【白猫】アゾート・思い出
魔道医師 アゾート・ヘルメス cv.手塚ヒロミチ あらゆる医術に通じた魔道医師。 生と死の堺目を見るべくメスを振るう。 |
思い出1
病める者よ、苦しむ者よ。待ち望んだ者が来たぞ。ああ君たちは運が悪い。
安らぎを得る機会を奪われ、生きるという苦行を継続せねばならぬのだから――
しかし我は救う。我が患者たちよ。君たちは治る。治ってしまう。定めとはいえ悲しいものだ。
今ここに、死すべき定めに抗う<蛇つかい>来たれり――我が名はアゾート。
さあ癒やそう。さあ治そう。しかして救おう。我が患者を!
芝居がかっているわね!
アゾートさん……は、もしかしたらお医者さんなのでしょうか?
もしかしたら、ではなく、まぎれもなくこの私は医者だ。
悪い魔法使いかと思ったわ!
私は魔法使いとは似て非なる存在だよ。お嬢さん。
魔法使いは愚かしくも方法を追及する。私の興味は治療だけだ。
そ、そうなの……!?
さあここに重症患者はいないかね。
放蕩の報いに患った愚か者は?
名誉の負傷を負った負傷兵は?
不治の病に苦しむ幸薄きものは?
今のところみんな、健康じゃないかと……
さもあろうな。この島のもの達は見ることろまったくもって健康だ。
おかげさま……? でね。
君以外はな――
えっ!?
この私に教えてくれ。いったいどんな病を得れば、人間が子猫になるというのだ?
あ、アタシ病気だったの!?
いかなる魔術か。いや、呪いか。いずれにせよ疾患には違いない。
アゾートの手首から伸びる鉤爪がキラリと光った!
まずは診察だ。じっとしていたまえ。
ぎ……ぎにゃあああ!!!
思い出2
アゾートさん!キャトラは病気だったんですか!?
――アイリスか。君には大変言いにくいことだが――
ごくっ……
見たまえ! 彼女の姿を!
じゃじゃーん!毛並みがよくなったわ!
なんだか体の動きが軽いし、頭も冴えてるカンジ!今ならカニカマ百皿いけるわ!
どういうことなんですか……!?
彼女はしゃべる猫だ。ただの、しゃべる猫だ。
なんとも驚くできことに。このことが意味するものは……いや、やめておこう。
この私は医者だ。患者でないなら用はない。ただで返すのもシャクであるので、念入りにヘルスケアを行った。
おかげでピチピチだわ!
ありがとうございます!
礼には及ばん。私は医者だ。
ねえアゾート、おいしゃさんなのにどうして旅をしているの?
いい質問だ。この世には、医者の手の届かぬ場所がある。私はそうした場所に赴き、治療を行う。
お医者さんがいない場所……
ってことは……
想像力が働いたかね?
興味がわいたなら、ついてきたまえ。百聞は一見にしかずともいうしな。
ああ、自分の身は自分で守りたまえよ?これから向かう先では、死神共が調子に乗っているからな。
思い出3
アンタ……確かにお医者さんだったのね。
そうだとも。私は医者だ。
医療行為の名の下に、命あるものを切り刻む、生の苦しみの体現者だ。
ルブラムでは……毎日あれだけの怪我人がでるんですか?
ルブラムは連邦の属国だが、それを良しとしない勢力が抵抗を続けていた。
けが人がでるわけね。これからもそうなの?
廃皇子の説得のおかげで、抵抗勢力は停戦に応じた。しばらくは平和が保たれるだろう。
だったら安心ですね。アゾートさんも、ゆっくりしてください。
酷かったわね……アンタも一日中働いてたし。医者のふようじょうね。
私を人並みの医者と思ってもらっては困るな。
私の体は自動的に栄養が補給され、睡眠時にもサブの意識が動く。
す、すごいわね……
ルブラムは、これからどうなるんですか――?
民族対立、宗教的対立に、腐敗しきった政治。脆弱で非効率な経済システム。非合組織の跳梁跋扈。
あの国の病巣はじつに根深い。外科手術が必要だが、治療が成功するとも限らん。
人と違って、国は病が進行しても簡単には死ねない。人々は苦しみ続けるだろう。
どうしてそんな……
どうして、など考えるだけ無駄だ。人の世に苦しみはつきもの。病はつきものだろうよ。
アゾートの手にした爪が光った。あの爪は武器ではない。
そーかもしれんけど。
病をどうにかするのが医者。ああそうだ。実に不毛だな。
どんな生き物も、生きている限り必ず死ぬ。ならば命を長らえて、なんになるというのだろうな?
死ぬのは怖いです。死んだ人を看取るのは辛いです。
怖くても悲しくても、死はいずれ訪れる。人の生とは矛盾の内にあるのだ。
矛盾はあると思います。でも……
無価値とはいっていない。いずれ終わるからこそ、命には価値がある。
生きるとは死に抗うこと。死に至らねば生にあらず。
私は生と死の境界を見たいのだ。だから私は医者をやっている。
生と、死の……
おそらくそこに、私の求めるものがあるのだ。
思い出4
<白い布の上に、ビートが寝かされている……?>
では――ゆくぞ、ビートよ。
はい……!
対塵、対毒素、対病原体魔法結界、発動せよ。
なになに、なんなの!?
<ビートの体が、不思議な輝きに包まれた……>
ビートさんが……!
<アゾートの腕の鉤爪が、突如巨大化し、光を放つ。>
殺菌消毒完了。
鉤爪は、まるで蜘蛛の脚のように奇怪に動き出した……!
ゴクリ……あれで手術するなんてね。
***
ドクターアゾート、メンテナンスありがとうございました!
お大事に、だな……ビートよ。お前をのメンテナンスできるものは多くない。自愛したまえ。
僕には……使命がありますから。
お前は実にアスクレピオスにふさわしいスタッフだ。クレイジーという意味でだがな。
アスクレピオス?
立場を越えて医療活動を行う素敵な団体だ。
危険を省みず、見返りも求めず。見捨てられた患者達にその手を差し述べる。なんとも立派な聖人君主たちだろう?
アゾート、貴方も一応そこに所属してるんだけど。
ふむ。それは事実だな。
瘴気を治療する医師こと、ハーブさん!
詳細ッ!! って、アゾートのやつ仲間がいたの?
彼は仲間でも友達でもないけれど、アスクレピオスのスタッフよ。
書類上はな。
それで十分でしょ。私達は。
十分すぎるとも。我らに馴れ合いは不要。
いわれるまでもないわ。
征くぞ医師達。我らの戦場へ。一心不乱に患者を救うのだ。
思い出5
<アゾートが、なんだか恐ろしげな道具を手にしている……>
ふうむ。それなりにまとまったな。
思いを形にするというのは、楽しい妄想との別離でもある。悲しいが、避けられぬ別れだ。
<言葉にしにくいが、すごく怖い道具だ……!>
ヒィィィィ!!アゾート、アンタそれでなにをするつもりなの!
合法的に人を傷つけ、しかも感謝され尊敬されるつもりだ。
人はそれを医療行為という。
手術に使う道具なんですか?
その通りだ。一瞬で痛みも無く体の骨を抜き取る道具だ。
どういうリクツなのよ!
試してみたいかね?
おことわりよ!
にしてもアンタ、こーいう道具自分でつくってるわけ?
その通りだとも。適切な道具があれば、治療の成功率が高まる。
テキセツ……なの?
私は治療のためならば、手段は選ばない。
祈りで患者が救われるなら、悪魔にでも祈ってやろう。
患者さん第一なんですね!
いかなる患者であろうと、私は執刀する。生きることを望むのならばな。
私が興味あるのは、生きる意志がある患者だけだ。
それはそうと――”君”。
……?
そう。今まで傍観者として浮遊していた君だ。
君は――ソウルで人を癒やすらしいじゃないか。
ソウルを治療に使うこと自体は、なんら不思議なことではない。
だが君のケースは非常に特殊だ。ぜひ私にやってみせてくれ。
え、ええっと……?
準備が必要かね?脱いだ方がいいかね?
思い出6 (友情覚醒)
ふむ……なるほどなるほど……これは確かに興味深いな……
え、えっとね……アゾート……
これは、ソウルの……
この輝きは、私のソウルだな。
知ってたの!?
推測したまでだ。
ふうむ……
――そういうことか。だとしたら――なるほど――
何かわかったんですか?
人はなぜ傷つき、患うのだろうな。
いきなり変わるわね。
人が真の意味で苦しみから解放されるのは、その生を終えた時だ。生きている限り苦しみは続く。
だとしたら? そうだ……生きることは、病に他ならない。我らがしているのは、せいぜい苦しみを引き延ばすことだ。
そんな……
だが勘違いするなよ諸君。私はこの苦しみを愛している。
命は素晴らしい。これほど魅力的な矛盾が、他にあるだろうか?
アゾート……アンタもしかしたら、手術したいだけ!?
それは不当な評価だ。手術はただの手段でしかない。
私は病の裏をかき、不意を打つ。傷口をふさぎ、臓器を移植し、患者の肉体を騙す。
最終的に私が罠にかけるのは、死神その人だ。
どうしてそんな真似をするのか?どうして苦しみの運命に抗うのか?
――私は、治療がしたいのだよ。
めんどうなおいしゃさんだわ……
さあ向かおう。救いを待つ誰かの元へ。
この世が地獄であるならば、医師は、地獄を蹂躙する。
死神よ、戦慄せよ。この私が執刀する!
正確無比な狂気のメス
その他
相関図
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