【白猫】ホワイトビターアラカルト2016 Story
素直になれない想いをこめて、ハッピーホワイトデー♪ |
2016/03/14 |
目次
主な登場人物
story1 マシュマロタイムラヴァー
「ようやくお越しいただけましたね。
お待ちしていましたよ、お嬢さん。」
「驚かせてしまったようですね。
鬼の私に待ち伏せされては、無理もないでしょうが。
あなたは、今日がなんの日かご存知ですか?」
「ええ。本日は人間の世界でいうホワイトデー。
バレンタインに贈られた思いに、己の気持ちを返す日とのこと。
あなたの思いを受け取ることのなかった私が、無粋だと理解はしています……
ですが、この日をおいて、私がこの気持ちを伝えるに相応しい日もありません。
鬼の私が、人のあなたへなど……なにを血迷ったのかと思われるでしょうが――
――この思いを贈る機会をいただきたい。
構いませんね?」
「では、私の思いを、存分に受け取ってください。
さぁ、そのクチビルを開いて……」
「そうです。知っていますか? マシュマロを贈られる意味を。」
「正解です。私は鬼……人より恐れられ、憎まれる者。人間の敵です。
ですから、私は敵の人間へ、マシュマロを贈るのです。さあ、もうひとつ……
いかがですか? 私から、あなたへの思いは。」
「お気に召したのならなによりですよ。」
「ええ。いいですよ。あなたへなら、いくらでも。」
<やわらかな鬼ごころ>
story2 甘美な指輪
「ククク……待ちかねたぞ。我が花嫁よ。
お前を呼んだのは他でもない。これを送ろうと思ってな。」
メルクリオがあなたに、小箱を手渡す。
――小箱を開けると、中には〈赤い宝石の指輪〉が入っていた。
「どうだ、美しいだろう?
だが驚くのはまだ早いぞ。なめてみろ。」
「いいから、さっさとなめろ。」
「<飴細工>だ。よくできているだろう。
ホワイトデーだからな。我なりに趣向をこらしたというわけだ。」
「お、おお、そうか。喜んでくれたか。
だが、忘れるなよ。この指輪はまだ、仮初の契約に過ぎん。いずれ本物の指輪をくれてやる。
そのときこそ、我とお前は血の契約で結ばれるのだ。
その血と命――すげてが我のモノとなるのだ。……永遠にな!」
「……あのなあ、ここは恐怖に青ざめるとこだろ?
お前は人間で、僕は吸血鬼。そこのとこ頼むぞ、ほんと……
フン、まあいい。
次のホワイトデーには、もっとすごいものを用意してやる。
覚悟しておけ、我が花嫁よ!」
「! ……ああ。き、期待しててくれ。
…………」
<吸血鬼からの贈り物>
story3 ホワイトデート
「や、やあ! はじめまして、ゼ、ゼロゼロ、ゼロキッスです!
今日は、よ、よろしく!
ゴホッ! そ、それじゃ、お店まで案内するね。
ここから歩いてゴホッ! なんだ。」
「あ、いや、今のは自分の香水にむせて……まあ、近いといえば近いんですけど。
では、気を取り直していきましょうか。」
「だ、大丈夫? 荷物もとうか?」
***
「ええっ!? りりり臨時休業!?
予約したのにそりゃないよぉー!」
「あ、安心して。
こんなこともあろうかと、代わりのお店を40件ほどピックアップしてあるんだ。
さあ、僕についてきて。」
***
「ななななんでっ!? 本屋になってる!?
ピッツァは!? ピッツァはどこーっ!?」
***
「街ごとなくなってる!?
なにがどうなってこうなったんだよぉ!?」
***
「あ、あの、歩かせちゃってごめん……
けっきょくお店にも行けなかったし……そろそろ帰る時間だし……」
(どうしよう……怒ってるよね……
せっかくプレゼント持ってきたのに渡すタイミングが……)
「いえいえなにも!?
ぬわーんにも隠しとらんです!」
「ほんとだ……!なにかお願いしないとだね。
……じゃ、じゃあ、僕からのお願い。目を閉じて。」
「……目を開けてごらん。
花言葉は『夢叶う』……
今日はごめん……僕にできることなら
どんな願いも叶えてあげる……だから……」
「あれ? こういうのはちがう?
え一っと、これはあれだね……
あれじゃなくてもあれだ……今日はもう――」
「へっ?
い、いえ、キミのようなパーフェクトな女性に出逢えて、ぼぼぼ僕は幸せ者です!」
「ははははいっ! ななな、なんでしょう!」
「も……もちろん喜んで! 何秒、何時間、何年でも……
お付き合いさせていただきます。」
<エスコートオブロマンス>
story4 ムカつくぜ
「ぼやっとしてんな! 伏せろ!
狙われてるんだ。わからねえのか!?」
「ああもうムカつくぜ!!お前、これ持ってろ!
よっこいしょっと、な。」
「さっさと行くぞ!!
あ~!! ムカつく~!!」
***
「どうにかまいたぜ、畜生め!
連中、あんたのことをこの島のお姫様と勘違いしてんのさ。
まったくマヌケな連中だぜ。ああ、ムカついてきた!」
「タイヤキだ。お前、甘いものは好きか?」
「だったらやる。
甘いものを食うと気持ちが落ち着くって言われたんで買ったが――
今落ち着かないといけねーのはお前の方だ。食って落ち着け。
落ち着いたら、そのへんに隠れときな。俺は野暮用だ。」
「俺の標的は<姫>を狙ってたシロウトどもだ。
全く、ムカつくぜ。」
「俺のことは、忘れな。」
<プリンセスヘのタイヤキ>
最終話 Shall We 男子?