【白猫】ハーブ(Brave The LionⅢ)・思い出
人形を連れた医師 ハーブ・セルフィーユ cv.小若和郁那 人体模型を操る医師。 瘴気に苦しむ患者の元に向かう。 |
~Brave The Lion 3 後日談~
思い出1
主人公、顔色が悪いわね。
熱があるんじゃない?
私が診るわ。
ハーブじゃないのよさ。
いつから具合が悪いの?……そう、昨日から?
口を開けなさい……気道に炎症あり。……風邪のようね。
大丈夫でしょうか。
これからの治療次第。風邪を甘く見ちゃだめよ。
お薬を出すから、それを呑んで安静にしていて。
***
さっすがお医者さんだわ~♪
お仕事だからね。
診察代、お支払いします。お薬代も。
踏み倒しゃしないわ。
サービスしておくわ。貴方たちには世話になってるし。
あららん良心的。
しばらくこのあたりにいるから、具合が悪くなったら診てあげる。
助かります!
<人形は、主人公に薬を渡した……>
ハーブ、一つだけ教えて。
何かしら。
こ、この子は……
見ての通り人形よ……かわいいでしょ?
思い出2
コッチを見てる気がする・・・・・・
イヤー!!
どうしたの?具合が悪いの?
ハーブ、どうしてこんな……個性的な人形を……持ち歩いているのっ!?
ミントちゃんのこと?
かわいい名前ですね!
どうしてといわれてもね……ずっとこの子と旅をしてるから。
え、えっと……用途は何なの?
<ハーブは、人形の首を外した。>
ぎにゃー!
この子は人体模型なの。患者さんに、悪いところを説明するのに使うわ。
よくできてますね……!
私の故郷、人間そっくりの義体を作る技術が発達してたから。その応用ね。
フェェ……!
練習や実験にも使ってるわ。
<人形が動き出した……!人形は苦しそうにのたうち回る!>
こうやってソウルを送ることで、症状を再現できるの。
……ヒッ!? のろいだわぁ!?
ためしに内蔵の疾患を再現してみたんだけど。
みんな、顔が青いわね。……もしかして、具合が悪いの?
ち、ちが……
私が診てあげるわ……じっくりとね……
ヒイイイイ!!
具合が悪いんですか!!早く診せてください!!
けがや病気を治すのが使命のメディカルアンドロイドことビートさんだわ!?
詳細な説明!
ビートくん?キャトラちゃんは健康だと思うわ。
知り合いだったの?
彼は、アスクレピオスの同僚。優秀で働きものよ。
あすくれぴおす?
死の運命に抗う蛇つかい。
冒険家の肩書をもつ医療関係者のグループよ。
立場を越えて病める人、苦しむ人を救う、それが私達。
私は……ビートくんのように純粋な気持ちで医者をやってるわけじゃないから。
思い出3
今日は、ミントちゃんといっしょに、体のことをお勉強しましょう。
動きが怖い!!
まずはこれ。胃袋。
えっ!?
<ハーブはミントの体から、胃袋の模型を取り出した。>
みんなもよく知ってる、胃袋さんね……
胃袋さんは消化液で食べ物をどろどろに溶かしちゃうの。
そうして熔けた食べ物が、栄養になるのよ……
ハーブお姉さん、どうして胃袋は溶けないの?
いい質問ねミントちゃん。
実は胃袋は消化繊を中和する粘液の膜に守られてるの。もし粘液が無くなったら……
フフフ、その時は消化液が胃袋を……ね。
た、ためになる内容……でも……
つづいて肝臓さん。物言わぬ臓器っていわれてるわね。
肝臓さんは小腸さんで吸収された栄養を蓄えて、成分を組み替えて血液に送って、体を元気にするの。
ハーブお姉さん。どうして肝臓さんは『物言わぬぞうき』なの?
それは、肝臓さんがとってもがんばりやさんだから――
多少調子が悪くても、肝臓さんは我慢して働き続けてくれるの。だから……
肝臓さんの具合が悪くなったその時は、もう……手遅れかもね。
ブルルルル……
はぁい。ここでお待ちかね、心臓さんの登場……
ぎにゃああ!!模型が!心臓の模型が脈打ってる!!
心臓の中には、こんな感じに四つのお部屋があります。
しんぞーがわれた!
どうして四つのお部屋があるのか、わかるかな……?
どうしてなの?おねえさん?
……なんだか、ハラハラする……!
心臓は呼吸をして酸素をふくんだ血を、体中に送るポンプになってるの。
心臓の左側は、血を送り出す。右側は、体を回ってきた血を肺に送り込むのよ……
肺で酸素を受け取った血液は、左の部屋に入って、再び体の中を巡っていくわ……
ガタガタ。
じゃあ、左右の部屋が二つにわかれているのはどうして?
血が逆流しないように、部屋の間が開閉できるようになっているの。
だから四つの部屋があるんだね!
わかったわ! アタシもう忘れない!忘れないから!
ほんとかなぁ……
ぎにゃー!!
思い出4
うう……くるしい……アタシもうだめかも……
キャトラ、あなたの症状は、ただの食べすきよ。
なんと!
キャトラったら……!
食べるってことは、体にとってはそれなりに大仕事なの。無理を重ねたら、壊れて当然。
アタシ気をつける!
ところでハーブ、お医者さんなのに、どうして旅をしてるの?
瘴気の研究のためよ。私はもともと瘴気による瘴気の専門医だからね。
瘴気ってよく聞くけど、何なの?ふんいきじゃないの?
生物にとって有害なソウルのこと。病めるソウルともいうわね。
病めるソウル……?
ソウルって、なんだと思う?
自然や、命に宿る力のことだと関いています。
一般的にはそうね。高等魔術による定義だと、<相互作用をもたらすもの>なんだけど。
そーごさよー……
アニムス理論によると、ソウルの相互作用がこの世界の最も基本的な力といわれてるわ。
このあたりは難しいわね。
とにかくソウルっていうのは、意志の力の影響を受けて性質を変えるものなの。
そーゆーヤーツなのね?
相手を大切にしたいと思ったり、元気にしたいという
気持ちがこめられたソウルは、生き物を瘤やすことができる。
逆に、相手への敵意や憎しみが込められたソウルは、生き物に害を与えるの。
それが瘴気なんですね。
魔物が瘴気を発するのは、そういうことよ。
じゃあ<闇>は――
<闇>と療気は切り難せない関係にあるわ。
<闇>は、世界に対して信じられないほどの悪意を抱いているものだから。
だから、ソウルが病んでしまう――
療気による疾患は、ソウルをつかった治療法でなければ、治療できない。
だから私は、ソウルを操る術を学んだわけ。
<人形が動き出した――>
ハーブさんのソウルで、動かしているんですね……
ソウルの糸でね――
呪いじゃなかったのね!わかってたけど!
ソウルを使えば、瘴気で病気になっても、治療ができるんですよね?
――できる、はずなのよ。
……ハーブ、さん……?ちょっと、顔色が悪いんじゃ……?
思い出5
癒やしのソウルを送り込めば、肉体の回復力を高めることはできる。
でも、その方法では瘴気を消すことはできない。
そうなんですね……
では問題。瘴気を治療するためには、どうすればいいと思う?
瘴気が敵意に満ちたソウルなら……敵意を弱めてやれば……グフッ……ゴホッゴホッ
ハーブ?どしたの?
……それも考え方の一つね。でも瘴気を無害化するのは、簡単なことじゃない。
どうすればいいわけ?
必要なのは患者自身の抵抗力。瘴気に対し、ソウルの抗体を作り出すの。
そんなソウルがあるんですか?
本来、人の体には、誰しも宿っているものよ。
だったら、どうして……
瘴気には様々な種類がある。風邪の原因となる病原体が無数にあるように。
抗体にも、瘴気に対する相性があるものなの。そして……
抗体となるソウルには、瘴気に対する敵意――
瘴気を排除したいという意志が宿っている。
それって、つまり……
そう、瘴気よ。
じゃあ生物は、瘴気で瘴気を食い止めていることに――
瘴気はこの世ならざるものでは決してあり得ない。
むしろ、生き物が生きるために不可欠な……ものなの。
<やっぱりおかしい――ハーブの体から――凄まじいまでの……>
瘴気に瘴気をぶつけるしか、ないってコトなのね……
立ち向かう意志のないものは、そもそも生きてはいけない。
赦すことが本当の強さというけど、受け入れることが愛というけど。
立ち向かい牙をむくことも、生き方であるとは思わない?
<そうだ――このソウルは――ハーブの体から感じるこれは――瘴気だ……!>
ハーブ、さん――
私の研究データーミントの中に隠してあるんだけど、ね。
アスクレピオスの……仲問たちに、私のデータを渡して……
貴方たちに託すわ。私の――生きた証を――
思い出6 (友情覚醒)
――ソウルを私に――駄目っ……
君のソウルも、毒気に汚染されてしまう――
がんばってください、ハーブさん……!
立ち向かう意志があれば、きっと――!
意志の――力、ね……
はーっ!!
<ハーブは、ソウルの糸を、己の体に打ち込んだ!>
受け入れる――この瘴気を。この敵意を――
<ハーブの体で、瘴気が――膨れ上がっていく!>
ハーブ!
ふっ……はああああ……
<だが、激しくなった瘴気は、突然消え去り……
ハーブのソウルの中に溶け込んだ。>
ハーブさんのソウルが……
全く……医者の不養生ね。
アンタの体も、瘴気に……そんな体でアンタは……!
この瘴気は貴方たちには無害だから、安心して。
わかります――
だってこの瘴気を生み出したのは、ハーブさん自身だから……
正解。ソウルを使いこむうちに、本来私のもつ瘴気も強くなっていったわけね。
助かったわ――それに、参考になった。こんな治療のやり方があったなんてね。
本当に、よかった――
どうしてこんな無茶をしたのよ!
瘴気は、私の仇なの。
私の故郷は、アザレス島っていう小さな島。青い海と、一面のブドウ畑。
風よけの石垣が島中にあって、まるで迷路みたいだった。
あの日、島を覆った瘴気で……私は全てを失った。家族も、友人も、故郷も。
私は、瘴気で死ぬのが……一人だけ遅かった。だから私は、あの男に拾われた。
あの男……?
私の養父。瘴気治療の権威と、そう呼ばれた男よ……
立派な人だったんですね。
そう思いたかった。思っていたかった。
辛いなら――もう――
貴方たちこそ、私の話を聞いても、嫌な気分になるだけよ。
聞かせて――ください。
養父は世界中を飛び回っていた。瘴気の研究と治療のため。
私は養父を誇りに思った。彼の研究を手伝いたくて、医学を学んだ。
そして、知ってしまった。彼が研究で訪れた島に――きまって瘴気が蔓延していたことを。
偶然だと思った。でも……同じような事例は、一度や二度じゃなかった。
私は養父の実験を調べて……そして気づいてしまった。
養父は――瘴気をばらまいていた。症例を見るために……!
アザレス島を滅ぼしたのも――あの男だった……!
どうして、そんなことを……!
学者だから――あの人は狂っていた――瘴気の研究に。
養父のバックにいたのは、ルエル・サクラリッジ……瘴気の出どころもね。
そんな人は、早く止めないと……!
その必要はないわ。だって養父は……もう生きてはいないから。
死因はいうまでもないわね。私は問い詰めた――
どうして私を助けたのかって。
あいつは言ったわ。私が、最高のサンプルだったって。
だから私の研究は復讐。あの男への――瘴気への――
誰かを助けたかったから……?私は、そんな人間じゃない。
――いや、それも嘘ね――でも、誰の感謝も私には不要。
養父の残した研究で、誰かを救う。それこそが私の復讐だから。
――私は行くわ。次の患者のところへね。
瘴気専門医 ハーブ・セルフィーユ
その他