【黒ウィズ】アンダーナイトテイル ~童話戦争~ Story
アンダーナイトテイル Story0
プロローグ
ここは、万物の始まりと終わりを見通す異界。
108つあると言われている「異界」の監視者たちは、今日も暇そうだった。
yおーい。ストリーよ、どこにおる?そろそろ、報告書を提出する時間だぞ。
……ふむ。おらんのか?
rふにゅう……。
yやや!?セシーリアちゃんが、どうしてこんなところに?
q……(ぺこり)。
yこら!勝手に異界のものを連れてきては、いかんと言ったじゃないか?
歪みっちは、異界の歪みに人格が宿った存在。
いつの間にか、ストリーに懐いてしまったため、しかたなく置いてあげているのだが……。
悪戯好きな性格らしく、時々、別の異界の住人をこちらに連れてきては、ユームたちを困らせているのだ。
sセシーリアちゃん。お布団用意したよ。こっちでおねんねしましょうね。
rまだ、眠くないの。
sじゃあ、おねんねするまでご本を読んであげまちゅねー。
rご本好き……。
y手元にある本と言えば、異界の監視録~黎明編~。ぐらいかな。
sそんな退屈な本、セシーリアちゃんはきっと嫌いだよ。
r童話のご本がいい……。
sそうだと思って、はい。このとおり!『童話の住人たちが暮らす異界』に行って、いくつかご本を借りてきました。
その異界は、確か”演人”と呼ばれる童話の登場人物たちが譲している異界だな?
演人たちは、特別な環境に生まれ育った人たち。
彼らの人生は、「童話」という物語となって、他の異界の住人にも広く親しまれている。
s私も子どもの頃から、童話を沢山読んで育ったの。夢があって、素敵なお話ばかりなの。
いまでも時々絵本を開いて、子どもの頃を思い出しているんだ。
というわけで、セシーリアちゃん。なにか読んで欲しいお話あるかな?
rお姫様が出てくるご本がいい……。
sそうだよね。やっぱり、女の子はいつの時代も、お姫様に憧れるものだよね。
ストリーは、あるひとつの童話本を取り出した。
本のタイトルは「シンデレラになった少女」。
sそれでははじまります。ストリーの朗読ショー。
あるところに、とても可愛そうな女の子がいました。
そこへ、突然吸血鬼が現われて彼女をさらっていきました。
……終わり!?
y早っ!
sこんなはずないよ。前に読んだ時は、ちゃんとお話があったんだよ?
しかし、童話本をいくらめくっても、主人公の女の子は、誘拐されたまま、物語に戻ってこない。
他の童話も同様だった。登場人物たちが、童話の中で、ことごとく吸血鬼とやらに誘拐されて話が終わっている。
y童話の異界で事件が起きているようだな。
sでも、エッグボールで童話の異界を覗いても、いつもと変わりないよ?
y直接、異界に降りて確かめるしかないか……。
……それで、私たちが呼ばれたというわけにゃ?
s黒猫さんと、魔法使いさんの力をお借りするしかないんです。
食事の最中に、いきなり歪みに飲み込まれるのは、気分のいいものじゃないね、と君はナイフとフォークを持ったままぼやく。
君たちを無理やり吸い込んだ異界の歪みが、隣でぺこりと頭を下げていた。
キミの言葉がわかっているにゃ!
yすまんが、事は急を要する。だが、我々は、異界に直接干渉してはならん決まりだ。だから、お前たちに託す他ない。
sどうか、童話の登場人物たちを救ってください。
人助けなら、断れないねと君は、依頼を請け負った。
童話の演人が暮らす異界……。はじめて向かう異界にゃ。キミ、気合い入れようにゃ!
あらすじ
“童話の住人たちが暮らす異界”に異変が起きた。
ストリーが借りてきた童話本『シンデレラになった少女』の中で、シンデレラが何者かに誘拐されたまま物語に戻ってこない。
ほかの童話も同様に、登場人物がことごとく何者かに誘拐されていた。
誘拐された人たちを探すために、ストリーから依頼を受けた君とウィズは、童話の異界へと向かう。
そこで見たのは、童話石(どうわせき)を巡って争い合う童話の登場人物たちの姿だった。