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【黒ウィズ】空戦のドルキマス4 Story4

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最終更新者:にゃん


目次


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w王よ。我等家臣ー同、お帰りいただく日を心待ちにしておりました。

お前たちにも、苦労をかけてすまねえな。

父と兄が戦死した時、俺はイグノビリウムと戦っていてボーディスにはいなかった。

国家危急の時に、いつも母国にいないのが俺の運命なのかと思ったりもしたが……。

今回の戦いで多少は王らしいことをしてやれたとは思う。だが、作った借りは、まだ返せてねえ。これからの俺を見ててくれ。

wなんともったいないお言葉。我等家臣団もフェリクス陛下をどこまでもお支えします。

ああ、頼んだぜ!


……。

どうしたにゃ?ジーク?浮かない顔にゃ。

 きっとドルキマスにいる母上のことが心配なんだろうね、と君は同情する。

フェリクスは、王としての役目を果たした。だが俺は、いまだに母と子分を人質に取られたままだ。

自分の情けなさに苛立ちを募らせていたところだ。

気持ちはわかるけど、相手はドルキマスにゃ。まさか、敵の本拠地に飛び込んで救い出すわけにはいかないにゃ――

ほう?それはとてもおもしろそうだ。

いい策を思いついた。フェリクスとあいつを呼んでくれ。

あいつ?誰のことにゃ?

あいつは……あいつだ――わかるだろ!?

 わからない。誰のことを差してるのかな、と君はウィズは首をかしげる。

くっ……お……おお、お兄さん……だっ。

なんだ。テオドリクのことにゃ?それなら、最初からそう言えばいいにゃ。

もういい!自分から行く。まったく、変な奴ばっかりだ……。


少数で、王都を奇襲するだと?命懸けの作戦になるな?

お前は、反ドルキマス同盟軍の全軍でフェルゼンを解放するために、メヒティルトを連れて北上しろ。

きっとドルキマスは、威信を賭けて俺たちに主力を差し向けるだろう。

その隙を突いて俺と魔法使いは、ドルキマス本国を強襲して人質を奪還する。

そう上手く行くかな?本国の護衛は、きっと堅いぞ。

 君にはわかった。この作戦、ジークの人質救出はあくまでもドルキマスの目を引き付けるため。

王都で派手に暴れれば、出撃しているドルキマスの主力は、引き返さざるを得なくなる。

その隙にフェリクスたちが、フェルゼンを解放し、反ドルキマス同盟軍の勢力を拡大するのが目的。

少数の方が、逃げるのも容易い。失敗したところで大勢に影響はない。

ナハト・クレーエ号の性能は、俺がー番知ってる。ドルキマスには、お前に追いつける艦は存在しない。

本当に使う気はないんだろ?

使う素振りを見せれば、逃げ出す隙ぐらいは作れる。

ジークを囮に使う作戦。考えたのは、あんただろ?

私も魔法使いと共に出撃する。囮になるのは、私も同じだ。

その間に、フェルゼンで好きに暴れ回れ。

……すまん。恩に着る。

そうだ。いざという時のために、貴君にこれを預けておこう。

これは……?

 それは、君の魔道艇に搭載してある殺戮兵器の発射スイッチだとテオドリクは説明する。

俺は、ドルキマスに恨みしかもっていない男だ。今すぐにでも、押すかもしれんぞ?

貴君も、私の弟だ。分別はあると思っている。

もっとも、使いたいと思った時は、遠慮なく使えばいい。虐殺者の汚名を後世に残したいのならばな。

俺は空賊ジーク。それ以外の男になるつもりはない。

だが、このスイッチは預かっておこう。切り札は、袖の中に隠しておくものだからな。

にゃはは。イカサマは、ー度でいいにゃ。

じゃあ行ってくる。ジーク、死ぬなよ?

お前こそ。


 ***


 玉座に座るアルトゥールは、沈痛な面持ちで、第3艦隊裏切りの報告を聞いていた。

反乱軍の勢いは激しく、また裏切りにもあい、ボーディスから撤退する他なかった次第。

御処分はいかようにも……。

このたびの失陥は、そなたひとりの責任ではない。次で挽回してくれればいい。

寛大なご処置、痛み入ります。

バルフェット中将。貴君への増援が遅れたのは、我々の失態。あなたひとりを責められません。

 反乱は、ボーディスだけではなかった。大陸各地でドルキマスヘの反乱の火があがっていた。

ドルキマスにこれまで虐げられてきた、大陸各国の感情が爆発していた。

その切っ掛けとなったのは、当然、第3王子テオドリクの殺戮兵器保有宣言である。

大陸はいまドルキマスー国による統ーか。殺戮兵器の恐怖による統制か。――世界は、真つ二つに分かれようとしていた。

大陸各地の反乱を鎮めるには、より強大な軍事力が必要になります。動員令をかけて、志願兵をさらに募りましょう。

うむ……。やむを得んな。

肝心なのは、第3王子テオドリクだ。奴の反乱を鎮めさえすれば、反乱軍どもは旗頭を失う。

おっしゃるとおりです。

 以前よりもアルトゥールは、感情を顔に出さなくなった。グスタフ王もそうだった。

(王らしくなられた。そう思っていいのだろうか?)

テオドリク殿下が乗艦なされているのは、高速の魔道艇です。並の艦では、スピードに追いつけません。

逃げられてしまっては、元も子もない。

特務隊を編成し、テオドリク殿下のお命だけを狙わせるのはいかがでしょう?

暗殺か?

どうしても生かして連れてこいと仰るのであれば、そのようにいたします。

 アルトゥールは無感情にじっとカミルを見つめている。

私は、この国を守ると決めた。そのためならば手段は選ばん。だから、任せる。

ありがとうございます。

そうだ。適任者がひとりいる。特務隊の隊長にふさわしいものがな……。

特務隊の編制が済むまで、私に王都を防衛せよと?

おそらく敵は、近いうちに王都を急襲するでしょう。

なにゆえ?

ナハト・クレーエという空賊の子分たちをドルキマスの牢に捕らえてあるのですが。

彼らを処刑することにしました。その噂を聞いてお頭のジークは、必ず取り戻しに来るでしょう。

ジーク……。まさか、第4王子……?

彼とテオドリク殿下が、行動を共にしているのはすでに知れたこと。

敵は向こうからやってきてくれます。

あなたの参謀としての腕は、有能なのかもしれませんが、軍人としては最低ですな。軽蔑します。

さすが、ディートリヒ・ベルクに見込まれた男だ。その気骨、私は評価しますよ。

ドルキマスを去った以上、あのお方は、すでに過去の存在。私の前でその名前を出すのは、やめていただきたい。

それは失礼。

兵の命を使い捨てにして勝ちとった栄光など、価値のあるものとは思えません。

私が、アルトゥール陛下の治政を乱す、奸賊を始末してきます。

期待しています。奴が所有している殺戮兵器。それを奪取しないことには、ドルキマスに未来はありませんから。

 去って行くレオナルドの背中は、軍人らしく逞しいものだった。

異なる意見がぶつかる時、それを暴力で解決するのは、闘争という。

戦争は、闘争が拡大したものである。

人が人である限り、この世から戦争はなくなることはない。

戦争は、とても素晴らしいものだ。過去も栄光も名誉も忠誠も、すべて流れ出た血が洗い流してくれます。

そしてドルキマスが滅ぶのも時間の問題。ふっ……ふふふっ。

ヒューゲル提督に敬礼。

お久しぶりです。確かいまは、ローヴィ・フロイセと名乗っておられるとか?

アルトゥール陛下のご命令です。それよりも、少佐の私ごときにその口調は、おやめください。

周りが聞けば変に思います。

そうか……。相変わらず生真面目な人だ。やはり、軍人に向いている。

提督は、王都防衛の任務を拝命したとか?

反乱軍の手から、王都を守ってみせる。特務隊の隊長に選ばれたあなたの出番がなくなるように。

ご存じでしたか……。

お互い困難な立場だが、軍人としてはむしろ望むべき状況だ。

仰る通りです。私も死力を尽くします。

少しは肩の力を抜いた方がいい。それでは、出撃の準備があるので。

ご武運を!



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敵は、機動戦をしかけてくるだろう。

小勢の反乱軍は、そうやってボーディスで勝利をもぎ取った。

 そしてそれは、ディートリヒ・ベルクが最も得意とする作戦でもあった。

機動力のある艦隊を編成し、敵の急所のみを狙う――

戦力の少ないドルキマスは、その方法で幾度も大国相手に勝利してきた。

反乱軍の背後にあのお方がおられるのは間違いない。

だが、ディートリヒ・ベルクは、その悪名と勇名と共に過去の人間となった。

今更、蘇る必要はない。

レオナルドの脳裏に蘇るのは、ガライド連合王国との空戦の記憶だった。

ドルキマスの何倍もの国力を有する大国相手の戦いは、序盤こそ優勢だったものの――

圧倒的な戦力の差は覆すこともできず、徐々にドルキマス軍は、崩れはじめていた。

前線で戦う味方の艦が、かなり少なくなった。ここからの逆転は考えられない。大勢は決したか……。

 当時、戦艦艦長だったレオナルドは、全軍の指揮を執っていたディートリヒの命令を受け取った。

……第2艦隊の戦艦を迂回させて、敵の背後を取れと?

 大勢が決しつつあるこの段階で、いまさら迂回戦術など――誰が見ても無意味な作戦に見えた。

元帥閣下は、味方の命すら平気で使い捨てる男と聞く。

子飼いの第3艦隊は、最後まで温存しておきたい――となれば、最初に捨てられるのは私というわけか。

 それでもいい。ドルキマス軍人として戦場で散るのは名誉なことだ。

元帥の真意を飲み込んでレオナルドは、自艦を進発させた。

軍人として求めていた死に場所か……。今日は死ぬには、良い日かもしれん。

 かくしてレオナルドの艦は、ガライド連合艦隊を引き付ける役目を果たした。

レオナルドの艦長としての能力。そして、率いた部下たちの練度は、困難な任務を達成した。

この隙に本隊を逃すつもりか……。元帥閣下も逃げ出すおつもりだろうか。

 どちらでもよかった。味方を救い、戦死するのは、軍人の誉れ。

z第3艦隊……ブルーノ・シャルルリエの艦隊が、敵に突撃していきます!

なにっ!?

 その時、戦場で見た光景は、生涯忘れる事はないだろう。

ディートリヒが手塩にかけて育ててきた第3艦隊が、ブルーノ提督の指揮の下、敵艦隊に突撃をかけていく――

ひとつ、またひとつと、撃ち落とされながら、ガライド連合艦隊の旗艦だけを目掛けて、決死の特攻を続けて行く。

死を以てドルキマスに勝利をもたらそうというのか。

 レオナルドが命じられた迂回は、無駄ではなかった。第3艦隊特攻の機を生み出すために敵の注意を引く。それが真の目的だった。

狂っている……。

 第3艦隊の決死の突撃により、劣勢だったドルキマス軍は勝利を手繰り寄せた。

提督ブルーノ・シャルルリエの戦死という重たすぎる代償を支払って。

ディートリヒ元帥がいる限り、ドルキマスは勝ち続けるだろう。だが、同時に大勢の兵の血が必要となる。

あの男はもう蘇らなくてもいい。これ以上、ドルキマスの兵たちが血を流す必要はない……。

だから、私が終わらせる。ディートリヒ・ベルクの伝説を。



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 すべてを奪われてきた。

ドルキマスは、ジークのー族を奪い、母を奪い。そして、今子分まで奪い取ろうとしている。

気にくわない……。なにもかも……。

 権力と脅威。そのふたつを象徴しているものたちが、いまはこの空を支配し、空賊を空から追い落とそうとしている。

すべてを葬り去る。もはや、誰も……俺を止めることはできん!

 舵を握る手に魔力を込めた。クレーエ族特有の紋様が皮膚に浮かび上がる。

消え失せろ!

 ナハト・クレーエ号は、黒い影となり、風を追い越して蒼天を疾駆する。

ドルキマス上空にて待ち構えるのは、レオナルド提督率いる第10艦隊。

たった1隻といえど容赦はするな。砲撃用意!

 砲弾と光線が、ナハト・クレーエ号を捉えた矢先、漆黒の鴉は、さらにその翼をはためかせた。

zは、はやい……!敵の姿、捕捉できません――

 第10艦隊は、高速艇対策のために、すぺての艦が広い距離を取って散開していた。

魔道艇の速度は予想どおりだ。対空砲台を設置した空域まで誘い込め。

 ここはドルキマスの領土である。ジークを待ち受ける敵は、空だけではない。地上からも、ナハドクレーエ号は狙われている。

どこを狙っている!?

ナハト・クレーエの頭目ジークだな?またの名をジークユーベル。

その名は、捨てた。不愉快な名で呼ぶな。

高速の魔道艇を捕らえるために、こちらも十分な用意をさせていただいた。

 ジークの周りには、巨大な戦艦が連なって立ちはだかり、背後からは足の速い駆逐艦が追ってくる。

そして、地上からは対空砲撃が止まない。

あなたは、私の張った網に掛かった魚同然。諦めて降伏なさい。

あなたのお仲間を処刑するという情報は、すべて偽物。釣られてやってきた時点で、カミル参謀総監の罠に嵌まっていたのです。

それがどうした?この程度の包囲で、俺を捕らえたつもりか?

 レオナルドの降伏勧告をー蹴し、魔力をさらに増幅させた。

残念です。全艦砲門を開け!黒い魔道艇を沈めるのだ!

 ー斉砲撃。ナハト・クレーエ号に雨のように砲弾や光線が降り注ぐ。

それがどうした!?

z命中!

 しかし、砲弾が命中したはずの艦影は、消えたナハト・クレーエ号の残像だった。

どこに行った?

 レオナルド旗艦の左右を守護していた戦艦が、火を噴いてバランスを崩した。

なにが起きたのかわからない。ただ、黒い影が、第10艦隊の間を飛び回っている。

z攻撃を受けています!どこからかはわかりませんが……!

 ナハト・クレーエ号を肉眼で捉えることができない。飛行音すらも、遅れて届いてくる。

音速を超えているのか……?まさか……。

狼狽えるな!小型艇の砲弾では、戦艦の装甲は貫けん!こちらが落ちることはない!

zそれが、艦の砲撃ではないようです。

ならば、なんだというんだ?

 艦橋の目の前に現われたナハト・クレーエ号。甲板の舶先に立っている、黒い服の男。

その手には、魔力の充填を示す、光が蓄えられていた。

クレーエ族の魔法か……!

雲の塵となれ。



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z旗艦被弾!このままでは墜落します!

くそっ!あれだけの包囲網をかいくぐるとは!

 旗艦旗を掲げた戦艦が、ゆっくりと地上へと沈んでゆく。

退避しろ。命まで取るつもりはない。

そうか……。

ドルキマス王都に向かう俺の邪魔をしなければ、これ以上は争わない。さっさと失せろ。

お優しいですな。ジークユーベル殿下は。

だが、そのお優しさは、戦場では、決して美徳とはいえませんな。

ほう……?

 衝撃。ナハト・クレーエ号が、砲撃を受けたのだとわかった。

艦のバランスが崩れ、尾翼から黒い煙が立ちのぼっている。

背後から、高速の駆逐艦が迫っていた。

誰が、旗艦にいると言いましたか?

 本隊とは切り離された別働隊。そのうちの1隻にレオナルドが乗っていた。

あなた方がこちらの急所を狙ってくるのは、当然読めていました。

だからあなたを釣るために、あえて弱点である旗艦をわかりやすいところに置いたのです。

ジークユーベル殿下。チェスは、私の勝ちのようですな?

 駆逐艦から無数の投擲網が放たれた。ナハト・クレーエ号に、からみついた網は、艦の動きを固縛する。

ちっ……。

殺戮兵器がいまどこにあるのか教えていただきましょう。素直に教えてくだされば、御身の安全は保証します。

兵器の発射スイッチは、俺の手元にある。

 おおっと、ドルキマス兵からどよめきがあがった。

殺戮兵器の発射スイッチまで手に入れることができるとは。これで戦争が終わると誰もが思った。

素直に渡してください。世界の軍事バランスを崩すような兵器は、この世に存在してはなりません。

その前に。貴様はなぜ隣にいる艦が味方だと思う?

……隣?

 次の瞬間、派手な爆発音と共に、レオナルドの味方艦が、次々に撃墜されていった。

砲撃しているのは、味方であるはずのドルキマス艦――いや、味方ではなかった。

ドルキマス艦に偽装するぐらいわけないにゃ!

 味方に砲撃した駆逐艦が、殻を剥くように装甲を外した。中にあったのは、例の魔道艇だった。

なぜだ!?

私の技術力を持ってすれば、ドルキマス艦に化けた上に識別信号を偽装することなんてわけないわ。

アーレント開発官。あなたがそこにいるということは……。

レオナルド。久し振りだな?今や、貴君も司令官か。出世したものだな。

その声は、ディートリヒ……元帥閣下?なぜ、逆賊などに味方するのです?

いや、やはりあなたは……第3王子テオドリク陛下なのですか?

いかにも。いままで正体を明かさなかったのは、その必要がなかったからだ。

だがいまや、ドルキマスは大陸の大半を支配し、見せかけの統一を果たそうとしている。

多くの人を犠牲にして……にゃ。

この大陸の人民に、問うてみたくなった。

ドルキマスの武力による平和か。殺戮兵器の恐怖によってもたらされる平和か。

なぜそのようなことを突然?

アルトゥール王が作る世が、あまりにも醜悪だからだ。それ以外に理由はない。

……。

 無線から聞こえる第3王子の声には、あまりにも無数の感情が込められているように感じた。

レオナルドは、続ける言葉を失っていた。

先に進むぞ。魔法使い、最大戦速だ。



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そろそろドルキマス王都が近いわね。このまま攻め入ってもいいものかしら?

アルトゥールが私たちを受け入れてくれるのであれば、無駄な血は流さずに済むのだがね。

 テオドリクがそう言うってことは、アルトゥール王は、徹底抗戦すると見ているのだねと君は言う。

ちょっと待って。王都から緊急放送よ。ドルキマス全域に放送しているみたい。

……今日の午後。リント・クレーエを処刑するですって?

 まさか、ジークの母親を――

先に行く!

 併走していたナハト・クレーエ号が、矢のように飛び出した。

君も慌ててあとを追った。

本当によろしいのですか?

かまわん。第4王子が、このドルキマスの空を脅かすというのなら、人質を亡き者にしろ。

殺戮兵器を差し出し、恭順する以外に、処刑を回避する手段はないと伝えろ。

そのようにお伝えします。

(王子同士を争わせ、ドルキマスを破滅へと導く……。いまのところは順調ですが――

問題なのは、殺戮兵器の行方。あれを手にしたものが、次のこの大陸の覇者となるでしょう。

テオドリク殿下が、ドルキマスヘ向けて殺戮兵器を使ってくれれば、私にとっては都合がいいのですがね)

z薄汚い空賊ども。まずは、お前たちから処刑してやる!

G結局、お頭は間に合わなかったでゲビス。

くそっ……ジーク。どうして来てくれないんだよ。金を持ち逃げしたこと、まだ怒ってるのかよ?

Nもー。男なんだから、泣き言言わないの最後ぐらい、空賊らしく死のうよ!

やだっ!やだっ!まだやりたいことが沢山あったのに!

Pはあ……最後は、空で死にたかったなぁ。

 ドルキマス王都の中央広場の処刑場。多くの重罪人が、ここでギロチンにかけられた。

Gやっぱり、死にたくないでゲビス!

N最後に……ジークに会いたかった……。

w本当か?

Pなんてったって、私たちのお頭だものね。私、本当はジークのこと……。いえ、今言ってもしょうがないわよね。

wお前たちのお頭は、相当好かれているようだな?まだお頭のことは好きか?

助けにこないお頭なんて好きなわけねえだろ!

G助けに来てくれたら、お頭のことを見直すでゲビス!

wそうだ。ここで助けにこないお頭は、最悪のお頭だな。

G……ってお頭ぁ!?そこにいたでゲビス!?

z貴様!どこから忍び込んだ!?

 瞬く間に、処刑人たちを殴り倒し、ジークは空賊の子分たちを救い出した。

逃げるぞ!

Nうん!来てくれると思ったよ!

P待ってジーク。まだお城の中にあなたのお母さんが……。

わかっている。だが、俺はお前たちのことも大事だ。

 騒ぎを聞きつけて憲兵たちがやってきた。

今は、母のことはいい。ー旦、ナハト・クレーエ号に引き返す!

空賊ナハト・クレーエ再出発だな!?

ドルキマスは俺が潰す。そして、母も絶対に取り戻す――



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 ナハト・クレーエ号に戻ったジークは、無線を使いドルキマス国に向けて宣言する。

いま俺の手には、殺戮兵器の発射スイッチがある。

アルトゥール王が、俺の母を人質にとってこちらに要求を呑ませようとするのならば――

俺は迷わず手元にあるスイッチを押す。そうすれば、王都は廃墟となる。

そんな最悪な未来を迎えたくはないはずだ。

アルトゥール。お前のつまらない野望に民を巻き込むな。

大人しく王城を明け渡せ……。貴様に王たる資格がないことを自覚しろ。

 もちろん、アルトゥールが城を明け渡すはずがなかった。

戦艦を繰り出し、最後まで王都を防衛する意思を見せた。

Gどうしても向こうは戦いたいようでゲビス。

そりゃあ当然だろ?まだ向こうの方が、戦力的に優位なんだから。

Nこちらは、ナハト・クレーエ号だけだよ。ー旦、引き返す?

P私たちだけでドルキマスの大軍相手に喧嘩売るのは、ちょっとねえ……。

心配するな。ドルキマスとアルトゥールのやり方に憤りを覚えているのは、俺たちだけではない。

こちらフェリクス・シェーファーだ。ジーク待たせたな。

フェルゼンでの戦いは終わったようだな?

”なんとか、祖国を解放することができました。あとは、ジークユーベル殿下の母上をお救いするだけですね。

そう簡単なものではない。

第3艦隊改め荒鷲の艦隊も、戦いに参加させてもらうよ。

アルトゥール陛下の求める平和は、あたしたち空賊にとって、ちょっと都合が悪いものねー。

ロレッティ!貴様、いま空賊といったか私は空賊になったつもりはない!

あれ?でも、荒鷲の艦隊ってなに?あたしたちって軍人じゃないよね?

テオドリク殿下の私兵だ。ぐ……軍隊のようなものだ。

ふふっ。賑やかですね。

お、お頭!?来てくれたの?

お前たちがピンチと聞いて駆け付けた。我等空賊も共にドルキマスと戦おう。

ロレッティ。いままでご苦労でした。私の命令を守り、よく働いてくれました。

いやー、それほどでも。

むむむっ……。

v込み入った話は、あとにしましょう。今はドルキマスを倒すだけです。

そうだ……。魔法使い、お前の後ろにいる男はいまなにを考えている?

なんか、楽しそうな顔をしているにゃ。

戦力が整ったとはいえ。こちらの艦は、数十隻。ドルキマスは、数百を超える。

この圧倒的な戦力差。絶望を感じないかね?

絶望を感じると楽しいのか……あんたは。

どのみち、ーか八かの戦いなんだ。楽な戦になるとは思っちゃいねえよ。

でも負ける気はねえぜ。最後の戦だ。思う存分暴れてやろうぜ!

 フェリクスの言葉に応じるように、全員の歓声があがった。

反ドルキマス同盟軍は、ゆるやかに王都に向かって進軍する――




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