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スケイルリバーの村

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バックストーリーの1つ「スケイルリバーの村」についてまとめたページです

スケイルリバーの村


その放浪者がスケイルリバーの村にやって来たとき、村はすでに耐えられる限界に近い状態だった。


作物の不作により厳しい冬を迎えるだけでなく、干ばつや洪水、胴枯れ、疫病、蛮族によるゆすり、その他ありとあらゆる悪党が過去5年間にわたって村を衰弱させていた。


ゆえにその放浪者が現れたときも、村人の反応は冷たかった。そのものは毛皮を縫い合わせた上着をはおっていて、みすぼらしく、汚かった。


彼は特徴のない顔をしていたが、その肌はろうでおおわれているかのように白かった。話しぶりはゆっくりで、声は太く、悠然としていた。


彼の細い指は常に動き続けていた。老人のように見えたが、その肌は顔にそぐわぬ若さがあった。


放浪者の要求は単純で、寝床と食事が欲しい、その代わりに物語と祝福を提供するといったものだった。


食事はパンの塊一つ、寝床は馬小屋のわらの山でよい、と彼は言った。それはよくあるような要求だった。


村人は過去にも何度か寝床と食事を提供し、祝福を受けたことがあったが、村の状況は悪くなっていく一方だった。


そのための村人の誰もが、この放浪者に対して冷たい反応をした。


放浪者は夜になるまで村の広場におり、近くに来た者に対して要求をし続けたが、結局それに応える者はいなかった。


翌朝、放浪者は広場から消えており、幾人かの村人は安どのため息をついた。慈善を求める旅人の相手をしてもろくなことはなかったし、それがみすぼらしい旅人であればなおさらだった。


しかし太陽が高いところまで昇ると、放浪者は再び姿を現した。コールの湖の方角から、足を引きずるようにして広場に近づいてきたのだ。


前日は冷たい反応をするだけだった村人たちだが、今回は敵意をあらわにするようになった。


おちょくるような動作をしたり、暴言を投げかけたりする者がいた。鍛冶屋は音を立てて唾を吐き、背中をかく動作をした。


放浪者は気にすることなく、同じ要求をした。しかし前回同様、それに応える者はいなかった。そして何人かの村人が恐れていたように、その後すぐに最初の悲劇が襲った。


その夜、肉屋の息子と、農場の労働者2人が行方不明になった。疑惑の眼は即座に、翌朝同じ要求をしに現れた放浪者に対して向けられた。


その日、彼は前と違った毛皮をまとっていた。それはまるで朝に急いで縫い合わせたかのようだった。彼の顔は依然と同じように青白く、その指は休むことなく動き続けていた。


村人たちの反応はさらに直接的なものとなった。彼らは放浪者を非難し、叫び、唾を吐き、身体を押した。放浪者はそのすべてを黙って受け止めた。


彼の特徴のない顔に、何とも言えない表情が浮かび、その指は疲れることもなく動き続けた、彼は抗議も言い争いもせず、ただ受け止めた。


村人たちの怒りの発露が途切れる度に、放浪者は同じ要求をし繰り返した。物語と祝福の代わりに寝床と食事を、と。


村人たちは興奮し、ついには肉屋が放浪者の鼻に強烈な一撃をお見舞いした。放浪者はよろめいて倒れ、その顔から血が噴き出した。


ほかの村人はその勢いに乗じ、もうろうとする放浪者を村の外まで引きずっていった。そして彼を糞尿の山に投げ入れると、様々暴言を浴びせ、顔に唾を吐き、二度と戻ってくるなと警告した。


放浪者を村から追い出したその夜、またしても村人が行方不明になった。村人は放浪者が戻ってくるのはと懸命に目を光らせていたが、毛皮をまとったあの男はその日姿を現さなかった。


来る日も来る日も、夜になると村人の誰かが行方不明になり、村人の怒りと不安は恐怖へと変わった。


もともと村には100人以上の人間がいたが、放浪者が現れてから六角期の間に、その数は70人を切るまでに減った。


放浪者がついに姿を現したとき、村は収拾のつかない恐怖と混乱に包まれた。


村人の中に僅かに残されていた親愛の感情は吹き飛び、兄弟も、両親も、子供も、古くからの友人たちも、お互いに強い疑惑の眼を向けるようになった。


しかし以前と同じように、放浪者は広場に足を踏み入れて同じ要求をした。物語と祝福の代わりに寝床と食事を、と。


村人は怒り狂うように放浪者を拘束した。村人たちを反目させていた様々な憎しみの感情が、今度は彼らをひとつにした。


村人たちに木に向かって引きずられながらも、放浪者は同じ要求を繰り返した。村人たちに首に縄を括りつけられても、放浪者は同じ要求を繰り返した。


村人たちが縄を枝にくくりつけても、放浪者は同じ要求を繰り返した。物語と祝福の代わりに寝床と食事を、と。


しかし村人たちが縄を強く引っ張ると、放浪者の足が地面から浮き、彼の太い声が途絶えた。足がけいれんし、止まってからも、手の指はしばらく動き続けた。


放浪者一晩中吊り下げられていた。村人たちは泣き、抱き合い、泣きながら笑い、顔を伏せ、また泣いた。


村人たちは六角期振りにぐっすり眠ることができた。しかし平穏な時は長く続かなかった。


翌日の明け方、異変を知らせる叫びが抑えられていた恐怖を再び起こした。吊るされていた放浪者が消えていたのだ。


そのことによる混乱がいったん落ち着いたとき、村人たちはいつもと同じことが起きていることに気づいた。彼らが放浪者を吊るしていたその夜にも、複数の村人が行方不明になっていたのだ。


恐怖が濃い霧のように彼らを包んだ。残酷で、冷たく、暗く、息が詰まるような霧が。


子の六角期の間村人たちは絶え間ない妄想、恐怖、そして怒りに支配されていたが、それらをはるかに凌駕する出来事がその夜に起きた。


その夜は満月で、コールの湖の方角からは濃い霧がたちこめ、呪われた村スケイルリバーを覆っていた。


そして月明かりに照らされた霧の中を、人影が村に向かってにじり寄ってくるのが見えた。


人、3人、10人、さらにもっと、彼らは激しい痛みを抱えているようにも見え、しかしその動きは止まることはなかった。


最初に村人が察知したのは臭いだった。それは何かが溺れて腐ったような臭いだった。


浜に打ち上げられ、半分鎖、泥にまみれ、目玉は膨れ、蠅がたかっている魚のような臭いだった。


そして霧の中にいる者たちの、膨張し、虫に食われた顔が明らかになると、友人や家族や子供や親たちは息を呑み、背筋が凍るような思いで、恐怖と痛みが混ざったうめき声を発した。行方不明になった村人たちが戻ってきたのだ。


かくしてスケイルリバーの村は亡びた。湖から来た者たちは疲れを知らず、恐れを知らず、情けを知らぬ者たちだった。


彼らは休むことなく村人たちを追いかけ続けた。すべての村人が湖の底の水のように冷たく、静かになるまで。


霧から現れた者たちの中には例の放浪者がいた。そして彼らが湖に戻っていくときにも、放浪者は一緒だった。



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