【白猫】ビート・思い出
ビート・パナーシア cv.斉藤壮馬 治療を専門とするアンドロイド。 全ての存在を癒すという使命を担っている。 | ||
2014/11/28 |
思い出1
うう~、最近寒いわね……ハ、ハ、ハクションッ!
風邪引いちゃうから、早く中に――ひゃあっ!?
ちょっと、アイリスってば大丈夫!?
……って、大変! 血が出てるじゃない!
大丈夫、軽くすりむいただけだから……
――うおおおおおっ!
<突如、目にも留まらぬ速さで何者かがアイリスの前に滑り込んだ。>
ゲホッ! ちょっと!
速すぎて砂ぼこりたってるんだけどぉ!
赤く腫れ、擦り切れた皮膚に傷口からの出血……間違いない!
これは擦過傷――擦り傷です!
いや、見ればわかるし! ……って、アンタ誰ぇ!?
紹介が遅れました、僕はビート。
今日から、この島の主治医として働かせてもらいます!
主治医って……どう見ても医者には見えないんだけど……
ハッ! その格好……まさか医者の皮を被った戦闘兵器じゃ!?
そんなに警戒しないで。僕は治療を専門とするアンドロイドで戦闘用じゃないんだ!
それよりも、これ以上ケガを放っておいたら危険だ! 一刻も早く治癒をしなければ!
大したケガじゃないので、大丈夫ですよ。
擦過傷は土や砂等が傷口に付着し、感染源となることが多いんです!
僕なら治せる……いや、絶対に治してみせます!
―――うおおおおおっ!
<ビートの腕から放たれた光が傷口全体を包む。
――気が付くと、傷は跡形もなく消えていた。>
あれ、痛みがなくなって……傷が治ってる……!
すごい、本当に医者……ううん、お医者さん以上だわ……!
よかった、本当に……! 本当によかった……ッ!
ちょ、ちょっと、何で泣いてんのぉ!
一つの命が無事でいてくれた。
それだけでもう、僕は……僕はッ……!
ビートさん、ありがとうございます。
すり傷ひとつで大げさねぇ。
僕はあらゆる生命体の傷を癒すために旅をしている。
傷の大小は関係ない!
どんな傷であろうとも絶対に治す……それが、僕のモットーです。
―――大変だっ! 花が踏まれてしおれかけている!
うおおおおおっ!
ゲホッ、ゴホッ! だから砂ぼこりひどいってばぁ!
……って、行っちゃった……
思い出2
――よし、これで大丈夫だ。
うわぁ、さっきの傷が嘘みたいですね。
<治療した小鳥を撫でながら、ビートは悲しげに目を伏せる。>
僕はもともと、研究施設のメンテナンスを目的として開発されたんです。
でも、忘れもしないあの日……僕は機械だけではなく、生命を救いたいと願った。
いや、救い続けると誓ったんだ!
癒すことが、僕の存在意義……だから、だから……
皆さん、どこか治療するところはありませんか!?
そういえば、最近肩こりがひどくて……
肩こり!? それはいけない!
肩こりは放っておくと固まっていき、次第に痛みまで麻痺させる恐ろしい病……
さぁ、肩を出してください! 早く!
は、はい!
うおおおおおおおっ!
な、なにこれ……マッサージが速すぎて、手の動きが見えないわ!
ハァ、ハァ……肩こり解消プログラム、終了!
すごい、肩が軽くなりました!
さぁ、次の方は!?
はいは~い! アタシ、猫舌を治したいんだけど~。
猫の舌!? それは……
キャトラさんが、猫だからでは……?
アンタもしかして……猫舌知らないの?
猫舌、猫舌……ねこ……舌……
ビ、ビートさん?
………ネコ……ガガ、ガガガ……
ちょっと、頭から煙で照るんですけどぉ!?
……治療データ、検出デキマセン。
治療データ、検出デキマセン……
えええええっ!?
ね、猫舌は不治の病なの!?
キャトラ、猫舌はあきらめよう……
そ、そんなぁ~!
思い出3
う~ん……
どうしたの、アイリス?
実は、最近太ってきちゃって……
ああ~、最近美味しいものたくさんもらったもんね……。
アイリスさん、昨日の夜、お菓子をつまみ食いしましたね?!
ひぃっ!? アンタいつからそこに!?
しかも、おとといの夜にはポリッツを……
ど、どうして知ってるの?
えええっ!? ポリッツ、楽しみにしてたのに~!
これは危険です! 間食は生活習慣病のもと! そして何よりの原因は……
運動不足です!
う、運動不足……
これは深刻だ、全身の筋力が衰え、全ての病気の元凶となる……
どうすればいい、どうしたら救えるんだ……!?
そうだっ!さぁ、アイリスさん、僕に続いてください!
は、はい!
ワン、トゥー、スリー、ヤァーッ!
なに、この踊り……
これは世界で静かなブームを呼び起こす予定になっている、
僕が独自に開発したビートザブートキャンプです!
なんかツッコミどころ満載なんですけどぉっ!?
さぁ、もっと腕を高くあげて!
ワン、トゥー、スリー、ハァアアアッ!
ワン、トゥー、スリー、ヤァアアアッ!
そう、どんどん早くしていきますよ! ヘイ! ワンモアッ!
ヘイ! ヤァーッ!
……アイリス、こ、怖い……
思い出4
主人公、大丈夫? 顔色が悪いけど……
ボーッとしてて、角に頭ぶつけたんだって。ドジよねぇ。
た、大変だ!すぐに治療を――
よし、私に任せて! 痛いの、痛いの、飛んでけ~!
!?
ふふ、良くなったみたい。
すごい、アイリスさんは医者だったんですか!?
違うわよ。アイリスのおまじないが効いたのよね~?
……おま、じない……?
そう、相手に念を贈ってあげるの。
そうすると、痛みが消える……こともあるのよ。
そ、そんな、ウソだ!念とは無形のものであるはず……
病は気からって言うでしょ?
そう思い込むことが大事なのよ、きっと!
くっ、世の中にはまだまだ知らないことがいっぱいだ!
キャトラさん、僕にありったけの医療知識を与えてください!
え、えええええっ!?
僕はあらゆる生命体の命を救いたい……! お願いしますっ!
そんな、アタシに医療の知識なんてないし……
あ、そうだ! 足がしびれたときは、おでこにツバつけると治るらしいわよ~!
……なぁ~んてね! そんなまさか――
……ふむふむ。データ入力完了。
え。
わかりました!
それでは、皆さんの足が痺れたときには、僕のツバをオデコにつけますね!
ちょっと待っ……
足が痺れたときには、いつでも言って下さい!
あ、キャトラさんは普段から四速歩行だから疲れるはず!
早速この治療法を……
じょ、冗談だってばぁ~! いやぁ~っ!
ハァ、ハァ、こんなんじゃ足りない、
もっと勉強しなければ……っ!
思い出5
次だ、次の患者の治療をしないと……
ちょ、ちょっと! もうやめときなさいよ!
フラフラじゃない!
そうです。これ以上したら倒れちゃいますよ!
……いいんです、ほうっておいてくださいっ!
ビートさん……
どうしてそんなに頑張るのよぉ
……そ、それは……
……僕の、傷がうずくんです。
……ビートの傷?
僕を開発した博士は不治の病でした。
自分がいなくなっても、機械をメンテナンスできるように僕を開発したんです。
でも僕はそんな博士を救いたかった。
あらゆる医療知識をつめこんで、僕の全プログラムを駆使して手術を行いました。
でも、博士は死んでしまった……僕の技術が、知識が……足りなかったせいで。
僕が、博士をこの手で……ッ!
ビートさん……
あれから、傷を見ると、博士の顔が浮かんで離れないんだ……
胸が、痛くて痛くてたまらない!
どこを探しても、傷なんて見当たらないのに……
どうすればいいんですか!? どうしたら……いつまでも消えないこの痛みは消えるんですか!?
探しても探しても、治療法がわからないんです!
自分の傷さえも癒せない僕は、医者でいていいんでしょうか!?
僕は……僕は本当に、 誰かを癒せるんでしょうか……!?
思い出6
こ、この光は……ルーンの光……?
『ビート……』
ッ!? こ、この声は……博士!? どうして……
ルーンの力が、博士を……!
『すまない。私のせいで、お前を苦しめる結果になってしまった……』
違う、違うんだ!僕のせいだ! 僕の努力が足りなかったから……!
『どんな命にも終焉は訪れる……
私にとってのその刻は、あの日だったというだけだ。』
博士……! でも、僕はどうしても、自分を許せない……ッ!
『君は私のために、必死に頑張ってくれた。
その想いは、死へと向かう私を励ましてくれた。
私は君に、心を救われたのだ。
ビートや、覚えておいてほしい。
人を救う道は、身体の傷を治療するだけではない。
心を癒すことが、何よりの救いとなる時もある。
そして、患者を想う気持ちこそが何よりも人の心を癒すのだ……>
心を、癒す……
<さて、そろそろ時間のようだな。……また合おう、息子よ。>
…………
ビートさん、大丈夫ですか?
――もう大丈夫です。ありがとう、主人公。
心の傷は、心によって癒すことができる――
そう気付くことができました。
僕はこれからも治し続けます! 全ての生命を癒せるように!
ビートさんなら、絶対に大丈夫ですよ。
よかった~!アタシなんだか感動しちゃって……ぐずっ。
キャトラさん、もしかして泣いてるんですか!?
な、何言ってんのよ! 目にゴミが入っただけよ!
ゴ、ゴミですって!? 目を見せてください!
僕に治療させてくださあああい!
ひぃぃぃぃっ! ウソ、ウソだから来ないでぇ~っ!
その他
・メインイベント
フォースター☆プロジェクト Xmas Story