アナザーエデン Story11
「原初の貴石の加工の方もそろそろ終わったんじゃないかな?一度次元戦艦に戻ろう。
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第23章
突入次元の渦!ファントムの豺
そしてついに決戦の時は来た!アルトと仲間たちはファントムと雌雄を決すべく次元の渦のなかに飛び込んで行く。この先世界がどうなるかはひとえにアルド達の行動いかんにかかっているのだ。
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「原初の貴石の準備は済んだ。いつでも次元の渦に行けるぞ。お前たちの準備はいいのか?
よし!今度こそあの渦をぶっ飛ばしてやる。
次元戦艦発進!!航時目標点座標BC2万年パルジファル宮殿上空!
「準備はいいぞ。原初の貴石を加工した弾体はすでに主砲に装填済みだ。
いつでも撃ち出せるぞ。
「よし。行こうみんな。次元の渦の中に……!やってくれ合成鬼竜!
「了解。行くぞ!
「次元の渦に穴が開いた!いまだ!突っ込め!
「ゆれるぞ!つかまっていろ!
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「次元の渦の中央付近まで来たぞ!艦ではこれ以上はムリだ。
「ここから先はオレ達でなんとかする。ありがとう。
さあ行こうみんな。ファントムを止めるんだ!
「頑張ってねお兄ちゃんみんな!
「フィーネ!?なッなんでおまえがここにいるんだ!?
「エヘヘ……やっぱりついて来ちゃった!
「ついて来ちゃったって……お、おまえなぁ……!
モペチャ
「オイラもいるよ!
「もちろんワイも一緒でっせ!
「お、おまえ達か……!
「お兄ちゃんごめんなさい!
でもお兄ちゃんやみんなのことが心配で……どうしても待ってられなかったの!
「心配でって……そうは言ってもなあ……。
「お兄ちゃんお願い!危ないことはしないから……せめてここで待たせて!
モペチャ
「ちゃんとオイラ達がついてるから大丈夫だよ!
「そそそ。ワイらがおったら鬼にカナブンでっせアニさん。向かうところ敵なしや!
「……………………………。
「合成鬼竜……あなたも知ってたわね?
「女の子に礼儀正しくお願いされたら嫌とは言えない漢の中の漢の艦……
それがこの俺……合成鬼竜Zだ。
「アルドもうここまで来ちゃったんだし……。仕方ないわ。
「それにこの艦にいる方がよほど安全かも知れぬでござるぞ。
「ムシロフィーネさんの力がワタシ達を導いてクレル可能性ナキニシモアラズナノデ!
「わかった……。しょうがない……いいだろう。
「やった!
「ただし!絶対にこの艦から出るなよ。約束だぞいいな?
「うん!わかった約束する。ここでおとなしくしてる。
(ほんとかよ……。)
「よし!じゃあ行こうみんな!
「行ってらっしゃい!気をつけて!
***
「ついにここまで来たか………よくぞ原初の貴石を手に入れて次元の渦のカオスを退けたな。
「ファントム! 残念だったな。貴石はクロノス博士が用意しておいてくれたんだ。
「あの男どこまでも我らのジャマをしてくれる。
しかしすでに世界は混沌に食われ始めている。もはや次元のほころびをつくろうことは不可能。
今さらおまえ達がどうあがいたところで何も変わりはしないぞ。
「さぁてそれはどうかしらね?
「もうこれ以上おまえ達の好き勝手にはさせんでござるぞ!
「実存的量子確率変数がワタシに告げるのデス………コノ因果律は量子分解セヨト。
「ファントムと言いましたか。そろそろ決着をつけるとしましょうか。
この星の上で生きる者として私もあなた方のやり方を許すわけにはいきませんから。
「フン! どいつもこいつも救いようのない愚かな生命よ。
そもそもアルド。おまえを今回の件に引き込んだのはしくじりだったようだ。
おまえ達のことを見くびっていたよ。まさかここまでやろうとは……。その点はほめてやる。
だがおまえ達の頑張りもここまでだ。これより先は人外領域。もうおまえ達の出る幕はない。
「むッ!?
「この星の未来を決する権利……この星を継ぐ資格が本当におまえ達にあるというのか?
その決意と覚悟をおまえ達は有しているのか?
果たして星がおまえ達を選ぶかどうか……おまえ達白身の目でとくと見極めるがいい!
行くぞッ!!
***
ファントム戦
***
「勝負あったようだな。おまえの負けだファントム!
この世界を……この星を……おまえ達の自由にはさせない!
「よくぞ我らに打ち勝ったな。仕方あるまい……。ならば時空の未来は彼の手に委ねるとしよう。
「……!? 彼の手……? いったいなんの話だ?
「そうともアルド……彼だよ。おまえ達もよく知っている人物だ。
さあ覗くがいい次元の底の深淵を!時の暗闇を……!!
「むッ……!?
「な……なんだあれは……!?
「時の暗闇の捕囚……クロノス・メナスだ!
「クロノス……メナス……!?
「いまの叫び……!? あれは……ジオ・プリズマ……!?
「イイエアルドさん………残念ナガラそうではアリマセン。
アノ生命体の波動エネルギーはフィーネさんのジオ・プリズマのものとは完全には一致シマセン。
「完全には……? まさか……まさか……あの力は……!?
「ハイ……αジオだと推定サレマス。
「αジオ!? ちょっと待って!それじゃあそこにいるあれは………
「…………!!
「エデン!? あれがエデン!? クロノス博士の息子だというでござるか!?
「そんなバカな……!?冗談でしょ!?
「だがもしあれが博士の息子エデンだというのでござれば……ここにいるアルドは……!?
「…………。
「16年前時空の穴に飛び込んだクロノス博士の一家は激しい時嵐に襲われて離ればなれになった。
その時息子であるエデンはひとり次元の渦にのみこまれてそのまま渦の底に………
時の暗闇になすすべもなくひきずり込まれてしまったのだ。
そしてまだ赤子だったエデンの妹セシルは………
***
「なんだこの声は?」
( …… ぎゃー …… おぎゃー …… )
「人間の赤ん坊……? なんだってこんなとこに?
人間もこれくらいの頃は無邪気でかわいいのになあ。
どうした? 何がそんなに悲しい? ママとはぐれたのか?
いないいないば~。べろべろば~。」
「おぎゃーッ!! おぎゃーッ!!」
「まいったな……。
うん……? この子の中に眠るこの力は……?」
「これは……!?」
「はッ! 誰か来る。こんなとこで面倒はごめんだ。
あばよおチビちゃん。いつかまた会おうぜ。」
***
***
( …… ぎゃー …… おぎゃー …… )
「おぎゃー おぎゃー。」
「妙な声が聞こえると思ったら泣いておったのはこの子か。
どうした? どこから来たんじゃ? この赤子はおまえの妹か?」
「……。」
「おぎゃー おぎゃー。」
「よしよし もう心配いらぬぞ。ほれほれ泣くでない。いい子じゃから ほれ。」
「おぎゃー おぎゃー。」
***
「キロス……クロノス博士の一家に飼われていた仔猫の名だ。
主であるエデンに代わりセシルを守ろうというキロスの強い意志。
さらに赤子であるセシルの強烈な不安と恐怖がジオ・プリズマの力でキロスにエデンを転写してしまった。
キロスをエデンとして再生させてしまったのだ。キロス白身の記憶すら消し去って……。
アルド……いやキロス。クロノスの仔よ……博士の言葉を憶えているか?」
「…………。博士の……言葉……?」
***
「だけどエルジオンの存在する未来が消滅したら未来の人間であるあなた自身も未来の人と一緒に……?
「きみはエルジオンの人間か?そうか……今回の件ではすまないことをした。
いいや。未来が消失しても私達家族が消え去る恐れはない。本来の時空列から切り離されているからだ。
歴史改変の波はかぶらずにすませられるのだよ。自分が属するもとの時代に戻りさえしなければ……。
***
「でもアルドありがとう。ほんとあなたのおかげよ。
あなたが過去の世界から来たって話今では信じてるわ。
今度はわたしが協力する。あなたの時代に帰れる道かきっとどこかにあるはず。」
「ああ。ありがとうエイミ。そう言ってもらえるとこころづよ……
な……なんだ!?」
「アルド……!?わた……し………」
「エイミ!?みんな……!?これは……!?」
ウ、ウソだろ……。エルジオンが……!?
なんだよこれ……?何が起こったんだ!?」
***
「歴史改変によりエルジオンが消失した時アルトがエデンであれば彼らと共にアルトも消失していたろう。
エデンもまたエイミと同じく殺された未来の一部であったのだから。
あの時アルトが消失を免れたのはアルドに変身していたキロスが未来には属さない存在だったからだ。
***
ソリク……? ソリクどこ行ったの? いい子だから出ておいでー。
あ、アルドお兄ちゃん! ねえ、うちのソリク見なかった?
こんなちっちゃい子ネコなんだけどちょっと前からいなくなっちゃって。
元気な子だから森にでも遊びに行っちゃったのかなあ……。
あ、でもわたしが自分でさがすからアルドお兄ちゃんはなにもしなくていいからね。
ソリク? ソリク? 出ておいで……。
***
「おまえの時代で一匹の仔猫が時空の穴に落ちて遠い未来に迷い込んだ……。
そこでクロノス一家に拾われて家族の一員となったのだ。キロスと名付けられて……。
αジオは未完成であったために闇の底で変質を起こしてカオス・プリズマと化している。
クロノス・メナスはおまえの時代で地中に眠る全プリズマを汚染してカオス化するだろう。
いずれ世界は時の暗闇にのまれて混沌と化すのだ!
「くッ……!
「エデンは16年間次元の渦の底……時の暗闇にただひとり囚われていたのだ。
彼の中にあるのはもう狂気と絶望だけだぞ……?
さあどうするキロス?おまえ達に何ができる?
フフフフ………!ハハハハハハハ……!!
***
「キロス……クロノス家の仔猫か……。
「お兄ちゃん……大丈夫?
「フィーネ……。
「ありがとう。いつもそばにいてくれて……。ずっとわたしのこと守ってくれて。
そしてこれまで世界のために精一杯戦ってくれて……。
それと……お兄ちゃんはやっぱりわたしの大好きなアルドお兄ちゃんだよ。これからもずっとずっと!
「あ、ああ……そうだ………そうだな。
「ねえアルドお兄ちゃん。
なんとかしてお兄ちゃんを……エデンお兄ちゃんをあの闇から解放してあげないと。このままじゃ……。
「わかってる。よし現代に戻ろう!
オレ達の手でクロノス・メナスを……エデンを救おう!!
「うん!