、シャルさん。一緒に行きましょう!」

「……お宝見つかったら山分けだかんね。」



「おっし、決まりだな!

行くぜ、我が荒野の同胞たち!オレに続けえ!!」



「ま、好きにやらせてもらうわー。

あたしのやりたいように、ね。」




飛行島 思い出

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