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【白猫】総ては女王陛下のために Story

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん


2015/03/23


目次


Story1 女王陛下の行軍

Story2 黒の傭兵

Story3 無礼者!

Story4 2人の女王

Story5 国家権力

最終話 空のその先に




登場人物


インヘルミナ・B・ガランド
富国強兵を主義とする軍事大国の女王。他国から「征服女王」の異名で恐れられている。
レイヴン・ザ・ダークホロウ
記憶と引き換えに魔を宿した射手。身にまとう黒炎は悪を焼き尽くす。
プロフェッサー・カティア
薬品の調合を得意とする天才科学者。興奮すると奇声をあげる変人でもある。
コリン・ツチミカド cv.相坂優歌
歌って踊れる巫女さん狐。変身能力で人をからかうのが大好き。
アンドリュー・ウチウスキー
宇宙への進出を夢見る青年。宇宙の素晴らしさを広めるべく、同志を集めている。




story1 女王陛下の行軍


では、ゆくぞ。

え、え……え?

なにを狼狽えている。かような地まで遠征したのだ。やることはーつと決まっている。

えっと、女王さま……何のお話でしょうか?

……ああ、すまぬ。つい本国の家臣たちと話をしているつもりでおったわ。

女王さま馴染みすぎ!……まあいいんだけどさ。

あの、女王さま。わたしたちにもわかるように説明していただけますか?

我が国は、富国強兵のー環として、国益となる土地の征服を行うが、征服するのは土地だけではない。

<人>もまた貴重な資源。わらわは遠征のたびに、有能な人材の確保を自ら行っているのだ。

ようするに、スカウトってわけね。

女王さまが自分で勧誘するんですか?

直に会ってみなければ、わからぬことも多いものよ。人材発掘は、この目で見るに限る。

幸い、この地は多種多彩な者たちで溢れかえっている。人材には事欠かぬからな。

……というわけで、其方らにも、わらわの人材探しに協力してほしいのだ。

いいですよ。わたしたちでよければ、お手伝いさせてください。

それで、具体的にどういう人が欲しいわけ?

誰でもよい。強さ者、博識な者……とにかく、何か光る才を持つ者であればな。

うーん、そうですね……。とにかくまずは探してみましょうか。

まあ、イロモノ系も結構いるけどねぇ……女王さまの希望にあえばいいけど。

ふっ、風変わりな者も歓迎ぞ。そういった者の観察もまた、人材探しの醍醐味というものよ。

なるほどね。それじゃあ、行きましょっか。

うむ、案内ご苦労。


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story2 黒の傭兵


……何の用だ。

ほう、黒翼の騎士、か。しかも、かなり腕が立つと見た。

……その女は?

見ての通り女王さまよ。優秀な人材を探してるんだって。

そうか。

……で、どう、女王さま?

……うむ、わらわの見立て通り、相当な猛者だな。

……依頼であれば、相手が王族だろうと関係ない。敵は討つそれだけだ。

なるはどな……

どうでしょうか?女王さまの希望どおり、とても強い方だと思うんですが……

たしかに、この者が我が軍にいれば、まさにー騎当千となるであろう。

それじゃあ……

だが、駄目だ。

え!?ど、ど、どうしてですか……?

この黒騎士は強い自己を持っ。依頼主に従う傭兵の身とはいえ、信じるのはあくまで己のみ。

…………

もしわらわが、この黒騎士の信念に反することがあれば、この者は躊躇なくわらわを討つだろう。

それどころか、国ーつを滅ぼすやもしれん。

かような者、このわらわであっても御することは難しい。臣下にするには、あまりに危険……

依頼ならば聞く。じゃあな。

ああ、いっちゃった……さすがに言い過ぎじゃないの~?

……かもしれぬ。しかし、嘘偽りなど述べれば、それはあの者への非礼になろうぞ。

だが、なかなかに見応えのある人材であった。さあ、次にゆくぞ。



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story3 無礼者!



あらァ?あらららァ?ちょっとそこのクソ高そうな服着てるあなた!

……なに?まさか、わらわのことか?

実はねェ、この超天才な私に研究費を援助してくれるパトロンを探してるのォ~。

あなた、ものすっごくお金持ってそうだしィ、協力してくれないかしらァ?

ちょ、アンタ……女王さまになんてこと……!

……ほう。初対面でいきなり、金を工面しろと申すか。……其方、よい度胸をしているな。

じょ、女王さま、どうか落ち着いてください……!

安心せい、わらわは冷静だ。……血管が数本されかけたがな。

それで其方、天才を自称しているようだが、ー体なにができるというのだ?

薬なら、なんでもOKよォー!あと自称じゃないからァ!ホントに天才なのであしからずッ!

……ほう。

ひっ!女王さまのこめかみに血管が……!

実はわらわは、最近不眠症ぎみでな。安全かつ強力な睡眠薬を作れれば、援助を考えないでもないぞ。

まっかせなさァい!打てば即ドリーム・インッ!超即効性睡眠薬ッ!実はもうあるのよねェ!

即……とな?ふん、そんな魔法みたいな薬、あるわけなかろう、この詐欺師め。

……はいイ?この絶級天才の私か作った薬が信用できない……と?

ふん、口ではなんとでもいえよう。嘘でないのなら、まずは試しに其方が打って、その効能を見せてみよ。

むきィ――ー!!この破滅級天才を疑うなんてェー!いいわァ、やってやるわよォ!眼球洗浄してよく見てなさいィ!

ブスリ!

ぐがーぐがー、すぴーすぴー……

……ゆくぞ、皆の者。

えっ、放っておいていいの?薬の効果はホンモノっぽいけど……

……女王さま、もしかして、こうなるようにわざと……?

ふん、たしかに識者としては有能のようだが、いかんせん我が強すぎる。

研究などと称して国庫を空にされてはたまらんからな。関わらないほうが国のためよ。

……アタシも同意するわ。


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story4 2人の女王


…………

なん……だと……?

じょ、女王さまが二人……?

そこの侍女!

え、私ですか?!

わらわはお腹がお空いたぞよ!今すぐ油揚げをお持ちになってくだせい!

あ、油揚げ?

……口調がガタガタよ。女王さまは『ぞよ』なんて言わないし。

ありゃー、ばれちゃった?ま、そうだよねー。自分でも無理あると思ったし。

なんと!今のは変化の術……か?

まー、そんなとこっす。

これはかなりのイロモノね……どう?女王さ……

其方、わらわの臣下になれ!

えっ!即決採用!?

んー?なんの話?

その変化の術で、わらわの影武者を務めてほしいのだ!

えーっと、影武者……ってなに?

簡単に申せば、わらわの身代わりになるということだ。わらわになりきり、敵を欺くのだ。

ああ、なるほど……たしかにそれなら、これ以上の適任はないわね……

んー……悪いけど、パスかなー。

な、なぜだ!?待遇なら其方の望む通りに……

ワタシさ、クリソツに化けることはできるけど、中身のマネが苦手なんよね。

たぶん、また『ぞよ』とか言っちゃって、即バレしちゃうかも。

な、なんということだ……それだけの妙技を持ちながら……むう!実に……実に惜しいぞ!

いやー、ごめんねー。じゃ、ワタシはこれにてさらばー。

女王さま、どうしましょう……?

追いかけて説得してみる?

……いや、やめておこう。実に欲しい逸材ではあったがな……

次にゆくぞ、皆の者。



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story5 国家権力


む!貴女はまさか……インヘルミナ女王陛下か!?

ほう、其方は……国王ディオニス殿か。まさか、この地で相まみえるとはな。

知り合いなの?

ー国を治める王なれば、他国の王のことも自然と知り得るものよ。

……<征服女王>の貴女が、このような遠方の地にいるということは……

其方の想像通りぞ。わらわは優秀な者を探しておる。いねば人材の征服よ。

……噂通り、豪胆な御仁だ。だが、俺がそれを許すとお思いか?

……そういえば其方は、鉄壁の守りで高名な王であったな。わらわの進軍を阻もうというのか?

他国を強硬に征服し、己が都合で民を支配するなど、俺は断じて許さん……!

なんか険悪な雰囲気なんですけど!

その威勢や良し……なればわらわは……!

ええ!?

あ、ちょ、待ってよー!

なに!?くっ!?持て!逃がさんぞ!

に、逃げちゃっていいの?!なんか追ってきてるけど……

わたしは、てっきり戦うのかと思いました……

わらわと彼奴はー国の代表。そのわらわたちが争うということは、国同士の戦争を意味する。

ー時の感情で、国全土を巻き込みかねぬ戦いをはじめるなど愚の骨頂。ゆえに、ここは撤退が正解ぞ。

ちゃ、ちゃんと考えてるのね、女王さま……

でも、それは向こうも同じなのでは……?

ふっ、名君といえどやはり若造よ。まだまだ感情に流されやすい。よほどわらわのことが気に入らぬのだろうな。

女王さまたってまだ若いじゃん。

……そういえばそうであったな。ふっ、気苦労が多いと、無駄に歳を重ねた気分になるものよ。

それじゃ、女王さまの負担を減らすためにも、良い人を探さなきゃね!

うむ、期待しておるぞ。

おのれ、征服女王待てと言ってるだろうがっ!くそっ、よ、鎧が重い……!

……その前に、あの国王様から逃げ切らないとね……



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最終話 空のその先に


やあ、諸君!こんなところで会うとは奇遇だね!

……なんと面妖な甲冑よ。さすがのわらわも初めて見る意匠だ。

ゴツく見えるけど、中の人はけっこう爽やかなイケメンさんよ……声はね。

これはこれは……なんと高貴で麗しい女性だ。よろしければ、宇宙について語らせてはいただけませんか?

……なんとなくナンパっぽく聞こえるわね……

なに……宇宙とな?ふむ……よかろう、話してみよ。

ありがとう、麗しの君!それでは……


<アンドリューは、宇宙の素晴らしさについて、小ー時間ほど語って聞かせた。>


……というわけなんだ!

う、うん……だいたいわかった。……半分くらしい……

……つまり其方は、はるか上空の宇宙を征服し、天をも支配しようというのか!?

宇宙を舞台に侵略戦争をけしかけようというのか!?

え!?そんな、侵略だなんて……いや、しかし、宇宙戦争か……それはそれでロマンがあるかも……

こらこら!

な……なんということだ……

じょ、女王さま……?どうしたんですか?そんなに落ち込んで……

……わらわとて、征服女王としての衿持があった。地上のすべてを征服したいと夢見たこともあった。

だがしかしっ!まさかその夢想を上回る者が……天の征服を目指す者がおったとは!

そ、そんなおおげさな……

其方!名はなんと申す!?

は、はい!アンドリューと申します!マム!

わらわは其方の野望に感服した!よければ宇宙のことを詳しく聞かせてはくれぬか!?

ほ、本当ですか!?ああ……管制塔……まさかこんな綺麗な女性に、宇宙に興味を持ってもらえるとは!

それで、アンドリュー殿。宇宙にはどうやって進軍するのだ?

はい!まずはロケットを開発してですね。燃料には……

二人とも、夢中になって話し込んでるね。

……そっとしておきましょうか。女王さま、なんだか楽しそうだし。

ふっ、わらわは征服女王ぞ!いつの日か天上天下を支配し、我が国を世に名立たる超大国にしてみせようではないか……!







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