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【白猫】ブルーミングブレイズ Story2

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん



目次


Story4 地獄♪

Story5 憤怒♪

Story6 純情衝動ガールズ♪

Story7 ネバギバガールズ♪



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story4 地獄♪



スリーツーワン。

ストップ。ドラム、早い。もう一度。スリーツーワン。

ストップ。ベースが遅い。最初から。


うぇえ~……もう腕クタクタだよ~……

わたしもさすがに、お腹の虫が……!お昼抜きはつらぁい……!

……誰が演奏を止めていいと?

だって……っ!もう何時間、こうしてると思ってるのよ……!

少しだけ休憩したいのです……

フフ、休憩?それなら充分してきたでしょう?

あなたたちが私と出会ってから今日までの間――ずっとね。

……なによそれ。私たちがずっとなまけてたって言いたいの?

メリシャさん……?急にどうしちゃったの~……?

わ、わたしの技量が至らなかったのは、本当に申し訳ありません!!

ですので、他のみなさんにはどうか温かいお昼ご飯を!!ご飯を、なにとぞ……!!

お昼どころか、もう夜だよ~……

いつもの優しいメリシャさんに、戻ってほしいのです……

そうだよ~……今日のメリシャさん、なんか怖いよぉ……

あの日――あなたたちと出会った瞬間、私は直感的に思ったわ。

――あなたたち四人は、きらびやかな音の花を咲かせる可能性を秘めた…………未熟な薔薇のつぼみだとね。

ノアたちはお花だったのです?

でも、現実のあなたたちは薔薇どころか、それにたかるアブラムシのごとき存在だった……

さっき虫って言ってたの、空耳じゃなかった……

仕方ないじゃん~……あたしたち、まだ初心者だし……

だいたい、個人の技量すら全然なのに、セッションなんてできるわけないでしょ。

シャラァァアアップ!

!?

外見立派に着飾っただけの中身スカスカガールズが、ご立派に口答えか!?ガッカリさせやかって!!チクショウめ!!!

ぴぇっ!?

なななな……っ!?

いいか貴様らの正体を教えてやる!永遠に咲かないクソッタレ花だ!!

根腐れてッ!茎には虫がたかりッ!葉はしおれッ!つぼみは頑なに閉じたままッ!!


――あなたたちは、私の望んだ薔薇ではなかったわ。

急に落ち着かないでよ!!

――この曲と、私の記憶は、他の誰かに託すことにするわね。


出ていってしまったのです……

びび、びっくりしたぁ……あんな怖い人だったなんて思わなかったよ~……

……なによ、あの言い方。まあ、せいせいしたけど――

――あの、みなさん。

わたし、このままで終わりたくありません……!!

メリシャさんの記憶の件もありますし、せっかく練習したんです!やれるとこまでやりたいです!!

……ん、あたしも。だって、このまんまじゃ悔しいもん!

ノアも……この衣装を着て、ちゃんとみんなで歌いたいのです……

……みんな、本気?

乗りかかった船です。とことんまでやったりませんか!?ねっ?



メリシャさんはどっちへいったのでしょう?

人通りが多すぎてわからーん!!

う……なんだかそこらじゅうから、いい匂いがする……

おいしそうなお店、たくさんあるね~……

へ~イ、シスタ~ズ。ケバプ、ヤスイヨ。ケバブ、オイシイヨー。アイスモ、アルヨ。

…………

アイスモ、アルヨ。



空きっ腹に、がっつりお肉が染みわたりますね……!!

朝からなにも食べてなかったものね……

ノア~、のびるアイス一口あげる!

甘くておいしいのです♪

――追いかけてくるどころか、のんきにケバブ頬張ってるとはね。逆に度肝を抜かれたわ。

こ、これは違うんです!いえ違いませんが!!食べ終わったらがっつり探す予定だったんです本当です!

メリシャさん、お願いなのです。ノアたちにもう一度、教えてほしいのです。

まじめに練習するから!お願いっ!

……仕方がないわね。そのしつこさに免じて、もう一度だけチャンスをあげる。

ありがとうなのです♪

――それと。ひとつ教えてあげるわ、カスミ。

な、なによ……?

ケバブには、ヨーグルトソースよ。

なんなのよ!



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story5 憤怒♪



<苛烈な正体をあらわしたメリシャによる、地獄の特訓が始まった――!>

だらららららららららららららららららららららららららららら……!

もっと速く!速く!速くだ!!

やああああああああああああああああああああああああああ……!!

まだだ!まだ!!速く、速く、速く速く速く!もっともっともっともっと!

手~が~痛~い~よ~っ!!

速すぎるッッ!!!

りふじん!!


いきますっ!!っらぁぁぁあああああああ!!!

なんだその薄汚い音は!?ああブタの鳴き声の再現か!!変わったテクをお持ちだな!

まだまだまだまだです……!!

バンドのリズムを……守ったらーーーーーーーい!!!

黙れこの壊れたアンプ野郎!!ベースの音より貴様の声のほうがデカイぞ!!

す、すいませぇぇぇん!!守護天使の性分でぇ……

だいたい守護天使ってなんだ!その白い羽を漆黒に染め上げて、堕天使へと変貌させてやろうか!

それは困りますぅぅ……


ゆら~~り、ゆら~~り……♪

ストップだ。拍がずれていた。

ごめんなさいなのです……次は気をつけるのです!

速かったか?遅かったか?

えっと……わからないのです……

自分でわからないのに、どうやって改善する気だ?

その通りなのです……もう一度ご指導、お願いしたいのです……!

今日中に改善できなければ、頭のてっぺんにメトロノームをくくりつけてやるぞ!

!?

お得意のゆらゆらをBPM200で四六時中口ずさむがいい!!

そんなことしたら、眠れないのです……


カッティングにキレがない!!何度同じことを言わせる!!??

必死に……やってるわよ……

なんだって!?聞こえないぞ!!!

必死にやってるって言ってるの!!

うるさいぞ!!いつになったら花開くんだ!?この臆抜けたつぼみ野郎!!

へんな名前つけないでよ!!



さけべおそれよわきあい~ぜんぶ~♪

なんだそのシケた歌声はァ!特にカスミ!!腹式呼吸がまるでできていない!

し、仕方ないじゃない……!これでも精一杯よ!!

それでか!?子どもの頃、ルーンカラオケコンテストで金賞をとった当時の私のほうがまだマシな歌声をしていたぞ!

……えっ!?

子どもの頃……?

なんだその顔は?疑わしいか?いい身分だな!

いえ、そうではなくて……

記憶、失ってないじゃない。

…………

なんて、ね。

――とでも言ってほしいのか!??残念だったな!!さあ練習の続きだ!!

力づくで押し通した……!?

それで、記憶は……

黙れ!上顎と下顎を打ち合わせてカスタネットにしてやるぞ!



おかえりなさい、みなさん。毎日、こんな夜遅くまで大変ですね……

ご、ご飯用意してありますから!いっぱい食べて、元気出してください!

も、申し訳ありません……わたし、ちょっと先に仮眠を……

ふら~りふらふら~……なのです~……

ごめんなさい……ちょっと、心が疲れてて……

手の皮ずるむけだよ~……いたいよぉ~……

……バンドってもっと……楽しいかと思ってた~……




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story6 純情衝動ガールズ♪



なんだその可愛いチョーキングは!生まれたての雛のさえずりか!?

はあ!?いまのはちゃんとできてたでしょ……!?

左手首の動きが力夕い!そんな華のないギターで華麗な薔薇が咲くかァア!!

うぅ……そ、そんな大声出さないでよ……っ!

――それじゃあ仮にこうして優しく接したとして、あなた上手くなるのかしら?

なんでそんな緩急自在なのよ!!

カスミさん、ゆらりと落ち着くのです。

……っ。どう……して……!

――そっちから頼んできたくせに、どうして私がこんな理不尽な目にあわないといけないのよ!!

我がコト感を持ちなさい。私に八つ当たりしても、現実は変わらないわよ。

力、カスミさん……!深呼吸しましょう、深呼吸!

ケンカはよくないよ~!!

――もう嫌。もうたくさんよ……!初めてのバンズ島……楽しみに、してたのに……本当は……こんなはずじゃなかっだのに……!

カスミさん……?

私は……フローリアと一緒に来たかったのに……っ!!

……あ……

力、カスミさん!?待ってよ~!!

すぐさま追いかけましょうっ!!

――追うのは許さない。

挫折した人間に、用はないわ。

まったく……――ノア。

マールとルカを連れ戻しなさい。すぐに戻るなら、いまの件は不問にするわ。

カスミはもう――手遅れだけど。

……ノアも、カスミさんを追いかけるのです。

なぜ?彼女は諦めたわ。

それに――あなたたち、カスミとそこまで親密なわけでもないみたいじゃない?

……だって最初に、四人で一緒にやると決めたのです。

カスミさんはノアたちの大切な……バンドメンバーなのです!!


……挫折したのは、私も同じ、か。

<――メリシャは手帳を広げ、古ぼけた写古ぼけた写真を見つめた……

ギターを抱えたひとりの少女が、写真の中で朗らかに笑っている……>

私は……どうすればいいのかしら。

教えて――ミーサ。




――あぁぁぁああああああああああもぉぉぉぉおおおおおおおお!!!

なによなによなんなのよ!どうして私があんな目に!やりたくないのに酷い目に!

だいたいなにが我がコト感よ!!そんなアンタはまがこと以下よ!!

うわわわ……!カスミさんがストレスでおかしくなっちゃった!

と、とりあえず落ち着かせましょう!

――ゆら~り。ゆら~り♪

ノアさん、どうしたんですか……?左右にゆらゆらと……

カスミさんの声……なんだかノリノリで、歌みたいなのです。

フローリアもフローリア!!いきなりドタキャン酷くない!?すっごく楽しみだったのに!仕事じゃ仕方がないけども!!

あ、言われてみれば……なんかリズミカルかも~!

まさか――日々の厳しい特訓の成果が、この極限下で発露して……!?

いかーん!わたしまでうずうずして……!なにか楽器になる物は!?

あったよ、タライが!

でかしました!こっちにもデッキブラシが!

ノアもちょうど、ラバーカップを持っているのです!

なんで!?

先っぽの部分がクラゲさんみたいで可愛かったので、お土産に買ったのです♪

さあ、ノアたちも奏でるのです!



ああああああもぉおおおおおお!

守ったらったったったったった!!

プレゼントぉぉぉおおお!!!

なによなによなんなのよ!どうして私があんな目に!やりたくないのに酷い目に!

すっぽん、なのです♪

祓いたまえーーー!!!清めたまえーーー!!!!!

守ったらったったったったったあああああああい!!!!!

みゅぅぅぅぅぅじぃぃぃぃっく……プレゼントぉぉぉおおお!!!

すっぽん、なのです♪



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story7 ネバギバガールズ♪



<静寂に満ちた、夜の公園で――>


ああああああもぉおおおおおお!!

<四人は、湧き出る衝動のまま――>

ふりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!

<たまりにたまった悔しさや――やるせなさ、つらさ、せつなさ――>

おらおらおらおらーーーーい!!!

<その他もろもろの、なんかアレな感情すべてを――>

ゆらゆらゆらゆら!!ゆらゆらゆらゆら!!

<――音へと変えて、残らず吐き出した!!>

わぁぁああああああああああ!!!


はぁ、はぁ、はぁ……

ふぅ……カスミさん、大丈夫なのです?

ええ……少しだけ……心が楽になったかも……

それなら、よかったのです♪

あはははははっ!

!!

お姉ちゃんたち、おもしろ~~い♪ぱちぱちぱち~♪

も、もしかしていまの、聴いてたの~!?

あはは……お粗末さまでした……

お粗末じゃないよ~。

え……?

今日ね、学校ですっごく嫌なことがあって、落ち込んでたんだけど……

お姉ちゃんたちのヘンテコな歌聴いてたら、なんだかどうでもよくなっちゃった♪

あ……そう、なんだ~……

おかげで明日もがんばれそう!だから、アリガトー♪

さあ、もう帰るわよ。ほら、お姉さんたちにバイバイして。

…………あっ。

マールさん?どうしましたか?

あたしいま……音楽始めてから、心から嬉しいって――楽しいって、初めて思ったかもっ!

――ノアもなのです。

さっきの子に喜んでもらえて……とても、嬉しかったのです。

実は、わたしもです!!それに、感情を音に乗せるって……こんなに気持ちいいんですね!

盲点だったね~♪カスミさんはどお?

……全然、楽しく、なくは……なかった、かもしれないけど……

素直じゃないなー、もう♪

――カスミさん。もう少しみんなで、続けてみませんか?

でもあの人、ぜったい記憶あるわよ?

それは、ノアにはわかりません。でも――

でもそれに関係なく……自分のためにバンドをやってみたい……ノアはいま、そう思ってるのです。

…………はぁ。わかったわよ。仕方ないわね……

やったーーー♪

それと、みんな。さっき――本当に、ごめんなさい。

謝るのはわたしです!カスミさんはバンドに乗り気じゃなかったのに、付き合わせてしまって……!

そうじゃなくて、私さっき……すごく嫌なこと、言った……


「――もう嫌。もうたくさんよ……!初めてのバンズ島……楽しみに、してたのに……本当は……こんなはずじゃなかっだのに……!

私は……フローリアと一緒に来たかったのに……っ!!」


あなたたちは……私なんかを誘って、遊びに連れてきてくれたのに。私、自分勝手なことを言って……

連れてきてあげた――では、ないのですよ?

ええ。カスミさんと、もっと仲良くなりたかった……だからお誘いしたんです!それだけです!!

あたりまえじゃん!カスミさんって、意外とおばかだね~♪

ばかってなによ……もう。



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