【白猫】ハルカ(茶熊)・思い出
間違った魔法少女 ハルカ・グレイヘヴン ひと知れず、槍の力で悪と戦う魔法少女。 その正体は誰にも秘密なのかもしれない…… |
2016/03/25
思い出1
やっほーみんな―! 久しぶりー!
ハルカじゃないのよさ。元気してた?
まあ聞いてよ。
いいよ。
魔法学園ではさ、万年二番手だった私だけどさ。
フィールドワークや冒険で色々なところに行って気づいたの。
ようやく気づいたのね。
そう、ようやくね。
長かったわね。
ええ、長かったわ。
えっと……何に気づいたんですか? キャトラはわかるの?
ええ、わかるわ。なんだって、先輩ですもの。
さすがキャトラね。そう、紆余曲折を経て、私は気づいたの。
そうそう。順位なんて関係――
私は裸になってないわ!
ぎにゃっ!?
そ、それはどういう……?
全てを捨てたことが、その覚悟が、なかったってことに気づいたの!
私は学生……私は白魔術士……私は万年二番手……
そういったアイデンティティーを! 一旦全部捨てることにしたの!
げ、げげ……! アンタ、やけっぱちになってない……?
いいえ、そんなつもりはないわ!
ただね、半端な覚悟じゃ、これから先やってられないのよ!
やってられないから!!!
ハルカが一皮むけちゃった…………の……?
思い出2
新しい学校はどう?
うん!!! 死ぬッ気でがんばってるわッ!!
暑苦しいからそれはいいんだけど、あそこってカムイが学長じゃない?
どう思う?
過去を捨てた私にとって、彼とはもう先輩でもなければ後輩でもないわ……
――というのは冗談。魔法学園出身で、あんなに有名になるなんてね。誇らしい先輩だわ。
カムイ先輩、いまは学長か。の、おかげで、魔法学園もだいぶイメージ良くなったと思う。
……あそこってね。各国から入学希望者もたくさん来るんだけどね……
偏屈だ、頭が固い、学問に打ち込み過ぎてて心の教育をないがしろにしている、とかの批判も少なくないからさ……
でもね、ほとんどの学生は真面目に勉強してるだけなのよ?
ハルカみたいに?
そう! ……ってね……白状することがもうーつあるんだけど……
私ね……元々、頭そんなに良くないんだぁ……
えっ!? でも、トップではないにせよ、トップクラス、というか二番だったはずじゃあ……?
めっちゃ勉強してたからね。
そうだったんだ……アンタ、こっそり努力してたのね……
こっそりはしてなかったけどね……
そうなんだ……そこはどうでもいいわ……
だからまあ……ね。茶熊学園で勉強についてけなかったらどうしよう、って思ってたんだけど……
……けど?
杞憂だったわ。
体動かすことの方が多くて、座学があんまりないんだもの。
まあそうでしょうね。あそこは冒険家のための学校だもん。
うん。魔法学園と比べると、頭を使う宿題も少ないし。
なんだかラクチン♪ もしかすると茶熊学園なら一番になれちゃうかも?
それはむずかしかろーと思うが……ハルカや。
ん?
アンタ、白魔術士だったプライドはないのかえ?
それに、昔は病弱だったって言ってませんでしたか?
ちっちゃい頃はね。いまはこのとーりだもん!
どすこーーーーーい!!!
ってね。
マ、とやかく言いはしないけど……だからアンタ、今回は槍で戦ってんのね。
……これは……
託されたのよ……
思い出3
<――ハルカが、傷だらけの少女と向かい合っている――>
――え……?
私に――力を――?
<少女の渡してきた『槍』をハルカが受け取ると――>
!?
これで……島を、守って……?
…………
……
…………
あの人が誰なのかは知らないけど――
受け継いだからには……
いいんちょ~? なにやってんの~?
わっ!? エシリア!?
かんがえごと~? ね~、いいんちょ~?
そうよ。あと私は『委員長』じゃないんだけど?
なんで委員長じゃないの?
どういうことよ。逆にこっちが聞きたいわ。どうして私か委員長なの?
それっぽいから~♪
ダメよエシリア。みかけで人を判断しちゃ。
でも内面って外見に出るよ~?
うっ……!? ……中々鋭いとこ突くわね……
エシリアちゃんなにしてるの~? あっ、ハルカちゃんもいるー!
マールだ~♪ いまいいんちょ~ともんど~してたんだ~♪
問答ってあなたね……
ヘー♪ なんか楽しそうだねー♪ あたしも混ぜて~♪
やろやろ~♪
……あなたたちがそろって、静かにしなさいとは言わないわ。
でも、遊んだあとはちゃんと勉強もするのよ!?
約束は出来んな。
バイパーさん!? どこから出てきたのよ!?
巣穴から、な……
よくわかんないんだけど!?
蛇の人だ~♪
一緒に遊ぶ~?
遊ぶとも。日が暮れるまでな……!
ちょっと!? だから、遊んでもいいけど勉強もしなきやダメよ!?
エシリアはお前より成績いいぞ。
へへ~ん♪
うぐっ!?
というかお前の成績が悪いんだがな。
……でもっ! マールには勝ってるわっ!
ほへ~?
子供とくらべるな。
うぎぃっ!?
はっきりと言おう。この中で一番勉強が必要なのは、お前だ。
そ、そんな……!
俺はこう見えてもそこそこの年齢だからな。改めて記憶すべきことなど特にはないしな。
さて……どうする? 俺たちは遊ぶが?
――私も――
私も遊ぶわッ!!
わ~い♪
でも、誤解しないでね!?
これは、あんたたちがハメを外し過ぎないか見張るためなんだから!
わかっているとも。
……ハルカさん、なんだかんだで面倒見いいよね……
ありゃあ成績落ちるわけよ……
流されすきるのもよくないんだけどねー。
思い出4
性懲りもなく、また現れたわね……!
<其は旋律断つ襖 遍く霊に宿りし波動を かの地に留めん!>
<ハルカの詠唱に応え、槍がその力を解き放つ!>
一瞬にして周囲の物体は動きを止めた!
静寂の中、二人だけが対峙する!>
…………
まだ自分でもこの状況、飲み込めてないけど、だけど!
だからと言って――好きにさせるわけにはいかないのよおー!!
ああっ!?
…………
しまった……! このままじゃ……!
<――窮地に陥ったその刹那、ハルカの頭の中に謎の声が響く――>
!?
清き心の持ち主よ
あなたは……!? あなたなの!?
どうして消えてしまったの?
もうちょっと説明してくれないと、私、勢いでやってるけど、それにも限界が……!
――信じています――
――あなたならきっと――――<力>を正しく使ってくれることでしょう――
ちょっと待ってよ!
私の質問に――
――!?
――結局のところさっぱりだけど、それでも――
裏切れないわね。信じてもらったからにはッ!!
<ハルカの槍が再び眩い光を放つ!>
聖霊閃<アギオン・レイ!!>
やったの……?
どんな事情であれ……私は逃げないわ……
私には、失う物なんて何もないもの!
…………
でも、このがんばりを、誰にも知られることがないのは少しさびしいかな? なーんて。
あ、ハルカだ。
また戦ってたんだね。
しーっ、声が大きいよ知らないフリしてあげてるんだから。
あ、ごめん。
<知ってた。>
思い出5
よし、決めたわ。
なにを?
私、魔法少女になる!
…………
…………
この世には、悪がはびこっているわ。
誰かが……やらなくちゃいけないのよ……!
…………
…………
ごめんね、急にこんなこと言って。あなたたちにはわからないわよね。
でもね、この槍……これを受け継いだときに、その使命も受け継いだの。
いまは何もわからなくても、戦い続ければ、その先に――
みんなの笑顔が待っているはずなのよ!
…………
…………
……白魔術士は……?
残念だけど、一旦お休みね。
ふ~ん……学校は……?
茶熊学園には、通いながら続けられるわ。
ふ~ん……
……なんか、リアクション薄くない?
薄くもなるわ!!!
今度はおっきくない!?
アンタは色々間違えてるわ……!
あんまり堂々としてるもんだから、スルーしてたけど……
一旦落ち着きなさい!
落ち着いてるけど!?
問答無用! 主人公!
思い出6 (友情覚醒)
これでもくらってアタマを冷やしなさーい…………って!?
<ルーンの光は、ハルカの持つ槍に吸い込まれていく……!>
これが新たな……力……!
あわ、わわわわわっ……!
――ありがとう。
口ではなんだかんだ言って、応援してくれるのね――
え? や、その……!
いまはまだ、話せないこともたくさんあるけど……
いつか胸を張って、話せる日が来ると思うから……
あのね、そのね……!
―私、思うんだ―
自分がいまやってることって、きっと、意味のあることなんだって。
一番や二番にこだわるよりも、ずっとずっと価値のあることなんだって、ね――
あ、あぁ、うん、まぁ、それはそうなんだけど、この流れでその結論言っちゃうワケ……?
――いまの私は、癒すだけの白魔術士じゃない――
これからは、みんなを、大切な場所を守るため――
超特大全力で! 戦い抜いていくって誓うわ!
お、おぉ……
みんな! 力をありがとうね!
じゃ!
ハルカさん……飛んでいっちゃった……
う、うむ……
アタシのよてーどーりだわ!
うそよね?
そーよウソよ!
こんな展開、想像できるわけがないじゃないのよさ~!
ぎにゃー!!!
使命を受け継ぎし魔法少女 ハルカ・グレイヘヴン
その他