【白猫】メア・思い出
ルーンチェーンソーの退魔士 メア・ミスニーハ cv.野中藍 魔性の存在を断つ、退魔士の少女。 穏やかな気性だが、凛として魔と戦う。 | ||
2014/10/15 |
思い出1
私はメア。退魔士よ。よろしくね。
<黒衣の少女が名乗った。その手には、ノコギリ状の刃を備えた武器がきらめいている。>
うわ、ゴッツイ武器!
退魔士……ってことは、魔物と戦うんですか?
もちろん、魔物とも戦うわ。でも、私たち退魔士の最大の敵は、<混沌>と呼ばれる存在なの。
<混沌>……
なんと言えばいいかしら。とにかく強くて倒しづらい魔物、とでも思ってちょうだい。
普通の武器では、<混沌>を断つことはできない。だから、この退魔の力を持つルーンチェーンソーが必要なの。
ル、ルーンチェーンソー……?
ルーンの力で動く神秘の武器よ。
見た目、神秘っぽくないけど……どんな力があるの?
ルーンに祈りと魔力を捧げると……
捧げると?
チェーンソーの刀身が高速回転してどんな物もズタズタに引き裂くわ。
ギャー!痛そうすぎぃ~!斬られるトコ想像したくないぃ~!
大丈夫よ。これで斬るのは悪しき存在だけだから。
ただし、もしも悪しき存在を見つけたら――
<メアのチェーンソーが、ドリュンドリュンと重厚な音を響かせる。>
ギャー!いない!いないから!今ここには悪しき存在とかいないから~!
大丈夫、ちょっと実演しただけ。じゃあ、何かあったら呼んでね。どんな敵も断ち切ってみせるから。
<あっさりと言って去っていくメア。>
……アイリス、主人公。
なに?
昨日、最後のおまんじゅう黙って食べたの、アタシなの~!ごめんなさい~!!
?別にいいけど……どうしたの、急に?
思い出2
おはよう。気持ちのいい朝ね。
おはようございます、メアさん。お仕事の調子は、どうですか?
仕事……?ああ、退魔士としての活動のこと?
ごめんなさい、あまり仕事って感覚がないものだから。
そうなの?
ええ。私たち一族は、昔からずっと魔物や<混沌>と戦ってきたの。
だからこれは、仕事というより……使命、とでも言うのかしらね。
でも、たとえば魔物を退治してお金もらったりはするんでしょ?
そうね。私たちも食べていかなきゃいけないから、さすがに……ね。
じゃあ、いつかは、冒険家みたいにみんなのあこがれの職業として認知されるかもね!
……それは、どうかしら。
<メアは、わずかに目を伏せる。>
退魔士というのは、決して華々しい存在ではないわ。
己の身命を賭して永遠に魔性の敵と戦い続ける……修羅の道を行く者なのよ。
……主人公みたいな冒険家と違って、決してあこがれるべきものではないの。
そうなんだ……なんか……ゴメン。
いいのよ。気にしないで、キャトラ。
退魔士がそういうものであっても、その一族に生まれついたからには、私はきっちりやり遂げるつもりよ。
己が命が尽き果てるまで……修羅のごとく魔と戦い続ける。
その使命に、殉じてみせる――
思い出3
メアの武器……ルーンチェーンソーだっけ?なんでそんなにゴツくて痛そうなのよ~……?
このチェーンソーには、<断絶>の力を持つルーンが組み込まれているの。
<断絶>のルーン……?
いかなるものも断ち切るルーンよ。
<混沌>は、実体を持たない無形の存在だから、このルーンの力がないと断ち切ることができないの。
ただし、誰でもこのチェーンソーを扱えるわけじゃないわ。
<断絶>の力を発揮するには<断ち切る意思>がなければいけないから……
<断ち切る意思>?
断ち切ってみせる――っていう、強固にして苛烈なる意思よ。
その意思がない限り、ルーンは反応しない――
このルーンチェーンソーも起動することはないの。
なるほど~。じゃあ、メアには<断ち切る意思>があるのね。
ええ。修行の末に身に着けたの。どんなものも断ち切ってみせる、その意思があればこうやって――
<ドゥン、ドゥン、ドゥン……ルーンチェーンソーが、どう猛なうなりを上げる――>
みんな、ここにいたのね。
クッキーが焼けたから、お茶にしましょう!メアさんもどうぞ♪
え?ええと、私は、その……甘いものは控えていて……その、一族の掟で……
あ――あれっ?ちょっ……こら、どうして止まるの!ねえ、ねえったら!
クッキーを食べたいって欲望を<断ち切る意思>が持てなかったからじゃないの~?
キャハハ~、まだまだ修行が足りないみたいね~!。
む、むぅぅぅぅー……っ。
<メアは頬をふくらませた。>
そ、そんなことないわ!クッキーの誘惑なんてきっばり断ち切って……
あ、主人公。こっちとこっち、どっちがいい?砂糖の量が違うんだけど――
ア、アイリス!ここでクッキーを出さないで~!
思い出4
前も言ったけど、<混沌>は実体を持たない無形の存在よ。
死んだ人の魂を喰らって、その力を吸収し、存在を維持するの……人間が食事をするみたいにね。
アンタが一族の掟に背いてパフェ食ってるみたいに、いっぱい魂を食べて、ぶくぶく太っていくわけ~?
……いい?<混沌>との戦いってすごく激しい運動になるの。だから、ここで食べた分くらいは、ちゃんと後で取り戻せるの!戦いに適した体型を維持できている分には、一族の掟に背いたことにはならないわ!
<頬をふくらませたメアは、どこか自分に言い聞かせるように告げる。>
ふふっ。でも、こうして幸せそうにパフェを食べているメアさん、戦いなんて知らない普通の女の子に見えますね。
し、幸せそうなんて、そんな顔してないもの……
でも……そうね。我ながら、普通の人とは違いすぎる生き方をしてきたとは、ずっと思っていたわ……
物心ついた頃からずっと、退魔士になるための訓練を積み重ねていたし……
友達と遊んだりとかは?
遊ぶ、ってこと自体なかったわ。それに、友達も――
幼なじみは、みんな、退魔士になる一族の仲間だったから。
みんな、ルーンチェーンソーを使う訓練をしていたんですか?
ううん、みんなじゃないわ。他は、ルーンガトリングガンとか、ルーンバズーカやルーン機雷、ルーンヨーヨーで……
どんな一族よ!?
家系によって使う武器が違うの。みんな、自分の武器を扱えるようになるのに必死でね……
だから……うん。友達はいなかったって言ってしまっていいんでしょうね。
メアさん……
そんな顔しないで、アイリス。友達がいなかったからって、辛かったわけじゃないわ。
今は、あなたたちがこうして接してくれるし……それに退魔士になってから、ちゃんと友達が出来たの。
私が最初に倒した<混沌>に襲われていた女の子なんだけど……今でも文通をしているのよ。
じゃあ、その子が、メアの最初の友達なのね!
ええ。そういうことになるわ。最初の……大切な友達よ。
思い出5
…………
メア、どうかしたの……?
……失敗、しちゃったわ。
<膝に額を押しつけるようにして――彼女はどこも見つめずにつぶやく。>
前に言った……私が最初に退治した<混沌>。ヤツを……倒しきれていなかったの――
えっ――
ヤツは時間をかけて再生し――私の友達に――あの子に、取りついてしまった……
そんな――じゃあ、どうしたの?
…………っ。
メア――、まさか……
斬れな……かった……
私は……ヤツを、斬れなかった!退魔の一族に生まれた身でありながら……!どうすることも――できずに……!
で、でも、しょうがないじゃない!友達に取りつかれたら、そりゃ、誰だってさ――
違う……違うのよ、キャトラ……私のチェーンソーなら……
<断絶>のルーンの力なら、あの子を傷つけずに<混沌>だけを斬ることもできたはず……
でも……ダメだった。もし失敗したらって――そう思うと……怖くて何もできなかったッ!
<断ち切る意思>がなければ、ルーンは発動しない……私は――私の意思は……恐怖に……負けたの……
メアさん……
ヤツはどこかへ行ってしまった……斬れない私をあざ笑って……
……どうする――つもりなの?メア……
私は……斬らなきゃいけない……
ヤツだけを斬れないのなら――あの子もろともにでも――斬らなければ……
それが、私の……一族の、使命なのだから……!
思い出6
ひ、かり――
主人公……これは、あなたのものなの――?あなたの中の……意思だっていうの……?
ルーンの光は、心の光……確かに抱いた意志こそが、心とルーンを輝かせる……
メアさんの意思だけじゃ、足りないのなら……私たちの意思を、貸します。
だから、使ってください。私たちの意思を……あなた自身の願いのために!
――ッ!
<カッと強く眼を開き、メアは弾かれたように立ち上がった。>
<抜き放たれる刃――ルーンチェーンソーが、ぎらりと陽光を反射し――>
<ぶおんッ……!と、猛々しい咆哮を上げる!>
……はぁぁぁああッ!!
<そしてメアは――うなるチェーンソーで、思い切り自分自身の首を薙ぎ払った!>
ひ、ひぃーっ!?
待って、キャトラ!だいじょうぶ……よく見て!
<確かにチェーンソーを振り切った
メア――その首元には、わずかほどの傷もない。>
今のって……
断ち切ったの。この<断絶>の刃で……
私をがんじがらめにするもの、全部……ね。
じゃあ――メア!
ええ――
<うなずいて、メアは身をひるがえす。>
ありがとう、みんな。私……行くわ。
今度こそ敵を断ち切ってみせる……大切な友達を助けてみせる!
がんばってね、メア!うまく行ったら、その子も呼んでいっしょにお茶しましょ!
メアさんとその方とで、2人分のパフェ、用意しておきますから!
あら――だったら、3人分でお願いするわ、アイリス。
<わずかに顔を振り向かせて――メアは、薄く微笑んだ。>
――私1人で、2人分はイケるもの!
魔性の業を断つ少女
アイリス、ちょっといい?
あ、はい、なんですか?
この前、用意してくれるって言ってたパフェ……お願いしていい?
あ、じゃあ、友達助けられたのね!
ええ。私が<断ち切る意思>をちゃんと持っていれば、難しいことじゃなかったわ。
でも、助けてすぐは、体と心が衰弱してたから、お茶には誘えなかったの。
だけど、ようやく元気になったみたいで……お茶会に招待したくて。
みんなのことは、私から少し話してあるわ。頼りになる仲間だって。
驚くことないわよ。だって本当のことだもの。
それができたのは、お世辞や謙遜じゃなく、みんながいてくれたからだわ。
本当にありがとう……これからも、よろしく頼むわね。
その他