アナザーエデン 1.5章 Story3
蛇首イゴマ
竜神の魂がみる夢だと言われているがマズイな……。
こいつはいったん現れたとなるとしばらくは消えないぞ。
メスキータに行くにはこいつを通り抜けて行くしかない。
***
***
「ギルドナ……きさま16年の戦いの日々をきれいさっぱりなかったことにしたいらしいな。
だがそうはいかぬ。人間どもとの戦いでどれだけ多くの仲間が傷つき倒れていったことか。
その全てを忘れ去っておまえひとり自由に新たな道を生きるだと……?人間どもに尻尾を振るだと?
笑わせるなよギルドナ!きさまそれでも一度は魔獣王となる運命にあった男か!
だが同じ過ちを繰り返すわけにはいかぬ以上別の道を生きる!
時の流れの底より蛇夢にたまさかすくい上げられた亡霊か幻影か知らん……。だがいずれにせよ………
俺の前に立ちはだかる者は容赦はしない!ひとり残らず斬り捨てる!
たとえそれが未来の俺自身であったとしてもな。
「かかって来るがいい若き日の俺よ!おのれの無力さを思い知らせてくれるわ!ひねりつぶしてやる!
>フン。なんだその太刀筋は?俺に歯向かうからには全力で討って来い!
>ダンスでもしているのか?その程度の技と心の斬撃など痛くもかゆくもないぞ小僧!
「魔獣王!おまえの生きた16年間は間違いではなかったのだろう。おまえはおまえの道を精一杯生きた。
16年後の魔獣王の俺も……戦う獣としての俺も……今この瞬間に俺とともにある。
……俺達は常にひとつなのだ。
見ろこれが俺の魂の姿だ!
「この俺が敗れるのか……16年前の……若き日の俺に……?
フッ……それもいいか……。
おまえが俺と異なる……どのような男になるのか……楽しみにしてしいるぞ……ギル……ド………
せっかくおまえの妹にもらった新たな命……新たな生きる道をムダにするわけにはいかないからな。
たとえそれがどのような結末につながっているにしても……!
あそこを抜ければメスキータに出られるはずだ。行こう!
蛇頭メスキータ
「アンギラス!
hアンギラス同様にどうやらこいつも本体にご執心ということのようね。
戦いの後もちゃんと命があればの話でござるが。
聞け!おまえ達には理性や知性といったものはあるまい?
俺とアルテナから切り離されて今では凶獣としての本能しか持ち合わせていないはずだ。
安心しろ。せめて俺自身の手で始末してやる。
この世界から消し去ってやろう。ひと欠片も残さずにな!
行くぞかつての我が半身よ!
「凶獣王……俺の中で膨れ上がった憎しみの成れの果てよ……。
これで俺はこの世界にあり得たもう一つの因果に終止符を打つ。……さらばだ凶獣王。」
***
きゃあっ……!
面白い。四大精霊の剣のひと振りをこの時代で魔獣が受け継いでいようとは。
魔獣取引だ。四大精霊の武具をそろえて持って来い。そうすれば娘は返してやるわ。
なにやら妙な能力を具えているらしいからな。
オレ達と共に戦わないか? 一緒に行こうギルドナ。
そんな俺を本当に信用するのか? できるのかおまえ達は……これから先もずっと?
フィーネが信じて救ったあんたをオレ達も信じるだけだ。
それにアルテナはフィーネの親友だ。オレ達もこのままほっとくわけにはいかない。
なにこれまでのことは根に持ったりはしておらぬでござるぞ……。さほどには。
「オーガ族に戦いを挑むのなら私達と行動を共にした方が得策だと思うわよ?
いいだろう。ならば共に行こう! 俺達の道がこの星の新たな明日につながるかもしれぬ。
よし!じゃあ行こうか
みんな!ともかくやれることからやっていこう。
エピローグ
「あの者らは大丈夫であろうか?」
「あの者ら……? ああアルド達のことか。それならば心配いるまい。
ああ見えて彼らはかなりの強者であるぞ雷心王。それよりも問題はオーガ族だ……。」
「うむ。聖剣パルジファルが星の定めのなかでどのような役目を担っているのか。
そしてあの呪われた魔剣オーガベイン……。
この先三振りの剣がはたしてどのような結末を迎えることになるか。今はまだ予断を許さぬ。」
***
「我ら雷心王の剣の元になんとしてもオーガどもを殲滅してくれん!!」
「俺達こそオーガ族にたっぷり思い知らせてやる!ミグランス王国騎士団の心意気!」
「でも三千年前に絶滅したオーガ族がまさか本当に現代に蘇るなんて……。」
「フッ……いずれにせよ楽しそうな狩りができそうじゃないか。」
「オーガさんたち時間の迷子になっちゃったんですね~。おうちに帰してあげましょう~。」
***
「聖剣パルジファル……そしてオーガベイン……
三千年以上も前に我らオーガ族が一匹残らず滅び去った……? それがこの星の歴史だと?
だが……ならば今我らが時を超えて未来に呼び寄せられたことこそ勝機!
この時代ここに我らが存在すること自体がすでに新たな歴史の始まりであろう。
雷心王とヤツの聖剣を討ち滅ぼしこの星に新たな歴史を刻みつけてやろうぞ! フフフ……ハハハハハ……!!」