【白猫】ヨシュア(茶熊)・思い出
2016/03/25 |
茶熊学園2016 Story
熱血魔竜合成演劇部員 ヨシュア・ラーナー ミレイユと一緒に入学した双子の兄。 演劇をはじめ、様々なことに挑戦する。 |
思い出1
おはようございます!!
おはよう、ヨシュア君。朝から元気いっぱいだね。
これから朝練なんで、気合入れていこうかと!
朝練……?運動部にでも入ったの?
<演劇部>です!
え、演劇?意外なのがきたわね。
演劇の基礎は体力ですから、ランニングや筋トレは欠かせないんですよ。
ふ~ん。お芝居の練習だけじゃないのね。
ほかに脚本を考えたり、大道具を作ったり……とにかく仕事が多いですね!
その割にはなんだかうれしそうね?
演劇部は、言ってみれば、<ゼロイチ>なんですよ!
ぜろいち……?
一から全部、作り上げることです!
僕らが、がんばるほど舞台はいいものになるし、そこに限界はない……!
どんな舞台にするかは、すべて僕たちの自由なんです!
そうなんだ……すごくやりがいがあるのね。
はい! このなんでも自由にできる感覚が、すごく楽しいです!
うんうん。充実してるようでなによりだわ。
せっかくなので、部活以外にもいろいろ挑戦してみようと思います!
わからないことがあったらなんでも聞きなさい。アタシら先輩だし。
はい!よろしくお願いします、先輩!
ふむふむ……見た目も態度も、新入生の男組じゃ一番学生っぽいわね。
そ、そうですか?
だって、みんな外見とか歳とかさ、どう見てもアレじゃん?
う! 確かに背は一番低いですけど……
(背だけの問題じゃないのよねぇ……)
僕もオウガさんみたいなたくましい男になりたいな……
よおし! 今日の朝練メニューはもうワンセット追加でいくぞ!
というわけでみなさん!お先に失礼しますね!
あ、ちょっと!
うおおおおーーーッ!!
ヨシュア君~!無茶しないでね~!
思い出2
「失礼しまーす! こんにちは、カスミさん!」
「こんにちは。あなたが図書室に来るなんてめずらしいわね」
「ちょっと部活の合間に本を読もうと思いまして! 前から来たかったんですよ、ここ!」
「そう、ごゆっくり。あと、図書室では静かにね」
「あ……す、すみません!以後、気をつけます!!」
「…………それじゃあ先に、図書力―ドを作りましょ」
「あ、はい、お願いします」
***
「本がいっぱいだなあ……うーん、どれから読もうかな……」
「なにか困り事?」
「あ、カスミさん」
「ずっと本棚をうろうろしてるんだもの。こっちまで気になるわ」
「実は、どれを読んだらいいか迷ってまして……」
「そういうことね……どんな本が読みたいの?」
「やっぱり冒険ものですね! 強敵やライバルと戦ったりするような!」
「いかにも男の子ってかんじね。それなら……」
<カスミは、本欄からいくつか本を取り出し、ヨシュアに手渡す>
「『白竜と黒竜の決戦』……『竜騎英雄伝』……『ルーン・オブ・ドラグナー』……」
「<竜の国>からの寄贈本らしいわ。読んでみたけど、なかなかおもしろかったと思う」
「! ありがとうございます、カスミさん! こういうのが読みたかったんですよ!」
「そう、よかった。すぐに借りる?」
「えっと、しばらくはここで読んでいこうかなと」
「受付にいるから、借りるときは言ってね」
「はい!」
***
「――そろそろ時間ね。……ヨシュア君、まだ読んでるのかしら。
ヨシュア君、そろそろ図書室を閉めるから、続きは借りて――」
(Zzzz……Zzzz……)
<ヨシュアは、本を開きながら机にうつぶせになって寝ている……>
「…………男の子って、みんなこうなのかしら」
「むにゃむにゃ……覚悟しろぉ……邪竜、めぇ……」
思い出3
「……ん? あそこにいるのって……」
「……どうした?」
「あ、すみません! なにをしてるのかなと思って。」
「これからツーリングだ。その前に<バイク>のメンテをな」
「バイクって、そのカッコいい乗り物のことですよね」
「! お前……コイツのよさがわかるのか?」
「あ、はい! 前からずっと気になってたんですよ。
なんかこう、見てるとワクワクしてくるっていうか……自分でもよくわからないんですが」
「ふっ……それは<男のロマン>というやつだ」
「男の、ロマン……!」
「お前の魂がバイクを求めている証だ」
「あの……ガレアさん! よければ僕に、バイクの乗り方を教えてもらえませんか?」
「む……教えてやりたいのは山々なんだが……」
「だめ、でしょうか?」
「……お前の身長だと、地面に足がつかない。ニュービーには危険だ」
「あ……なるほど……それじゃあ仕方ないですね……」
「……ヨシュア、出かける準備をしろ」
「え? 出かけるってどこに……」
***
「ヨシュアくん! しっかりつかまっててね」
「う、うん!」
<ヨシュアは、マールとともに霊鳥――ぽっぽに乗り、ガレアのバイクと並走する。>
「ガレアさん、カッコいいなあ……」
「ガレア喜んでたよ。<どーこーのし>ができたってさ」
「そんな、僕なんてガレアさんに比べたら……ん?」
<ガレアが、右に向かってくいくいと指をさす。
ヨシュアとマールがその方向を見ると――>
「わあ……!!」
「海だーー!」
「フッ……」
***
「どうだ、ヨシュア。せめて気分だけでもと思ったが……」
「すごく気持ちよかったです!風を肌で感じられて、いろんな景色があって……!」
「それがツーリングの醍醐味だ。相棒と風の中を走り抜ける――
その瞬間、俺たちはどこまでも自由なんだ」
「自由……! なるほど……!」
「ガレアってほんと乗り物が好きだよねー」
「俺も<男>だからな」
「わかります、ガレアさん!<男のロマン>ですね!」
「フッ、そういうことだ」
「んん~?」
思い出4
「はぁ……はぁ……!やばい……時間がやばい……!」
「はぁ……! はぁ……! ごめん、お兄ちゃん……! あたしが寝坊しちゃったから……!」
「いいって、ミレイユ! そもそも僕が一人で起きれないのが悪いんだし……」
***
「ふう……ギリギリ、間に合ったかな……?」
「油断は禁物だよ。早く教室にいこ」
「ああ、そうだな――ん?
エシリアちゃん? ……あっちは中庭だよな。もうすぐホームルームなのに……」
「どうしたの、お兄ちゃん?」
「ごめん、ミレイユ。先に行ってて」
「え! ちょっと、お兄ちゃん!?」
***
「すぅ……すぅ……」
「やっぱりサボリか……ほんと自由な子だよなぁ。
ほら、エシリアちゃん!ホームルーム始まっちゃうよ!……もう始まってるだろうけど」
「うう~ん……」
「サボリはよくないよ。一緒に教室に行こ――」
「見つけたぞ! エシリア!」
「ク、クライヴ先輩!?」
「! お前もサボリだったのか!? 真面目な奴だと思っていたのに……」
「いやいやいや、違います! 僕は――」
「ヨシュアちゃん、逃げるよ~!」
「エ、エシリアちゃん!? いつの間に起きて――うわぁ!」
「あ、こら! 待て――」
***
「…………へ?
な、なんだ今の!? てゆか、ここどこ!!」
「ん~、どこだろね?
まあ、いいじゃん。怒られなくてすんだしさ~」
「そういう問題じゃないよ! 早く戻ろう!」
「しばらくは無理だよ~。<扉のルーン>、ソウル切れたし」
「……これって遭難ってやつじゃ……」
「ね~ね~、ヨシュアちゃん。エシリア、おなかすいちゃった。なんか食べ物、探しにいこ~」
「はあ……そうだね。いつ帰れるかもわからないし。
あとさ、ちゃん付けはやめてほしいかな」
「なんで~?」
「いや、だって恥ずかしいし、もうそういう歳じゃないし……」
「? 女の子なんだから、ちゃん付けくらいフツーでしょ?」
「僕は男だよ!!」
「えええ~~! うそぉ~~~!!」
「そんなに驚かないでほしいなっ!」
「まあ、どっちでもいいや。それじゃあいこ、ヨシュアちゃん」
「どっちでもよくないから! せめて呼び捨てにしてよっ!」
思い出5
みなさん! 実はお願いがありまして……!
お、なになに? 先輩にまかせなさ~い!
今度、演劇部の公演があるんですが、ちょっと人手が足りなくて……
お手伝いすればいいのね。もちろんいいわ。
ありがとうございます!助かります!
でも、アタシたち演技とかできないわよ?
そこは大丈夫です!みなさんにはミレイユと裏方を担当してもらおうと思いまして。
なるほどね、りょーかいよ。
僕たちの手で、最高の公演にしましょう!
***
「はっ、はっ、ふっ、ふっ――」
<公演に向けて、ヨシュアは厳しい稽古と基礎練に打ち込む。>
「それでは、台本の読み合わせをはじめます!」
「よ、よろしくお願いします!
ほらカグツチ、あなたも挨拶して?」
『黙れ、小娘。我はゲオルクに謀られただけだ。
奴め……急に呼びつけたと思えば、くだらん戯事に巻き込みおって……』
「すみません、カグツチさん。僕からゲオルグさんに頼み込んだんです。
『なんだと?』
「本気でドラゴン役を演じるなら言葉も話せるカグツチさんしかいないと思って……
あらためて、お願いします! 僕たちの舞台に協力してくれませんか?」
『……次からは直接、我に言え。ゲオルクの仲介など不要だ』
「! はい!ありがとうございます、カグツチさん!」
「カグツチ、あなた……」
『……たとえ<半分>だろうと、同族の願いを無碍にはできん』
「ふふ、そうね♪」
***
ヨシュア~、ペンキ塗り終わったわよ~。
助かります! 次はこの板を線にそって切ってもらえますか?
おっけー。手伝って、主人公。
ヨシュア君衣装はこんなかんじでいいかな?
おお、ばっちりですよ! さすが、お裁縫部ですね!
ふふ♪ 役に立てたみたいでよかった。
お兄ちゃーん! ちょっとこっち手伝って~!
ああ! 今行くー!
<仲問たちとともに、思うままに舞台を作り上げていくヨシュア。
最高の公演にしたい――その思いを胸に、ヨシュアは開演当日まで活動に没頭したのだった――>
思い出6 (友情覚醒)
みなさん、今日まで本当にありがとうございました!
いよいよ本番ね!
ファイト! ヨシュア君!
がんばって、お兄ちゃん!
ああ! それじゃあ……いってきます!
***
『王子よ。貴国が賛と捧げしこの娘。返せとはいかなる了見か!
「彼女を貴様に差し出したのは、我が父王の独断だった。
愚かしくも父王は邪竜の脅威に屈し、命惜しさに民を売った……!
だが私は違う! この身が貴様の炎で焼かれようと、決して屈しなどしない!」
「おお~、言うねぇ~」
「静かにしろ、上演中だぞ」
「殿下、なりません! 貴方様は、この国の未来を背負われる御方。
私は殿下の侍従に過ぎぬ身。国と、そして殿下のためとあれば、この命、喜んで差し出しましょう」
「邪竜にくれてやる命など、この地上のどこにもありはしない。
真に私のためと思うなら、その命、私に捧げてくれないか!」
「殿下……!」
『ほう、貴様……王の血筋でありながら、この卑しき娘に懸想していたか』
「だったら、なんだというのだ!
『具体的に、どこに惚れたのだ』
「へ?」
(カ、カグツチ!? あなた何を言って……!)
(アドリブ勝負ってことですか……いいですよ、受けて立ちます!)
「邪竜よ、貴様にはわかるまい。私は彼女に救われたのだ。
父王と対立し、心が荒んだ私を、慈愛の微笑みで癒やしてくれた……」
(ヨシュア君……)
「身分? 血筋? そんなものは関係ない!
国と、民と、そして彼女の笑顔のために! 私は貴様を討つのだ!」
『ほう……』
今のとこ、アドリブよね? やるじゃない、ヨシュア!
さっきのくだり……あの本の台詞に似てる……そっか、ちゃんと読んでたのね。
それにしても驚いたわ。ヨシュアの演技、思った以上に迫真ね。
きっと一生懸命、練習したんだろうね。
お兄ちゃん、自分の意思でなにかをやりたいってずっと言ってました。
だから、なにをするにも自由な演劇部が、すごく楽しかったんだと思います。
……二人とも、ここに来られてよかったわね。
はい♪
<そして公演は、フィナーレを迎える。>
みなさん、本日はご観覧いただき、ありがとうございました!
どうかこれからも、僕たち演劇部をよろしくお願いします!
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