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【黒ウィズ】黄昏メアレス4 Story5

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Story22 休息メアレス

Story23 詠唱メアレス

Story24 それぞれメアレス

Story25 〈絡園〉再訪

Story26 罪なる純粋

Story27 DILUCULUM

Story28 魔道loreless

Story29 血戦の果て




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story 休息メアレス



煮え切らん話だぜ。次の黄昏を待つしかねえなんてよ。

でも、良かったじゃないですか。眠っていた人たちは、みんな目を覚ましたんですから。

そうだな。今は気分を切り替えて、英気を養っておくべきだろう。

オッケー!

待ってリピュアはオッケーしないでいろんなものが削がれてくんで!!

 と、いうことで、食事になった。

もちろん、いつも通り〈巡る幸い〉亭である。倒れた人々を救助していた他の〈メアレス〉たちも、疲れた顔で集まってきている。

門から〈絡園〉に行けると言っても、全員が都市を留守にするわけにはいかないだろう。

そうですね。〈ロストメア〉も出るでしょうし。

あなたたちは留守番よ。行ける人数は限られてるの。はい、マトンパイお待ちどう。

ああ、なんて嘆かわしい光景かしら。栄光あるアストルム一門最後の魔道士が、こんな安っぽい店でお給仕なんて。

表に出ろ凶夢。

まあまあまあまあまあまあまあ。

嫌なら厩(うまや)にでも引っ込んでいてください。そもそも食事なんて必要でしょう。

あら、とげとげしい。親の教育がなっていないんじゃないかしら。

斬ります。

まあまあまあまあまあまあまあ!

いい性格してるにゃ。

〈ロードメア〉が手を組みたがらなかったわけだ。

……まあな。

そういえば、あなたたち、今日はどこで寝る気なの?

さて、どうしたものかしら。リフィル、どこか紹介してくれる?

床で寝ろ。

もしくは路上。

ひぃー……。

……というか、〈ロストメア〉も寝るのか?

睡眠が必須なわけじゃないが、休眠状態になることで、ある程度、消耗した力を回復できる。

〈夢〉が寝る、って、なんか字面にすると変な話よね。

夢が夢の中で夢を見て、その夢がまた夢の中で夢を見て、さらにその夢がまた夢の中で夢を見る。

ひょっとしたら私たちは、誰かが夢の中で見た夢が夢の中で見た夢の夢の中の夢の産物なのかもしれない!!!

何か読んだな。

オカルト系のタブロイド紙。最近ハマってるのよ。

妖精なのに。

古代人の大予言に記された未確認生物が臨死体験でタイムトラベルするとき、異界人が現れるんだって!怖いよねー!!

盛り盛りだな。

そもそもおまえが未確認生物だろ。

あと異界人もうそこにいらっしゃいますけど。

 異界人でーす、と君は答えた。



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story



真っ向正面ストレート!真っ向正面ストレート!真っ向正面ストレート!

ふにゃあ……ミリィ、朝っぱらから何してるにゃ?

うす!パイルバンカー新しい杭打機に、起動呪文を登録してんです!

俺のウィールもそうだが、高度な仕組みの魔匠具は、特定の機能を解放するのに簡単な詠唱を必要とするんだ。

〈戦小鳥〉の使う〈フラグランティア〉は、特に多機能だからな。機能ごとに起動呪文を変えておくこと?スムーズな対応が可能になる。

よくわからんが、めんどくさそうだな。

わかりやすく言えば、あんたがコピシュに必要な剣を要求するのと同じだ。

『ブロードソード』って言えば広幅剣が来るし、『カットラス』って言えば短曲刀が来るってことですね。

つまり、ミリィのパイルバンカーは……ミニコピシュ!!!

ミニコピシュ!なんかいいっすねそれ!あたしも「アイアイ!」って返事してほしい!

ユパル社に頼めば、〈フラグランティア〉に音声返答機能をつけてもらえるはずだ。あとは〈裂剣〉の音声をもらえばいい。

そういうこともできるのか。魔匠具を使う〈メアレス〉の間で流行りそうだな。

ちょっと恥ずかしいんですけど……。

一言いくらだ?

お父さん。

 詠唱の内容はなんでもいいの?と、君は魔道士的好奇心から尋ねた。

ドッカーン!な攻撃用の起動詠唱なら、自分で「これならドッカン間違いなし!」って思える言葉の方がいいそうですよ!

〈絡園〉と魔法の関係を知った後だと、興味深い話ね。

魔法の詠唱ば願う力、を強め、魔力に干渉するためのものだものね。よその世界の魔法は、どうなのかしら?

妖精の魔法はね、「こうなったらこうなる」信じる心が大事だよ。だから、『そうなる』感のある呪文を使ってるんだ。

「くわばらくわぱら、ぱんかぱかーん!」

「はたはたぎっちょん、ぎっちょんちょん!」

「マジカルドリームレボリューション!」

リピュアさんのなかでは『そうなる感』あるんですね、あれ……。

でも、雷系だけリフィルと同じ詠唱じゃない?あれってなんで?

あれ言うと、なんか雷出るっぽいでしょ?

ぽさだけ?

たぶん、本当になんでもいいのよ。リピュアが『あの詠唱なら雷が出る』って信じていれば、できてしまうの。

私たちにもそれができたら、魔法なんて使い放題なんだろうけど。

魔法のからくりがわかった今でも、あの人形なしには使えないのか?

アストルムの魔法は、知識だけでは使えない。特殊なコツがいるの。そして、それを知っている人間はもういない。

ある種のカンのようなものらしいな。俺も知識としてしか知らないが、かつては師が弟子に〈秘儀糸〉を介して伝えていたようだ。

私、知っているわよ。

えっ。

教えてあげましょうか?リフィル。

…………っ。

そうねえ――土下座して靴を舐めて、『お願いしますお師匠さま』って言ったら、教えてあげてもいいけど。

……………………っ!

騙されるな、〈黄昏〉。そいつがアストルムの魔法を使えるのは、〝魔道再興の夢〟という〈ロストメア〉としての能力にすぎない。

そこの妖精と同様、別の手段で疑似的に再現しているだけだ。コツとやらを知っているわけじゃない。

あら、もう、〈ロードメア〉ったら。ネタばらしが早すぎてよ。

繋げ、〈秘儀糸〉……。

魔ッ法ー使いさん!魔法使いさんトコの魔法はどうなんですかね!呪文とか!そういうの!

クエス=アリアスの精霊魔法は、『叡智の扉』を通じて異界の精霊に呼びかけるのと、そのその問いかけに答えるのに呪文が必要にゃ。

精霊の問いかけとは、どういうものなんだ?

 明確なものではない、と君は答えた。その精霊が持つ精神的な命題や存在の意義。そういったものにどう答えられるか次第だと。

だからこそクエス=アリアスの魔法使いには、精神修養や様々な知識が求められるにゃ。

聞いた?リフィル。あなたももっと精神修養しないと、魔法使いみたいになれないわよ。

修羅なる下天の暴雷よ……。

わー!わー!!



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108の異界、か……。

他の異界にも、きっといろんな魔道士がいるんでしょうね。魔法使いは会ったことある?

 …………。

ろくでもないのいたよ、と君は言った。



〈園人〉……厄介な相手だったな。

そうですね。〈ロストメア〉の能力に加えて、リフィルさんと同じ魔法まで操るんですから。

おかげでもう詠唱が耳タコっすよ耳タコ。

修羅なる下天の暴雷よ!千々の槍以て降り荒べ!

ごはあ!

お父さん!?

えええええええ嘘ちょっ待っええええええ!?ま、まままさかあたしが魔法をええええ!?

後ろ。



猫の日。

やめろ!!!



改めてすまなかった、ミリィ。詫びにパイルバンカーの費用を立て替えさせてくれ。

ああいやいやいやいいっすいいっす!あれタダなんで!

 そうなの!?と君は驚いた。

杭打機は、魔匠具会社のユバル社さんが、無料で貸してくれてんです。他のは普通にお金かかるんですけど。

ユバル社って、いろんな魔匠具作ってんですけど、あたしが使うといいテストになるらしくて。

あんな武器使えるの、ミリィさんくらいですもんね。

ミリィにさんざん使ってもらって、欠点や問題点を洗い出したうえで、使いやすく改良して売ろうってことよね。

 武技に通じたふたりが、うんうんとうなずき合う。

ミリィがちゃんとした技を身に着けたら、最強なんじゃないかにゃ。

それはいいな。俺も〝最強〟の返上先を探さなくて済む。

あー……前にちょっと、いろいろ習ったは習ったんですけど……。

技的なのをやろうとすると、ああしなきゃこうしなきゃってなって、かえってなんもできなくなっちゃうんですよね。

〈戦小鳥〉って、やっぱそういう……。



すいませんレッジさん!お父さんが剣壊しちゃってすいません!すいません!

ああ、いや……状況が状況だった。仕方がない。

2本目くれよ。

反省はしろ!!!





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 黄昏に染め上げられた門が、巨大な影を踏み従えるようにして、静かに君たちを待っていた。

門という形、門という意味を与えられ、今や異界とすら通じうる力を得るに至った、この都市の中心にして象徴たる存在。

すっかり見慣れたと思っていても、この時刻、その壮麗な佇まいを前にすると、呑み込まれてしまいそうになる。

決めた通り、6人で行く。

 並んだ〈メアレス〉たちを前に、リフィルは言った。

リフィルとリピュア。ウィズと君。そして〈ロードメア〉と〈ミスティックメア〉

〈絡園〉に赴き、ディルクルムを倒すための限界人数であり、最善のメンバーだった。

ウィズさんも行かれるんですね。

にゃはは。魔法戦アドバイザーってところにゃ。

 大事な戦力だ、と君はうなずいた。師であるウィズの助言があれば、どの魔法を使うかという判断精度が格段に高まる。

勝算はあるのよね?

ある。次は勝つと、決めていたから。

 うなずき、リフィルは門へと向き直った。

繋げ――〈秘儀糸〉!

 魔力の糸が門に触れる。

瞬間、覚えのある感覚が君を襲った。

心が――魂そのものが引っ張られる感覚。心構えをしていたので、意識を失うことはなかったが、それでも落ち着かない気分だった。

異界を渡るときの感じにも似ていた。違うのは、身体という重みが消え失せる爽快さと頼りなさだ。

君は息を吐き、まぶたを開く。

もちろん、それは疑似的な感覚だ。今の君は魂だけの存在なのだから。

見覚えのある景色が広がっている。

〈絡園〉。

すべての夢の行き着く場所。




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これが〈絡園〉……ね。

 歩きながら――噛み締めるように、〈ミスティックメア〉がつぶやいた。

魔道の根幹をなす場所にして、私たち〈ロストメア〉の生まれ故郷……。

〈秘儀糸〉を介してネブロから聞いてはいたけど……やはり、実際に来ると圧倒されるわね。

 〈絡園〉を織りなす魔法陣のひとつに軽く触れ、彼女は、感慨に満ちた吐息をもらす。

来て良かったわ。ひとつ、わかったことがある。

え、なになに?

 敵味方のしがらみなど頓着せず寄ってくるリピュアに、子犬を見るような目を向けてから、〈ミスティックメア〉は言った。

なぜ、〈絡園〉が生まれたのかよ。

 その言葉に、リフィルが眉をひそめた。

そういえば、と君は思う。

〈絡園〉がどんな場所か、リフィルがネブロから説明を受けていたが――そもそもなぜこんな場所が生まれたかは不明のままだった。

現実があるなら、夢もある。ただそういうものとして存在していたわけではないということか?

ええ。

ここはね――きっと、こぼれ落ちた思いの塊なのよ。

人が夢を失うとき、心の一部がこぼれて落ちる。〝願う力〟――何かを叶えようという思いがね。

夢をなくすと、願う気持ちもなくしちゃうの?

そう。そうなったあと、また〝願う力〟が芽生えるかは、その人次第でしょうけど。

なんにせよ、こぼれた思いはここへ来る。

どこへも行けずさまよう気持ちたちが、延々と降り積もり、絡み合い……そしていつしか、〈絡園〉になった。

あらゆる命の〈ロストメア〉――〝夢を叶える夢〟にね。

〈絡園〉が――くロストメア〉?

 目を見張るリフィルに、彼女はうなずく。優しい手つきで魔法陣を撫でながら。

私には、それがわかる。私もまた、積もり積もったアストルム一門の気持ちから生まれた〈夢〉だから。

〝夢を叶える夢〟――願いに応え、それを叶えるための魔力を授ける〈ロストメア〉か……。

俺が最初の〈ロストメア〉だと思っていたが……こんなところに先達がいたとはな。

あの森さえ作られなければ、最初で最後の〈ロストメア〉だったでしょうね。

〈絡園〉は、自分を叶えようとはしないの?

叶いようがないんじゃないかしら。これほどの存在ともなると、門を通ることができない。

それにきっと彼らが〈ロストメア〉になったのは、自分が叶うためじゃなかったのよ。私たちとは違ってね。

叶わなかった自分たちの代わりに、まだ叶えられるかもしれない願いを、助け続ける存在になりたい――

ここには、そんな気持ちが満ちているわ。

 だとしたら、と君は言った。ディルクルムを止める理由が、ひとつ増えた、と。

ひとつの願いだけを叶えるために〈絡園〉の力を使うのは、〈絡園〉自身の願いに反している。

……そうね。

この優しさがわからない男に、優しさを語る資格はない。

 誰もが、その言葉にうなずいた。

敵であれ、味方であれ。人であれ、〈夢〉であれ、妖精であれ。

その思いだけは、同じだった。


 ***


ディルクルムは――

ふと、リフィルが疑問を口にした。

なぜ、平和や優しさにこだわるの?

夢想家だからだ。

 その男の〈夢〉であった〈ロードメア〉が答える。やるせなさを帯びた声で。

当時――機械技術が急速に発達し、世界に混乱が広がっていた。

急激な成長は、既存の枠組みを軋ませる。貧富の拡大――治安の悪化――成長痛のような不和が、世界中に生まれた。

あいつは単に、それを見過ごせなかった。本当に、それだけだったんだ。


「技術の発達が不和をもたらすのなら、そのせいで苦しむ者を救えるのは、我ら魔道の使い手だけではないのか?

〈絡園〉には、さらなる神秘が眠っている。その力を用いれば、人を、世界を正しく導ける!

腹を空かせた幼子を、病に倒れ苦しむ者を、戦に駆り出され死んでいく兵たちを――救いたいとは思わないのか!!」


……気持ちはわかるにゃ。

 魔道士は、人々の奉仕者たれ。クエス=アリアスの魔道士ギルドの原則だ。

魔法とは、自分のためだけにあるものではない。自分を含めた、多くの人の幸せのためにある。それが君たちにとっての魔道のあり方だ。

ディルクルムにとっても、そうだったのだろう。

でも、アストルム一門は違った。彼らは、魔法を自分たちのためのものとしか考えていなかった。

愚かしいことにね。

けど、愚かなのはディルクルムも同じよ。だからって、世界から魔法を奪わなくてもいいじゃない。

 珍しく、憤憑をあらわにした物言いだった。魔法を失った人々の願望から生まれた彼女としては、許しがたいことなのだろう。

……純粋すぎたんだ。良くも悪くもな。

世界中の人間が優しくなれば世界は平和になる――だなんて、確かに象牙の塔で純粋培養された人間の考えそうなことね。

人の心は、そんなに単純じゃない。ルリアゲハが言っていたように、優しさが命を奪うことだってある。

そう告げたところで――伝わらないだろうけど。

 かたくなであること。純粋すぎる者の強みでもあり、弱みでもある。

結局――

天がどんなに慈悲深くとも、見下ろすことしかできないのなら。地を這う者の目線は理解できないのだ。



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 膨大な魔力を孕んだ虹色の繭が、深い海の底に眠るような宝玉のような、不思議な色合いで輝いている。

前に見た時よりも、内包する魔力が濃く、強くなっている。都市の人々の〝願う力〟を吸ったことで。

w……シードゥス。ゴルディーナ。アーレス。

 繭の前に立ち、無数の魔法陣を操っていた男が、ぽそりと3つの名を告げた。

w彼らの死は無駄ではなかった。もうすぐ大いなる秘儀が成り、世界は優しさで満たされる。

 振り向く。

Mその邪魔を、許す気はない。

 ディルクルム。

すべてを見下ろす天の瞳に、同胞を失った怒りと悲しみが、まざまざと浮かんでいる。

こちらも、おまえの語る理不尽な優しさを許す気はない。

 リフィルが、毅然と進み出た。細い指先から〈秘儀糸〉が伸びる。

ディルクルムの手が、スッと持ち上げられる。

青白い糸が、リフィルヘ向かって走り――眼前で、音を立てて弾かれた。

リフィルの人形に対する干渉が拒絶されたのだ。

無駄だ。俺も、おまえと同じくらいには、あの人形のことを知っている。

私も、それなりにね。採れるだけの対策は採らせてもらったわ。

Mアストルムの〈ロストメア〉……。

〝魔道再興の夢〟――〈ミスティックメア〉よ。お見知りおきを、古きご当主さま。

あなたが魔道再興を約束してくれるなら、そちらにつくのもやぶさかではないけど――

M不用意に〈絡園〉に干渉する者が現れれば、世の平和が乱されかねない。魔法の存在は、私が管理する。

でしょうね。

だから、あなたは焼き尽くす。私が私を叶えるためにね!

秘儀が成れば、人は今ある夢を失い――当然、大量の〈ロストメア〉が生まれる。

おまえのことだ。それを放っておくつもりはあるまい。

M無論だ。世の理を乱す怪物――そんなものを解き放つわけにはいかない。

世界が平和になったあと、私のすべきことは――おまえたち〈ロストメア〉を、残らず消し去ることだ。

俺たちは〈夢〉だ。生まれたからには叶いたい。だが――〈ロストメア〉として生まれたかったわけじゃない!

おまえを止めるぞ――ディルクルム。まだ叶うかもしれない夢たちのために。彼らを〈ロストメア〉にさせないために!

M〈メアレス〉――〈ロストメア〉この混沌たる世界の象徴。哀れで慄い黄昏の落とし子よ。

古き殼を破り、世に黎明をもたらすために――おまえたちは、我が魔道のすべてを以て討ち果たす!

M繋げ――〈秘儀糸〉!


 ***


 魔法と魔法。魔力と魔力。あらゆる力がぶつかり合った。

アストルムの魔法使い。2体の〈ロストメア〉。異界の魔法使いと妖精。その力を合わせても、ディルクルムを倒しきれない。

なんでこんなに強いのー!?

ここが、奴の牙城だからよ!奴を守り、強化する魔法が幾重にも施されている!

それでも、負けているわけじゃない。このまま攻め潰すぞ!

 激しさを増す戦いの中、突然、ディルクルムが静かに目を閉じた。

古き魔道士の口から、これまでに聞いたことのない詠唱が、酒々と流れ出す。

M無垢なる叡智の階は、聖境を拓く秘鍵なり。古きさだめは解かれ果て、天理あまねく我に帰す――

――私の知らない魔法だと!?

撃たせるな!

 君たちは全力で攻撃魔法を放った。しかし、そそり立つ魔法障壁が、そのことごとくを打ち払う。

あらかじめ用意していた防御魔法――そのすべてをかき集めたであろう不落の城。

それでも決して無敵とはいかない。乱れ飛ぶ攻撃魔法の嵐を受け、ついに、ディルクルムを守る障壁にヒビが入る。

だが、障壁が砕け散るより早く、ディルクルムは目を開き、術を締めくくった。

〈天理嚮導(レグナートル・アストリー)〉!


 消えた。

 すべてが。

 すべての魔法が、一瞬で。


えっ――

これは――

まさか――

 誰もが言葉を失い、立ち尽くした。

今まさに放とうとしていた魔法が――妖精魔法が、精霊魔法が、アストルムの魔法が、〈ロストメア〉の能力としての魔法が――

すべて、一瞬で消え失せていた。

君はカードに魔力を込めた。精霊に呼びかけ、問いかけに答え、改めて魔法を発動させようとする。

何も起こらない。

精霊の力が――魔法が発現しない!

M私以外のあらゆる魔道士を無力化する魔法だ。

 厳然と、ディルクルムが告げる。

その声は、魔法の絶えた世界に絶望的な宣告として響き渡った。

M私が、〈絡園〉に来てから作り上げた魔法だ――我が記憶、アストルムの知識を持っていようと、対処しようもあるまい。

 ディルクルムは、君たちに興味を失ったように、〈ロードメア〉だけに視線を集中させた。

Mこの術で封じられぬのは、おまえだけだ。我が〈夢〉よ。

…………。

Mネブロの言った通り、おまえは私の弱さの体現だ。捨てたはずの夢なら、躊躇なく消しておくべきだった。

だから今――おまえを消して、私は、〈園人〉としての大望を果たす!

下天ボンバー!!

 雷撃が。

おまえの言葉など知ったことかとばかりに走り、ディルクルムの顔面を撃った。

弱く、か細い雷条だった。防御魔法に守られたディルクルムに、ダメージひとつ与えられていない。

M――な。

 それでも、彼を驚かせるには十分だった。

やはり――これなら通じるようね。

 ディルクルムは、愕然と顔を撫でた。天の高みにあるべき男が、ありえない、という顔でたじろいでいた。

その目に、ハッと理解の色がよぎった。

M――ネブロか!!

そうだ!!

 答え、リフィルは〈秘儀糸〉を構える。不屈の意志を、燃える闘志を――確かな意地を瞳に乗せて。

あのときネブロは、私に蝶を飛ばした。自分が敗れるとわかっていておまえに挑み――最期に見たおまえの秘儀を、私に伝えた!


「ディルクルムが使ったのは、おそらく、自分以外の魔道士の詠唱を無効化する魔法よ。

一度使われた魔法を〝場、に記憶させておいて、次にその魔法が使われたとき、詠唱の意味性や願いを切り崩し、効果を打ち消す。

要するに同じ魔法は2度と使えなくなる。そういう結界ね。」

「なるほどにゃ。〝詠唱〟というプロセスを必要とする限り、どんな世界の魔法でも打ち消せる……とんでもなく恐ろしい秘術にゃ。」

「きっと、魔法使いとリピュアが攻撃魔法をあらかた使い尽くした局面で仕掛けてくるはず。

既存の魔法では、太刀打ちできない。だから――

〈メアレス〉流で、行かせてもらう。」


 リフィルの手に、〈秘儀糸〉がきらめく。

それは、はるか遠くへとつながっている。遠く、遠く――君たちが通ってきた門の、その先へ。

すべてを繋げ――〈秘儀糸〉!

流れ込む。何かが。門の外から、〈秘儀糸〉を通じ――リフィルヘと。

次の瞬間、彼女の糸が虚空を走り、6つの人影を編み上げて、ディルクルムヘと飛ばした。

数撃ちゃ当たるの理屈で攻める!

 先手を取るは〈墜ち星〉。手にした銃が火を噴いて、魔力の弾丸を次々と吐き出す。

真っ向正面ストレート!

 避けたところに〈戦小鳥〉――魔力の杭打機がこれ以上ないタイミングで放たれ、ディルクルムの身体に突き刺さる。

剣なら!

負けねえ!

 続けて踊る〈裂剣(ティアライザー)〉と〈徹剣(エッジワース)〉の双剣が、よろけたディルクルムに容赦ない魔力刃の連撃を浴びせた。

Mぐっ……これは――

横槍叩をき込ませてもらう!

 逃れようとするディルクルムを鎖で縛り、ダイトメア〈夢魔装〉が痛烈な拳を叩き込めば、

今は走ると決めたんだ!

 〈魔輪匠〉の魔弓が追い打ちで走り、破壊の衝撃をその身にもたらす。

まさしく文字通り一糸の乱れもない連携を受け、ディルクルムは魔法陣の床に叩きつけられた。

M外の〈メアレス〉の……意志だけを飛ばしたか!

 うめきながら起き上がる。先の集中砲火でひび割れていた防御障壁が、ついに耐えきれず、砂のように崩壊していた。

〈絡園〉では、願いがそのまま力となる。なら、魔法でなくても戦いようはある。


「願いが魔力と結びつき、力に変わる。ここはそういう場所だ。だから、戦う意志そのものが力となっているんだろう……。」

 以前、ルリアゲハたちが〈絡園〉で戦える理由を、〈ロードメア〉はそう説明した。

殴る、と思えば殴れる。斬る、と思えば斬れる。単純に言えば、そういう理屈だ。

なら外の〈メアレス〉たちの〝戦う意志〟を、秘儀糸に乗せてここに運べば、彼らの〝攻撃〟を再現することもできる。

私にはできない芸当だわ。

 自分にすべきことはないとばかり、〈ミスティックメア〉は肩をすくめて笑った。

いくら意志を届けたところで、互いの呼吸がぴったり合わなければね。

 そういう意味では、現実的な手法ではない。

だが、リフィルの場合は話が違う。

タッグとして、あるいは商売敵として――彼女は他の〈メアレス〉たちの戦いを、幾度となく目にし、呼吸を合わせてきた。

そのリフィルだからこそ、寸分の乱れもなく、彼らの〝意志〟と秘儀糸の呼吸を合わせ、〝攻撃〟に変えられるのだ。

Mしょせんは間に合わせの小技だ!

そうね。でも、いいのよ。それで。

必要な時間は稼げた。そうでしょう?魔法使い。

M――!?

 ばっちりだ、とうなずいて。

君は魔力を解き放った。


 ***


 君の魔法は精霊魔法。精霊の数だけ詠唱がある。手持ちの力ードの魔法は使い尽くしたが――

なら、新たな精霊と契約すればいい。

にゃはは。さすが〈絡園〉――いい魔力の淀みっぷりにゃ!

 契約の儀式に必要な精神集中は済んでいる。君は意識を広げ、精霊たちへと呼びかける。

本来、異界の精霊に呼びかけるには、『叡智の扉』を開かねばならない。

だが今回は、その必要もなかった。

ゆけ。叶わざる夢たちのもとへ!

 〈ロードメア〉の力が、君の魔力を導く。この世界に宿る精霊――誰かが存在した証そのものへと

つかんだ。見えた。問いかけが来る。我が存在を示してみせろと。

わかっている。あるいは、聞いている。

君は告げる。彼らの存在――その真名を。


失われた力を取り戻し――

さらに力を引き出して――

鉄壁の防御を固め――

すべてに抗う意志のもと――

理不尽きわまる暴力を打ち消す!


M――馬鹿な!!

 ディルクルムが雷撃を放つが、もう遅い。

飛来する力をすべて防ぎ止めながら、君は砕く。

自分以外の魔法を認めないなどという、反吐が出るような暴力を!

これでどうにゃ!

 〝場〟に敷かれた魔法陣が、砕け散る。恐ろしいほどあっけなく、木っ端みじんに、散り散りと。

M馬鹿な――こんな――こんな魔法が……!

アハハハハハハハハハハ!

そうでしょう、そうでしょうとも!いったい誰が想像し、対策できるというの?異界から来た魔法使いの魔法なんて!

これで条件は五分に戻った。

 〈秘儀糸〉で形作られた6つの人影が、彼女の周囲で身構える。

リフィルはカッと眼を見開き、魂からの烈声を放った。

行くぞ!魔法使いッ!!

 君はリフィルの秘儀糸に合わせて、精霊の力を解き放った。


 ***


クレイモア!ダブルで行くぜ!

アイアイ!

「捨てられる痛みなんてわからない奴らがッ!!


「襟を正して死になさい!」「襟を正して行きますよ!」


眠れる力を解き放つ!

意地の一矢をくれてやる!


…………。

刀災絢爛、瑠璃時雨!


羽ばたけもせずに散るものかぁっ!

穿たせてもらうぞ――渾身のピリオドを!


リフィルの編み上げた秘儀糸の〈メアレス〉。君の召喚する〈ロストメア〉の精霊。


「「目覚めよ神雷!空の静寂打ち砕き、あえかな夢を千切り裂け!」」


リピュアの妖精魔法と、〈ミステイックメア〉のアストルムの魔法。


引導をくれてやる!!


そして〈ロードメア〉の〝導き〟の一撃が、ディルクルムを猛打する。


Mがぁっ……!

 叩き伏せられ、無様に地に転がるディルクルムヘ、君たちはさらなる攻撃を重ねようと身構えた。

だが。

Mぐ――お――おおぉおおおおおおおおッ!!

 ディルクルムの魂そのものが、なりふり構わぬ絶叫を上げて震えた。

M夢だ――私の――〈園人〉の――大望!優しく――正しく――世界を――導く!!

 〈絡園〉が嬬動(ぜんどう)する。君たちの態勢が崩れた。吹き荒れる魔力が、君たちの魂をあおり、薙ぎ倒さんばかりだった。

Mここで――果てるものかぁっ!

 〈夢の繭〉に、わずかな切れ目が生じ、そこから虹色の魔力があふれて、滝のようにディルクルムヘ降り注いだ。

Mああぁああああぁぁああああぁあああっ!!

 轟く。叫びとも悲鳴とも、怒号とも雄叫びともつかぬ、しかしまちがいなく魂からの叫びが。

めくるめく虹の輝きが、〈絡園〉中を埋め尽くし、そして――

Mはぁっ!!

 咆呼とともに、ディルクルムに収束した。

君は、思わず息を呑む。

ディルクルムが、こちらを見ていた。

もはや、天の高みから見下ろす瞳ではない。叩き伏せられ、地に墜ちて、泥にまみれ――そして立ち上がってきた男の瞳だった。

〈夢の繭〉の魔力を使ったか。

人の魂が耐えられる魔力には限度がある。相当な負荷がかかっているはずよ。彼も必死ね。

Mおまえたちは、ここで潰す――なんとしてでも!!

うひー。むちゃくちゃ怒ってるー。

やっと、私たちらしい戦いになってきた。

血反吐の吐き合いへようこそ――ディルクルム!!


 ***


 誰もが。立っているのがやっとの状態だった。

力という力を出し尽くし、技という技を使い尽くし、それでも、どちらも倒れていなかった。

文字通り、魂をすり減らしながら。

Mおのれ!疑似魔法ごときでェッ!

これが……私の魔法よ。

疑似だろうと、なんだろうと……私は、これで戦ってきた。〈メアレス〉として――〈黄昏〉として――

M夢もないような者などが!

夢はなくても、意地がある!

夢も心も使い捨てる、おまえの魔法などに!意地でも負けてやるものかっ!!

Mふざけろォッ!

黒洞洞たる夜らの果て、赫灼灼たる綺羅あらん!天を爪指し見るがいい、くるめくほどの灼光を!

〈破夜天光〉(ディーラケラーティオ・ノクテム)ッ!!

 ディルクルムの指先から、渾身の雷がほとばしる。

震える膝を支えるので精いっぱいのリフィルには、それを避けるすべがない。

〝我が身を焦がすは憎悪の炎〟(ウーリット・メー・アールドル・イニミーキティアエ)!!

 割り込んだ〈ミスティックメア〉が、燃え上がるような魔法陣を組み上げ、雷撃を阻んだ。

〈ミスティックメア〉――

立派よ――リフィル

 どこに隠していたのかと思うほどの力で雷撃を食い止めながら、彼女は笑った。

そうよ。魔法に正解なんてない。誰もが思いのままに魔法を使う――それこそあるべき魔道再興!

それが成るなら――この魔力、全部あげるわ!!

 魔法陣が膨れ上がり、爆裂した。

があぁっ……!!

 自爆的詐裂。雷撃を粉砕するのと引き換えに、〈ミスティックメア〉の魂が、ずたずたに引き裂かれ、吹き飛ばされる。

リフィルは驚いたようにそれを見つめ――すぐに、ディルクルムヘ視線を戻した。

唇が震える。

つぶやきのように、詠唱がこぽれる。

目覚めよ……神雷……。

Mさせ、るかぁっ……!

お願いッ!シチュージンッ!!

 リピュアの絶叫。沸き立つ魔力の人影が、ディルクルムの放った雷撃を受けて散る。

空の、静寂……打ち砕き……。

Mまだだぁっ!

 君は、残った力をかき集めて魔法を放った。守護の力が発動し、リフィルに飛んだ雷を弾く。

あえかな……夢……。

M止まれぇっ!

我が召喚に応えよ!召魔の王者、エンシェント・マロマル!

 ウィズの咆呼。紅蓮の爆炎が吹き上がり、雷撃を呑み込んで相殺する。

なんてことだろう。君は愕然とウィズを見た。〈絡園〉の魔力を強引に使い、カードもなしに『叡智の扉』を開くなんて!

にゃはは……さすがに無茶が過ぎたかにゃ……。

 力なく笑い、ウィズが倒れる。何をどうやったのか、君にはさっぱりだが――魂に負荷をかける、相当な無茶だったらしい。

夢、を……。

Mこ、の、ォッ……!

 息も絶え絶えに放たれた最後の雷が、止めるものも阻むものもなく駆け抜けた。

リフィルのいない虚空を。

M――!?

 眼前。

大きく見聞かれたディルクルムの瞳――その前に。

いた。リフィルが。瞳に苛烈な光を帯びて。

やれェッ!〈黄昏〉ォッ!!

 〈ロードメア〉。その〝導き〟の果てに。

Mこのッ――、……!?

 身構えようとしたディルクルムが止まる。足首に、細い糸が巻きついていた。

伸ばしているのは〈ミスティックメア〉――吹き飛びながら〈秘儀糸〉を放っていたのか。倒れたまま、ニヤリと笑う。

M貴様――

千切り裂けェッ!!

 雷撃が。

茫然と固まる男の魂を、呑み込んでいく。

とうに限界など超えていた魂を――ほとんど意地だけで立っていた魂を――

それ以上の意地が、打ち砕いていく。

終わりだ……ディルクルム。

 そのつぶやきは、手向けだったのかもしれない。

優しい世界の夜明けを夢見た男の魂は、苛烈きわまる雷のなかで、薄れ、砕け、

(や)き尽くされて、消え散った。




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…………。

 主を失った世界に、魂の吐息だけが響く。

やったにゃ……。

 ウィズの言葉に、君はうなずく。

 ディルクルムは倒れた。〝世界平和の夢を植えつける〟秘儀をついに完成させることなく。

君たちのなすべき戦いが、今、終わったのだ。

……これで――

……う!?ああ――あああああっ!

リフィル!?

 突如、リフィルがくずおれ、絶叫を上げた。

君は思わず駆け寄ろうとして、

見た。

〈夢の繭〉。

震えている。熱く。さらなる光を放ちながら嬬勤し、やがて、ピシリと鋭い音を立てる。

割れる。いや――破ける。内側から。

虹色の魔力が、産声のようにあふれ出す。こぼれ落ち、ほとばしり、膨れ上がって強くはばたく。

光。ただ光だけが満ちる。何もかもを埋め尽くし、広がっていく。

崩れ去る視界の中で、君は必死にリフィルに手を伸ばす――

いかん!

 君は、魂が押し流される音を聞いた。



キミ!起きるにゃ!

 緊迫したウィズの声で、君は意識を取り戻した。

ずっしりとした重みが全身にのしかかる。生身の重み。肉体の重みだ。冷たい風が頬を叩く、それさえ懐かしく思えた。

見回す。都市。どこかの屋根の上だった。

傍らに、ラギトがいる。すでに魔性の装甲をまとっていた。

魔法使い。平気か?

 だいじょうぶ、と答え、君は頭を振る。起き上がろうとすると、まだくらくらした。

いったい何があったの?と聞きながら顔を上げて。

君は絶句した。

とんでもないものが、視界に入ってきたからだ。


〈ロストメア〉。

一瞬、理解が追いつかなかった。

なんだあれは。どうしてあんなところに。いや、あの大きさは――なんだ?馬鹿な。いくらなんでも――大きすぎる!

その様子じゃ、魔法使いさんにもわからないみたいね。

 傍らに、ルリアゲハが跳んできた。脇にリピュアを抱えている。

あなたたちの身体、いつものアパートで休ませてたんだけど――いきなりとんでもない量の魔力があふれて……。

あれが、出てきた。

 リフィルは?と尋ねると、ラギトは苦い顔をした。

あれに呑まれた。わかるのはそれだけだ。

じゃあ、リフィルがあそこに――

 咆呼が、みなの言葉をかき消した。

白い巨体が、言祝(ことほ)ぐように吠えていた。

長い長いひと鳴きだった。積み重ねた思いの丈をぶちまけるような感慨深い声色が、黄昏の都市に沁みていく。

その余韻の中、〈ロストメア〉は踏み出した。

前へ。

現実に至る門へと向かって。





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